異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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10章 壁外世界

358 銀の乙女の帰還

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 陽天の報せまでは普通に過ごし、あとはみんな別行動だ。
 シンとハルは図書館で調べ物。リーンとトルネはスナネコハウスに遊びに行く。
 ボールクローグに行くのは俺とリーネの2人だ。


 そう言えば何で銀の乙女からの連絡を、冒険者ギルドのオーサンが伝えに来たのか聞いてみると、詳しくは教えてもらえなかったけれど、簡易的な通信の魔導具というものが存在していて、全都市の全ギルドで情報と連絡を共有しているらしい。ギルド間の秘密とかなさそう。
 会話とか長文を送ったりすることは難しいらしいので、イメージとしてはショートメール? オッサン的にはポケベルがイメージ近いかもしれないなー。


「あ、トーマ、リーネ、久しぶり。サリサリに会いに来たなら送ってく」

「あ、クリーヌ……! 久しぶりー、っていうほどでもないかなぁ……?」

「あら? それは助かるけどいいの? そして久しぶりクリーヌ。元気そうで何より」

「ん。というかサリサリから送迎を頼まれた。銀の乙女は今日は拠点で休みたいんだって。
 正式な依頼だから遠慮しない」

「なるほど。じゃあ街で酒と食い物買ってってやるか。ペルにも土産持って行きたいな。
 ……っと、ボールクローグの食糧事情って大丈夫なのか?」

「大丈夫。祝福の儀を受けた周辺住民は帰り始めてるし、迷宮に潜れる人が爆発的に増えたから、むしろ安いくらい。流石に氾濫のときの魔物肉はもう食べれないけど。
 トーマのところで始めた都市間移動馬車のおかげで、壊滅した村とかの復興の人員輸送が凄く楽になってるみたい。ありがと」

「へぇ。役に立ってるなら何よりだ。
 それじゃ問題ないみたいだし、ストレージと馬車いっぱいに食い物買ってこうぜ」


 ペル用に高級肉を大量に用意して、前回お邪魔した時にめちゃくちゃ飲んでた銀の乙女の姿を思い出して、なるべく酒類を多めに購入する。
 ……まぁ、全部飲みつくしそうだけどなあいつらなら。

 馬車いっぱいの食べ物飲み物。ちょっと馬には申し訳ないことしちゃったかな。


「おうトーマ! ひっさしぶりだねぇ! そして流石だよ! この酒の量!
 おーいみんなー! 酒だー酒が来たぞー! 運べ運べーっ!」


 馬車に群がって荷物を強奪していく銀の乙女達。山賊かお前らは!
 しかも運びながらもガンガン飲んでやがる! 女性不審になりそうだなこの光景は……。

 ギュギュー?

 私の分はー? みたいに首を傾げながらペルがやって来た。ペルの分が無い訳ないじゃないかっ!
 買い物中に既に加熱調理済みの竜肉を、ある程度の大きさに切り分けつつお供えする。
 スナネコと違ってペルはでかいから、あんまり小分けにする必要ないかもしれないけど。


「ペルちゃんおいしい……? これね、私が焼いたんだよー……? いっぱい食べてねっ……!」


 ペルの食事を邪魔しないように、リーネがペルに抱きつきながら満面の笑顔を浮かべている。
 リーネって始め表情が結構死んでた気がするけど、今はリーンよりも表情豊かかもしれないなぁ。
 リーンはやっぱりどこか大人びてるとこあるし。


「いやぁ、王国縦断なんて考えたこともなかったからね。結構楽しかったよ!
 途中途中で結構遊んじまったから、少し時間掛かっちゃったけどさ。移動距離だけで言えば、夜明けから日没までの移動で、ペルの足で6日くらいだと思うね」


 ペルの足で6日か。普通の馬車でも30日はかからないだろうな。
 ゲートばっかり利用してたのであまり実感はないんだけれど、やっぱり人類の生存圏として考えると狭すぎるよな。


「あっそうだ。東の砂漠地帯でもさ。魔物じゃない生物を見つけたんだよね。それを考えるとさ。多分ペルと同じ種族って、国境壁の外側に生き残ってると思うんだ。
 もしサリサリとペルが望むなら、ペルの旦那さん探してみる気はないか?
 まぁぶっちゃけると、うちのパーティにも大森林用の騎乗生物が欲しいって話なんだけどさ」

「あーそうだねぇ。ペルも女だし、番いに憧れる部分もあるかもしれないねぇ。
 ただペルに動けなくなられると、銀の乙女が壊滅しちゃうからね。そこを解決できて、更にペルが望むのであればやってみたいね。ペルの子供とかめちゃくちゃ興味あるし!」

「ああ、そこは簡単じゃないかな。俺たちって常に大森林に居るわけじゃないからさ。もしペルの旦那さんが上手く見つかって、そいつをうちで預かることになったら、ペルの妊娠中はダンナの方が銀の乙女で働けばいいんじゃないかな。もしペルの子供が生まれたら、共同で世話してもいいしさ」


 むしろペルの子供なんて、土下座してお世話をお願いするレベルだしな!


「そりゃいいね! ならあとでペルに聞いておくよ。
 ペルは間違いなくうちの団員だと思ってるけど、家族にゃなれても番いにゃなれないからねぇ。
 ペルの幸せを考えるなら、せめて機会は用意してあげたいじゃないか」

「よっし。決まりだな。ペルに宜しく言っといてくれ。
 それと捜索にはかなり遠くまで行かないと見つからない可能性が高い。腕を磨いておいてくれよ?」

「ははは! 任せなよ! ペルのためならうちら銀の乙女団、いくらだって強くなってみせるからさ!」


 あまりエリアキーパーを俺が倒してしまうのは良くない気もするけど、ペルのためだからね。仕方ないよね。
 エリアキーパー倒さないと探せないと決まったわけでもないし?

 サリサリとの話が終わったので、長居せずに帰ろうとしていると、リーネがべろべろに酔っ払っていた。
 背負ってゲートで帰ろうとすると、耳元でめちゃくちゃ愛を囁いてきやがって。

 まったく。旦那の前でベロベロに酔っ払ったリーネが悪いんだからな?
 ゲートの行き先をシャンダリアに変更。

 ベイクに帰る前に、シャンダリアの宿に直行する。
 酔ったリーネさんの破壊力が凄まじくて、いつも以上に全力で堪能してしまった。

 うん。お酒はほどほどにね。
 毎回こうだと、俺も持たないかもしれないし?
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