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10章 壁外世界
407 vsザルトワシルドア② 爆発
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水圧弾が降り注ぐ。
可能な限り回避を続け、回避しきれなくなったら攻撃をして、数秒間のインターバル。
先ほどからこれの繰り返しだ。
ユリバファルゴアは切り離された胴体という指標があったが、ザルトワシルドアの場合、ダメージが通っているのか通っていないのか全く判断がつかない。
移動にすら少量とはいえ、常に魔力消費が起こってるんだ。魔力量には余裕があるが、精神的にはあまり余裕がない。魔力がなくなれば高速で動くことすら難しくなるのだから。
撃鉄移動のほうはギリギリまで隠しておきたいところだけど、そんな余裕はあるのかどうか……!
埒が明かないと思ったのは向こうも同じなのか、触手の動きに変化が現れだした。
こちらに水圧弾を撃ち出し続けながら、その一方でこちらに目を向けていない触手が何本か纏まって、ずっと光り続けている。
ザルトワシルドアの眼光は魔法使用の予備動作、そう考えると、光り続けているあの目の束は、現在進行形で魔法発動中ということか?
『魔力探知』で確認すると、この空間に充満している奴の魔力が、束ねられた目の周りに急速に集まって、凄まじく巨大な魔力の塊を生み出しているのが分かる。
つまり、点の攻撃である水圧弾では俺達を捉えられないから、攻撃範囲を拡大した水圧砲で周囲一帯を含めて攻撃するってことか?
だったらそんなもん、発動前に潰してしまうに限る!
そう思った瞬間、まるで俺の思考に合わせたかのように、今まで逸らしていた目の束がこちらに向けられる。
舐めるなあああああっっ!
閃空一閃。
こちらに放たれた水圧砲ごと、ザルトワシルドアを両断する。
しかし両断された水圧砲は、勢いそのままこちらに向かって来ている!
スクリューを使った状態のまま撃鉄を作動。
超加速を使って、攻撃範囲から逃れる。
アクセラレイトを使用すれば、撃鉄移動中も姿勢制御は可能だ。
すぐにザルトワシルドアの姿を視界に収める。
――――?
どういうことだ……?
撃鉄を使って数百メートルは横方向に移動したはずだけど、壁を背にしていた時と、ザルトワシルドアの見え方が変わっていない?
それに、撃鉄まで使ったのに、俺たちとザルトワシルドアの距離感が全然変化していないように見えるのは、やはりどう考えても普通ではない。何かカラクリがあるらしい。
壁を背にしていないと方向感覚が狂いそうなので、浮上しながら壁の方に近寄っていく。
両断したザルトワシルドアは、やはり何事もなかったかのように、一瞬揺らいだ後に元通りに戻る。
ちっ。斬撃の効果が薄いならガントレットを試してみたいが、どうやったら距離を縮められるんだ?
そもそも奴はどうやってこっちとの距離を正確に保っていやがるんだ……!?
そう、まるで俺たちの距離は、固定されてしまっているかのように感じてしまう。
水圧砲はあまり効果がないと悟ったのか、攻撃が水圧弾の連射に戻る。
しかしちょいちょい水の圧縮量を変えて、水圧弾の大きさをランダムに変えながら撃ち出してきて、先ほどよりも極端に回避しにくい……!
それでも戦闘開始からずっと撃ち込まれている水圧弾。流石に扱いも慣れてきた。
大きさの違いは『魔力探知』と水魔法でしっかり把握しつつ、攻撃しなくても回避し続ける。
先ほどからザルトワシルドアの攻撃方法に大きな変化はない。基本的に水を圧縮して放ってくるだけだ。
使い方に多少のバリエーションはあるものの、水の圧縮と発射。それ以外の攻撃は一切してきていない。
これは恐らく、ザルトワシルドアの能力がこれしかないのではなく、俺達を殺すのにはこれ以外の能力を必要としていないということなんじゃないかと思う。
つまり、閃空もグリーンリーパーも、全くダメージになっていないということだ。
再生能力なのかなんなのかよく分かってないが、このままでは魔力切れまで無駄撃ちを続けさせられ、魔力がなくなったところをあっさりと殺されてしまうことになるのは間違いない。
ザルトワシルドアにダメージを与える方法を発見出来ない限り、俺たちの敗北は揺るがない。
ザルトワシルドアが変に殺意を感じさせないのも、このままでも問題なく俺達を殺せるという確信があるからだろう。
変に能力を開示せず、時間をかけても確実な方法で俺達を殺しに来る。
エリアキーパーってのは驕りとかが全然ねぇんだよなぁ! マジで機械的な防衛機能そのものじゃねぇか……!
