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8章 異風の旋律
293 スタンピード⑩ 緑の閃光
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ギュラアアアアアアアッッ!!
大地が揺れるほどの咆哮。
ランドビカミウリは己を鼓舞するかのような凄まじい鳴き声を発した後、地面に伏せて4足動物のような体勢になった。
ちっ、片足を失っても、そういう手段があるのかよ!
ギュルゥゥッ!!
「く、そ……!」
「うああ……!」
獣みたいなのは体勢だけじゃないようだ……!
明らかに動作が速くなって、しかもテイルスイングが今まで以上に早い……!
だが、俺の弓を異常に警戒しているのがバレバレだ!
俺の矢に対して、異常なほど大きく距離を取って回避しているからなぁ!
魔法付加した矢の難点は、何かに接触させないと発動しないという点だ。
恐らく俺がさっきスネークソードを狙ったのを見て、その事を一瞬で見抜いたのだろうな。
だが甘いんだよ! 俺の切り札は小細工だけじゃねぇ……!
お前自身も開幕に喰らったのを、もう忘れちまったようだなぁ!?
翠緑の風を持ったまま、ウォーハンマーを取り出す。
俺の近接武器の中で、最も威力があるのはコイツだからな。
ギュオオオオオオ!!
ランドビカミウリがテイルスイングで背を向けた瞬間、ジャンプを使用しランドビカミウリの体の中心の真上に転移。
いくら猛スピードで回転していても、回転軸は動いてないんだよぉ!!
「くったばれええええ!!」
ギュゴォッ!?
トランスを使用した俺の最大威力の攻撃を、背中にぶち込んでやる!
勿論こんなので殺せるとは思ってないが、背中から地面に叩きつけてやった!
つまり、ランドビカミウリは現在、地面に縫い付けられた状態だ!
後は頼むぜみんなぁぁっ!!
「「「はあああっっ!!」」」」
ギュイイイイイッ!!
尻尾側にいたシンの緑に輝く刃が、ランドビカミウリの尻尾を根元から斬り飛ばす!
ギュアアアアアッ!!
リーンのスネークソードが、ランドビカミウリの右腕を斬り飛ばす!
ギュボァ!!
トルネの槍が、ランドビカミウリの喉を貫く!
ここで決めて、なにっ!?
突如俺を避けて跳躍したランドビカミウリは、その勢いのまま羽ばたき始める。
コイツ、空に逃げる気か!!
「リーン!! 奴の翼を切り落とせぇ!!」
「はあああああ!!」
範囲拡張したスネークソードが、まるで生き物のような動きでランドビカミウリの翼に迫る。
だが当然、これだけでは攻撃が命中しないだろうな。
ストレージから2本の矢を取り出す。
1本を普通に撃って、もう1本をトランスを使用して放つ。
後から撃った矢が、先に撃った矢に当たる。
その瞬間、ランドビカミウリの右目を、2本目の矢が射抜いていた。
ギュアア!??
誰も生活魔法しか付加してないなんて言った覚えはないぜ?
2本目にはジャンプを付加してあるんだよぉ!
小さな矢とはいえ、右目を射抜かれたランドビカミウリは動揺し、大きく体勢を崩す。
そこに追いついたスネークソードが、奴の翼を根元から斬って捨てた!
翼を失い落下する、白き竜の王。
その落下している首元を、緑の閃光が駆け抜ける!
攻撃範囲を拡大した、心緑の流刃の一閃。
古より蘇った神話上の生物は、空中で首と胴体が切り離され、2つになって地面に衝突した。
凄まじい轟音と振動。そして土煙が舞う。
だが相手は伝説上のバケモノだ。確実に死んだ事を確認しなければ……!
そう思ってまさに走り出した瞬間、土煙の中から5つの光がシンに向かって飛んできた。
「あ……! トーマ! これ心核だよ!
心核が5つ出たって事は……!」
シンの言葉を引き継ぐかのように、ランドビカミウリの落下した辺りから、凄まじい勢いで魔力の帯が天に駆け上っていった。
「これは……。規模はでかいけど、迷宮殺しを達成した時と同じ感じに見えるな……」
「心核が出て、魔力還元が起こったってことは……」
シンと顔を見合わせる。
この現象が起こったって事は、迷宮の氾濫は終わったってことだよな……?
