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8章 異風の旋律
245 本格始動
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目が覚める。
一瞬ここがどこだか分からなかったが、昨日からボールクローグに遠征してたんだった。
宿の部屋割りは4人部屋と2人部屋。ハルとシンが2人部屋のほうだ。
自然治癒力強化とリペアの相乗効果は結構馬鹿にできない。
おかげさまで今朝の俺には余裕がある。
遠征先ではソロ探索も出来ないし、みんなの寝顔を楽しみながらみんなの目覚めを待てるのは結構嬉しいな。
勿論楽しんでいるのは寝顔だけではないが。
宿で朝食を取って狩人ギルドへ。
クリーヌたちはエルハと迷宮位置について打ち合わせているので、暇なうちに銀の乙女について問い合わせてみたけど、まだ戻ってきていないらしい。
俺たちがボールクローグ入りした朝に迷宮に向かったらしいし、銀の乙女にはペルがいるから、大量のドロップアイテムを集めてるんだろうなぁ。
迷宮の討伐を優先しないと危険な状況だとは言っても、冒険者それぞれに生活があるんだ。
稼ぎを無視してでも討伐を優先しろなんていったら、誰も協力してくれなくなるかもしれない。
ボールクローグの存亡がかかっているのと同じで、冒険者には日々の生活がかかってるわけだ。無理強いは出来ない。
そこをギルドなりカルネジア家なりが補填してくれれば、迷宮の討伐ももっと捗るんだろうになぁ。
用意してもらった馬車に、それぞれ少し多めに食料を積む。
帰って来れなくなる事は想定していないが、節約すれば3日間は満腹になれる程度の食料は積んでおく。何事も用心用心。余った分はクリーヌが回収してくれることになっているので問題ない。
街の入り口でそれぞれ分乗する。俺はクリーヌとリーネ組だ。
俺がソロなので、御者の2人の戦力は高いほうが良いだろうという流れで決まった。
迷宮討伐なんだから、御者の戦力はあまり関係ない気もするが。
街からしばらく3台の馬車は並走していたが、迷宮が近付いたのか、それぞれ別方向に逸れていった。
昨日の感触からして、俺たちは1日に1つか2つは迷宮を落せるはずだ。最低1つ、時間があれば2つ討伐してくるつもりで潜る迷宮を選んでもらっている。
「着いた。前情報はなし。生まれたばかりで位置の確認だけしかされてない。多分昨日の迷宮よりも若いと思う」
迷宮って若いって表現するもんなんだろうか?
まぁ細かい事はどうでもいいか。要は昨日の迷宮よりも簡単だってことだからな。
今回はふわわとつららも馬車に残して完全なソロモードだ。
というか殆ど駆け抜けるつもりだから、あの2匹を連れていっても、ずっとフードに入れっぱなしにしておくしかないだろう。
なので、馬車に残して遊ばせてあげたほうがいいと判断した。
2匹の身体能力なら、多少外を歩き回っても危険はないだろうし。
「じゃあ早速行ってくるよ。みんなも気をつけてな」
これから迷宮に入る俺が言うセリフじゃないか?
目の前の階段を下りていく。
今回の迷宮は積層型迷宮だ。
駆け抜けるなら見通しの利く開放型迷宮のほうが向いてるんだけどなぁ。
ま、俺にとっては積層型はホームグラウンドと言っていいハズだ。いっちょ頑張ってみますか。
今日のコンセプトはなるべく戦わないことである。
昨日はパーティ探索だったので、遭遇した魔物は最低限殲滅していたのだけれど、今日は俺1人の探索だ。俺さえ攻撃を貰わなければ、魔物を倒す必要性は一切ない。
SPに関してもなぁ。
ベイクで60階層より先に潜っているんだから、今さら50階層にも満たない場所の魔物を狩っても仕方ないって感じちゃうんだよな。
だからなるべく武器も抜かず、両手を空けた状態でひたすら走る!
