異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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9章 異邦人が生きるために

353 馬車の設計

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 ゲートを使用してウィルスレイアに到着する。
 まずは冒険者ギルド、狩人ギルドにスナネコ団をお披露目して、更に狩人ギルドと商工ギルドで、国境壁外にスナネコハウスを建設する事を了承してもらう。
 商工ギルドでスナネコハウスの建設依頼も出し、これはリーネに担当してもらうことにした。
 いくら金をかけても構わないので、安全性と快適さを重視した居住空間を用意してもらいたい。

 リーネ以外はブラクムール大図書館で引き続き調べものだ。スナネコについての記述も探してみるらしい。
 そして俺は砂漠仕様の馬車の開発のため、魔導具開発局に向かった。


「砂漠仕様の馬車ねぇ……? 具体的に想定している形や仕様はなんかあるのか?」

「んー、前にメンタムに見せた空間冷却魔法は組み込みたいよな。
 ここ何日か国境壁外で活動してたんだけど、やっぱかなり苛酷な環境だから。
 運搬に使うにしても、普通の馬車だとちょっと使いにくいと思う」

「そうだなぁ。まぁそれは多重術式付与が可能になったから、意外と簡単に出来るかも知れねぇ。
 他にはなんかあるか? 今の馬車だと砂漠では使いにくい部分とかよ」


 今の馬車だと使いにくい部分か。なんかあったかな? 昨日までの壁外活動を思い出してみる。
 砂の瞬きの馬車に乗った時に思ったことと言えば……。


「そうだそうだ。今の馬車だと車輪が砂に埋まってしまって、馬車を引く生物の負担が激しすぎると思うんだ。
 だから車輪が沈み込まない馬車を作りたいと思うんだけど、それって可能かな?」

「砂地に沈まない車輪か……。言うのは簡単だけど、どうやって作れば良いのか見当もつかねぇな。
 術式付与では土の操作までは出来ねぇし……」

「ん? いやそんなに難しく考える必要はないでしょ? 今の車輪は細すぎて地面との接地面が少なすぎるんだよね。だから車輪を太くして圧力を分散させればいけると思うんだけど」

「車輪が細すぎる……? 圧力……? わりぃトーマさん。トーマさんが言ってることが全然わからねぇ。
 なんで車輪が細いと砂に沈んで、太くなれば沈まなくなるんだよ? 太くしたって沈むもんは沈むだろ?」


 あっと、普通に語ってたけど、リンカーズって魔法があるから、物理があまり追求されてないのかもしれない。
 え~、圧力の説明とか、どうすればいいんだ……?


「例えば俺が2本足で立ってても、1本足で立ってても、俺の体重は変わらないだろ?
 でも足裏から地面に伝わる負担は、1本足で立つと重くなる。反対に俺が寝転んだ場合、俺自身の重さは変わらないけど、地面に伝わる負担は分散するだろ?つまり接触している部分が多ければ多いほど、重さってのは軽減されるもんなんだよ。
 説明下手で悪いけど、これで伝わってくれると助かるんだが、どうかな?」

「あ、ああ、なんとなくだがな。っていうか考えてみれば当たり前のことか……。でも今まであまり意識したことがなかったけど……。
 なるべく地面に触れる場所を増やして重さを分散する、だな。ああ、理屈は分かった。
 そんで具体的な形は、トーマさんの頭ん中にもうあるのか?」

「そうだなぁ。結局は車輪の横幅を広げるか、縦幅を広げるかのどっちかになると思うんだ。
 横幅を広げるのは、単純に太い車輪を用意するか、今の車輪を何個か組み合わせて1つの車輪にしてしまうのがいいんじゃないかな。
 縦幅を広げる場合は、前後の車輪をベルトで繋いで、接地面を増やすといいと思うんだよ。俺たちのいたところでは、キャタピラーとか言われてたものなんだけどさ」


 詳しい原理は分からないので、簡単なイラストを書きながら外見だけ説明する。
 エンジンを積むわけではないし、なんとなく車輪をベルトで繋げるだけでも今は充分だと思うんだよな。
 というか動力の説明なんて全く出来ないから、ふわっとした説明以上のことは俺には無理だ。


「な、なるほどな……! 砂漠専用と考えりゃ、砂地に特化した車輪でも構わねぇわけだ。こりゃ意外と簡単に解決できるかもしれねぇわな。
 強度と軽さを両立するなら、シルバーライト製の車輪を用意するのもいいかもしれねぇ。
 トーマさんよ。この馬車の開発費用、いくらぐらい用意できる?」

「あ~? そうだな、白金板5枚くらいまでなら問題なく出せるけど」

「サラッととんでもねぇ額を提示するんじゃないっての! それじゃとりあえずシルバーライトの精製と、魔力成型持ちの職人に協力を要請しないといけないな!」

「あ、そういえば俺『錬金術』と『魔力成型』は持ってるぞ。錬金術は今まで使ったことないけど」

「なんっなんだよアンタは!? なんでアンタが冒険者やってるのか全く理解できねぇよっ!?」


 メンタムに案内されて、魔導具開発局内の工房にやってきた。流石はウィルスレイアの魔導具開発局だけあって、うちの工房に引けを取らない設備の充実振りだ。
 って待て待ておかしい。逆だよ逆。個人所有のうちの工房の設備がおかしすぎるんだよ。

 シルバーライトの精製は、配合を教えてもらったら問題なく出来た。
 やっぱなー職人のスキル取得が遅いのって、弊害しかないよな。スキルさえ持ってれば、全くの素人の俺でさえ簡単に仕事ができてしまうんだから。

 魔力成型でシルバーライトを扱えるのか不安だったけど、鍛冶みたいに精錬するわけでないなら問題ないらしい。勿論精錬したほうが強度は増すけど、馬車にそこまで品質を求める意味はないとのこと。そうですね。

 道もなく人も住んでないような場所で活動するための馬車なので、結構大型の馬車を作ってもらうことにして、車輪を両側で10個ずつの、合計20個ほど用意してみた。
 流石に馬車作りは手作業になるので俺が手伝える事はない。
 メンタムと職人さんが共同で馬車を組み立ててくれるということなので、ありがたくお任せすることにした。

 完成してみないとなんとも言えないけど、移動手段のほうは目処が立ったかな?
 装備品は完全にマーサ待ちなので、俺とシンのスキル取得を急いだほうがいいかもしれない。
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