ちっ、このままじゃいずれ殺されちまうのは揺るがない。
鈴音の効果が薄いのであれば、別の方法を試しているしかないか。
深海でこんなもの使ったらどうなるか分かったもんじゃねぇけど、頼らせてもらうしかないよな、暁と透月に!
スコールのように降り注ぐ水圧弾を掻い潜りながら、暁に神経を集中させていく。
水中で暁の能力を全開にしたら、恐らく大爆発が起こるだろう。
暁が熱を発して、水蒸気爆発が起こるまでのその一瞬で、攻撃を完結させるんだ。
大筋は閃空を参考にする。
暁に魔力を込めながら、それでも炎の発生を攻撃のその瞬間まで抑制する。
攻撃のその一瞬に全てを爆発させろ……!
(『火斬』!!)
暁を振り抜く。
一瞬遅れて、その斬撃範囲全てから凄まじい高温が放たれ、海水は一瞬にして蒸発していく。
視界が閉ざされるほどの大爆発。
火斬がどれほどの温度かは不明だが、広範囲の水蒸気爆発が発生している。
そしてそれは、ザルトワシルドアを両断した場所も例外ではない。
ぐっ……! 衝撃で壁に叩きつけられる。
それに水中ってのは衝撃波がモロに伝わってくる。マーサの装備がなかったら危なかったな……!
すぐに体勢を立て直して浮上再開。
真っ二つにしながら切断面を爆発させてやったが、どうなった……!?
そして数秒後。
目の前の何もいない空間の水が揺らめいたかと思うと、何事もなかったように、ザルトワシルドアが姿を現した。
これではっきりしたな。
奴の能力を暴かない限り、どれだけ攻撃しても無駄だということが。
可能な限り回避を続け、回避しきれなくなったら攻撃をして、数秒間のインターバル。
先ほどからこれの繰り返しだ。
ユリバファルゴアは切り離された胴体という指標があったが、ザルトワシルドアの場合、ダメージが通っているのか通っていないのか全く判断がつかない。
移動にすら少量とはいえ、常に魔力消費が起こってるんだ。魔力量には余裕があるが、精神的にはあまり余裕がない。魔力がなくなれば高速で動くことすら難しくなるのだから。
撃鉄移動のほうはギリギリまで隠しておきたいところだけど、そんな余裕はあるのかどうか……!
埒が明かないと思ったのは向こうも同じなのか、触手の動きに変化が現れだした。
こちらに水圧弾を撃ち出し続けながら、その一方でこちらに目を向けていない触手が何本か纏まって、ずっと光り続けている。
ザルトワシルドアの眼光は魔法使用の予備動作、そう考えると、光り続けているあの目の束は、現在進行形で魔法発動中ということか?
『魔力探知』で確認すると、この空間に充満している奴の魔力が、束ねられた目の周りに急速に集まって、凄まじく巨大な魔力の塊を生み出しているのが分かる。
つまり、点の攻撃である水圧弾では俺達を捉えられないから、攻撃範囲を拡大した水圧砲で周囲一帯を含めて攻撃するってことか?
だったらそんなもん、発動前に潰してしまうに限る!
そう思った瞬間、まるで俺の思考に合わせたかのように、今まで逸らしていた目の束がこちらに向けられる。
舐めるなあああああっっ!
閃空一閃。
こちらに放たれた水圧砲ごと、ザルトワシルドアを両断する。
しかし両断された水圧砲は、勢いそのままこちらに向かって来ている!
スクリューを使った状態のまま撃鉄を作動。
超加速を使って、攻撃範囲から逃れる。
アクセラレイトを使用すれば、撃鉄移動中も姿勢制御は可能だ。
すぐにザルトワシルドアの姿を視界に収める。
――――?
どういうことだ……?
