異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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10章 壁外世界

371 万全

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「トーマよぉ? お前おかしくねぇか? なんで18階層を1人で探索してるのに、こんな短時間で行ったり来たりできんだ?
 いや、行き来だけならおかしかねぇけどよ。お前明らかに魔物殺しまくってんだろ? 移動と戦闘時間を考えっと、お前完全に意味がわからねぇんだけど?」

「あっはっは。気にしない気にしない。今回はこれで終わりだからさ。スクロール受け取ったら帰るよ」

「おう、今調べてっから待ってろ」


 今日の探索でSP200万は達成できた。
 各地を飛び回ってる俺よりもシンのほうが探索回数多いから、シンも150万は突破したと見て良いだろ。

 なんて考え事をしていたら、ピリカトさんが大騒ぎで戻ってきた。
 どうやらスキップとゲートのスクロールが1つずつ出たらしい。
 必要なくなった途端にレアドロップ出るのってあるあるだよなぁ……。しかも本命のジャンプが出ない辺りがホントあるあるで笑えないわ。


「んー。魔導具出来ちゃった今だと要らないんじゃないかなぁ。売っちゃっても……、お金も要らないか。
 あー、それならディオーヌ様に献上するのがいいんじゃない? 空間魔法のスクロールはいくらあっても困らないでしょ? 将来的に魔法付加する場合にも必要になるんだし」


 なるほどな。シンの意見を採用してディオーヌ様にお渡しするか。
 言いだしっぺということで、シンにディオーヌ様への手紙を書いてもらい、スキップオーブの納品と共に冒険者ギルドに置いてくる。

 シンはベイクの88階層でSP稼ぎ。女性陣はヴェルトーガ18階層でジャンプ探し。俺も17階層でジャンプスクロール掘りを行うことにする。
 スキップで移動、音魔法で釣り、刃紋で殲滅。ドロップ回収中に魔力が結構回復するので、自分でも笑ってしまうほどに高速周回が可能になってしまっている。なんという作業。クソゲー認定待ったなしだなこれ。

 体感だけど、空間魔法のスクロールは1万分の1くらいの確率の気がする。
 『攻撃範囲拡張:中』まで覚えた冒険者が増えれば、空間魔法のスクロールの流通量は爆発的に増えそうだ。
 治療魔法も空間魔法もかなり深い階層じゃないと、ドロップ判定すらないんじゃないのかな?

 今になって改めて、ディオーヌ様のくれた4つのスクロールの価値を再認識するっていうのも面白い話だよ。


「ということで、スキップが3つ、ゲートとジャンプが1つずつ、ストレージが3つ拾えたけどどうしよう?」

「「「なんでトーマの方がそんなにいっぱい拾ってるのよーー!!」」」


 マジで作業化しちゃったからなぁ。
 魔物を集めてドロップアイテムを拾うだけの簡単なお仕事です。


「それじゃあジャンプは僕が覚えさせてもらうよ。ありがとう。
 他のはみんなで決めていいよ」


 と言っても特に希望者が現れなかったので、『魔法付加』用にマーサがスキップ、ゲート、ストレージを、アサヒとカンナにストレージを1つずつ渡して、スキップ2つはタイデリア家に献上することで話がまとまった。


「ううう、やっぱりズルしてる感はあるっすけど、もううちらトーマの嫁っすからね! 身内特権だと思って、有難く頂くっすよ!」

「私達まだまだみんなの足元にも及ばないけど、頑張って必ず追いついてみせるわ。いつか必ずみんなにお礼するからね」

「確かに私も『魔法付加』出来っから、私が覚えるのは合理的なのか。戦えない奴に空間魔法を覚えさせるなんて、正気じゃねぇと思ったんだが……。これからは空間魔法の価値が変わっていくんだよな。なんか、改めて実感すんぜ」




 その後はスキップオーブを納品しながら、装備品が完成するまでひたすらSP稼ぎを続ける。
 空間魔法のスクロールの納品はディオーヌ様に好評だったので、みんな今までどおりの階層で探索を続ける。


