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10章 壁外世界
387 都市の名は
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自宅で夕食を取ったあとにみんなに相談する。議題は勿論都市の名前だ。
「みんなにも考えて欲しいんだけど、始まりの都市の名前、どうしようか?
異邦人のセンスで考えると、この世界では浮いちゃうような気もするんだよな」
「んー? 別に浮いちゃって構わないんじゃないのかな。逆に僕たち王国民の考えで名前をつけると、異邦人の人たちには違和感を感じる名前になっちゃうと思うし」
「別にトーマがつけちゃっていいんじゃないのー? トーマが作る都市なんだから、むしろ他の人が命名するほうが違和感あるよー?」
「私もリーンに同意しますね。別にリヴァーブ王国に合わせる必要はないんじゃないですか? 都市の目的だって、異邦人が優先されてるわけですし」
「あっ……。それなら異邦人のみんなに考えてもらえばいいんじゃないかな……? 100人近くいるわけだし……?」
「う~ん、俺が俺がー! って収拾つかなくなっちゃうか、みんな遠慮して発言しないかのどっちかになる気がするっすよ。異邦人がほぼ日本人しかいない事を考えると、後者っすかねぇ」
「うん。日本人的に考えると、他の人が建設している都市の名前を考えるって、ちょっと罪悪感みたいなものを感じちゃうかもしれないかな? 都市の名前ってなると責任重大だし、嫌がられそう?」
「異邦人の感覚は良く分かりませんねぇ。というか、私が見てきた異邦人って、あまり遠慮してる記憶がないんですけど?」
「だっはっは! 確かになぁ!? トーマは人の人生にもズカズカ踏み込んでくるし、ハルはシンに迫ってるし、アサヒとカンナは勢いだけでトーマに貰われちまったもんなぁ!? どこが遠慮がちなんだっつう話だぜ!」
「ううう、何も言い返せないわね……。というかヴェルトーガでの騒動とか、レンジさんとかアリスとか、リヴァーブ王国の人が抱く異邦人像って最悪じゃない……?」
俺は基本的には巻き込まれただけな気がするんだけどなぁ。
マーサ、アサヒ、カンナに関しては、言い返す言葉も思いつかないですけど。
「というか脱線してるっての。異邦人批判は後にしてくれたまえ。今は都市の名前を考えるんだってばよ。
各都市の名前ってどうやって決まってんだ? やっぱ各精霊家が名付けた感じ?」
「いや、場所によって様々みたいだよ。図書館でその辺も調べてみたけどね、特に決まりはないみたい。
ヴェルトーガは『水の流れ着くところ』って意味だし、ボールクローグは『森の脅威』みたいな意味だね。命名した人が誰かはあまり記録されてないみたい」
「あ、じゃあ始まりの都市って、どんな音になるんすか?」
「ああ、『カルノデフーザ』って感じかな? 聞こえた?」
「ああ、ちゃんと聞き取れたよ。カルノデフーザな。もうそれで良くね?」
始まりの都市カルノデフーザ。うん、響き的にも悪くないと思う。
「あのねー。異邦人には違和感がないかもしれないけど、私たちからしたら、始まりの都市『始まりの都市』って言われてるんだからねー? 違和感バリバリだよーっ!」
「うん。私たちは『リンカーズ会話理解』で別々の音に聞こえてるだけなんだね。でも方向性はいいんじゃないかな? 日本語で名前を考えて、それをリヴァーブ王国の音に変換してもらうって感じで」
「なるほどな。それじゃ異邦人組は名前考えてくれよ。変に横文字にする必要はないわけだし」
「あーっと、じゃあ鱗の街とかどうっすかね? あの街ってユリバファルゴアの鱗で成り立ってるわけっすし?」
「え~……? アサヒ、流石にそれは可愛くなさすぎでしょ。鱗の街に住みたいかって言われたらどう思うのよ?」