つまり、つまり俺たちは……!
「「勝ったあああああああっ!!」」
勝利を叫びながらシンと抱き合う。
勝った! 勝てた! 生き延びた! 終わったんだ!!
「あーーっ!! トーマも兄さんも、相手が違うでしょーっ!! なんで男同士で抱き合ってるのよーーっ!!」
「うん。私にそっち方面の趣味はないからね? 別に嫌いでもないけど。
でも良かった。みんな無事で、本当に良かったよ……!」
「はあぁ……。未だに生きてる実感が湧きませんよ……。
心核魔獣を相手にするのはもう懲り懲りです……」
リーン、ハル、トルネも合流する。
誰1人欠けることなく勝利できて、本当に良かった……!
……なんか俺、毎回似たようなこと思ってねぇか?
シンと離れて、リーンとトルネを抱きしめる。シンとハルも抱き合っているみたいだ。
「本当、良く勝てたよなぁ……。みんな生き残れて、本当に良かったよ。
トルネの言うとおり、もう1回戦うのは絶対にお断りだな……!」
「ホントだね……。次も勝てるかって言われると自信ないな~。
流石に白き竜王が出てくるのは反則だよねー?」
「反則過ぎますよ……。今日はもう嫌になりますよ全く……!
迷宮殺しを終えて帰ってきて、迷宮の氾濫が始まって、準備に奔走して、日中にはチート能力者と戦って、夜には魔物の氾濫、そして最後の最後にこれですよ?
ほんと、やってられませんよ……!」
「本当に、今日はなんだったんだってくらい凄まじい1日だったね。
と言っても、ロンメレを捕まえない事には終わらないんだけどさ。
終わらないんだけど、流石に僕も1回気を抜きたい気分だよ……」
「うん。今日はずっと生きた心地がしなかったよ。
でも凄く綺麗だね。みんなと一緒にこの光景を見れて良かったって、心から思うな」
よほど蓄えられた魔力が多かったのか、魔力の帯はまだ天に昇り続けている。
オーロラなんて見たことなかったけど、虹色の光の帯が空に登っていく光景は、なんとなくオーロラを連想させる光景だった。
なんかもうロンメレのことなんてどうでもいいくらいに疲れたわ。
とりあえず明日1日くらいは、ゆっくり休ませてもらおうかねぇ……。
大地が揺れるほどの咆哮。
ランドビカミウリは己を鼓舞するかのような凄まじい鳴き声を発した後、地面に伏せて4足動物のような体勢になった。
ちっ、片足を失っても、そういう手段があるのかよ!
ギュルゥゥッ!!
「く、そ……!」
「うああ……!」
獣みたいなのは体勢だけじゃないようだ……!
明らかに動作が速くなって、しかもテイルスイングが今まで以上に早い……!
だが、俺の弓を異常に警戒しているのがバレバレだ!
俺の矢に対して、異常なほど大きく距離を取って回避しているからなぁ!
魔法付加した矢の難点は、何かに接触させないと発動しないという点だ。
恐らく俺がさっきスネークソードを狙ったのを見て、その事を一瞬で見抜いたのだろうな。
だが甘いんだよ! 俺の切り札は小細工だけじゃねぇ……!
お前自身も開幕に喰らったのを、もう忘れちまったようだなぁ!?
翠緑の風を持ったまま、ウォーハンマーを取り出す。
俺の近接武器の中で、最も威力があるのはコイツだからな。
ギュオオオオオオ!!
ランドビカミウリがテイルスイングで背を向けた瞬間、ジャンプを使用しランドビカミウリの体の中心の真上に転移。
いくら猛スピードで回転していても、回転軸は動いてないんだよぉ!!
「くったばれええええ!!」
ギュゴォッ!?
トランスを使用した俺の最大威力の攻撃を、背中にぶち込んでやる!
勿論こんなので殺せるとは思ってないが、背中から地面に叩きつけてやった!
つまり、ランドビカミウリは現在、地面に縫い付けられた状態だ!
後は頼むぜみんなぁぁっ!!
「「「はあああっっ!!」」」」
ギュイイイイイッ!!
尻尾側にいたシンの緑に輝く刃が、ランドビカミウリの尻尾を根元から斬り飛ばす!
ギュアアアアアッ!!
リーンのスネークソードが、ランドビカミウリの右腕を斬り飛ばす!