疲れたらリカバーもあるので万全だ。
走る。走る。
ただひたすらに走り抜ける。
一応トラップにだけは気をつけているけど、トラップを踏んでも立ち止まらなければ通過できるかもな。
遭遇した群れを如何に置き去りにするかを考えながら走り続ける。
スキルがなければ絶対に出せない走行速度が気持ちいい。
これはあれだな。簡単になったステージでマイルールを追加してやり直してるみたいなもんだな。縛りプレイっていうか。
漫然とする作業でも工夫1つでいくらでも楽しめるんだから、やっぱゲーム脳ってのは侮れないわ。自画自賛だけど。
もう何階層進んだかも覚えていないけど、唐突に迷宮の気配が変わった。
昨日見たのでもう知ってる。どうやら最下層に到達したようだ。
そのまま足を止めずに最深部までダッシュ。
でかい扉の前で止まって、魔法陣から魔物が出てきた瞬間に両断する。
何の魔物が出てきたか分からなかった。なんかゴメン。
「ダンゲルスヌーマ様。お疲れ様でしたっ」
ロングソードで迷宮神像を一閃し、迷宮殺しを完遂する。
出てきた心核を手に取ってミッションコンプリート。
心核に触れた瞬間迷宮の外に排出されるのも、なんとなくゲームっぽくて悪くないな。
馬車を見ると、今日もリーネは御者の指導を受けているようだ。
「……なんでもう出てきてる?迷宮は……?」
「んなの落として来たに決まってんでしょ。エルハに報告する必要があるならクリーヌさっさと確認してきてー。次の迷宮に案内してくれー」
クリーヌが馬車から飛び降りて、迷宮の消滅を確認しに行った。
「トーマお帰り……。昨日よりもかなり早いよ……?」
「そうだった?まぁ今日は魔物と一切戦ってないからね。流石にちょっと疲れたかも。
あ、リーネ。ちょっとお願いしていい?」
「え?トーマお願いって……?えっ?えっ?」
次の迷宮に向かう馬車の中で、リーネを背中から抱きしめる。
はーすんごい落ち着く。俺専用だきぐるみリーネだ。
流石にエロいことは自重するけど、迷宮内で張り詰めていた気持ちが弛緩していくのが自分でも分かる。
俺とリーネがくっついてるからか、ふわわとつららもすりすりしてきてめっちゃかわいい。
「トーマ……。う、嬉しいんだけど、凄く恥ずかしいよ……?」
リーネさんや。エロいこと自重してるんだからあんまり可愛い反応するのやめて?
一瞬ここがどこだか分からなかったが、昨日からボールクローグに遠征してたんだった。
宿の部屋割りは4人部屋と2人部屋。ハルとシンが2人部屋のほうだ。
自然治癒力強化とリペアの相乗効果は結構馬鹿にできない。
おかげさまで今朝の俺には余裕がある。
遠征先ではソロ探索も出来ないし、みんなの寝顔を楽しみながらみんなの目覚めを待てるのは結構嬉しいな。
勿論楽しんでいるのは寝顔だけではないが。
宿で朝食を取って狩人ギルドへ。
クリーヌたちはエルハと迷宮位置について打ち合わせているので、暇なうちに銀の乙女について問い合わせてみたけど、まだ戻ってきていないらしい。
俺たちがボールクローグ入りした朝に迷宮に向かったらしいし、銀の乙女にはペルがいるから、大量のドロップアイテムを集めてるんだろうなぁ。
迷宮の討伐を優先しないと危険な状況だとは言っても、冒険者それぞれに生活があるんだ。
稼ぎを無視してでも討伐を優先しろなんていったら、誰も協力してくれなくなるかもしれない。
ボールクローグの存亡がかかっているのと同じで、冒険者には日々の生活がかかってるわけだ。無理強いは出来ない。
そこをギルドなりカルネジア家なりが補填してくれれば、迷宮の討伐ももっと捗るんだろうになぁ。
用意してもらった馬車に、それぞれ少し多めに食料を積む。
帰って来れなくなる事は想定していないが、節約すれば3日間は満腹になれる程度の食料は積んでおく。何事も用心用心。余った分はクリーヌが回収してくれることになっているので問題ない。
街の入り口でそれぞれ分乗する。俺はクリーヌとリーネ組だ。
俺がソロなので、御者の2人の戦力は高いほうが良いだろうという流れで決まった。
迷宮討伐なんだから、御者の戦力はあまり関係ない気もするが。
街からしばらく3台の馬車は並走していたが、迷宮が近付いたのか、それぞれ別方向に逸れていった。
昨日の感触からして、俺たちは1日に1つか2つは迷宮を落せるはずだ。最低1つ、時間があれば2つ討伐してくるつもりで潜る迷宮を選んでもらっている。
「着いた。前情報はなし。生まれたばかりで位置の確認だけしかされてない。多分昨日の迷宮よりも若いと思う」
迷宮って若いって表現するもんなんだろうか?