「だー! じゃあカンナっちはなんかアイディアないんすか!? ダメ出しだけなら誰でも出来るっすよ!」
「ん~そうねぇ……。砂の花、とかどうかしら? これなら意味的にも悪くないんじゃない?」
「うん。私も閃いた! 砂漠の雪、でどうかな? 地球じゃあまり起こらない現象だし、砂漠で雪の見える範囲にもう1つ都市を建設することもないでしょ?」
砂漠の雪か。なかなか洒落た名前を付けるもんだな。俺の中には絶対に生まれない発想だわ。
「砂漠の雪なら『ルイナスリーム』って所かな。砂の花は『サルタブリング』だね」
「音としてはどっちも悪くないな。特徴を考えるならルイナスリームか?」
「私も拘りがあるわけじゃないしルイナスリームで構わないわよ。砂漠の雪って表現も綺麗だし、文句ないわ」
「それじゃあそこは、始まりの都市ルイナスリームって呼ばれる事になるんすねー。うん。悪くないんじゃないっすかね?」
「うん。私の案が採用されるのは嬉しいんだけど、こんなノリで決めちゃって良いものなのかは、ちょっとだけ疑問が残るかな?」
「いいんだよ。こんなのは勢いが大事だ。
つうわけであそこは『始まりの都市ルイナスリーム』として、ネヴァルドにお伺いを立ててくるわ。
みんな協力してくれてありがとな。悪くない名前になったと思う」
「うんうん。サルタブリングは砂漠に農業都市を作ったときにでも使えばいいんじゃないかなー? 名前的に、砂漠の都市なら流用できそうだしねー」
「そうですね。まぁ私たちがそこまで関わるかは分かりませんけれど、砂漠に町はいくつか必要になるでしょうね。
かなり先の話になるかもしれませんが」
「そうだね……。これ以上広くするには、いまはちょっと人が足りない感じだよね……。
別に国境壁内も狭くなってたわけじゃないし……?」
そうだなぁ。砂漠に農地を! って話は面白そうではあったんだけど、根本的に人口が足りないかも。
貧困層がお金を持てるようになったわけだし、今後は出産ラッシュが始まる可能性はあるけどね。
うちも人口増加に貢献できそうですし?
「みんなにも考えて欲しいんだけど、始まりの都市の名前、どうしようか?
異邦人のセンスで考えると、この世界では浮いちゃうような気もするんだよな」
「んー? 別に浮いちゃって構わないんじゃないのかな。逆に僕たち王国民の考えで名前をつけると、異邦人の人たちには違和感を感じる名前になっちゃうと思うし」
「別にトーマがつけちゃっていいんじゃないのー? トーマが作る都市なんだから、むしろ他の人が命名するほうが違和感あるよー?」
「私もリーンに同意しますね。別にリヴァーブ王国に合わせる必要はないんじゃないですか? 都市の目的だって、異邦人が優先されてるわけですし」
「あっ……。それなら異邦人のみんなに考えてもらえばいいんじゃないかな……? 100人近くいるわけだし……?」
「う~ん、俺が俺がー! って収拾つかなくなっちゃうか、みんな遠慮して発言しないかのどっちかになる気がするっすよ。異邦人がほぼ日本人しかいない事を考えると、後者っすかねぇ」
「うん。日本人的に考えると、他の人が建設している都市の名前を考えるって、ちょっと罪悪感みたいなものを感じちゃうかもしれないかな? 都市の名前ってなると責任重大だし、嫌がられそう?」
「異邦人の感覚は良く分かりませんねぇ。というか、私が見てきた異邦人って、あまり遠慮してる記憶がないんですけど?」
「だっはっは! 確かになぁ!? トーマは人の人生にもズカズカ踏み込んでくるし、ハルはシンに迫ってるし、アサヒとカンナは勢いだけでトーマに貰われちまったもんなぁ!? どこが遠慮がちなんだっつう話だぜ!」
「ううう、何も言い返せないわね……。というかヴェルトーガでの騒動とか、レンジさんとかアリスとか、リヴァーブ王国の人が抱く異邦人像って最悪じゃない……?」
俺は基本的には巻き込まれただけな気がするんだけどなぁ。
