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9章 異邦人が生きるために
344 固定観念
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「いやぁ全然ダメだったわ。砂漠をちょっと体験してきただけって感じ」
現在ベイクに帰還して、いつもの会話タイム。
時間いっぱいまで砂漠地帯を調査したんだけど、魔物との遭遇は数回程度。それも既に知られている魔物ばかりだった。
シザーマウンテンは会えなかったけど、デザートスプラッシュには遭遇できた。
でもあれは騎乗用には使えないわ。長時間砂の表面に出られないっぽいので、何かの表示に砂に潜られたら馬車が大破してしまう。夕飯に出てきた切り身が最高に旨かったことだけが救いだ。
「やっぱり効率が悪いよね。どうにか魔物の方から近付いてきてくれるように出来ないかなぁ?
積極的に襲ってこない魔物なんて、想像した事もなかったよ」
「うん。罠とか誘導とか出来れば良いんだけどね。そもそも魔物がどうして人を襲ってくるのか、その理由も良く分かってないんじゃ難しいかな」
「まさか魔物に襲われなくて悩む日が来るなんて……。なんだか頭が混乱しちゃうよ……」
「ウィルスレイアってこの王国で1番研究が進んでる都市なんすよねぇ? そこで有力な情報がないとすると、手探りになるのは仕方なんじゃないっすか?」
「――――いえ、そう言いきるのは早いんじゃない? 私たちはウィルスレイアを知り尽くしているわけではないんだから、もう1度シルグリイド家を頼ってみたらいいんじゃないかしら?」
カンナの言葉に少し驚く。言われてみれば俺、少し視野が狭くなってないか? リヴァーブ王国のこと、リンカーズの事を理解するのが良いけど、その知識に思考が囚われてしまうのは良くない。
明日シルグリイド家にコンタクトを取ってみよう。確かギルドで連絡がつくっていってたっけ。
「すっごいよマーサ! これサイコー! 私の希望以上の出来だよー!」
「ええ。これは本当に素晴らしいです。まるで手に吸い付くようによく馴染みます」
「はっはっは! どうやら気に入ってくれたみてぇだな! 同じ男を愛する者に贈るんだ。半端な物を渡すわけにゃいかねぇってもんよ!」
リーン、トルネ、マーサの3人が帰宅した。
マーサから2人の武器が完成したと報告されて、3人で工房に行っていたのだ。
俺たちは今後の方針会議のために、今回は同行しなかった。
「リーンの持ってる武器は、ランドビカミウリの尻尾を元に作った心核武器、名付けて『ホワイトテイル』ってところだな。スネークソードと比べて特に追加した機能はねぇが、性能は比べ物にならねぇはずだ。
やろうと思えば、空に浮いてる雲さえぶった切って見せると思うぜ」
リーンが持っているのは真っ白なスネークソードだ。
ランドビカミウリのテイルスイングは脅威だったからなぁ。アレを参考にした武器だと思うと頼もしい。
「トルネの槍は、ランドビカミウリの背骨を切り出した心核武器。こっちは『白閃槍』と命名させてもらったぜ。
魔力を込めながら突撃すると、体全体が1つの槍と化して魔物を貫くことが出来るはずだ」
トルネが持っているのは、トルネと同じくらいの全長の真っ白な槍だった。
牙とか爪じゃなくて骨なのか。確かに体の中で1番硬い部分って骨のなのかも知れないな。
「今回のエリアキーパーではお留守番に決まっちゃったけど、これで絶対トーマの役に立ってみせるからねー!
雲でも山でも両断してやるんだからー!」
「そうですね。出産を優先するのは仕方がありませんから。この子の力を示す機会は見送る事にします」
2人の力を疑っちゃいないけど、流石にお腹に子供がいるわけだからな。エリアキーパークラスの魔物との戦闘は控えてもらわないと。
「それとトーマ、ハル。翠緑の風を1回貸してくれ。矢の回収機能を追加させてもらうからよ。
矢の魔法付加はトーマにでも頼んでくれ。私よりも沢山魔法覚えてっからな」
おお、ついに矢の回収機能が実現するのか!
