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10章 壁外世界
376 vsユリバファルゴア⑤ 合流
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「ちっ! 閃空ー!」
もう相当な距離を潜られたと思うが、それでも少しでも阻止しなければ不味い。
砂の中に入られたら、こちらから攻撃する術は思いつかない……!
「うおおお閃空っ!」
地面近くと、視認できる1番高い場所をそれぞれ閃空で切り捨てる。
相当な距離を切り離せたと思うけれど、それでもまだ先が見えないほどの長さが残っているし、既に砂中に潜ってしまった長さも相当だろう。
出来れば少しでも胴体を切り離しておきたいけど……! 俺は飛べるわけじゃない。
空中で閃空2発を放ったところで、また視界が砂煙の中に沈んでしまう。
つうか俺、このまま落ちても大丈夫!?
スキルと装備を信じるしかないか……! 気休めでも風魔法で少しでも自由落下速度を遅らせるっ!
地面が見えてきた! ビビるな! トランス発動!
うおおおおおおおおお!
「ぶああああああっ! ってぇ~、くっそ!」
地面に衝突する直前に、トランスナックルで思い切り地面を殴りつけた結果、爆発が起こって衝撃が緩和された。
この行為に意味があったのかは分からないけどな! 装備のおかげで助かっただけの可能性も低くない。
「うおお!?」
一瞬遅れて地面が揺れる。
これはあれか。閃空で切り離した胴体部分が落下した衝撃か?
切り離した部分がかなり長大だったせいで、またもや砂煙が舞い上がってしまった。
これではもうジャンプを使っても、砂煙を抜けられないかもしれないな。
というか、せっかく戦闘が中断されたんだ。このチャンスにシンと合流して、情報を共有しよう。
音魔法を最大範囲で使用。
「シィィィン! これが聞こえたら、音魔法を全開で使用してくれぇぇ! 一旦合流するぞおおお!」
シンがやられている事は考えない。俺の相棒はそこまで弱くないはずだ!
一瞬待って、音センサーに反応があった。間違いなくシンだ!
ユリバファルゴアが次の行動を起こす前に、急いでシンの元に向かう。
「シン! 無事か!?」
風魔法で砂煙を払いながら、シンに声をかける。
「なんとか、ね。流石に何回かは被弾しちゃったけど、装備のおかげで大事ないよ。
まったく……。マーサにはどれだけ感謝してもしきれないね」
自分たちの周りだけでも砂煙を払い、視界を確保する。
合流したシンは、俺から見て大きな怪我をしているようには見えないが……。
「お互い一旦魔装術を切って、魔力の回復に努めよう。被弾したって、怪我の程度は?」
「トーマも体験したかもだけど、鱗を飛ばされてね。4回ほど避けきれなかった。
衝撃で骨が何本か折れた感じがしたけど、スキルとリペアのおかげで、時間経過で良くなってる。戦闘には支障ないよ」
「了解だ。あいつを倒す方法がちょっと見えてきたんだが、シンの協力が不可欠だからな。ここでシンに抜けられると、かなり厳しいところだったぜ」
「なるほど。それで合流したわけか。聞かせて欲しい」
未だに地面の振動は続き、砂埃は巻き上がり続けている。つまりユリバファルゴアはまだ地面に潜り切れていないということだ。
アイツはかなり頭がいい。全身が砂中に埋もれるまでは、恐らく手を出してこないだろうな。くっそめんどくせぇ。
「シンも気付いたかもしれないが、ユリバファルゴアは、頭か尻尾が繋がってないと再生できないらしい。つまり同時に2ヶ所を切断して、頭と尻尾から切り離していけば、最終的には本体が残るんじゃないかと睨んでるんだが、シンはどう思う?」
「その再生能力は見てたよ。確かに切り離した部分は放置されているよね。でも、とんでもない長さだよね? 魔力が持つかな?」
「そこは信じるしかねぇんじゃねぇの? 今はちょっと他に手が思い浮かばないわ」
「っと、合流してきたってことは、トーマはある程度状況が分かってるって事だよね?