まぁ細かい事はどうでもいいか。要は昨日の迷宮よりも簡単だってことだからな。
今回はふわわとつららも馬車に残して完全なソロモードだ。
というか殆ど駆け抜けるつもりだから、あの2匹を連れていっても、ずっとフードに入れっぱなしにしておくしかないだろう。
なので、馬車に残して遊ばせてあげたほうがいいと判断した。
2匹の身体能力なら、多少外を歩き回っても危険はないだろうし。
「じゃあ早速行ってくるよ。みんなも気をつけてな」
これから迷宮に入る俺が言うセリフじゃないか?
目の前の階段を下りていく。
今回の迷宮は積層型迷宮だ。
駆け抜けるなら見通しの利く開放型迷宮のほうが向いてるんだけどなぁ。
ま、俺にとっては積層型はホームグラウンドと言っていいハズだ。いっちょ頑張ってみますか。
今日のコンセプトはなるべく戦わないことである。
昨日はパーティ探索だったので、遭遇した魔物は最低限殲滅していたのだけれど、今日は俺1人の探索だ。俺さえ攻撃を貰わなければ、魔物を倒す必要性は一切ない。
SPに関してもなぁ。
ベイクで60階層より先に潜っているんだから、今さら50階層にも満たない場所の魔物を狩っても仕方ないって感じちゃうんだよな。
だからなるべく武器も抜かず、両手を空けた状態でひたすら走る!
疲れたらリカバーもあるので万全だ。
走る。走る。
ただひたすらに走り抜ける。
一応トラップにだけは気をつけているけど、トラップを踏んでも立ち止まらなければ通過できるかもな。
遭遇した群れを如何に置き去りにするかを考えながら走り続ける。
スキルがなければ絶対に出せない走行速度が気持ちいい。
これはあれだな。簡単になったステージでマイルールを追加してやり直してるみたいなもんだな。縛りプレイっていうか。
漫然とする作業でも工夫1つでいくらでも楽しめるんだから、やっぱゲーム脳ってのは侮れないわ。自画自賛だけど。
もう何階層進んだかも覚えていないけど、唐突に迷宮の気配が変わった。
昨日見たのでもう知ってる。どうやら最下層に到達したようだ。
そのまま足を止めずに最深部までダッシュ。
でかい扉の前で止まって、魔法陣から魔物が出てきた瞬間に両断する。
何の魔物が出てきたか分からなかった。なんかゴメン。
「ダンゲルスヌーマ様。お疲れ様でしたっ」
ロングソードで迷宮神像を一閃し、迷宮殺しを完遂する。
出てきた心核を手に取ってミッションコンプリート。
心核に触れた瞬間迷宮の外に排出されるのも、なんとなくゲームっぽくて悪くないな。
馬車を見ると、今日もリーネは御者の指導を受けているようだ。
「……なんでもう出てきてる?迷宮は……?」
「んなの落として来たに決まってんでしょ。エルハに報告する必要があるならクリーヌさっさと確認してきてー。次の迷宮に案内してくれー」
クリーヌが馬車から飛び降りて、迷宮の消滅を確認しに行った。
「トーマお帰り……。昨日よりもかなり早いよ……?」
「そうだった?まぁ今日は魔物と一切戦ってないからね。流石にちょっと疲れたかも。
あ、リーネ。ちょっとお願いしていい?」
「え?トーマお願いって……?えっ?えっ?」
次の迷宮に向かう馬車の中で、リーネを背中から抱きしめる。
はーすんごい落ち着く。俺専用だきぐるみリーネだ。
流石にエロいことは自重するけど、迷宮内で張り詰めていた気持ちが弛緩していくのが自分でも分かる。
俺とリーネがくっついてるからか、ふわわとつららもすりすりしてきてめっちゃかわいい。
「トーマ……。う、嬉しいんだけど、凄く恥ずかしいよ……?」
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