異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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9章 異邦人が生きるために

304 3つの予定

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 目が覚める。なんだか自宅の天井が懐かしく感じられるな。
 今日はディオーヌ様のところに挨拶と、ボールクローグでランドビカミウリの素材を受け取りたいところだ。
 

 ベイクに戻ってきたので、久しぶりにソロ探索の時間だ。
 64階層にスキップで移動する。

 ふむ。元々苦戦してはいなかったが、64階層でもヌル過ぎるなぁ。
 例えるなら、ヴェルトーガから帰ってきた後に、21階層以降に進み始めた時くらいにヌルい。

 まぁ3等級くらいの大規模パーティで89階層まで行けるらしいしな。
 1等級のブルガーゾを瞬殺出来てしまう時点で、最下層すら余裕の可能性が高いな。

 探索をしてもスキップを使っても、魔力切れの兆候すら起こらないしなぁ。
 せっかくなので2周ほどして帰宅する。




「はあああああ!? 心核がそんなにあるってマジなのかよ!?
 え、じゃあマジで心核使いまくれるのか……!? うっそだろ!? 最高かよお前らあああ!!」


 マーサさんのテンションが朝からやばいことになっている。
 最後に手に入れた5つを合わせて、心核62個もあるからな。出し惜しみしてもしゃーない。
 とりあえず1人当たり6個ずつ、5人分の装備の製作をお願いする。

 リーネに心核装備を用意するかは、今のところ未定だ。
 あまり強い装備を与えすぎてしまうと、それはそれでチート能力を付与するのと変わらないからな。
 リーネが暴走するとは思ってないが、リーネの成長の妨げにはなるかもしれないし。


 朝食を済ませ、まずはマーサとリーネをボールクローグに送り出す。
 マーサに素材関係の仕切りをお願いして、リーネはその護衛として付き添う。

 続いてヴェルトーガへのゲートを開き、俺、タケル、アサヒ、カンナの4人でディオーヌ様に謁見しに行く。
 俺以外の異風の旋律メンバーはお休みにした。ベイクでゆっくり過ごすそうだ。
 

 ディオーヌ様の屋敷に到着し、アサヒとカンナの2人とディオーヌ様の顔合わせ。
 2人の能力の説明、ロンメレとの出会いの経緯を簡単に確認すると、詳しい取調べのために、タケルを含めて3人とも別室に案内されていった。


「つまりは、3人ともトーマさんが引き受けてくれると言う事ですか。
 私個人としては負担がなくて助かりますけど、王国貴族として考えると考えものですわね。
 ただでさえ王国を滅ぼせる戦力である異風の旋律と、『迷宮操作』を持つタケルさんが一緒に居るのは、邪推する者が現れてもおかしくないでしょうね。
 それと、宜しければアリスのことも、異風の旋律で引き取って頂けませんこと?
 常時最高基準の監視の継続もかなりの負担ですし、彼女自身も結構な浪費家で困っているんですよね」

「んー、アリスのことは放置するのは怖いんですけど、何もしないまま贅沢ばかりさせるのもおかしい話ですよね。
 まぁ将来的には引き取りましょう。ディオーヌ様というか、リヴァーブ王国の人に迷惑をかけ続ける異邦人を放置するわけにはいきませんからね。同じ異邦人として」


 アリスが自分の能力を軽く考えすぎてるのが問題なんだよなぁ……。
 ディオーヌ様だから厚遇してもらってるだけで、タケルと同じ扱いを受けてもおかしくないのにね。

 なんかもう、いなくなってもらった方がすっきりするような気がしてくるわ。


「まぁアリスの事はおいおい考えるとして。
 今ディオーヌ様が仰ったように、リヴァーブ王国民から見たら、今回のボールクローグの大災害は恐怖でしかありませんよね。
 迷宮の氾濫を人為的に起こせる能力者と、その氾濫を力ずくで解決する戦力を持っているのが、両方とも異邦人なわけですから。落ち着いて寝ることも出来ないかと思います」

「ええ。現状を正しく理解されているようでなによりです。
 それで、私が聞きたいのはその先です。トーマさんの考えを聞かせてもらいましょう」


 ヴェルトーガでの騒動があってから、異邦人の立場の危うさってのはわかってたからな。
 ただ今回の1件で、俺の想定以上の早さで、王国民の恐怖心が異邦人に向けられてしまいそうだ。


