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8章 異風の旋律
244 迷宮殺し
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「はぁっ!?もう迷宮を1つ殺してきたですって!?」
狩猟ギルドい報告に行くと、ギルドマスターのエルハにえらいびっくりされてしまった。
いや、そんなに難度高くないだろあそこ。多分銀の乙女でも1日で攻略できると思う。
「トーマさん。私が驚いてるのは速度なのよ。
確かに新しく生まれた迷宮は比較的弱い迷宮だけど、まさか日帰りで討伐してくるなんて聞いたことないわよ?」
む~?迷宮を殺せる腕があっても迷宮を殺すのには時間がかかるってことか?
俺と他の冒険者の違いってなんだ……?
「あ、もしかして、俺たちドロップアイテムをほぼ無視して駆け抜けたから、他の冒険者よりも早かったのかな?
スクロールと切り身くらいしか拾ってないし」
「ドロップアイテムを、拾ってない……???
……ねぇクリーヌ。本当にこの人たち迷宮殺しなの?」
「ん。それは間違いない。迷宮が消えて、魔力が天に昇っていたのは私も見た。少なくとも迷宮が1つ死んだことは疑いようがない」
クリーヌは若そうだけど、エルハに随分信用されてるんだな。
ソロだから無理をしないってだけで、結構優秀な狩人なのかもしれない。
「つうかあのレベルのダンジョンは俺らにはヌル過ぎるからさ。あと案内人と馬車を2つくらい用意できないかな?俺たち3手に分かれて迷宮討伐したいと思ってんだよね」
帰りの馬車で話し合ったのだが、リーンとトルネペア、シンとハルペア、そして俺がソロに分かれて迷宮討伐を進めるべきだという結論に至ったのだ。
「あ、それならウチの妹達を紹介できる。ただ馬車がない。
そこを用意してもらえれば、案内人としての腕は問題ないはず」
ほう!リス獣人の3姉妹だと!?
「ん?妹2人も案内人として活動できるなら、なんでクリーヌはソロで狩人やってんの?姉妹で組めばいいんじゃない?」
「妹たちはまだちょっとスキルが足りない。戦闘力に不安。だから普段は迷宮で魔物を狩ってる。
でも自分の身を守るくらいなら問題ないから、案内人は出来ると思う。貴方達の戦闘力に不安はなさそうだから」
なるほどな。確かに迷宮のほうがスキル獲得の効率はいいのか。金にもなるだろうし。
「つうわけでエルハ。馬車と馬を2つ用意できないかな?」
「……少人数が乗れればいいわけよね?それなら今日中に手配できると思うわ。
ただ、馬車の手配はこっちでやってあげるんだから、クリーヌたちへの依頼報酬は自分で払ってもらえるかしら?」
「あら?馬車の経費も払うつもりだったけど、まぁその条件で構わないよ。よろしく頼む」
「流石にこちら側からの協力要請だから、そのくらいはさせてもらうわよ。
じゃあクリーヌは明日の朝、御者が出来る者を連れて3人でギルドに顔を出してね。
せっかく異風の旋律の迷宮殺しが早くても、迷宮の位置情報がないと活かせないのだから」
よし、これで3手に分かれる案も採用できそうだ
話がついたので狩人ギルドを後にする。
「あ、トーマ。顔合わせも兼ねて、ウチで夕食どう?
場所を提供するから、食費は出して」
「ははっ、ちゃっかりしてんな。
構わないけど、この人数で押しかけて平気?」
「大丈夫。ウチは結構広い。なんなら泊まってってもいい」
リスの獣人視点で広いって言ってるわけじゃないよな?
もう宿は取ってあるから泊まる必要はないけど、顔合わせはしておくべきだよな。
ストレージ内に木の実は結構入ってるけど、それ以外の食材も適当に買い足してクリーヌの家に向かった。
「あらあらお客さんかい?クリーヌが客を連れてくるなんて珍しいねぇ。
ささ、入った入った!何もないところだけどゆっくりしておいきよ」
着いて早々中に引き込まれる。そして中は更にカオス。
沢山のリスの獣人があちこちで走ったり飛んだりしてる。
え、10人くらい居ない?全部リスの獣人なんだけど?ここ天国なのかな?
