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10章 壁外世界
356 遠征の準備
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もう1度ネヴァルドの迷宮研究院に行き、エリアキーパーの話を詳しく聞こう。
流石に前回はちょっと挑発しすぎたところもあるからな。商工ギルドで、王都で評判の食べ物を確認して、土産として持参する。
研究院の受付窓口で、適当に買ってきた少々お高めのお菓子類をお渡しする。前回のお詫びと感謝ってことで。王都で買ったものとはいえ、それなりのお値段だったし、お菓子を貰って悪い気がする人はいないだろう、きっと。
「やぁトーマさん。なにやらお土産まで頂いたようで申し訳ない。感謝も詫びも必要ないよ。むしろこちらが謝罪すべき立場だからね」
「それこそ必要ないですよ。俺の態度も悪かったですし、水に流してもらえたらそれで充分です。
それで本日の用件なんですが、砂漠を移動する手段に目処が立ちましたので、エリアキーパーの話をもう少し詳しく教えてもらいたいんですよね。分からない事のほうが多いかとは思うんですが」
「ほお! 砂漠での移動手段とは何かね? 結局どの魔物を従魔にしたのか、差し支えなければ教えて貰えないかね?」
別に隠すことでもないだろうから、スナネコ団の事を話す。
「なんと……。魔物ではない生物が、まだ国境壁外に残っていたとはね……。
くくく、これは確かに、給料泥棒と言われても仕方がないな……!」
「ちなみにボールクローグでは、アサルトドラゴン級の巨大な黒猫と共存している狩猟団も居ますよ。その子も魔物ではないので、従魔契約は結んでないんです」
「かぁーはっはっはっはっは! 王都に引き篭もってばかりで、私たちはいったいなにを見てきたというのやら!
この世界にはまだまだ知らないことが沢山あるのだな! なんと素晴らしいことか!」
院長は楽しくて仕方ないといった様子で、腹を抱えて爆笑している。
俺は持参したお菓子を齧りながら、院長が落ち着くのを待つ。
「いやいやいや、興奮してしまって済まないね。もう大丈夫だ。
それで、エリアキーパーについて聞きたいとの事だったが、具体的には何が知りたいのかね? トーマさんも察しているようだが、分かっていることはあまり多くないぞ?」
「はい。それでもエリアキーパーの存在が知られているという事は、遠くから見たりする事は可能なんですよね?
今回ユリバファルゴアと戦うにあたって、1度遠くからその姿を確認しようと思ってるんですけど、危険でしょうか?」
「なるほどなるほど。遠くからの姿の確認か。
結論から言えば、近付き過ぎない限りは恐らく大丈夫だろう。その根拠は、東西南北のエリアキーパーの存在が確認されているからだ。姿を確認したものが全て殺されているのなら、エリアキーパーの存在は今も知られていないだろうからね」
思ったとおり、エリアキーパーの存在が知られていることが根拠になるわけだな。
「それにボールクローグでの大氾濫で出てきたランドビカミウリも、一定範囲に入るまでは動かなかったのだろう?
今まで報告されている心核魔獣は、発生と同時に襲い掛かってきていたという記録しかないからな。ランドビカミウリはエリアキーパーとしての特性で、その場に留まっていたのだと考えた方が自然だろう」
「あー……。てことは、やっぱりエリアキーパーも成長すると思って間違いないみたいですね。あの時ランドビカミウリが守っていた範囲は、恐らくですけどネヴァルドよりも狭い範囲だったと思います。
時を経て、どんどん守護範囲を広めていった結果、リヴァーブ王国全土を縄張りとするようになったと考えると、心核魔獣で現れたランドビカミウリよりも、現存しているエリアキーパーたちのほうが強いと思わないと危険ですね」
「うむ。あまり悲観的になりすぎるのも良くないと思うが、エリアキーパーに関しては、楽観は危険だろうね。
北の大森林地帯の『レイメルカミウリ』。東の大砂漠地帯の『ユリバファルゴア』。南の大山岳地帯の『グラメダワルケア』。西の大海原の『ザルトワシルドア』。
恐らくは創世の頃から存在し続けているエリアキーパーだろうからね。どれほどの力を持っているのか見当も付かん」
なんで四方のエリアキーパーを全部開示しやがったんだおい? ユリバファルゴアは倒すけど、他は王国民で頑張りやがれよ?
ベイクに戻り、今後はしばらく日没まで、シンと2人で迷宮探索に当てることにした。
出来れば『魔力量増加:大』を覚えてしまいたいけれど、これって500万なんだよなぁ。もうちょっと時間があれば狙いたいけど、今回はちょっと間に合わないだろう。
『身体能力強化:大』が50万、『常時発動スキル強化』が100万なので、150万SPの獲得を目指して迷宮をぶん回すことにする。シンはステータスが見られないので、俺のSPが200万になるまでぶん回せば確実か?