これはちょっと期待が膨らむなぁ! 攻撃魔法を付加すれば、矢の威力も倍増しそうだし?
「ハルの心核武器はちょっと待ってくれな? 弓をもう1本作るのはあまり意味がない気がしててよ。
それとトーマ。ダガーとウォーハンマー分、追加で心核を3つくれ。
全員に心核武器が行き渡ったら、トーマとシンの防具を最優先で製作させてもらうぜ」
「うん。了解だよ。正直言って翠緑の風ですら、私にはオーバースペック気味だからね。心核武器にそこまで強い憧れもないし」
「っていうか気が早い話だけど、砂漠エリアでのエリアキーパーも倒しちゃうと、また凄い素材が手に入っちゃうんだよねー? でも私たちって、これ以上の装備の更新って、必要ないよねー? ものすっごく持て余しそうな気がするよー」
「そうだよなぁ……。でもそんなすげぇ素材、絶対自分で扱ってみてぇし……。
今後の装備製作は、半分趣味みたいになっちまうかも知れねぇなぁ。安易に流通させるのも不味い素材だと思うしよぉ」
「城壁とかに流用しちゃうしかないんじゃない? 壁外領域だから危険性は高いわけだし、大量に消費できるし、僕たちにはもうあまり必要性もないわけだし」
「ラ、ランドビカミウリ級の魔物の素材で城壁作りですか……! ご、豪快というか、勿体無いというか……」
「ま、素材の心配は無事に討伐できてからで遅くないだろ。まずは砂漠地帯の攻略が最優先だ。
みんな、頼りにさせてもらうからな?」
まずするべき事は砂漠地帯の移動手段の確保。
そこから砂漠地帯のエリアキーパーを討伐。砂漠地帯の調査をして、都市建設をする。
やるべき事は明確だ。
俺の理想の異世界生活までもう少し。
ここが気張りどころって奴だろう。
現在ベイクに帰還して、いつもの会話タイム。
時間いっぱいまで砂漠地帯を調査したんだけど、魔物との遭遇は数回程度。それも既に知られている魔物ばかりだった。
シザーマウンテンは会えなかったけど、デザートスプラッシュには遭遇できた。
でもあれは騎乗用には使えないわ。長時間砂の表面に出られないっぽいので、何かの表示に砂に潜られたら馬車が大破してしまう。夕飯に出てきた切り身が最高に旨かったことだけが救いだ。
「やっぱり効率が悪いよね。どうにか魔物の方から近付いてきてくれるように出来ないかなぁ?
積極的に襲ってこない魔物なんて、想像した事もなかったよ」
「うん。罠とか誘導とか出来れば良いんだけどね。そもそも魔物がどうして人を襲ってくるのか、その理由も良く分かってないんじゃ難しいかな」
「まさか魔物に襲われなくて悩む日が来るなんて……。なんだか頭が混乱しちゃうよ……」
「ウィルスレイアってこの王国で1番研究が進んでる都市なんすよねぇ? そこで有力な情報がないとすると、手探りになるのは仕方なんじゃないっすか?」
「――――いえ、そう言いきるのは早いんじゃない? 私たちはウィルスレイアを知り尽くしているわけではないんだから、もう1度シルグリイド家を頼ってみたらいいんじゃないかしら?」
カンナの言葉に少し驚く。言われてみれば俺、少し視野が狭くなってないか? リヴァーブ王国のこと、リンカーズの事を理解するのが良いけど、その知識に思考が囚われてしまうのは良くない。
明日シルグリイド家にコンタクトを取ってみよう。確かギルドで連絡がつくっていってたっけ。
「すっごいよマーサ! これサイコー! 私の希望以上の出来だよー!」
「ええ。これは本当に素晴らしいです。まるで手に吸い付くようによく馴染みます」
「はっはっは! どうやら気に入ってくれたみてぇだな! 同じ男を愛する者に贈るんだ。半端な物を渡すわけにゃいかねぇってもんよ!」