この砂煙とずっと続く地面の振動、今ユリバファルゴアは何をしているの?」
「ああ、すっげーめんどくせぇことに、一心不乱に砂漠に潜ってやがるよ。砂埃の外で1回見たんだが、空に聳え立つ1本の塔みたいな状態だったぜ。
縦長だったから、1度は切り離したんだけどな。結局砂埃に飲まれて、何も見えなくなっちまったよ」
俺の話を聞いて、シンが少し考え込んでいる。
恐らく状況を整理し、次の行動を模索しているのだろう。
「砂に潜られるのは……、かなり厄介だね。僕たちの攻撃がどこまで届くのか分からないし、ユリバファルゴアの位置も掴みにくい」
「俺たちじゃ自由に動くことも、視界を確保することも出来ねぇからな。ユリバファルゴアが砂の中に居る限りは、正直打つ手がない状態だ。
多分奴は俺たちの攻撃力を危険視して、最も安全だと思える砂中に身を潜める事を選択したんだろうな」
シンと合流し、束の間の休憩を取る。ストレージから飲み物を取り出し、軽く口にする。
こいつは長丁場になるかもしれないな……。
――――どういうことだ?
シンと合流して、もう30分くらいは経つはずだ。
砂埃も流石に治まって、クリアになった視界にはユリバファルゴアの姿はない。
恐らく胴体全てが砂の下に入ったんだろう。そこまではいい。
なんで何もしてこない?
いくらアイツ自身が魔力を殆ど使っていなかったとしても、俺達に休息を与えるデメリットを知らないとは思えない……。
「静か、だね。まさかとは思うけど、逃げていった可能性はあると思う?」
「ないな。エリアキーパーは文字通り守護者だ。縄張りを放棄して逃げることはありえない。
それに魔物は生物としては歪だからな。なんの感情もなく、ただ人類と敵対するために存在するのが魔物だ。死への恐怖とか生への執着とか、魔物が持ち合わせてるとは思えない」
なんかグリーンドラゴンは、最後怯えてるような感じでしたけどね?
「となると、この時間はなんだと思う? 奴はかなり頭が良かった。無意味な時間と考えるのは危険だよ」
「つまりこの時間は、俺たちを殺すための準備をしているって事だよな。
俺たちがされて1番困ることって、なんだ……?」
その時、強化された五感が異変を感じ取った。
地面の砂が、動いている……?
もう相当な距離を潜られたと思うが、それでも少しでも阻止しなければ不味い。
砂の中に入られたら、こちらから攻撃する術は思いつかない……!
「うおおお閃空っ!」
地面近くと、視認できる1番高い場所をそれぞれ閃空で切り捨てる。
相当な距離を切り離せたと思うけれど、それでもまだ先が見えないほどの長さが残っているし、既に砂中に潜ってしまった長さも相当だろう。
出来れば少しでも胴体を切り離しておきたいけど……! 俺は飛べるわけじゃない。
空中で閃空2発を放ったところで、また視界が砂煙の中に沈んでしまう。
つうか俺、このまま落ちても大丈夫!?
スキルと装備を信じるしかないか……! 気休めでも風魔法で少しでも自由落下速度を遅らせるっ!
地面が見えてきた! ビビるな! トランス発動!
うおおおおおおおおお!
「ぶああああああっ! ってぇ~、くっそ!」
地面に衝突する直前に、トランスナックルで思い切り地面を殴りつけた結果、爆発が起こって衝撃が緩和された。
この行為に意味があったのかは分からないけどな! 装備のおかげで助かっただけの可能性も低くない。
「うおお!?」
一瞬遅れて地面が揺れる。
これはあれか。閃空で切り離した胴体部分が落下した衝撃か?
切り離した部分がかなり長大だったせいで、またもや砂煙が舞い上がってしまった。
これではもうジャンプを使っても、砂煙を抜けられないかもしれないな。
というか、せっかく戦闘が中断されたんだ。このチャンスにシンと合流して、情報を共有しよう。
音魔法を最大範囲で使用。
「シィィィン! これが聞こえたら、音魔法を全開で使用してくれぇぇ! 一旦合流するぞおおお!」
シンがやられている事は考えない。俺の相棒はそこまで弱くないはずだ!
一瞬待って、音センサーに反応があった。間違いなくシンだ!
