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10章 壁外世界
419 黒猫
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体格もペルと殆ど変わらない。5メートルオーバーの大型肉食獣だ。
それでも全然怖いと感じないのは、俺が強くなったおかげか、俺が猫好きだからなのか。多分後者だな。
相手側も警戒している感じはしないな。単純に興味津々といった印象だ。
この世界の生物は、魔物じゃなければとにかく人懐っこいよな。素晴らしい世界だ。
メタ的に考えると、恐らく人と寄り添って魔物と戦う事を想定されてるからなんじゃないかと思う。スキルも覚えられるしな。
戦闘能力の低いウミガメさんもスキルを覚えれば、泳ぐ早さは格段に上昇するだろう。
焼いた肉の塊を持って静かに近寄っていく。逃げる素振りも見せない。
肉の塊を目の前に置いて下がると、くんくんと鼻をひくつかせてから、特に警戒する様子もなく食べ始めた。
本当にこの世界の動物は人懐っこくて可愛いなぁ。その分魔物の殺意がヤバいんだが。
「いっぱいあるからいくら食ってもいいぞぉ。もし他に仲間が居るなら連れてきてもいい。肉はいっぱいあるからさ」
肉を食べている巨大黒猫に話し掛ける。
この世界の生物は、人と会った事がなくても人語を解している傾向が強い。恐らくこの子にも伝わるだろう。
肉を食べていた黒猫は、肉から口を離して森に消えていった。
俺の言葉を聞いての行動だとしたら、他にも仲間が居るのかな?
追加で肉を焼きつつ、土魔法で大きめの桶を作って水を満たしておく。
そんな作業をしていると、恐らくさっきの黒猫が、サイズがバラバラな黒猫を連れて戻ってきた。
ペルと同じサイズは1匹のみ。後は結構バラバラの大きさだ。
1番小さい子はふわわよりもちょっと大きい程度。もしかして赤ちゃんなんだろうか?
「ようこそみんな。肉はいっぱいあるから、腹いっぱい食ってってくれよな。水も用意しておいたから自由に飲んでくれ」
やっぱり俺の言葉を分かっているようで、4匹の黒猫は思い思いの肉にかぶりつき始めた。
ねこねこ言ってたけど、そこはやはり肉食獣。子猫も肉をワイルドに引きちぎって食べ始めた。小さく切り分ける必要はないらしい。
「あー懐かしいねえ。ペルを拾った時もこの子くらいの大きさだったんだ。
ペルは1年ごとに、倍くらいずつ大きくなっていって、この大きさで止まったんだよね。
そっちの子も同じくらいの大きさだから、ペルたちの種族は今の大きさが最大なんだろうさ」
「成長速度エグいな。そう考えると、数年単位で歳が離れてるわけか。親子か兄妹なのかな?」
肉を食べている黒猫、いや猫じゃないか、ジャガー? 豹? 判断できないけど、俺が撫でても特に嫌がらずに食事に集中している。
そんな俺に倣って、他の奴等も少しずつ距離を縮めているようだ。
「へぇ、僕が撫でても全然嫌がらないね。魔物以外の壁外生物は、本当に人を警戒しないんだなぁ」
「こんなちっちゃな子がペルと同じ大きさになるなんて凄いねー。
よしよーし、いっぱい食べて元気に大きくなってねー」
「普段魔物に囲まれて生活しているからこそ、人に寄ってくるのかもしれませんね。
スキルも覚えられるし、この子達は魔物よりも人の方に近い生き物なのでしょうし」
「うん。頭がいいのも素敵だよね。私達の会話を完全に理解してるんだもん。私達より頭がいい可能性だってあるのかな?」
「ペルちゃんも昔はこんなにちっちゃかったんだねぇ……。
はぁ~可愛いよぅ……! 大きくなっても小さいままでも可愛いよぅ……!」
「はは。ペルはどうだい? この子達と友達になれそうかい?」
ギュー。
ペルはペルでじっと相手の事見てるからな。心配は要らなそうだ。
番いになるかどうかは成り行きに任せるにして、仲間に会わせてやれて良かった。
それにしてもペルに対して、お客さん達は全然鳴かないな。やっぱり環境に因るところが大きいのか。
「食べながらでいいから聞いてくれ。
俺たちはここから少し離れたところで生活してるんだけどさ。もし良ければ、みんなもそこで一緒に暮らさないか? 食事くらいは毎日準備するからさ、考えてみてくれないかな?
ここに居るペルも、同じ場所に住んでるんだ」
そしてスカウトの流れだ。
この子達は肉食獣だし身体能力も大きい。
仲間になってもらえれば、かなりの戦力になる事は間違いない。
何より可愛い。俺が一緒に住みたい。
黒いお客さん達は肉を食べるのを中断して、俺の前に集まって俺を見つめている。
これは、了承したってことでいいのかな?
「みんな付いて来てくれるのか? だったら嬉しいよ。俺はトーマ。これから宜しくな」
そう言えば名乗るのを忘れていたと思って、ついでに名乗っておく。
俺の名乗りを聞いたみんなは、用件は済んだとばかりに食べていた肉の下に戻っていった。
「あっはっは! 人と会うのが初めての割には、ペルと変わらないくらいに人懐こいじゃないか!