「姉ちゃんその人たち誰ー!?」
「人種のお客さんなんて珍しー!」
「姉さんとはどういう関係なのー!?」
だああああああうっせぇ!
果てしなく可愛いから許せるけど、子供ばっかなのかこいつらは!?
「この人たちは私の雇い主。追加で雇ってもらえるから失礼のないように」
追加で雇って、の辺りで一気に静かになってしまった。
なんというか……、教育が行き届いてますねぇ。
「トーマ。買ってきた食材出して。
木の実の食べ方はこの子達も知ってるから、夕飯が出来るまでは一緒に食べて待ってて」
クリーヌに食材を渡すと、4人くらいで夕食を作り始めたようだ。
手伝ってもいいんだけど、木の実と聞いて完全にロックオンされてしまったから逃げられそうもない。
「うおおおこんなに!?食っていいの!?」
「キュピの実もあるし、アズルもあるじゃん!」
「夕食前なんだから控えめにしろよー。夕食もいっぱい出てくると思うから。
食っていいけど、俺たちにも食い方教えてくれよな」
木の実のおかげで小さいリス獣人がめっちゃ纏わりついてくる。
ああ、素晴らしきモフモフ天国……。
いや、モフモフというよりはサラサラって感じの触り心地かな?
クリーヌの家は両親共にリスの獣人なので、子供もみんなリスの獣人らしい。
俺をこの家に引きずり込んだのが母親で、父親は大きな狩猟団に所属しているらしく今夜は不在。
子供たちは8人兄妹で、年齢が上から順に4人を追加で雇うことになった。
馬車1台につき2名の計算だ。クリーヌはリーネとセットで行動してもらい、狩人の技術指導をお願いしている。
報酬は1日金貨3枚ずつ。加えて、案内した迷宮の討伐に成功したら、追加報酬で金板1枚を馬車単位で渡す。
久々に果物とかいっぱい食ってちょっと満足。
余った分は全部置いてきた。また取ってきてもらえばいいだけだしね。
明日からの迷宮討伐は賑やかになりそうだなぁ。
狩猟ギルドい報告に行くと、ギルドマスターのエルハにえらいびっくりされてしまった。
いや、そんなに難度高くないだろあそこ。多分銀の乙女でも1日で攻略できると思う。
「トーマさん。私が驚いてるのは速度なのよ。
確かに新しく生まれた迷宮は比較的弱い迷宮だけど、まさか日帰りで討伐してくるなんて聞いたことないわよ?」
む~?迷宮を殺せる腕があっても迷宮を殺すのには時間がかかるってことか?
俺と他の冒険者の違いってなんだ……?
「あ、もしかして、俺たちドロップアイテムをほぼ無視して駆け抜けたから、他の冒険者よりも早かったのかな?
スクロールと切り身くらいしか拾ってないし」
「ドロップアイテムを、拾ってない……???
……ねぇクリーヌ。本当にこの人たち迷宮殺しなの?」
「ん。それは間違いない。迷宮が消えて、魔力が天に昇っていたのは私も見た。少なくとも迷宮が1つ死んだことは疑いようがない」
クリーヌは若そうだけど、エルハに随分信用されてるんだな。
ソロだから無理をしないってだけで、結構優秀な狩人なのかもしれない。
「つうかあのレベルのダンジョンは俺らにはヌル過ぎるからさ。あと案内人と馬車を2つくらい用意できないかな?俺たち3手に分かれて迷宮討伐したいと思ってんだよね」
帰りの馬車で話し合ったのだが、リーンとトルネペア、シンとハルペア、そして俺がソロに分かれて迷宮討伐を進めるべきだという結論に至ったのだ。
「あ、それならウチの妹達を紹介できる。ただ馬車がない。
そこを用意してもらえれば、案内人としての腕は問題ないはず」
ほう!リス獣人の3姉妹だと!?
