異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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11章 新たな都市の建設

477 ネタばらし

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「おはようトーマ! 今帰り?」


 まーた朝の来客かよ、と思ったけど、考えてみたら俺と確実に会えるタイミングってここしかないのか。


「おはようアラタ。そっちも早いな。スキップオーブ争奪戦に負ける心配はなさそうだ。
 ここに居るって事は、積層型迷宮はクリアしたってことか?」

「さっすが! 話が早いね。昨日114階層に到達できたから、高層型と開放型のどっちにしようか迷ったけど、開放型ってまだ潜ったことないからこっちにしたんだー!」


 すっげぇな。ホントにソロで114階層到達しちゃったのか。
 ブルガーゾもご愁傷様だな。もうアラタにもワンパンで沈められそう。


「なるほどなー。とりあえず迷宮踏破おめでとう。楽しんでくれてるみたいで何よりだよ。
 開放型迷宮は横に広いダンジョンでさ。スキップの恩恵があまり得られないんだ。
 帰りはスキップがあるからいいけど、水や食い物は気持ち多めに持ってくと良いかな?」

「へぇ~。ありがとトーマ、参考にさせてもらうね。
 でもさ、トーマって僕が主犯の一味だってことには気付いてるよね? 僕に塩を送るようなことしちゃっていいの?
 これでも僕、強くなる速度には自信があるよ? 今のうちに摘んでおこうとか思わない?」


 ありゃ? あっさりネタばらししてきたな。
 やっぱりアラタは謀略を巡らせるタイプじゃない、少年漫画の主人公のような真っ当さだ。


「んー。なんつうかさ、アラタには俺への敵意を感じないんだよなぁ。
 ちょっとなんて言えばいいのか分かんないけど、例えるなら同じゲームをプレイしている相手側のユーザーって感じがするんだよ。
 お前、この世界を思い切り楽しんでるんだろ? じゃあ邪魔する気にはならないよ。この世界を思い切り楽しんでる俺としちゃあな」

「あー、それって結構的を射てるかも? 僕ってトーマのこと、敵っていうより目標って感じに思ってるもん。
 敵対ユーザーってことだよね? うん、しっくりくるよ」

「そんでお前のところの、リーダー? かどうか分からないけど、今回の騒動を起こしてる奴は迷惑ユーザーって感じだなぁ。
 一応忠告しておくけど、今のうちに身を隠す事をお勧めしておくよ。ルールを守れない迷惑ユーザーってのはBANされるのが末路だ。首謀者はこの世界の凄まじい数の人間に不利益を与えてしまったからなぁ。勝利できればいいんだろうけど、負けちまったら助かる目はないぞ? 勿論俺が助命をお願いする気もないし」

「ふぅん? でもBANされるのはゲームだからであって、運営っていう管理者がいるから成り立つことでしょ?
 この世界のシステムは確かにゲームじみてはいるけれど、僕たちにとっては紛れもない現実だよ。ゲームのルールを当てはめすぎるのは違うんじゃないかと思うんだけど」

「そうだよアラタ。やっぱお前の方が良くわかってるよな。そう、俺たちにとってはここは現実だ。
 なぁアラタ。ゲーム世界と現実世界を比べてみた時さ、ルールが緩いのってどっちだと思う? 違反者に厳しいのってゲームの方かな? ゲームだったら今回お前らがやったことは迷惑行為ってだけで、最大の処分はアカウントをBANされてそれでおしまい。やろうと思えば新しいアカウントを作ってすぐ復帰できるよな?
 この世界は俺たちにとっては紛れもない現実だよな。現実でルールを破って、不特定多数の人間に迷惑をかけ続けた奴は、いったいどんな処分を下されるんだろうな?
 アラタ、ゲームのルールを当てはめすぎるのは危険だと思うぜ? 異邦人の先輩からの忠告だ」


 アラタは俺の言っている意味を、頭の中で咀嚼しているようだ。

 だがアラタがどれだけ優秀だとしても、異邦人としては俺の半分も時間を過ごしていないし、俺と同じほどの苦難を乗り越えてきているとも思えない。真っ直ぐすぎるからな。


「今回の首謀者がなんで俺に目を付けたのかは知らない。興味もない。でもこれだけは言っておいてやるよ。伝えるかどうかはアラタが判断すればいい。
 今回の件、俺たちは徹底的に無視するぞ? 俺たちにとっては何の影響もないことだからな? お前らがやった事で困ってるのは、俺達以外の王国民と異邦人だ」


 そりゃあ俺が自分で動けば、彼らに迷惑をかけることもなかったかもしれないけど。
 そこまで面倒見てられっかよ。


「さぁ頑張ってくれよ? 少しでも綻びたら一瞬で瓦解するぞ? お前ら俺の悪評を広めるのにご執心のようだが、その一方でお前らがどれだけ王国民に恨まれてるか知ってるか? ここまでやっちゃったら、もう勝つしか生き延びる手はないだろうなぁ。
 お前らはこの世界のどれだけ多くの人間に迷惑をかけたのが、全然想像が足りてないと思うぜ? どっかの馬鹿王女の権力なんて、紙みてぇなモンだぞ?
 事実、以前王様は俺に突っかかってきた王女を厳罰に処そうとしたこともある。その時に厳罰に処されなかったのは俺が王を止めたからだ。
 嘘だと思うならカルネジア家にでもメーデクェイタ家にでも聞けばいい。あ、メーデクェイタ家は先代当主だったっけ?」

「――――つまり、要約すると、トーマにとって俺たちって、眼中にすらないってこと?」

「そういうこと。というか、同じ舞台にすら立ててないぞ。
 お前、ボールクローグから出てきたんなら、俺たちがランドビカミウリと闘ったの知ってんだろ? あの時点で、異風の旋律だけでリヴァーブ王国全員を敵に回しても、余裕で勝利できるくらいの戦力があったんだよ。
 さてここで問題です。その差は果たして縮まったのでしょうか、それとも……?」

「……王国民を唆して嗾けてくる程度の時点で、俺たちは全く力が及んでいないってこと?」

「正解だ。やっぱアラタは頭がいいな。
 エリアキーパーの情報は公開されたから、アラタも知ってるだろ? あいつらの情報って何にも大袈裟じゃねぇんだぜ? 俺はランドビカミウリを除いて2体のエリアキーパーを倒してるけど、エリアキーパーがその気になったら、1時間も掛からず王国は滅亡するぜ。それくらい次元が違う話なんだよ」


 ゲートが開いたのでベイクに帰る……、その前にアラタに最後に忠告しておくか。


「お前らは想像が足りてないみたいだから、地球に置き換えて説明してやるよ。
 お前らがやってるのは、1国の外交を邪魔して国際問題を引き起こしてるのと変わらない。支援を受けている国の中で、支援してくれている国にちょっかいをかけて、国同士の関係を悪化させ、支援国からの支援を打ち切られてしまった状態だ。
 俺はお前らに同情するよ。これからどんな目に遭うのか、俺には想像も出来ない。
 アラタのことは嫌いじゃないからさ。また再会できるように祈っておくわ」


 動かないアラタを放っておいて、ベイクに朝食を食べに戻った。
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