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11章 新たな都市の建設

439 異邦人への説明会

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 朝食を取りに集まってきた異邦人達に残ってもらって、ルイナスリームの説明をする事にする。
 この場に来ていない人も連れてきてもらって、ベイクに居る異邦人全員を集めた。


「朝の忙しい時間に申し訳ないけど、異邦人のみんなにちょっと報告しておきたいことがあるんだ。少しだけ付き合ってくれ。
 今俺たちはルイナスリームって都市を建設中なんだが……」


 異邦人達の受け入れ先として、1から済みやすい都市を作っていること。
 苛酷な環境なので、2つの初期スキルを取得していない者は移住を許可できないこと。
 希望するなら、このままベイクや他の都市で暮らしても構わないこと。
 異邦人達だけが住める異邦人地区を用意する予定があること。
 実際の受け入れにはもう数日かかると思うので、まだスキルを取得していない人はそれまでに取得しておいて欲しいことなどを告げた。

 その後に個別の質問タイムを設ける。


「異邦人の為の都市って言っても、王国民を全く受け入れないわけじゃないんだよな?」

「ああ。それはこの世界で生きていく上で、事実上不可能だと思ってる。異邦人の事情に王国の他の都市よりも詳しいって程度になるとは思う。
 ただ王国の他の都市とは物理的にめちゃくちゃ距離があるからな。現状はゲート無しで移動するのはかなり難しいから、他の都市と比べて王国民の数は少なくなるはずだ」

「現状既にある施設と、まだその都市にはない施設を教えてくれ」


 ある施設とない施設、か。
 とりあえずベイクと比べてってことだよな?


「そうだなぁ。さっきも言った通り作ってる最中の場所だから、各種ギルドとスキル神殿が簡易的にあるくらいだな。迷宮とギルドはあるので、最低限の生活は可能だ。
 各ギルドの建設が済んだら、まずは異邦人区域と既にルイナスリームに住んでいる人たちの住居の建設。その後に商店や工房って流れになると思う。
 少なくとも移住の第1陣は、かなり不便だと思ってくれていい」

「その都市に1度住んでみて、合わないと思ったら出て行くのは自由ですか?」

「それは勿論自由だ。別に異邦人を集めてなにかやろうって場所じゃないからさ。
 俺達異邦人は王国民にそっぽを向かれたら生きていけないだろ? それだと俺達の立場が危ういと思ってるんだ。
 もし王国民となにか揉めてしまった時に、拠り所になるような場所を目指したいと思ってるよ。
 あ~、勿論犯罪者を匿うって意味じゃねぇから勘違いすんなよ?」

「異邦人の為に、その都市で特別に何かを行う予定はあるの?」


 特別に行うことか。あまり変なことはして欲しくないんだけどな。目を付けられたくもないし。
 ま、でもこのくらいなら言っちゃおうかな?


「まだ未定だけどさ。異邦人住宅街の他に、異邦人商業地区を作れたらいいなって思うんだよ。
 こっちの世界にはまだまだ娯楽が少ないからさ。地球の遊びをある程度広められたらなって思ってるよ。
 これも言うまでもないけど犯罪は許さないからな? 王国民による監査は常に入れると思ってくれ。
 人に迷惑をかけないことならなるべく応援するつもりだよ。俺だって娯楽が増えて欲しいと思ってるし」

「地球の娯楽と言えば! そこって豪雪地帯のすぐ近くなんだよなっ!? 雪とかって常に降り積もってる感じ!?」

「ああ。あそこの雪は際限なく降り積もってくるし、溶ける事はないだろうな。
 ウィンタースポーツに向いてるかどうかと言われると……。何か対策をする必要はありそうだ。
 常に吹雪で視界が悪い状態だし、砂漠エリアだから地面は平坦だしな。雪は恐らく常時降り注ぐだろうってことだけは間違いないと思うけど」

「それは現地を確認してから考えるから構わねぇよ! この世界には冷却系の魔法がないから、雪や氷は作れないからな!
 雪さえあるなら、他はいくらでもやりようがありそうだぜ! うおおおおおまさかこっちでもスキーが出来るかもしれないとはっ!!」


 うん。コイツの熱意ならなんでも乗り越えてしまいそうだな。
 実際に時間さえかければ丘を作るのは難しくないだろう。雪の切れ目も近いから遭難のリスクも低いだろうし。


「とりあえず移住予定がなくても、1回くらいは見に来て欲しいな。スキル取ってからって話になるけどさ。
 それと商売をやりたい奴は早い者勝ちだからな? 飲食店だったり娯楽施設だったり、被っても別に構いやしないけど、競合する前に始めた方が有利だとは思うぜ。
 まぁ……。まだそこまで人が居る場所じゃないけどさ。レストランだったり喫茶店だったりは俺も行ってみたいし、どんどん出展してくれよな。別に個人で立ち上げるのが不安なら、パーティの仲間だったり他の奴に声かけたっていいんだからよ。お互い楽しもうぜ?」


 この話が異邦人達の希望になればいいな。
 楽しみさえあればこの先も頑張ろう、って思えるもんだから。


「おうトーマ。数日後には移住可能になるってマジか?」

「タケルか。一応最低限の設備は整うって意味でな。お店なんかはこれからの話になってくるから、移住しても不便な土地である事は間違いないと思う。
 それでも、いち早くベイクから離れたいとか、王国から距離を取りたいとか思ってる奴が居たとしたら、ルイナスリームに住んでもいいよっていうレベルの話かな」

「いやぁ十分だろ! 迷宮もあるし、住居さえ完成したら俺はすぐにでも移動してぇな。
 やっぱ俺に取っちゃ、王国民に囲まれてる状況はちょっと怖ぇからさ」


 タケルはもう立派に自立出来てると思うけどなぁ。
 それでもやっぱり、意識を奪われて好き勝手に利用された経験ってのは、軽く考えていい話ではないか。


「タケルならゲートも使えるからな。ルイナスリームに住んだとしても、あまり不便を感じる事はないんじゃないか?
 ま、あと数日だけ待ってくれよ。この世界の建築速度は尋常じゃねぇからさ」


 タケル、アサヒ、カンナみたいに、王国民に食い物にされる異邦人は無くしていかなきゃならない。
 
 ルイナスリームはそのための拠点として機能してくれる事を期待したいところだ。
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