「2人とも。装備品が完成したぜ。確認してくれ」


 3日後の夜、マーサから装備の完成を告げられ、みんなで工房に移動する。


「最初に言っておくが、ダガーとウォーハンマーの方はまだ完成してねぇ。ランドビカミウリの素材だとしっくりこなくてな。まずは2人とも同じ仕様の防具の説明からさせてもらうぜ」


 まずはランドビカミウリの鱗で作った軽鎧。素の状態でも魔装術も弾くほどの強度で、更に魔装術を流すことで、異風の旋律のメンバー以外には傷さえつけられないほどの強度になる。
 左右のアームガード部分にはグリーンドラゴンの魔力発動体が組み込まれていて、任意で自分の体を覆い隠せるほどの魔法の盾を展開することが出来る。更には両腕を交差することで両側の魔力発動体が共鳴し、更に強度と範囲に優れたマジックシールドを展開することが可能。

 ヘッドギアのような頭防具はランドビカミウリの骨から削りだされたもので、軽鎧を超えるほどの強度を誇る。
 そして軽鎧、ヘッドギア、両腕のアームガード部分に心核が投入されていて、全ての防具が連動して、装備全部の魔法効果を高めてくれるという。めちゃつよ?


「心核装備ってのは、互いに共鳴し合って更に性能を底上げしてくれるみてぇなんだ。心核を全身にあしらった装備なんて、お前らが史上初なのは間違いねぇわ。
 加えてトーマのアームガードは、両手のガントレットにも繋がっていてな。アームガードに使用されてる心核の影響を受けることで性能を向上させている。
 ガントレットの拳の部分には、ウォーハンマーにも使われてるグランドタートルの甲羅が混ぜ込んである。簡単に言えば、今のトーマの拳はウォーハンマー以上の威力と破壊を生み出せるってこった」


 俺の両手はウォーハンマー! ってか?
 それならウォーハンマーの更新が出来なくても不満はない。


「魔装術を纏えば、防具に覆われていない部分にすら防御効果が発生するはずだぜ。ぶっちゃけトーマとシンの2人だけで、王国全員より強いと思うわ。
 それでシンの背中部分には、ランドビカミウリの鱗から作った遠隔操作武器が、6枚ほど組み込まれている。そいつは魔力で自在に操れるはずだ。上手く使ってくれ」

「あ! それも完成したんだね! 僕は搦め手が苦手だったから有難いよ。
 背中に組み込んであるのも、初見だと看破しにくくて良いと思う。ありがとうマーサ!」

「いやぁ……、むしろ遅くなって申し訳ねぇよ。それは魔装術は乗らねぇけど、強度は十二分だからな。こまめな整備は必要ないはずだ。
 それとふわわのしっぽ武器と、つららの遠隔操作武器も作ったからな。もう必要ないかもしれねぇけどよ。
 全員の装備作ったら、カロンたちにもしっぽ打撃武器作ってやっていいか? あいつらも魔装術覚えたからな」

「時間が出来たら好きにしていいよ。お前自身ゲートも使えるようになったんだし、色々動きやすいだろ。
 よし、ありがとなマーサ。明日はスキルを覚えて、1日は装備の感触を確かめて、それで大丈夫そうなら行くとしようぜ、ユリバファルゴアを倒しにな」


 翌日、朝イチでグレンガに祝福の儀を行ってもらう。
 俺とシンの2人とも、『常時発動スキル強化』、『身体能力強化:大』の取得に成功する。加えて俺は『儀式魔法使用許可』、『魔法範囲拡張:大』、『魔法発射速度上昇:大』、『魔法威力上昇:大』を取得。ストレージも拡張する。

 ストレージの容量はどうやら3㎥まで拡張されたらしい。解体すればアサルトドラゴン1匹の素材は、全部入る計算だ。今までと比べて倍近い容量になったので嬉しい事は嬉しいのだが、最大容量でこれかぁ、という想いもなくはない。贅沢だな。

 装備品とスキルの感触を確かめに、俺とシンは丸1日ひたすらソロ探索を続ける。
 装備とスキルに不安はない。これで勝てなきゃどうしようもないな。

 シンも特に問題なかったらしい。
 それじゃあ明日、決戦と参りますかっ!
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