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10章 壁外世界
386 始まりの都市
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「よし、とりあえずこんなもんでいいんじゃねぇか? 本格的に行うのはまた今度でいいだろ」
1枚の鱗の外周を伸ばして、2メートルくらいの囲いを作った。
正直言って外壁や城壁と呼ぶにはまだ低すぎるだろうけれど、スナネコたちがここで寝泊りしてくれるみたいなので、防衛戦力としては充分だろう。
「鱗同士の結合は、リモデリングの杖がもう1つ必要だな。これでユリバファルゴアの素材の有効利用も可能になったわけだし、私も出来ることが増えてありがてぇよ。
戦えない分、私は都市建設に全力で尽力させてもらうぜ!」
戦えなくてもマーサには大分お世話になってると思うけどなぁ。
ま、やる気があるのはいいことだ。水は差すまい。
「じゃあトーマよ。ターミナルの台座もリモデリングで作っちまうから、お前は儀式魔法でターミナルの有効化が出来るか試してみてくれっか?」
マーサは足元の鱗を変形させて台座を作り出す。流石本職と言うべきか。成型が早くて正確だ。
そこに持ち込んだ台座を設置すると、ピッタリハマった。
マーサがドヤ顔してるけど、これは降参せざるを得ない。いくら自分が作ったとはいえ、ターミナルの形を正確に記憶してたのかよ?
「それじゃトーマ。ターミナルに触れた状態で儀式魔法を発動してみてくれよ。有効化出来るかどうかは自分自身で分かるはずだからよ」
「了解。やってみるよ」
固定されたターミナルに触れて、スキル『儀式魔法使用許可』を発動する。
魔力が吸われて、ゲートが発動したような感覚を覚える。
というか今さらだけど、儀式魔法ってどんな魔法なんだ? 多分ターミナルは有効化できたけど。
「多分成功したと思うけど、儀式魔法ってなんなんだ? 使用許可スキルだけでもいいの?」
「おうお疲れさん。流石はトーマだぜ。
儀式魔法ってのも大別すりゃあ術式付与みたいなもんさ。ただし術式が特殊で、該当する魔法を使用できる者が、『儀式魔法使用許可』を取得している状態で、『魔法付加』をする必要があるんだよ。かなり難易度高えんだぜ?
陽天の報せの鐘とかは『時報』っていう専用術式があって、魔力付与で作動させることが出来んだけどな。扱いが難しいものになるほど制限がきつくなるのは、儀式魔法も一緒ってトコか」
陽天の報せはなきゃなくてもそこまで困らないからなぁ。扱いが雑。
「とりあえずトーマはゲートが使えんだからよ。ここにゲートを開けるかどうかを試しちゃくんねぇか?」
いやお前も使えるやん! って思ったけど、シルグリイド夫妻が居るから俺に振ったわけか。
素直にゲートを発動。発動できた時点で有効化出来てると思うけど、ちゃんとゲート開くまで試してみよう。
「お、ちゃんとゲートが開いたね。これでゲートが使えれば、いつでもここに来る事が可能になったわけだ。
後は城壁で周囲を囲えれば、都市建設は本格化していくね。
トーマさん。そろそろ都市の名前を決めてくれないかな? この場所を指し示す名前がないと、結構不便なんだよね」
ファーガロン様に命名を催促されるものの、俺はネーミングセンスに自信がないからなぁ。
出来れば俺が名前付けるのは避けたいところなんだが……。
「トーマ。すぐに名前が思いつかないのなら、ここをどんな都市にするかを考えてみて。迷宮都市とか探求都市とか、都市の名前は後回しにしても、ここだって分かる特徴があればいい」
カンカンに言われて考える。俺はここをどんな場所にしたいんだ?
異邦人を受け入れる場所として用意したいと思っているが、別に王国民を排除する気はない。というか異邦人だけで街作りとか、今の人数では厳しいだろうからな。
それに異邦人都市なんて名付けると、将来的には訳が分からないことになりそうだ。砂漠都市なんて名付けると、他に都市が出来た時に困るし、ウィルスレイアも含まれてしまう。
さて、なんて名付けるのが正解かな?
