異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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10章 壁外世界

415 討伐報告

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 いつもの時間に目が覚める。
 流石に今日からはいつも通りの生活リズムに戻していかないとな。

 昨夜はいつも通りの時間に寝たはずだけど、嫁はまだ全員寝ている。いやこれもいつも通りか。
 朝の用事は俺とシンで済ませてしまおう。

 
 シンはベイクへ、俺はヴェルトーガへ行きソロ探索。
 もはや完全に作業と化している刃紋での超高速周回。
 心核武器って反則だよなぁ。重課金アイテムって感じ? 普通に手に入れるのは難しそうだ。

 ちょうど良い事に、今日はジャンプのスクロールがドロップした。
 これは今日の報告会に持参しよう。
 これで本当にディオーヌ様には借りがなくなったと言えるだろう。受けた恩を忘れるわけにはいかないが。

 1度ベイクでシンと合流し、シンをボールクローグへ送って食料の買い出しをしてもらう。
 その間に俺はウィルスレイアとルイナスリームでの用事を済ませ、シンを拾って別荘へ。


「いやー毎日トーマに本気を出されると大変かなー? 私たちも少しずつスキルを揃えていかないとねー」

「リーンの言う通りですね。体が持たないー、とか渋っていた頃が懐かしい気分ですよ」

「う~……。私はスキル揃えるの大変なんだよなぁ……。どうやって追いつけばいいのかなぁ……?」

「あんだけ求められりゃあ女冥利に尽きるってもんだがよ。旦那の欲求を受け止めきれねぇなんて、嫁として情けねぇぜ……! 私もスキル取得しないとダメかねぇ?」

「まだ違和感あるっすよ。ほんと昨日は死ぬかと思ったっす。色々な意味で実力不足を痛感したっすわぁ……」

「本当よね。せっかくトーマが求めてくれているのに、私のほうが応えられないなんて悔しすぎるわ……!
 私たちはもっともっと強くならなければいけないわっ!」


 なんの覚悟だよっていう。
 別荘テンションとエリアキーパー撃破のテンションが合わさっただけだから、普段からあんなにしないっての。

 たまにやるからご褒美感増し増しで楽しめるんじゃないか!


「じゃあ朝食を食べたら少しゆっくりして、そのあと俺とシンはディオーヌ様に報告に行ってくるよ。
 早めに終わったらボールクローグにも行くつもりでいてくれ。
 と言っても今日は打ち合わせで、実際に出発するのは明日になると思うけど」

「うん。行ってらっしゃい。この世界は色々なものの管理が楽でいいよね。
 ボールクローグは全員でいく必要はないよね? ペルに会いたいメンバーだけいく感じかな?」


 アサヒとカンナはSP稼ぎ、マーサはザルトワシルドアの素材の研究をしたいのか。真面目だなぁ。

 陽天の報せに伺う事は伝えてあるけど、ギリギリに行くわけにはいかないので、かなり早めにヴェルトーガに向かったのだが、ターミナル広場で待機していたスカーさんに即効で拉致られて、すぐにディオーヌ様との面会という運びになった。


「お時間頂いてありがとうございます。
 本日はディオーヌ様からの依頼の達成を報告しに参りました」

「ええ。存じておりますわ。ヴェルトーガからでも、はるか遠くに光の柱が見えましたもの。
 本当にありがとうございました。トーマさん、シンくん。貴方達のおかげで、ヴェルトーガの未来は拓かれました」


 ヴェルトーガからでも見えたのか。
 ユリバファルゴアの時もウィルスレイアから見えたらしいし、この世界って球体じゃない可能性もありそうだなぁ。確認のしようもないけど。


「それと本日はジャンプのスクロールが手に入ったので、ディオーヌ様に献上させていただきます。
 ディオーヌ様に頂いた4本のスクロール。あれがなければ今の俺たちは間違いなくありませんでした。改めて感謝申し上げます。本当にお世話になりました」


 感謝を伝えつつスクロールを差し出す。
 ジャンプのスクロールは全員分探しても良いんだけど、女性陣をエリアキーパー戦に連れて行きたくない想いもあるし、今後は子育てもあるからな。
 俺もシンも、もうエリアキーパーなんかと戦う気はないし。


「ええ。受け取っておきましょう。
 しかし毎日のように空間魔法のスクロールが届けられるんですけど、トーマさんって迷宮で何をなさっておいでですの? いくらなんでもペースが異常すぎますわ」

「ん~……。詳しくは明かせませんし、明かしてもあまり意味はないと思うんです。
 簡単に説明するならば、このくらい出来るようにならないと、エリアキーパーを打倒するのは難しいってことですかね。
 ランドビカミウリを含めれば、もう3体ものエリアキーパーを倒したんです。あとは王国民の方に奮起していただければと思ってますよ」

「――――本当に、凄まじい戦果ですわね……。
 確かに貴方達に頼りすぎていたことは認めますわ。
 今後は冒険者の育成も容易になってくると思いますからね。王国民もトーマさんに負けないように成長してくれることを期待します」


 あとは差し迫った問題ってないだろうしな。これからはゆっくり成長していけばいい。
 その過程で、異邦人との融和も図れれば言うことない。


「それでトーマさん。海洋調査にはご協力頂けないんですか?
 ご本人の協力は得られないにしても、どうやってザルトワシルドアのいる場所を発見、到達したのかは教えてもらえませんか?」

「はは。ディオーヌ様は為政者の立場として、結論を急いでしまうのは仕方ないかもしれません。
 でもディオーヌ様。せっかくザルトワシルドアが居なくなって、あんなにも広大なエリアが開放されたんです。これから大海原へと踏み出していく者達の楽しみを、俺は奪いたくないなって思うんですよね」


 別に海中スキルの存在や、サーチシステムの事を教えたって構わないんだけどさ。
 これからヴェルトーガに増えていくであろう、猟師だったり狩人だったりみたいな、海へと活動の場を移していく人たちへ、あんまり過度のネタバレはしないほうがいいと思うんだ。個人的な考え方だけどさ。


「ふふ、そうですね。私としたことが、少々結果を焦りすぎたようです。
 大海原に踏み出していく者達……。なんて心踊る言葉なのでしょう。ヴェルトーガが目指した、ヴェルトーガが今まで適わなかった、ヴェルトーガの本来あるべき姿、大海原への玄関口……!
 そうですわね。こんな楽しそうなこと、トーマさんにお譲りするのは、非常に勿体無い話でしたわ。
 港湾都市ヴェルトーガ。その名に恥じぬよう、力いっぱい大海原へと踏み出してみせましょう」


 俺なんかがなにかするよりも、ずっと海と共に生きてきたヴェルトーガの人たちのほうが、きっと何倍も面白い事をしてくれるに違いない。

 もしかしたら、いつか別荘も発見されちゃうかもしれないなぁ。
 ま、その時はその時だろ。
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