撃鉄を使って数百メートルは横方向に移動したはずだけど、壁を背にしていた時と、ザルトワシルドアの見え方が変わっていない?
それに、撃鉄まで使ったのに、俺たちとザルトワシルドアの距離感が全然変化していないように見えるのは、やはりどう考えても普通ではない。何かカラクリがあるらしい。
壁を背にしていないと方向感覚が狂いそうなので、浮上しながら壁の方に近寄っていく。
両断したザルトワシルドアは、やはり何事もなかったかのように、一瞬揺らいだ後に元通りに戻る。
ちっ。斬撃の効果が薄いならガントレットを試してみたいが、どうやったら距離を縮められるんだ?
そもそも奴はどうやってこっちとの距離を正確に保っていやがるんだ……!?
そう、まるで俺たちの距離は、固定されてしまっているかのように感じてしまう。
水圧砲はあまり効果がないと悟ったのか、攻撃が水圧弾の連射に戻る。
しかしちょいちょい水の圧縮量を変えて、水圧弾の大きさをランダムに変えながら撃ち出してきて、先ほどよりも極端に回避しにくい……!
それでも戦闘開始からずっと撃ち込まれている水圧弾。流石に扱いも慣れてきた。
大きさの違いは『魔力探知』と水魔法でしっかり把握しつつ、攻撃しなくても回避し続ける。
先ほどからザルトワシルドアの攻撃方法に大きな変化はない。基本的に水を圧縮して放ってくるだけだ。
使い方に多少のバリエーションはあるものの、水の圧縮と発射。それ以外の攻撃は一切してきていない。
これは恐らく、ザルトワシルドアの能力がこれしかないのではなく、俺達を殺すのにはこれ以外の能力を必要としていないということなんじゃないかと思う。
つまり、閃空もグリーンリーパーも、全くダメージになっていないということだ。
再生能力なのかなんなのかよく分かってないが、このままでは魔力切れまで無駄撃ちを続けさせられ、魔力がなくなったところをあっさりと殺されてしまうことになるのは間違いない。
ザルトワシルドアにダメージを与える方法を発見出来ない限り、俺たちの敗北は揺るがない。
ザルトワシルドアが変に殺意を感じさせないのも、このままでも問題なく俺達を殺せるという確信があるからだろう。
変に能力を開示せず、時間をかけても確実な方法で俺達を殺しに来る。
エリアキーパーってのは驕りとかが全然ねぇんだよなぁ! マジで機械的な防衛機能そのものじゃねぇか……!
ちっ、このままじゃいずれ殺されちまうのは揺るがない。
鈴音の効果が薄いのであれば、別の方法を試しているしかないか。
深海でこんなもの使ったらどうなるか分かったもんじゃねぇけど、頼らせてもらうしかないよな、暁と透月に!
スコールのように降り注ぐ水圧弾を掻い潜りながら、暁に神経を集中させていく。
水中で暁の能力を全開にしたら、恐らく大爆発が起こるだろう。
暁が熱を発して、水蒸気爆発が起こるまでのその一瞬で、攻撃を完結させるんだ。
大筋は閃空を参考にする。
暁に魔力を込めながら、それでも炎の発生を攻撃のその瞬間まで抑制する。
攻撃のその一瞬に全てを爆発させろ……!
(『火斬』!!)
暁を振り抜く。
一瞬遅れて、その斬撃範囲全てから凄まじい高温が放たれ、海水は一瞬にして蒸発していく。
視界が閉ざされるほどの大爆発。
火斬がどれほどの温度かは不明だが、広範囲の水蒸気爆発が発生している。
そしてそれは、ザルトワシルドアを両断した場所も例外ではない。
ぐっ……! 衝撃で壁に叩きつけられる。
それに水中ってのは衝撃波がモロに伝わってくる。マーサの装備がなかったら危なかったな……!
すぐに体勢を立て直して浮上再開。
真っ二つにしながら切断面を爆発させてやったが、どうなった……!?
そして数秒後。
目の前の何もいない空間の水が揺らめいたかと思うと、何事もなかったように、ザルトワシルドアが姿を現した。
これではっきりしたな。
奴の能力を暴かない限り、どれだけ攻撃しても無駄だということが。
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