この都市は、この先のリンカーズの発展に貢献して欲しいと思ってる。
ここが終着点じゃなく、ここがスタートであって欲しい。
俺が死んだずっと後でも、ここから冒険を始められる。そんな都市であって欲しい。
「そうだなぁ。もしも王国民の理解が得られるなら、でいいんだけど。俺はここを冒険者達の育成の場所にしたいな。ここで鍛えて、色んな場所に旅立っていく、そんな場所にしたい。
だからここは『始まりの都市』。名前は思いついてないけど、始まりの都市と呼ばれるような場所にしたいと思うよ。
ま、王国側から怒られたら考え直すけど」
「始まりの都市、ね。僕はいいと思うけど、一応ネヴァルドにもお伺いを立てるべきかな?
僕に言わせれば、新しい時代の始まりの都市、という意味で、とてもしっくりくるネーミングなんだけどね。
ま、めんどくさいことを言う人間はどこにでもいるから」
「今は始まりの都市でいいけど、なるべく早く都市の名前も考えて欲しい。やっぱり正式な名前がないと、色々と不便なままだから」
「了解。っつうか、王様やファーガロン様が命名してくれるわけには?」
「ん~、やめておいたほうがいいだろうねぇ。
始まりの都市は異邦人が集う場所になる予定だ。そこの命名を王国貴族がしてしまうと、変に領地扱いしたがる貴族が出てくるかもしれないからね。
それに変な勘ぐりを受けるのはお互い避けたいだろう?」
勘ぐりか。特定の貴族と仲が良いと見られると、やっぱりあまり良くないのかな。
しゃーない。あとでみんなと相談して決めてしまうか。
ターミナルが有効化したので、ファーガロン様とカンカンをウィルスレイアに送り、俺たちもベイクに戻る。
城壁さえ完成すれば都市建設も本格化するわけだ。
まさか街を作ることになるなんてなぁ。
ま、いつか別荘を作るためのノウハウを得るためにも、頑張ってみますかね。
1枚の鱗の外周を伸ばして、2メートルくらいの囲いを作った。
正直言って外壁や城壁と呼ぶにはまだ低すぎるだろうけれど、スナネコたちがここで寝泊りしてくれるみたいなので、防衛戦力としては充分だろう。
「鱗同士の結合は、リモデリングの杖がもう1つ必要だな。これでユリバファルゴアの素材の有効利用も可能になったわけだし、私も出来ることが増えてありがてぇよ。
戦えない分、私は都市建設に全力で尽力させてもらうぜ!」
戦えなくてもマーサには大分お世話になってると思うけどなぁ。
ま、やる気があるのはいいことだ。水は差すまい。
「じゃあトーマよ。ターミナルの台座もリモデリングで作っちまうから、お前は儀式魔法でターミナルの有効化が出来るか試してみてくれっか?」
マーサは足元の鱗を変形させて台座を作り出す。流石本職と言うべきか。成型が早くて正確だ。
そこに持ち込んだ台座を設置すると、ピッタリハマった。
マーサがドヤ顔してるけど、これは降参せざるを得ない。いくら自分が作ったとはいえ、ターミナルの形を正確に記憶してたのかよ?
「それじゃトーマ。ターミナルに触れた状態で儀式魔法を発動してみてくれよ。有効化出来るかどうかは自分自身で分かるはずだからよ」
「了解。やってみるよ」
固定されたターミナルに触れて、スキル『儀式魔法使用許可』を発動する。
魔力が吸われて、ゲートが発動したような感覚を覚える。
というか今さらだけど、儀式魔法ってどんな魔法なんだ? 多分ターミナルは有効化できたけど。
「多分成功したと思うけど、儀式魔法ってなんなんだ? 使用許可スキルだけでもいいの?」
「おうお疲れさん。流石はトーマだぜ。
儀式魔法ってのも大別すりゃあ術式付与みたいなもんさ。ただし術式が特殊で、該当する魔法を使用できる者が、『儀式魔法使用許可』を取得している状態で、『魔法付加』をする必要があるんだよ。かなり難易度高えんだぜ?