「まず1つめ。王国民の戦闘能力を引き上げたいと思っています。
 これは俺のカンパニーでやってることの延長で、長期的な計画になると思いますが、必要なことだと思います。
 チート能力を持たない俺やスカーさんでも、異邦人に対抗できることは証明済みですからね。
 この国の人たちの戦闘能力の水準が高まれば、異邦人が暴れても、対応できる人が増えるでしょう」

「今回ボールクローグでも、大量のスキル取得者がでる見込みらしいですし、1つめについてはある程度、順調に進んでいると言っても宜しいでしょうね。続きを」

「はい。2つめなんですけど、王国中の街とギルドに、異邦人にしか読めない看板のようなものを設置して、異邦人が生活に困窮したり、誰かに利用されたりする前に、保護してしまいたいと思っています。
 加えて、各種ギルドには俺への案内を依頼したいですね。ゲートの使用料くらいならうちで負担できますし」

「……私個人としては賛成なのですが、トーマさんが異邦人を集めている事を邪推する者が出るのではと、先ほども申し上げましたよね? その点については?」

「程度に差はあれ、邪推されるのはもう仕方ないと思ってます。
 俺に出来る事といえば、異邦人の情報を、漏れなく王国側に報告するくらいですかね。
 王国中に異邦人が転移してくることを考えると、私が特定の異邦人を隠すというのも難しい話ですし。
 まぁそれでも疑いを完全に晴らすのは無理だと思ってます。
 なので1つめの、王国民の戦闘能力の底上げは出来るだけ急ぎたい所ですね」


 結局のところ、対処できない能力だから恐れられるわけだ。
 王国民が多少のチート能力者に負けない戦闘力を手に入れたら、手をつけられないバケモノから、対応可能な犯罪者になるわけだからな。


「そして3つめになるんですけど、正直まだずっと先のことだと思ってたので、具体的な考えはそんなに固まってないって事を先に言っておきますね。
 実は将来的に、現在のリヴァーブ王国国境壁の外側に、異邦人の受け皿になるような街を作りたいと思ってるんですよ」

「――――まずは最後まで聞きましょう。続けなさい」

「はい。リヴァーブ王国から独立して、新しい国を建国するつもりはありませんからね? あくまでリヴァーブ王国の1都市として、新たな都市を建設したいと思っています。
 リヴァーブ王国民から見たら、常識外のチート能力者と一緒に暮らすのを恐れるのは、当たり前の感情だと思うんですよ。そしてそれは、簡単には解決できない問題だと思うんです。
 そしてその状態では、異邦人と王国民が同じ場所で生活するのは、双方にとって苦痛だと思うんですよね。
 なのでまぁ苦肉の策ではあるんですけど、転移してきた異邦人をとりあえず王国外に追い出してしまえば、リヴァーブ王国民も多少は安心できるんじゃないかなって」

「……確かに、異邦人と一緒に生活をするのを恐れる王国の民は、今後も出てくると思われますが。
 異邦人が結託して、リヴァーブ王国を攻め滅ぼそうと考えているのではないか、そう考える者はかえって増えるのではないですか?」

「そこはもう誠心誠意、情報公開をしていくしかないと思ってますよ。
 チート能力がある限り、異邦人が恐れられ、邪推されるのはどうしようもないことだと思いますから。
 どうしようもない事はひとまず置いて、どうにか出来そうなことを考える事にします」


 どこで聞いたか覚えてないけど、可能な事はいつか必ず実現する、なんて言葉もあるくらいだからな。
 チート能力がある限り、どれほど安全性を説いても、絶対に理解を示さない人は出てくるはずだ。

 ならもう勝手に疑心暗鬼になってろバーカ! 作戦である。投げやりとも言う。


「とりあえず、今考えてるのはこんなところです」

「なるほど。トーマさんの考えは分かりました。分かりましたが……。
 流石にこれは、私の判断だけで動くわけにはいきません。アリスの時は免除しましたが、今回はトーマさんが直接王族に説明してもらうことになるでしょう。
 詳細が決まり次第連絡しますので、この国の王族に会う心構えと、その場で行う説明などを考えておきなさいね」


 はぁ~……。会いたくねぇなぁ王族なんて。
 でも王国の存続に関わりかねない話題だから、王族に会わない訳にもいかないんだよな。

 転移してくるのが俺だけだったら、こんな苦労はしなくて済んだんだろうか?
 いや、そもそも俺が転移してきたのって調査目的だからな。
 後続がいなければ、そもそも俺が来ることもなかったってワケか。

 ま、精々失礼がないように気をつけますかねぇ。
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