ギュボァ!!
トルネの槍が、ランドビカミウリの喉を貫く!
ここで決めて、なにっ!?
突如俺を避けて跳躍したランドビカミウリは、その勢いのまま羽ばたき始める。
コイツ、空に逃げる気か!!
「リーン!! 奴の翼を切り落とせぇ!!」
「はあああああ!!」
範囲拡張したスネークソードが、まるで生き物のような動きでランドビカミウリの翼に迫る。
だが当然、これだけでは攻撃が命中しないだろうな。
ストレージから2本の矢を取り出す。
1本を普通に撃って、もう1本をトランスを使用して放つ。
後から撃った矢が、先に撃った矢に当たる。
その瞬間、ランドビカミウリの右目を、2本目の矢が射抜いていた。
ギュアア!??
誰も生活魔法しか付加してないなんて言った覚えはないぜ?
2本目にはジャンプを付加してあるんだよぉ!
小さな矢とはいえ、右目を射抜かれたランドビカミウリは動揺し、大きく体勢を崩す。
そこに追いついたスネークソードが、奴の翼を根元から斬って捨てた!
翼を失い落下する、白き竜の王。
その落下している首元を、緑の閃光が駆け抜ける!
攻撃範囲を拡大した、心緑の流刃の一閃。
古より蘇った神話上の生物は、空中で首と胴体が切り離され、2つになって地面に衝突した。
凄まじい轟音と振動。そして土煙が舞う。
だが相手は伝説上のバケモノだ。確実に死んだ事を確認しなければ……!
そう思ってまさに走り出した瞬間、土煙の中から5つの光がシンに向かって飛んできた。
「あ……! トーマ! これ心核だよ!
心核が5つ出たって事は……!」
シンの言葉を引き継ぐかのように、ランドビカミウリの落下した辺りから、凄まじい勢いで魔力の帯が天に駆け上っていった。
「これは……。規模はでかいけど、迷宮殺しを達成した時と同じ感じに見えるな……」
「心核が出て、魔力還元が起こったってことは……」
シンと顔を見合わせる。
この現象が起こったって事は、迷宮の氾濫は終わったってことだよな……?
つまり、つまり俺たちは……!
「「勝ったあああああああっ!!」」
勝利を叫びながらシンと抱き合う。
勝った! 勝てた! 生き延びた! 終わったんだ!!
「あーーっ!! トーマも兄さんも、相手が違うでしょーっ!! なんで男同士で抱き合ってるのよーーっ!!」
「うん。私にそっち方面の趣味はないからね? 別に嫌いでもないけど。
でも良かった。みんな無事で、本当に良かったよ……!」
「はあぁ……。未だに生きてる実感が湧きませんよ……。
心核魔獣を相手にするのはもう懲り懲りです……」
リーン、ハル、トルネも合流する。
誰1人欠けることなく勝利できて、本当に良かった……!
……なんか俺、毎回似たようなこと思ってねぇか?
シンと離れて、リーンとトルネを抱きしめる。シンとハルも抱き合っているみたいだ。
「本当、良く勝てたよなぁ……。みんな生き残れて、本当に良かったよ。
トルネの言うとおり、もう1回戦うのは絶対にお断りだな……!」
「ホントだね……。次も勝てるかって言われると自信ないな~。
流石に白き竜王が出てくるのは反則だよねー?」
「反則過ぎますよ……。今日はもう嫌になりますよ全く……!
迷宮殺しを終えて帰ってきて、迷宮の氾濫が始まって、準備に奔走して、日中にはチート能力者と戦って、夜には魔物の氾濫、そして最後の最後にこれですよ?
ほんと、やってられませんよ……!」
「本当に、今日はなんだったんだってくらい凄まじい1日だったね。
と言っても、ロンメレを捕まえない事には終わらないんだけどさ。
終わらないんだけど、流石に僕も1回気を抜きたい気分だよ……」
「うん。今日はずっと生きた心地がしなかったよ。
でも凄く綺麗だね。みんなと一緒にこの光景を見れて良かったって、心から思うな」
よほど蓄えられた魔力が多かったのか、魔力の帯はまだ天に昇り続けている。
オーロラなんて見たことなかったけど、虹色の光の帯が空に登っていく光景は、なんとなくオーロラを連想させる光景だった。
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