マーサ、アサヒ、カンナに関しては、言い返す言葉も思いつかないですけど。
「というか脱線してるっての。異邦人批判は後にしてくれたまえ。今は都市の名前を考えるんだってばよ。
各都市の名前ってどうやって決まってんだ? やっぱ各精霊家が名付けた感じ?」
「いや、場所によって様々みたいだよ。図書館でその辺も調べてみたけどね、特に決まりはないみたい。
ヴェルトーガは『水の流れ着くところ』って意味だし、ボールクローグは『森の脅威』みたいな意味だね。命名した人が誰かはあまり記録されてないみたい」
「あ、じゃあ始まりの都市って、どんな音になるんすか?」
「ああ、『カルノデフーザ』って感じかな? 聞こえた?」
「ああ、ちゃんと聞き取れたよ。カルノデフーザな。もうそれで良くね?」
始まりの都市カルノデフーザ。うん、響き的にも悪くないと思う。
「あのねー。異邦人には違和感がないかもしれないけど、私たちからしたら、始まりの都市『始まりの都市』って言われてるんだからねー? 違和感バリバリだよーっ!」
「うん。私たちは『リンカーズ会話理解』で別々の音に聞こえてるだけなんだね。でも方向性はいいんじゃないかな? 日本語で名前を考えて、それをリヴァーブ王国の音に変換してもらうって感じで」
「なるほどな。それじゃ異邦人組は名前考えてくれよ。変に横文字にする必要はないわけだし」
「あーっと、じゃあ鱗の街とかどうっすかね? あの街ってユリバファルゴアの鱗で成り立ってるわけっすし?」
「え~……? アサヒ、流石にそれは可愛くなさすぎでしょ。鱗の街に住みたいかって言われたらどう思うのよ?」
「だー! じゃあカンナっちはなんかアイディアないんすか!? ダメ出しだけなら誰でも出来るっすよ!」
「ん~そうねぇ……。砂の花、とかどうかしら? これなら意味的にも悪くないんじゃない?」
「うん。私も閃いた! 砂漠の雪、でどうかな? 地球じゃあまり起こらない現象だし、砂漠で雪の見える範囲にもう1つ都市を建設することもないでしょ?」
砂漠の雪か。なかなか洒落た名前を付けるもんだな。俺の中には絶対に生まれない発想だわ。
「砂漠の雪なら『ルイナスリーム』って所かな。砂の花は『サルタブリング』だね」
「音としてはどっちも悪くないな。特徴を考えるならルイナスリームか?」
「私も拘りがあるわけじゃないしルイナスリームで構わないわよ。砂漠の雪って表現も綺麗だし、文句ないわ」
「それじゃあそこは、始まりの都市ルイナスリームって呼ばれる事になるんすねー。うん。悪くないんじゃないっすかね?」
「うん。私の案が採用されるのは嬉しいんだけど、こんなノリで決めちゃって良いものなのかは、ちょっとだけ疑問が残るかな?」
「いいんだよ。こんなのは勢いが大事だ。
つうわけであそこは『始まりの都市ルイナスリーム』として、ネヴァルドにお伺いを立ててくるわ。
みんな協力してくれてありがとな。悪くない名前になったと思う」
「うんうん。サルタブリングは砂漠に農業都市を作ったときにでも使えばいいんじゃないかなー? 名前的に、砂漠の都市なら流用できそうだしねー」
「そうですね。まぁ私たちがそこまで関わるかは分かりませんけれど、砂漠に町はいくつか必要になるでしょうね。
かなり先の話になるかもしれませんが」
「そうだね……。これ以上広くするには、いまはちょっと人が足りない感じだよね……。
別に国境壁内も狭くなってたわけじゃないし……?」
そうだなぁ。砂漠に農地を! って話は面白そうではあったんだけど、根本的に人口が足りないかも。
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うちも人口増加に貢献できそうですし?
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