「ん?妹2人も案内人として活動できるなら、なんでクリーヌはソロで狩人やってんの?姉妹で組めばいいんじゃない?」
「妹たちはまだちょっとスキルが足りない。戦闘力に不安。だから普段は迷宮で魔物を狩ってる。
でも自分の身を守るくらいなら問題ないから、案内人は出来ると思う。貴方達の戦闘力に不安はなさそうだから」
なるほどな。確かに迷宮のほうがスキル獲得の効率はいいのか。金にもなるだろうし。
「つうわけでエルハ。馬車と馬を2つ用意できないかな?」
「……少人数が乗れればいいわけよね?それなら今日中に手配できると思うわ。
ただ、馬車の手配はこっちでやってあげるんだから、クリーヌたちへの依頼報酬は自分で払ってもらえるかしら?」
「あら?馬車の経費も払うつもりだったけど、まぁその条件で構わないよ。よろしく頼む」
「流石にこちら側からの協力要請だから、そのくらいはさせてもらうわよ。
じゃあクリーヌは明日の朝、御者が出来る者を連れて3人でギルドに顔を出してね。
せっかく異風の旋律の迷宮殺しが早くても、迷宮の位置情報がないと活かせないのだから」
よし、これで3手に分かれる案も採用できそうだ
話がついたので狩人ギルドを後にする。
「あ、トーマ。顔合わせも兼ねて、ウチで夕食どう?
場所を提供するから、食費は出して」
「ははっ、ちゃっかりしてんな。
構わないけど、この人数で押しかけて平気?」
「大丈夫。ウチは結構広い。なんなら泊まってってもいい」
リスの獣人視点で広いって言ってるわけじゃないよな?
もう宿は取ってあるから泊まる必要はないけど、顔合わせはしておくべきだよな。
ストレージ内に木の実は結構入ってるけど、それ以外の食材も適当に買い足してクリーヌの家に向かった。
「あらあらお客さんかい?クリーヌが客を連れてくるなんて珍しいねぇ。
ささ、入った入った!何もないところだけどゆっくりしておいきよ」
着いて早々中に引き込まれる。そして中は更にカオス。
沢山のリスの獣人があちこちで走ったり飛んだりしてる。
え、10人くらい居ない?全部リスの獣人なんだけど?ここ天国なのかな?
「姉ちゃんその人たち誰ー!?」
「人種のお客さんなんて珍しー!」
「姉さんとはどういう関係なのー!?」
だああああああうっせぇ!
果てしなく可愛いから許せるけど、子供ばっかなのかこいつらは!?
「この人たちは私の雇い主。追加で雇ってもらえるから失礼のないように」
追加で雇って、の辺りで一気に静かになってしまった。
なんというか……、教育が行き届いてますねぇ。
「トーマ。買ってきた食材出して。
木の実の食べ方はこの子達も知ってるから、夕飯が出来るまでは一緒に食べて待ってて」
クリーヌに食材を渡すと、4人くらいで夕食を作り始めたようだ。
手伝ってもいいんだけど、木の実と聞いて完全にロックオンされてしまったから逃げられそうもない。
「うおおおこんなに!?食っていいの!?」
「キュピの実もあるし、アズルもあるじゃん!」
「夕食前なんだから控えめにしろよー。夕食もいっぱい出てくると思うから。
食っていいけど、俺たちにも食い方教えてくれよな」
木の実のおかげで小さいリス獣人がめっちゃ纏わりついてくる。
ああ、素晴らしきモフモフ天国……。
いや、モフモフというよりはサラサラって感じの触り心地かな?
クリーヌの家は両親共にリスの獣人なので、子供もみんなリスの獣人らしい。
俺をこの家に引きずり込んだのが母親で、父親は大きな狩猟団に所属しているらしく今夜は不在。
子供たちは8人兄妹で、年齢が上から順に4人を追加で雇うことになった。
馬車1台につき2名の計算だ。クリーヌはリーネとセットで行動してもらい、狩人の技術指導をお願いしている。
報酬は1日金貨3枚ずつ。加えて、案内した迷宮の討伐に成功したら、追加報酬で金板1枚を馬車単位で渡す。
久々に果物とかいっぱい食ってちょっと満足。
余った分は全部置いてきた。また取ってきてもらえばいいだけだしね。
明日からの迷宮討伐は賑やかになりそうだなぁ。
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