ペアで1周で2万弱のSPだから、100回探索すれば200万だ。1日10回探索としても10日でいけるな。実際はもうちょっといけるかな? いっそドロップ無視しても良いし。
王国の直線距離は未だに分かってないけど、そろそろ銀の乙女の調査も終わるはず。
スナネコ団の馬車引きも多少は練習させたい。馬車そろそろ完成しないかねぇ? 大型化しすぎたかもなぁ。調子乗りすぎた。
まずは1度ユリバファルゴアの姿を見に行こう。
ランドビカミウリと比べてどれ程の違いがあるのか、肌で感じてみないとなぁ。
流石に前回はちょっと挑発しすぎたところもあるからな。商工ギルドで、王都で評判の食べ物を確認して、土産として持参する。
研究院の受付窓口で、適当に買ってきた少々お高めのお菓子類をお渡しする。前回のお詫びと感謝ってことで。王都で買ったものとはいえ、それなりのお値段だったし、お菓子を貰って悪い気がする人はいないだろう、きっと。
「やぁトーマさん。なにやらお土産まで頂いたようで申し訳ない。感謝も詫びも必要ないよ。むしろこちらが謝罪すべき立場だからね」
「それこそ必要ないですよ。俺の態度も悪かったですし、水に流してもらえたらそれで充分です。
それで本日の用件なんですが、砂漠を移動する手段に目処が立ちましたので、エリアキーパーの話をもう少し詳しく教えてもらいたいんですよね。分からない事のほうが多いかとは思うんですが」
「ほお! 砂漠での移動手段とは何かね? 結局どの魔物を従魔にしたのか、差し支えなければ教えて貰えないかね?」
別に隠すことでもないだろうから、スナネコ団の事を話す。
「なんと……。魔物ではない生物が、まだ国境壁外に残っていたとはね……。
くくく、これは確かに、給料泥棒と言われても仕方がないな……!」
「ちなみにボールクローグでは、アサルトドラゴン級の巨大な黒猫と共存している狩猟団も居ますよ。その子も魔物ではないので、従魔契約は結んでないんです」
「かぁーはっはっはっはっは! 王都に引き篭もってばかりで、私たちはいったいなにを見てきたというのやら!
この世界にはまだまだ知らないことが沢山あるのだな! なんと素晴らしいことか!」
院長は楽しくて仕方ないといった様子で、腹を抱えて爆笑している。
俺は持参したお菓子を齧りながら、院長が落ち着くのを待つ。
「いやいやいや、興奮してしまって済まないね。もう大丈夫だ。
それで、エリアキーパーについて聞きたいとの事だったが、具体的には何が知りたいのかね? トーマさんも察しているようだが、分かっていることはあまり多くないぞ?」
「はい。それでもエリアキーパーの存在が知られているという事は、遠くから見たりする事は可能なんですよね?
今回ユリバファルゴアと戦うにあたって、1度遠くからその姿を確認しようと思ってるんですけど、危険でしょうか?」
「なるほどなるほど。遠くからの姿の確認か。
結論から言えば、近付き過ぎない限りは恐らく大丈夫だろう。その根拠は、東西南北のエリアキーパーの存在が確認されているからだ。姿を確認したものが全て殺されているのなら、エリアキーパーの存在は今も知られていないだろうからね」
思ったとおり、エリアキーパーの存在が知られていることが根拠になるわけだな。
「それにボールクローグでの大氾濫で出てきたランドビカミウリも、一定範囲に入るまでは動かなかったのだろう?
今まで報告されている心核魔獣は、発生と同時に襲い掛かってきていたという記録しかないからな。ランドビカミウリはエリアキーパーとしての特性で、その場に留まっていたのだと考えた方が自然だろう」
「あー……。てことは、やっぱりエリアキーパーも成長すると思って間違いないみたいですね。あの時ランドビカミウリが守っていた範囲は、恐らくですけどネヴァルドよりも狭い範囲だったと思います。
時を経て、どんどん守護範囲を広めていった結果、リヴァーブ王国全土を縄張りとするようになったと考えると、心核魔獣で現れたランドビカミウリよりも、現存しているエリアキーパーたちのほうが強いと思わないと危険ですね」
「うむ。あまり悲観的になりすぎるのも良くないと思うが、エリアキーパーに関しては、楽観は危険だろうね。
北の大森林地帯の『レイメルカミウリ』。東の大砂漠地帯の『ユリバファルゴア』。南の大山岳地帯の『グラメダワルケア』。西の大海原の『ザルトワシルドア』。
恐らくは創世の頃から存在し続けているエリアキーパーだろうからね。どれほどの力を持っているのか見当も付かん」
なんで四方のエリアキーパーを全部開示しやがったんだおい? ユリバファルゴアは倒すけど、他は王国民で頑張りやがれよ?
ベイクに戻り、今後はしばらく日没まで、シンと2人で迷宮探索に当てることにした。
出来れば『魔力量増加:大』を覚えてしまいたいけれど、これって500万なんだよなぁ。もうちょっと時間があれば狙いたいけど、今回はちょっと間に合わないだろう。
『身体能力強化:大』が50万、『常時発動スキル強化』が100万なので、150万SPの獲得を目指して迷宮をぶん回すことにする。シンはステータスが見られないので、俺のSPが200万になるまでぶん回せば確実か?
ペアで1周で2万弱のSPだから、100回探索すれば200万だ。1日10回探索としても10日でいけるな。実際はもうちょっといけるかな? いっそドロップ無視しても良いし。
王国の直線距離は未だに分かってないけど、そろそろ銀の乙女の調査も終わるはず。
スナネコ団の馬車引きも多少は練習させたい。馬車そろそろ完成しないかねぇ? 大型化しすぎたかもなぁ。調子乗りすぎた。
まずは1度ユリバファルゴアの姿を見に行こう。
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