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10章 壁外世界
418 夜営
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ネコ科の動物ってのは基本的に夜行性が多いからなぁ。
実際スナネコ達に出会えたのも夜だったし、ペルの同種族も夜行性の可能性は低くない。
ペル自身は、銀の乙女の生活時間に寄り添っているみたいだけど。
ウミガメさんと違ってペルは間違いなく肉食だ。ペルの仲間も同じだろう。
なのでスナネコを釣った時みたいに、魔物を殺して食べ物を用意すれば出てきてくれる可能性は高まるはず。
ということで、音魔法での釣りを行うことにしよう。
流石にまだレイメルカミウリに魔力を感知される範囲には入ってない、と信じたい。
比較的森が開けている場所を見つけ、音魔法を拡散しつつ周囲を少し伐採して見通しを良くしておく。
銀の乙女には解体と運搬をお願いして、魔物釣りの始まりだ。
音魔法に釣られて魔物が次々に襲い掛かってくる。
魔物の密度が結構高い気がするな。エリアキーパーのせいで住処が圧迫されてるのかな? 自然発生型の魔物に、生態系とか関係あるのかは知らないが。
「ひぇ~……。あんたらまた腕を上げたみたいだねぇ……。
団員総出で解体してるってのに、全然作業が間に合わないじゃないか」
「殲滅しきったら俺たちも手伝うから、それまでは宜しく頼むよ。
全部の素材は持って帰れないだろうから、肉なんかは今夜食えるだけ食っちまおうぜ」
「私の呟きにまで反応してんじゃないよ! どんだけ余裕があるってんだいまったく」
流石にエリアキーパーと戦った後じゃな。普通の魔物なんか作業感強すぎる。
カラードラゴンクラスが出てきたらちょっと手強いかなって感じだけど、グリーンドラゴンすら現れない。
あの時のグリーンドラゴンは、本当にレアケースだったんだなぁ。
リーネもかなり戦えるようになってきた。見ていて安定感がある。
スキルの取得が少し大変なリーネは、その分を補おうと戦闘訓練に熱心に取り組んでいる。
スキルに頼らない確かな戦闘技術は裏切らないからな。更にはスキルを取得できたら土台となってリーネを支えてくれるだろう。
「まったく、本当にこれだけの魔物を、汗もかかずに殲滅しちまうとはねぇ……。
それに以前と比べると、解体の腕も上げたようだね? 本職の狩人にゃあ及ばないけど、冒険者としてみるなら充分な腕さ」
「お、サリサリにそう言ってもらえると自信がつくよ。城壁外で戦うことも多かったから、自然と解体する機会も増えてきててさ。他の狩人やリーネに教えてもらいながら解体してたんだ」
流石にリーネは銀の乙女からしっかり手解きを受けただけあって、解体の腕は俺達の中で1番高い。リーネ自身の熱意もあるしな。
解体が終わったら馬車を中心に夜営の準備をして、大量の魔物肉を焼いていく。
原生生物達には『魔力探知』がないので、魔力ではなく五感のほうに訴える必要がある。
要は食い物の匂いで釣るってだけ。
「初めて食べる肉も多いけど美味しいね。僕達はスキルのおかげで、食べ物に関しては結構無茶できるのが嬉しいよ」
「うんうん。お肉は元々好きだったけど、こんなに色んな種類のお肉を食べられるなんて思ってなかったよー。
贅沢な話になっちゃうけど、流石に今さらシャドウボアのお肉が好物ー、なんて言えないかなー」
「そういえばリーンはシャドウボアが好きって言ってましたもんね。まったく、我ながら舌が肥えてしまいました」
「うん。エリアキーパーの肉まで食べちゃってるからね。この世界で1番沢山の種類のお肉を食べてる人って、間違いなく私達だと思うよ」
「私、ちょっと前までは食べる物にも困る生活してたのになぁ……。
あの時憧れてた生活なんて、毎日お腹いっぱい食べられれば、それだけで夢のようだと思ってたよ……」
出来るだけ大量の肉を焼いて、広範囲に匂いを広げる作戦だ。
肉は嵩張るからあまり持って帰れないしな。高価な素材から率先して馬車に確保したが、それでもかなりの量になってしまったので、肉は諦めざるを得ない。
「いやぁ異風の旋律はいい依頼人だよまったく。生活魔法が使いこなせると、夜営がこんなに楽になるもんなんだねぇ。
それで、私らは肉食ってるだけなんだけど、これで本当にペルの仲間が現れてくれると思うかい?」
「流石に可能性は五分五分だと思うけどね。ただ砂漠であったスナネコは、今じゃ焼いた肉しか食わなくなったからな。ペルも焼いてるほうが好きだし。
だからペルのお仲間も、焼いた肉の匂いは好きな可能性は高いと思ってるよ」
スナネコの時みたいに、この周辺の魔物は狩りつくしちゃったからなぁ。
お腹が空いてれば、ここに顔を出さざるを得ないはず。
ちょっとだけ申し訳ないんだけどな。
しっかしペルは良く食うなぁ。こりゃ銀の乙女も食費を賄うのが大変だったろうな。
ペルの能力を考えればお釣りが来るほどだろうけど、俺達と会う前の銀の乙女は、結構厳しそうな話もしてたっけ。
ギュギュー?
