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10章 壁外世界
411 vsザルトワシルドア⑥ 氷魔法
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照明魔法対策は常に意識されているか。
殲滅するなら、刃紋を放てれば終わりそうなんだけどなぁ。
水中だとシンに合流するのは難しいし、ジャンプで意表を突く事もできないから、恐らくそのまま放っても回避されて、以後完全に警戒されてしまうだろう。
しかしこいつ、なんで視界を閉ざされる事をこんなに嫌がるんだ?
――――もしかしてコイツ、魔力探知能力を持ってないのか?
鈴音を振るっても水を切るだけで、触れられる気配が全くない。
これでも俺たちの身体能力は、リンカーズの到達点に近い状態だと思うんだけど、な!
スキルを全部取っても、それだけじゃエリアキーパーには触れることすらできないか。
エリアキーパーって、ラスボス通り越して裏ボスレベルの存在なんじゃねぇのかよ?
触手も避ける。水圧弾も避ける。大目玉からの特大水圧砲は飛んでこない。
今の状況であれを撃ってくると、俺が迎撃で起こす衝撃で視界が奪われる可能性があるからか。
視界を奪う場合、この正面の目玉が一番厄介だ。
巨体のザルトワシルドアのほぼ全体が眼球となって超広範囲を知覚しているし、意表を突くには最低限この瞳は閉じさせないと話にならない。
俺を警戒しているからこそ、大目玉が閉じたあとは視野が狭くなるはず。
横薙ぎの触手を仰け反って躱す。体が上を向いた瞬間に再度全力の照明魔法で発光。
それと同時に撃鉄移動し、トランスを使って制御する。
大目玉と交代して開かれた目で、撃鉄移動は捉えられたかな!?
トランスとスクリューで無理矢理撃鉄移動を制御し、ザルトワシルドアの遥か上から閃空を放つ!
閃空が命中し、両断されるザルトワシルドアの姿が見える。
更に緑色の追撃が重なる。ここで逃がすな。もう1度撃鉄をぶつけ、ザルトワシルドアに突っ込む。
瞬間加速は使えないので、ただ拳に魔力を込めて突き出す。
拳が何かに当たった感触、次の瞬間水が爆ぜる。
俺の体のほうはそのまま地面に激突して止まったので、急いで体を起こして状況を確認。
ガントレットが命中した部分が細切れになって漂っている。
が、まだ魔力還元には到っていない。まだ死なないのか!
俺とシンから距離を取りながら大目玉が再生していく。
流石にダメージが大きかったのか、触手の数は相当減少して、その数は始めの半分以下にまで減っている。
だが逃げられると俺たちより早いのが厄介だ。次に照明魔法を放ったら、問答無用で距離を取って逃げるだろうな。
距離を取って完全に修復されたザルトワシルドアは、全ての触手の目を発光させて、その先端に圧縮された水の塊を延ばしていく。
ウォーターカッターって奴か。イメージするなら魔力の剣か? もはや俺を近づけるのは危険と判断したのか、リーチを広げて嬲り殺しにする気か!
マーサの装備ならウォーターカッターにも耐えうるかもしれないけれど、試して四肢を飛ばされたら堪らない。
回避に専念してチャンスを待つ。
しかし接近しようにも、相手は決して近付かせてくれない。
まるで投影体と戦っていた時のように、決して距離を縮めさせてくれない。
この距離から閃空を放っても回避される。
火斬で爆発を起こしたら逃げられる。
他に出来る事はなんだ? あとどんな手が残ってる?
閃空と火斬がダメなら……。
俺は未だザルトワシルドアには見せていない、透月を見る。
――――氷魔法。
この世界には存在しない、チート能力の産物。
これ以上にエリアキーパーの意表を突けるものなんて、ないよな?
鈴音から透月に持ち替え、魔力を込めていく。
その青い刀身が小さく震える。
まるで出番が来た事を喜んでいるかのようだ。
無数の水の刃が襲い掛かる。
その全てを躱しながら、透月に魔力と神経を集中していく。
青い刃は白くなるほどに冷気を帯びて、もはや動いていないと海水が凍ってしまいそうだ。
透月の能力は氷。でもその大元は熱魔法。
熱とは命。命を奪い、凍らせる。それこそが透月の能力の真髄のはず。
暁が全てを焦がす炎なら、透月は全てを止める、死の冷気。
(『凍月』!)
深海に青白い閃光が走る。
しかしザルトワシルドアはこれを回避。やはり斬撃は当たらない。
しかし凍月の斬撃から、この世界には存在しない氷魔法が発動する。
凍月で斬ったのは魔力の刃。
ザルトワシルドアが俺たちに近付くのを嫌って生み出した、水の刃。
ウォーターカッターが凍月に触れた部分から、急速に凍り付いていく。
そのままウォーターカッターを伝い、触手が凍り、大目玉まで凍結していく。
深海に生まれ、ずっと海の底に存在していたお前は、氷を見たことがなかったんだろうな。
ザルトワシルドアの全身が凍結する。
動きが止まったけれど、これでも魔力還元は起こらない。
ダメ押しが必要だ。
透月を仕舞い、暁を抜く。
凍りついたザルトワシルドアに刃を沈め、静かに魔力を込めていく。
斬撃なんて必要ない。ただその身に触れるもの全てを焼き払う、日輪の如き灼熱の炎。
(『陽輪』)
ザルトワシルドアの体内に、灼熱の太陽が生み出される。
内側から焼き尽くされたザルトワシルドアは、透月が生み出した氷に包まれたまま、その内部を焼失する。
その瞬間、ザルトワシルドアの上部の氷を勢い良く突き破って、魔力の光が立ち昇るのだった。
殲滅するなら、刃紋を放てれば終わりそうなんだけどなぁ。
水中だとシンに合流するのは難しいし、ジャンプで意表を突く事もできないから、恐らくそのまま放っても回避されて、以後完全に警戒されてしまうだろう。
しかしこいつ、なんで視界を閉ざされる事をこんなに嫌がるんだ?
