異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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11章 新たな都市の建設

486 逃がさない

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 アンジェが俺に目を付けた動機があまりにも幼稚すぎて話す価値もない。
 だがアンジェがどれだけ軽い気持ちでいたとしても、それに振り回された人間達がいた事には変わりない。


「ってことらしいですよ皆さん。俺の足を引っ張りたかっただけで、ここまでの大事を起こしてしまったようです。
 俺はもうこの女に興味が無いので、王国の皆さんで好きにしちゃってください。
 あ、でも一応チート能力者なんでしょうから、最低限の警戒はしたほうがいいかも?」

「いえ、アリスからアンジェのチート能力は伝えられておりますわ。
 アンジェのチート能力は『無為招福』。効果は小さく任意に発動できないものの、自分に迫る危険や脅威に対して自動で発動し、ほんの少し幸運な結果を齎してくれる能力だそうです」


 質問したわけではないけど、ディオーヌ様からすぐに回答が得られた。
 なるほどね。オートスキルか。結構面白いな。『事象復元』のデメリットを丸っとひっくり返したような能力だ。
 『迷宮操作』のように制御性を無くす事でデメリットを減らしたって感じか。

 う~ん、勿体無い能力だなぁ。実力をつければつけるほど、効果の重要度が増していく能力っぽいのに。


「今回アリスがアンジェの確保に協力してくれたんだって? いったいなんで?」


 俺が声をかけると、ニコニコと笑いながら子をこちらに向けてきた。
 なにヘラヘラしてるんだこいつは。


「私にはもう何も残ってないから? せめてシルヴァール様の為に動こうって思っただけ。
 私にはもうやるべきことも居場所もないから、せめて友達を助けたかったの。
 アンジェはみんなを助ける気なんかなかったから」

「そっか。まだ友達を助けてあげたいと思うか? アリス」


 俺が問いかけると、へらへら笑っていたアリスが一瞬止まる。


「……助けたいに決まってるわよ。どうしてそんなことを聞くの?」

「ねぇ。俺がこいつらの処遇に口出ししてもいいんだっけ?」


 一旦アリスから視線を外し、王国勢の方に問いかける。


「ああ構わん。何か要望があるなら言ってくれ」

「わかりました。それじゃ要望を伝えますので、飲むかどうかはお任せします。
 まずアリスは主犯逮捕協力の功績で、釈放して欲しいんです。ただし王国への損害賠償として、白金板100枚を王国に支払い義務を負うこと」

「――――賠償金を背負うのは良いとしても、白金板100枚なんて、私に払えるとは思えないけど」

「甘えんな。俺らはその何十倍もの金を王国に支払い済みなんだよ。払えると思えない? ならお友達は一生地獄に居るままだ」

「……どういうことかしら?」

「それじゃ要望の続きです。この3名の待遇に関しては、最低10年間生かしてもらえれば、それ以上の要望はありません。煮ようが焼こうが犯罪奴隷以下の扱いをしようが、生きてさえいれば文句はありません。
 さて、アリスが白金板100枚を支払い終えた後は、この3人は白金板1000枚ずつの賠償金を納めるごとに、1人ずつ解放してもらいたいんですよね。奴隷印を刻もうが四肢を切り落とそうが、解放してもらえれば状態は問いませんので」

「生きてさえいれば、扱いは問わない、と?」

「ええ。例えばアラタなんかスキル全部取ったらしいので、エリアキーパーの打倒に使ってみてもいいんじゃないですか? それで死んじゃったのならまぁ、仕方ないと思って諦めますんで。
 シルヴァール王女には沢山の世継ぎでも産んでもらえばいいんじゃないです? 相手選ぶ権利もないでしょ?
 解放する順は、シルヴァール、アラタ、アンジェの順でお願いします。仮にアラタやシルヴァールが何らかの理由で死んだとしても、前の人間の賠償金である白金板1000枚の支払い義務は失効させないで下さい。あと10年経ったら殺しちゃっても文句は言いません」


 笑顔だったアリスの表情がどんどん困惑していく。
 そういやこいつ理解力に乏しいんだったか。


「つまりだアリス。やるべきことがないなんて甘いことが許されると思うな。
 お前がとっとと白金板3100枚王国に納めないと、王女は望まぬ子を孕んだり、アラタは死地に送られたり、アンジェはまぁどうなるか分からない目に遭わされるわけだ。
 やること作ってやったぞ? 精々頑張れ」

「え……? え……?
 私がお金を稼がないと、シルヴァールが、アラタが、酷い目に……?」

「王国側の皆さん。別にこの3人を丁重に扱う必要はないです。生かしてさえもらえれば、どうぞお好きなように扱ってください。
 さぁアリス頑張れよ? 俺なら白金板1000枚なんて、一日中仕事すれば充分稼げる額だからさ。お前に稼げない道理はないよ。
 居場所もやるべきことも、ちゃーんと用意してやったぜ? 心を壊して逃げられると思うな。お前が逃げたらシルヴァールもアラタもアンジェも、その瞬間死ぬことが決まる。アンジェがみんなを助ける気はなかったとか言ってたな? お前が友達を助けたいって気持ちがどれ程のもんか、王国民たちに示して見せろよ。
 自分以外の誰かの命運を背負うことの重みを、お前は身を持って知るべきだ」


 アリスが真っ青になって震え出した。
 はっ。俺たちと再度敵対しておきながら、夢の世界に逃げようなんて舐めんじゃねぇ。

 アンジェに文句言う前に、テメェだって卑怯者だろ馬鹿女。自分で背負って自覚しろ。


「ま、待ってくれトーマ! アンタ俺に、この世界を楽しめって言ってくれたじゃないか!
 俺のチート能力は寿命を代償にしてるんだよ! 1秒だって無駄に出来ないんだ! 拘束されてる時間なんてないんだよっ!」

「アラタ~? お前は負けたんだよ。敗者はペナルティを追わなきゃいけないんだ。ゲームじゃないんだからな?
 時間がないってんならアリスに頑張ってもらえば良いだろ。アリスが白金板2100枚払った時点でお前は釈放されるんだから」


 残念だけど、俺の嫁に手を出した時点で容赦する気はない。
 
 寿命を代償にした能力とは恐れ入るが、そんな都合知ったこっちゃないな。
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