ペルが少し戸惑ったような声をあげた。
ペルの視線の先をみると、ペルと見分けがつかないような、巨大な真っ黒い猫がこちらを静かに見つめていた。
実際スナネコ達に出会えたのも夜だったし、ペルの同種族も夜行性の可能性は低くない。
ペル自身は、銀の乙女の生活時間に寄り添っているみたいだけど。
ウミガメさんと違ってペルは間違いなく肉食だ。ペルの仲間も同じだろう。
なのでスナネコを釣った時みたいに、魔物を殺して食べ物を用意すれば出てきてくれる可能性は高まるはず。
ということで、音魔法での釣りを行うことにしよう。
流石にまだレイメルカミウリに魔力を感知される範囲には入ってない、と信じたい。
比較的森が開けている場所を見つけ、音魔法を拡散しつつ周囲を少し伐採して見通しを良くしておく。
銀の乙女には解体と運搬をお願いして、魔物釣りの始まりだ。
音魔法に釣られて魔物が次々に襲い掛かってくる。
魔物の密度が結構高い気がするな。エリアキーパーのせいで住処が圧迫されてるのかな? 自然発生型の魔物に、生態系とか関係あるのかは知らないが。
「ひぇ~……。あんたらまた腕を上げたみたいだねぇ……。
団員総出で解体してるってのに、全然作業が間に合わないじゃないか」
「殲滅しきったら俺たちも手伝うから、それまでは宜しく頼むよ。
全部の素材は持って帰れないだろうから、肉なんかは今夜食えるだけ食っちまおうぜ」
「私の呟きにまで反応してんじゃないよ! どんだけ余裕があるってんだいまったく」
流石にエリアキーパーと戦った後じゃな。普通の魔物なんか作業感強すぎる。
カラードラゴンクラスが出てきたらちょっと手強いかなって感じだけど、グリーンドラゴンすら現れない。
あの時のグリーンドラゴンは、本当にレアケースだったんだなぁ。
リーネもかなり戦えるようになってきた。見ていて安定感がある。
スキルの取得が少し大変なリーネは、その分を補おうと戦闘訓練に熱心に取り組んでいる。
スキルに頼らない確かな戦闘技術は裏切らないからな。更にはスキルを取得できたら土台となってリーネを支えてくれるだろう。
「まったく、本当にこれだけの魔物を、汗もかかずに殲滅しちまうとはねぇ……。
それに以前と比べると、解体の腕も上げたようだね? 本職の狩人にゃあ及ばないけど、冒険者としてみるなら充分な腕さ」
「お、サリサリにそう言ってもらえると自信がつくよ。城壁外で戦うことも多かったから、自然と解体する機会も増えてきててさ。他の狩人やリーネに教えてもらいながら解体してたんだ」
流石にリーネは銀の乙女からしっかり手解きを受けただけあって、解体の腕は俺達の中で1番高い。リーネ自身の熱意もあるしな。
解体が終わったら馬車を中心に夜営の準備をして、大量の魔物肉を焼いていく。
原生生物達には『魔力探知』がないので、魔力ではなく五感のほうに訴える必要がある。
要は食い物の匂いで釣るってだけ。
「初めて食べる肉も多いけど美味しいね。僕達はスキルのおかげで、食べ物に関しては結構無茶できるのが嬉しいよ」
「うんうん。お肉は元々好きだったけど、こんなに色んな種類のお肉を食べられるなんて思ってなかったよー。
贅沢な話になっちゃうけど、流石に今さらシャドウボアのお肉が好物ー、なんて言えないかなー」
「そういえばリーンはシャドウボアが好きって言ってましたもんね。まったく、我ながら舌が肥えてしまいました」
「うん。エリアキーパーの肉まで食べちゃってるからね。この世界で1番沢山の種類のお肉を食べてる人って、間違いなく私達だと思うよ」
「私、ちょっと前までは食べる物にも困る生活してたのになぁ……。
あの時憧れてた生活なんて、毎日お腹いっぱい食べられれば、それだけで夢のようだと思ってたよ……」
出来るだけ大量の肉を焼いて、広範囲に匂いを広げる作戦だ。
肉は嵩張るからあまり持って帰れないしな。高価な素材から率先して馬車に確保したが、それでもかなりの量になってしまったので、肉は諦めざるを得ない。
「いやぁ異風の旋律はいい依頼人だよまったく。生活魔法が使いこなせると、夜営がこんなに楽になるもんなんだねぇ。
それで、私らは肉食ってるだけなんだけど、これで本当にペルの仲間が現れてくれると思うかい?」
「流石に可能性は五分五分だと思うけどね。ただ砂漠であったスナネコは、今じゃ焼いた肉しか食わなくなったからな。ペルも焼いてるほうが好きだし。
だからペルのお仲間も、焼いた肉の匂いは好きな可能性は高いと思ってるよ」
スナネコの時みたいに、この周辺の魔物は狩りつくしちゃったからなぁ。
お腹が空いてれば、ここに顔を出さざるを得ないはず。
ちょっとだけ申し訳ないんだけどな。
しっかしペルは良く食うなぁ。こりゃ銀の乙女も食費を賄うのが大変だったろうな。
ペルの能力を考えればお釣りが来るほどだろうけど、俺達と会う前の銀の乙女は、結構厳しそうな話もしてたっけ。
ギュギュー?
ペルが少し戸惑ったような声をあげた。
ペルの視線の先をみると、ペルと見分けがつかないような、巨大な真っ黒い猫がこちらを静かに見つめていた。
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