陽天の報せの鐘とかは『時報』っていう専用術式があって、魔力付与で作動させることが出来んだけどな。扱いが難しいものになるほど制限がきつくなるのは、儀式魔法も一緒ってトコか」
陽天の報せはなきゃなくてもそこまで困らないからなぁ。扱いが雑。
「とりあえずトーマはゲートが使えんだからよ。ここにゲートを開けるかどうかを試しちゃくんねぇか?」
いやお前も使えるやん! って思ったけど、シルグリイド夫妻が居るから俺に振ったわけか。
素直にゲートを発動。発動できた時点で有効化出来てると思うけど、ちゃんとゲート開くまで試してみよう。
「お、ちゃんとゲートが開いたね。これでゲートが使えれば、いつでもここに来る事が可能になったわけだ。
後は城壁で周囲を囲えれば、都市建設は本格化していくね。
トーマさん。そろそろ都市の名前を決めてくれないかな? この場所を指し示す名前がないと、結構不便なんだよね」
ファーガロン様に命名を催促されるものの、俺はネーミングセンスに自信がないからなぁ。
出来れば俺が名前付けるのは避けたいところなんだが……。
「トーマ。すぐに名前が思いつかないのなら、ここをどんな都市にするかを考えてみて。迷宮都市とか探求都市とか、都市の名前は後回しにしても、ここだって分かる特徴があればいい」
カンカンに言われて考える。俺はここをどんな場所にしたいんだ?
異邦人を受け入れる場所として用意したいと思っているが、別に王国民を排除する気はない。というか異邦人だけで街作りとか、今の人数では厳しいだろうからな。
それに異邦人都市なんて名付けると、将来的には訳が分からないことになりそうだ。砂漠都市なんて名付けると、他に都市が出来た時に困るし、ウィルスレイアも含まれてしまう。
さて、なんて名付けるのが正解かな?
この都市は、この先のリンカーズの発展に貢献して欲しいと思ってる。
ここが終着点じゃなく、ここがスタートであって欲しい。
俺が死んだずっと後でも、ここから冒険を始められる。そんな都市であって欲しい。
「そうだなぁ。もしも王国民の理解が得られるなら、でいいんだけど。俺はここを冒険者達の育成の場所にしたいな。ここで鍛えて、色んな場所に旅立っていく、そんな場所にしたい。
だからここは『始まりの都市』。名前は思いついてないけど、始まりの都市と呼ばれるような場所にしたいと思うよ。
ま、王国側から怒られたら考え直すけど」
「始まりの都市、ね。僕はいいと思うけど、一応ネヴァルドにもお伺いを立てるべきかな?
僕に言わせれば、新しい時代の始まりの都市、という意味で、とてもしっくりくるネーミングなんだけどね。
ま、めんどくさいことを言う人間はどこにでもいるから」
「今は始まりの都市でいいけど、なるべく早く都市の名前も考えて欲しい。やっぱり正式な名前がないと、色々と不便なままだから」
「了解。っつうか、王様やファーガロン様が命名してくれるわけには?」
「ん~、やめておいたほうがいいだろうねぇ。
始まりの都市は異邦人が集う場所になる予定だ。そこの命名を王国貴族がしてしまうと、変に領地扱いしたがる貴族が出てくるかもしれないからね。
それに変な勘ぐりを受けるのはお互い避けたいだろう?」
勘ぐりか。特定の貴族と仲が良いと見られると、やっぱりあまり良くないのかな。
しゃーない。あとでみんなと相談して決めてしまうか。
ターミナルが有効化したので、ファーガロン様とカンカンをウィルスレイアに送り、俺たちもベイクに戻る。
城壁さえ完成すれば都市建設も本格化するわけだ。
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