ユリバファルゴアが次の行動を起こす前に、急いでシンの元に向かう。
「シン! 無事か!?」
風魔法で砂煙を払いながら、シンに声をかける。
「なんとか、ね。流石に何回かは被弾しちゃったけど、装備のおかげで大事ないよ。
まったく……。マーサにはどれだけ感謝してもしきれないね」
自分たちの周りだけでも砂煙を払い、視界を確保する。
合流したシンは、俺から見て大きな怪我をしているようには見えないが……。
「お互い一旦魔装術を切って、魔力の回復に努めよう。被弾したって、怪我の程度は?」
「トーマも体験したかもだけど、鱗を飛ばされてね。4回ほど避けきれなかった。
衝撃で骨が何本か折れた感じがしたけど、スキルとリペアのおかげで、時間経過で良くなってる。戦闘には支障ないよ」
「了解だ。あいつを倒す方法がちょっと見えてきたんだが、シンの協力が不可欠だからな。ここでシンに抜けられると、かなり厳しいところだったぜ」
「なるほど。それで合流したわけか。聞かせて欲しい」
未だに地面の振動は続き、砂埃は巻き上がり続けている。つまりユリバファルゴアはまだ地面に潜り切れていないということだ。
アイツはかなり頭がいい。全身が砂中に埋もれるまでは、恐らく手を出してこないだろうな。くっそめんどくせぇ。
「シンも気付いたかもしれないが、ユリバファルゴアは、頭か尻尾が繋がってないと再生できないらしい。つまり同時に2ヶ所を切断して、頭と尻尾から切り離していけば、最終的には本体が残るんじゃないかと睨んでるんだが、シンはどう思う?」
「その再生能力は見てたよ。確かに切り離した部分は放置されているよね。でも、とんでもない長さだよね? 魔力が持つかな?」
「そこは信じるしかねぇんじゃねぇの? 今はちょっと他に手が思い浮かばないわ」
「っと、合流してきたってことは、トーマはある程度状況が分かってるって事だよね?
この砂煙とずっと続く地面の振動、今ユリバファルゴアは何をしているの?」
「ああ、すっげーめんどくせぇことに、一心不乱に砂漠に潜ってやがるよ。砂埃の外で1回見たんだが、空に聳え立つ1本の塔みたいな状態だったぜ。
縦長だったから、1度は切り離したんだけどな。結局砂埃に飲まれて、何も見えなくなっちまったよ」
俺の話を聞いて、シンが少し考え込んでいる。
恐らく状況を整理し、次の行動を模索しているのだろう。
「砂に潜られるのは……、かなり厄介だね。僕たちの攻撃がどこまで届くのか分からないし、ユリバファルゴアの位置も掴みにくい」
「俺たちじゃ自由に動くことも、視界を確保することも出来ねぇからな。ユリバファルゴアが砂の中に居る限りは、正直打つ手がない状態だ。
多分奴は俺たちの攻撃力を危険視して、最も安全だと思える砂中に身を潜める事を選択したんだろうな」
シンと合流し、束の間の休憩を取る。ストレージから飲み物を取り出し、軽く口にする。
こいつは長丁場になるかもしれないな……。
――――どういうことだ?
シンと合流して、もう30分くらいは経つはずだ。
砂埃も流石に治まって、クリアになった視界にはユリバファルゴアの姿はない。
恐らく胴体全てが砂の下に入ったんだろう。そこまではいい。
なんで何もしてこない?
いくらアイツ自身が魔力を殆ど使っていなかったとしても、俺達に休息を与えるデメリットを知らないとは思えない……。
「静か、だね。まさかとは思うけど、逃げていった可能性はあると思う?」
「ないな。エリアキーパーは文字通り守護者だ。縄張りを放棄して逃げることはありえない。
それに魔物は生物としては歪だからな。なんの感情もなく、ただ人類と敵対するために存在するのが魔物だ。死への恐怖とか生への執着とか、魔物が持ち合わせてるとは思えない」
なんかグリーンドラゴンは、最後怯えてるような感じでしたけどね?
「となると、この時間はなんだと思う? 奴はかなり頭が良かった。無意味な時間と考えるのは危険だよ」
「つまりこの時間は、俺たちを殺すための準備をしているって事だよな。
俺たちがされて1番困ることって、なんだ……?」
その時、強化された五感が異変を感じ取った。
地面の砂が、動いている……?
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