リーン、トルネ、マーサの3人が帰宅した。
マーサから2人の武器が完成したと報告されて、3人で工房に行っていたのだ。
俺たちは今後の方針会議のために、今回は同行しなかった。
「リーンの持ってる武器は、ランドビカミウリの尻尾を元に作った心核武器、名付けて『ホワイトテイル』ってところだな。スネークソードと比べて特に追加した機能はねぇが、性能は比べ物にならねぇはずだ。
やろうと思えば、空に浮いてる雲さえぶった切って見せると思うぜ」
リーンが持っているのは真っ白なスネークソードだ。
ランドビカミウリのテイルスイングは脅威だったからなぁ。アレを参考にした武器だと思うと頼もしい。
「トルネの槍は、ランドビカミウリの背骨を切り出した心核武器。こっちは『白閃槍』と命名させてもらったぜ。
魔力を込めながら突撃すると、体全体が1つの槍と化して魔物を貫くことが出来るはずだ」
トルネが持っているのは、トルネと同じくらいの全長の真っ白な槍だった。
牙とか爪じゃなくて骨なのか。確かに体の中で1番硬い部分って骨のなのかも知れないな。
「今回のエリアキーパーではお留守番に決まっちゃったけど、これで絶対トーマの役に立ってみせるからねー!
雲でも山でも両断してやるんだからー!」
「そうですね。出産を優先するのは仕方がありませんから。この子の力を示す機会は見送る事にします」
2人の力を疑っちゃいないけど、流石にお腹に子供がいるわけだからな。エリアキーパークラスの魔物との戦闘は控えてもらわないと。
「それとトーマ、ハル。翠緑の風を1回貸してくれ。矢の回収機能を追加させてもらうからよ。
矢の魔法付加はトーマにでも頼んでくれ。私よりも沢山魔法覚えてっからな」
おお、ついに矢の回収機能が実現するのか!
これはちょっと期待が膨らむなぁ! 攻撃魔法を付加すれば、矢の威力も倍増しそうだし?
「ハルの心核武器はちょっと待ってくれな? 弓をもう1本作るのはあまり意味がない気がしててよ。
それとトーマ。ダガーとウォーハンマー分、追加で心核を3つくれ。
全員に心核武器が行き渡ったら、トーマとシンの防具を最優先で製作させてもらうぜ」
「うん。了解だよ。正直言って翠緑の風ですら、私にはオーバースペック気味だからね。心核武器にそこまで強い憧れもないし」
「っていうか気が早い話だけど、砂漠エリアでのエリアキーパーも倒しちゃうと、また凄い素材が手に入っちゃうんだよねー? でも私たちって、これ以上の装備の更新って、必要ないよねー? ものすっごく持て余しそうな気がするよー」
「そうだよなぁ……。でもそんなすげぇ素材、絶対自分で扱ってみてぇし……。
今後の装備製作は、半分趣味みたいになっちまうかも知れねぇなぁ。安易に流通させるのも不味い素材だと思うしよぉ」
「城壁とかに流用しちゃうしかないんじゃない? 壁外領域だから危険性は高いわけだし、大量に消費できるし、僕たちにはもうあまり必要性もないわけだし」
「ラ、ランドビカミウリ級の魔物の素材で城壁作りですか……! ご、豪快というか、勿体無いというか……」
「ま、素材の心配は無事に討伐できてからで遅くないだろ。まずは砂漠地帯の攻略が最優先だ。
みんな、頼りにさせてもらうからな?」
まずするべき事は砂漠地帯の移動手段の確保。
そこから砂漠地帯のエリアキーパーを討伐。砂漠地帯の調査をして、都市建設をする。
やるべき事は明確だ。
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ここが気張りどころって奴だろう。
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