異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

文字の大きさ
上 下
279 / 580
8章 異風の旋律

249 銀の乙女と再会

しおりを挟む
 翌朝、朝食を済ませて狩人ギルドへ向かう。

 クリーヌたちが迷宮情報の確認と打ち合わせを行っている間に、サリサリと再会することが出来た。


「いやぁ悪いね。私達は私達で迷宮殺しを頼まれてたからさぁ。昨日の夜に帰ってきたところなんだよ。
 これで銀の乙女も晴れて迷宮殺し達成ってワケだ!
 今日は丸1日休養日のつもりだからさ。そっちの仕事が終わったら拠点にきなよ。みんな会いたがると思うからさ」

「いいね。お邪魔させてもらうよ。
 じゃあ悪いんだけどさ、日没後にボールクローグまで迎えを寄越してくれないかな?
 俺たちは活動報告があるから、1度狩人ギルドには顔を出さなきゃいけないんだよね。
 銀の乙女の拠点って何気に歩くと結構遠いからさ」

「勿論構わないよ。ペルにはちょうどいい散歩になるだろ」

「それじゃ金板1枚渡しておくからさ。俺らの分も含めて夕飯の準備に使ってよ。
 これだけあればペルの食事代にも足りるでしょ?」

「はははっ、相変わらずの金払いだねぇ!
 せっかくだからコイツを使い切るつもりで旨いモンを用意しといてやるよ。
 だから無事に帰って来るんだよ」


 1食で使い切るには大金過ぎるけど、まぁ接待みたいなものだと思おう。
 それにペルにもいいモン腹いっぱい食べさせてやりたいし。

 サリサリと話していると、エルハとの打ち合わせを終えたクリーヌ兄妹が戻ってきた。


「トーマお待たせ。出発しよ……、ってサリサリ?」

「おや?クリーヌじゃないかい。トーマの案内人ってアンタだったのか。
 珍しいね、アンタが他人と組むなんて」

「ん。異風の旋律は上客。金払いもいいし無茶も言わない」

「ははっ!それはうちらも身を持って体験してるよ!
 だから今回はクリーヌに取られてしまって残念だったねぇ。ギルドからの要請だったから断るのも難しかったんだけどさ」

「悪いサリサリ。積もる話は夜にしよう。今は迷宮討伐に行かせてくれ」


 なかなか話が途切れないので、少し申し訳ないけど強引に割り込んで終わらせる。


「ああ悪い悪い。邪魔しちゃったね。
 ああそうだ。もし良ければクリーヌたちも夜にウチにきなよ。
 家族みんな連れてきてもいいからさ。金はもうトーマに貰ってあるし」

「ん。それは名案。絶対行く」

「ああ、日没後にペルが街の入り口まで迎えに来るからね。うちの馬車なら50人くらいは運べるから余裕だよ。
 じゃあ夜に会おうね。頑張ってきな!」

「いってぇ!」


 景気づけなのか、サリサリに思いっきり背中をひっぱたかれた!
 くっそ。防具つけてるけど、サリサリも身体能力強化持ってるんだろうな。普通にいてぇ!


 馬車に乗り込み、一旦クリーヌの家に寄って、夕食会の報告をして出発した。

 迷宮まではクリーヌに見てもらいながら、御者の練習をさせてもらう。


「そうそう。昨日の迷宮討伐数は10個。異風の旋律と銀の乙女が迷宮殺しを達成してる。
 そして昨日確認された新しい迷宮は4つ。この調子で行けば野良迷宮の撲滅は可能。だけど……」

「迷宮の出現速度が上がっている?あまり時間をかけると不味いかもしれない……?」

「ん。異風の旋律のおかげで小康状態だけど、エルハは結構重く見てる。
 異風の旋律だけで17個も迷宮殺しをしてるのに、いまだ40もの迷宮が残ってるっていうのは、私も重く見たほうが良いと思ってる」


 んー、今のペースが続くようなら問題ないとは思うけど、1日に5つ以上の迷宮が出るようなら、日没後も討伐を続ける必要性が出てきそうだ。
 俺たちの殲滅スピードの方が上回ったままなら、心核とSP稼ぎも兼ねて、多少時間がかかっても今のペースで問題ないと思う。


「仮に日没後も迷宮の討伐を続けたいって言ったら、クリーヌたちは受けてくれるのか?」

「ん……。受けてもいい、けど。下の兄弟達は夜の都市外活動はちょっと危険かも。暗視もないし」

「暗視はリーネがヴィジョンを使えるから対応できると思うけど、なるべく避けたほうが良さそうだな。
 とりあえず今のままでも迷宮発生の倍以上の速度で討伐が進んでいるわけだから、エルハから何か言われない限りは今のペースを維持していこうか」

「……迷宮に入れないリーネに、支援魔法まで覚えさせてるの?やっぱりトーマは頭おかしい」


 迷宮に入ってる他のメンバーが誰も欲しがらなかったんですよね、ヴィジョン。

 それにしても、2人でいる時間が長いからか、結構リーネとは話をしてるみたいだな。迷宮に入れないことも聞いてるとは。
 もしかしたらリーネにとって、もう隠すほどのことではなくなっているのかもね。




 迷宮発生速度が上がってるということで、出来るだけ殲滅速度を上げようと頑張ってみたのだけれど、やっぱりMAPが判明していない迷宮を進むのはどうしても時間がかかってしまう。
 比較的開放型迷宮のほうが進みが早いんだけど、それでも4つ目の討伐に向かえるほどの時間は残せなかった。
 日没をタイムリミットとすると、1日3つ討伐するのが限界っぽいなぁ。


「いや。1日3つも迷宮を殺してるのも異常だから。しかも1人でだし。頭おかしい」


 もうクリーヌは頭おかしいが口癖みたいになってしまったな。

 
 今日は夕食会があるので、3つの馬車の合流はせずに、終わった順に街に戻る。
 ギルドへの報告もそれぞれ行って、クリーヌは家族を迎えに、俺とリーネはストレージいっぱいに酒とか飲み物を購入して街の外で待機する。
 シンハル組、リーントルネ組も報告を終えて合流。心核を収納する。

 街の外で少し待っていると、見覚えのある黒い巨体と、それに引かれる巨大馬車の姿が見えた。

 キュキュー。

 体が巨大なせいか、ペルは結構重低音ボイスではあるが、可愛いから何の問題もない。


「ようペル。お迎えありがとうな。
 ……ってあれ?ペルだけで来たの?銀の乙女のメンバー誰も来てないのか。
 ペルは1人でもお迎えできて偉いなー」


 体をすりすりしてくるペルの頭を抱きしめてナデナデする。ふわわとつららもペルの顔をペロペロし始める。


「じゃあペル。みんな馬車の乗っていいかな?」


 キュキューと一鳴きして了承を示すペル。頭いいなぁ。
 そこで、ふわわとつららに触発されたのか、ペルに思い切り顔を舐められた。


「イデデデ!」


 キュキュー?

 ペルはどうしたのー?って感じで首を傾げているけど、ジャガーっぽいペルも猫科の動物と同じで、ザラザラした舌の構造をしている。そしてペルは巨大な分、そのザラザラ具合も荒い。

 まるでおろし金だ!


「……な、なんでもないよペル。さぁ早く夕食に行こうぜ」


 顔が血だらけになってしまったのでリペアを使用。目が傷付かなくて良かった……。
 ペルがいくら可愛いとはいえ、巨大生物だって事を忘れちゃダメだな……。

 水魔法と洗浄で怪我の痕跡を消し去って、ペルが引いてきた馬車に乗り込んだ
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!! 「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

処理中です...