――――もしかしてコイツ、魔力探知能力を持ってないのか?
鈴音を振るっても水を切るだけで、触れられる気配が全くない。
これでも俺たちの身体能力は、リンカーズの到達点に近い状態だと思うんだけど、な!
スキルを全部取っても、それだけじゃエリアキーパーには触れることすらできないか。
エリアキーパーって、ラスボス通り越して裏ボスレベルの存在なんじゃねぇのかよ?
触手も避ける。水圧弾も避ける。大目玉からの特大水圧砲は飛んでこない。
今の状況であれを撃ってくると、俺が迎撃で起こす衝撃で視界が奪われる可能性があるからか。
視界を奪う場合、この正面の目玉が一番厄介だ。
巨体のザルトワシルドアのほぼ全体が眼球となって超広範囲を知覚しているし、意表を突くには最低限この瞳は閉じさせないと話にならない。
俺を警戒しているからこそ、大目玉が閉じたあとは視野が狭くなるはず。
横薙ぎの触手を仰け反って躱す。体が上を向いた瞬間に再度全力の照明魔法で発光。
それと同時に撃鉄移動し、トランスを使って制御する。
大目玉と交代して開かれた目で、撃鉄移動は捉えられたかな!?
トランスとスクリューで無理矢理撃鉄移動を制御し、ザルトワシルドアの遥か上から閃空を放つ!
閃空が命中し、両断されるザルトワシルドアの姿が見える。
更に緑色の追撃が重なる。ここで逃がすな。もう1度撃鉄をぶつけ、ザルトワシルドアに突っ込む。
瞬間加速は使えないので、ただ拳に魔力を込めて突き出す。
拳が何かに当たった感触、次の瞬間水が爆ぜる。
俺の体のほうはそのまま地面に激突して止まったので、急いで体を起こして状況を確認。
ガントレットが命中した部分が細切れになって漂っている。
が、まだ魔力還元には到っていない。まだ死なないのか!
俺とシンから距離を取りながら大目玉が再生していく。
流石にダメージが大きかったのか、触手の数は相当減少して、その数は始めの半分以下にまで減っている。
だが逃げられると俺たちより早いのが厄介だ。次に照明魔法を放ったら、問答無用で距離を取って逃げるだろうな。
距離を取って完全に修復されたザルトワシルドアは、全ての触手の目を発光させて、その先端に圧縮された水の塊を延ばしていく。
ウォーターカッターって奴か。イメージするなら魔力の剣か? もはや俺を近づけるのは危険と判断したのか、リーチを広げて嬲り殺しにする気か!
マーサの装備ならウォーターカッターにも耐えうるかもしれないけれど、試して四肢を飛ばされたら堪らない。
回避に専念してチャンスを待つ。
しかし接近しようにも、相手は決して近付かせてくれない。
まるで投影体と戦っていた時のように、決して距離を縮めさせてくれない。
この距離から閃空を放っても回避される。
火斬で爆発を起こしたら逃げられる。
他に出来る事はなんだ? あとどんな手が残ってる?
閃空と火斬がダメなら……。
俺は未だザルトワシルドアには見せていない、透月を見る。
――――氷魔法。
この世界には存在しない、チート能力の産物。
これ以上にエリアキーパーの意表を突けるものなんて、ないよな?
鈴音から透月に持ち替え、魔力を込めていく。
その青い刀身が小さく震える。
まるで出番が来た事を喜んでいるかのようだ。
無数の水の刃が襲い掛かる。
その全てを躱しながら、透月に魔力と神経を集中していく。
青い刃は白くなるほどに冷気を帯びて、もはや動いていないと海水が凍ってしまいそうだ。
透月の能力は氷。でもその大元は熱魔法。
熱とは命。命を奪い、凍らせる。それこそが透月の能力の真髄のはず。
暁が全てを焦がす炎なら、透月は全てを止める、死の冷気。
(『凍月』!)
深海に青白い閃光が走る。
しかしザルトワシルドアはこれを回避。やはり斬撃は当たらない。
しかし凍月の斬撃から、この世界には存在しない氷魔法が発動する。
凍月で斬ったのは魔力の刃。
ザルトワシルドアが俺たちに近付くのを嫌って生み出した、水の刃。
ウォーターカッターが凍月に触れた部分から、急速に凍り付いていく。
そのままウォーターカッターを伝い、触手が凍り、大目玉まで凍結していく。
深海に生まれ、ずっと海の底に存在していたお前は、氷を見たことがなかったんだろうな。
ザルトワシルドアの全身が凍結する。
動きが止まったけれど、これでも魔力還元は起こらない。
ダメ押しが必要だ。
透月を仕舞い、暁を抜く。
凍りついたザルトワシルドアに刃を沈め、静かに魔力を込めていく。
斬撃なんて必要ない。ただその身に触れるもの全てを焼き払う、日輪の如き灼熱の炎。
(『陽輪』)
ザルトワシルドアの体内に、灼熱の太陽が生み出される。
内側から焼き尽くされたザルトワシルドアは、透月が生み出した氷に包まれたまま、その内部を焼失する。
その瞬間、ザルトワシルドアの上部の氷を勢い良く突き破って、魔力の光が立ち昇るのだった。
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