ペルだけじゃなくて、うちの団員とも上手くやっていけそうだねぇ。よろしく頼むよ!」
サリサリも気に入ってくれたようだ。良かった良かった。お隣さんになるんだもんな。
その後大猫達にペルも加わって、相当量のお肉を消費した。よく食うなぁ。
食事が済んだあと、ペルの先導によってボールクローグに向けて疾走する、4つの黒い影が夜の森を駆け抜けていった。
それでも全然怖いと感じないのは、俺が強くなったおかげか、俺が猫好きだからなのか。多分後者だな。
相手側も警戒している感じはしないな。単純に興味津々といった印象だ。
この世界の生物は、魔物じゃなければとにかく人懐っこいよな。素晴らしい世界だ。
メタ的に考えると、恐らく人と寄り添って魔物と戦う事を想定されてるからなんじゃないかと思う。スキルも覚えられるしな。
戦闘能力の低いウミガメさんもスキルを覚えれば、泳ぐ早さは格段に上昇するだろう。
焼いた肉の塊を持って静かに近寄っていく。逃げる素振りも見せない。
肉の塊を目の前に置いて下がると、くんくんと鼻をひくつかせてから、特に警戒する様子もなく食べ始めた。
本当にこの世界の動物は人懐っこくて可愛いなぁ。その分魔物の殺意がヤバいんだが。
「いっぱいあるからいくら食ってもいいぞぉ。もし他に仲間が居るなら連れてきてもいい。肉はいっぱいあるからさ」
肉を食べている巨大黒猫に話し掛ける。
この世界の生物は、人と会った事がなくても人語を解している傾向が強い。恐らくこの子にも伝わるだろう。
肉を食べていた黒猫は、肉から口を離して森に消えていった。
俺の言葉を聞いての行動だとしたら、他にも仲間が居るのかな?
追加で肉を焼きつつ、土魔法で大きめの桶を作って水を満たしておく。
そんな作業をしていると、恐らくさっきの黒猫が、サイズがバラバラな黒猫を連れて戻ってきた。
ペルと同じサイズは1匹のみ。後は結構バラバラの大きさだ。
1番小さい子はふわわよりもちょっと大きい程度。もしかして赤ちゃんなんだろうか?
「ようこそみんな。肉はいっぱいあるから、腹いっぱい食ってってくれよな。水も用意しておいたから自由に飲んでくれ」
やっぱり俺の言葉を分かっているようで、4匹の黒猫は思い思いの肉にかぶりつき始めた。
ねこねこ言ってたけど、そこはやはり肉食獣。子猫も肉をワイルドに引きちぎって食べ始めた。小さく切り分ける必要はないらしい。
「あー懐かしいねえ。ペルを拾った時もこの子くらいの大きさだったんだ。
ペルは1年ごとに、倍くらいずつ大きくなっていって、この大きさで止まったんだよね。
そっちの子も同じくらいの大きさだから、ペルたちの種族は今の大きさが最大なんだろうさ」
「成長速度エグいな。そう考えると、数年単位で歳が離れてるわけか。親子か兄妹なのかな?」
肉を食べている黒猫、いや猫じゃないか、ジャガー? 豹? 判断できないけど、俺が撫でても特に嫌がらずに食事に集中している。
そんな俺に倣って、他の奴等も少しずつ距離を縮めているようだ。
「へぇ、僕が撫でても全然嫌がらないね。魔物以外の壁外生物は、本当に人を警戒しないんだなぁ」
「こんなちっちゃな子がペルと同じ大きさになるなんて凄いねー。
よしよーし、いっぱい食べて元気に大きくなってねー」
「普段魔物に囲まれて生活しているからこそ、人に寄ってくるのかもしれませんね。
スキルも覚えられるし、この子達は魔物よりも人の方に近い生き物なのでしょうし」
「うん。頭がいいのも素敵だよね。私達の会話を完全に理解してるんだもん。私達より頭がいい可能性だってあるのかな?」
「ペルちゃんも昔はこんなにちっちゃかったんだねぇ……。
はぁ~可愛いよぅ……! 大きくなっても小さいままでも可愛いよぅ……!」
「はは。ペルはどうだい? この子達と友達になれそうかい?」
ギュー。
ペルはペルでじっと相手の事見てるからな。心配は要らなそうだ。
番いになるかどうかは成り行きに任せるにして、仲間に会わせてやれて良かった。
それにしてもペルに対して、お客さん達は全然鳴かないな。やっぱり環境に因るところが大きいのか。
「食べながらでいいから聞いてくれ。
俺たちはここから少し離れたところで生活してるんだけどさ。もし良ければ、みんなもそこで一緒に暮らさないか? 食事くらいは毎日準備するからさ、考えてみてくれないかな?
ここに居るペルも、同じ場所に住んでるんだ」
そしてスカウトの流れだ。
この子達は肉食獣だし身体能力も大きい。
仲間になってもらえれば、かなりの戦力になる事は間違いない。
何より可愛い。俺が一緒に住みたい。
黒いお客さん達は肉を食べるのを中断して、俺の前に集まって俺を見つめている。
これは、了承したってことでいいのかな?
「みんな付いて来てくれるのか? だったら嬉しいよ。俺はトーマ。これから宜しくな」
そう言えば名乗るのを忘れていたと思って、ついでに名乗っておく。
俺の名乗りを聞いたみんなは、用件は済んだとばかりに食べていた肉の下に戻っていった。
「あっはっは! 人と会うのが初めての割には、ペルと変わらないくらいに人懐こいじゃないか!
ペルだけじゃなくて、うちの団員とも上手くやっていけそうだねぇ。よろしく頼むよ!」
サリサリも気に入ってくれたようだ。良かった良かった。お隣さんになるんだもんな。
その後大猫達にペルも加わって、相当量のお肉を消費した。よく食うなぁ。
食事が済んだあと、ペルの先導によってボールクローグに向けて疾走する、4つの黒い影が夜の森を駆け抜けていった。
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