異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

文字の大きさ
上 下
270 / 580
8章 異風の旋律

240 情報収集

しおりを挟む
「つうわけで、今日からボールクローグへ向かおう。
 事態の解決までは基本的に向こうで滞在。メンバーは異風の旋律にリーネを加えた6名だ。
 マーサは何かあったらカンパニー資金でゲート利用して会いに来てくれ。
 一応5日程度ごとに、こっちに顔出しはする予定だ」


 朝食を食べながら、スカーさんとの会話をみんなに報告する。


「迷宮が急激に発生しているっていうのは、正直理解に苦しむところだけれど……。
 アリスの能力を考えれば、迷宮を人為的に発生させることも不可能ではない、っていう話にも説得力はあるよね」

「3等級以上に協力要請が出ているのに迷宮討伐が追いついてないってのも不安だねー。
 いったいどのくらいの速度で迷宮が増えているのか、しっかり把握しておきたいよねー」

「仮に人為的なものであったとして、原因の究明なんて出来るんでしょうか?異邦人を見つけたら片っ端から識別を受けさせる、とか?」

「うん。異邦人が原因だとしたら、特殊なスキルを持っている可能性が高いもんね。
 問題はどうやって異邦人を見つけるかだよね。黒髪とは限らないし」

「迷宮殺しでは役に立てないと思うけど、迷宮の外で手伝えることはあるよね……。
 一緒に行く以上、私もなにか役に立ってみせるからね……!」


 あとは現地に行ってみないとなんとも言えない所だな。

 迷宮殺しへの協力か。
 あまり他のパーティと連携するのって気が進まないんだけど、一体どうなることやら。


「じゃあご飯を食べたら早速出発だ。向こうに着いたらスカーさん辺りが接触してくるかもしれないけど、まずはスキル神殿に行ってスキルを取得しておこう。
 それが済んだら情報収集と現場への協力って感じかな。
 ヴェルトーガでの一件のこともある。異邦人が関わっているとしたら街中でも気を抜かないように」


 リーネに全員分のジェネレイトをかけてもらい、ゲートでボールクローグへ向かう。


「気をつけないと気付かないけど、少し街が騒がしく感じられるね」


 シンに言われて周りを見てみたけど、俺にはあんまり違いが分からない。シンはどこを見て騒がしいと判断したんだろ?


「確かに以前来たときと比べて武装している人が多いねー。それに迷宮じゃなくて街の外に向かっていく人も多いっぽいかなー?」


 あ、センパイ。解説ありがとうございます。


「うん。迎えとかはないみたいだね。なら忙しくなる前にスキル神殿に行っておきたいかな」

「そうですね。協力したあとは身動きが取れなくなる可能性もありますし、早速行きましょう」


 だな。それじゃあまずは予定通り祝福の儀を受けてこようか。




「やっぱり私は何も覚えられないかぁ……」


 識別まで終えたところでリーネがボヤいている。ま、リーネは前回の祝福の儀から魔物と戦ってないんだからしゃーない。


 皆は今回『攻撃範囲拡張:大』と『任意発動スキル強化』の2つを取得。ハルはそれに加えて『魔法薬作成』と『錬金術』も取得。仲間はずれは嫌なんだそうだ。
 
 俺は『攻撃範囲拡張:大』と『任意発動スキル強化』の2つに加えて、『魔力自然回復強化』と『魔法付加』の2つを取得。合計で220000SPが消し飛んだ。
 五感強化も気になるけれど、今回は他のスキルが必要すぎてSPが回せなかった。次回はぜひ狙って行きたい所だ。
 
 新しく表示されたスキルはこちら。



◆◆◆◆◆◆

『常時発動スキル強化』 (必要SP1000000)
常時発動型スキルの効果を高めることが出来る。
一部スキル対象外。


取得条件
自然治癒力強化、魔力自然回復強化、任意発動スキル強化の3つを取得すること。

◆◆◆◆◆◆



 必要SP100万ってのは流石に多すぎると思わなくもないけど、常時発動スキルの強化は強力すぎるもんなぁ。というか、最上位スキルみたいな位置付けになってそう。


 無事祝福の儀を済ませたので冒険者ギルドに向かう。そういえばボールクローグの冒険者ギルドって初めてだっけ。


「おう新顔か?ボールクローグに良く来たな。冒険者ギルドへは何の用だ?」

「俺たちは異風の旋律ってパーティなんだけど、俺たち宛てに依頼か伝言ないかな?」


 ムサい男性職員に確認してみる。


「じゃあちょっと身分証貸してくれ。
 ……ふむ、何もないみたいだな。待ち合わせかなにかか?」

「そんなところだよ。
 ボールクローグで人手が足りないから手伝ってくれって言われてきたんだけど、いったいなにが起きてるんだ?」

「お、応援の人員なのか。でも6等級かぁ。まぁ人手はいくらでも必要だわな。
 今よぉ。何故かボールクローグ近郊で、新しい迷宮が生まれまくってんだよ。
 だから迷宮を間引くために、多くの冒険者に力を貸してもらってるってぇわけだ。
 5等級、6等級の奴等は自由に動いていいぞ。上級の奴等が迷宮を殺しきるまでに、少しでも魔物を間引いてくれりゃあ充分だ」


 お、自由に動けるのはありがたいな。
 しかしあまり深刻そうな雰囲気を受けないな。切羽詰ってる感じじゃないのか?

 タイデリア家だけが危機感を募らせているのか、ボールクローグの住人の危機感が足りないのか。


「勝手に入ったら駄目な迷宮とか、優先して入るべき迷宮とかないのか?
 それと迷宮の位置情報とかも教えて欲しいんだけど」

「あぁん?外の迷宮は上級連中とカルネジア家のほうで対応してっから心配すんなって。
 6等級は大人しく街の中の迷宮で稼ぐんだな。欲をかくと死んじまうぞ?」


 ……自由に動いていいってそういう意味かよっ!


「そっか。まぁ俺を呼んだ相手を探してみるよ。じゃあね」

 
 これ以上話しても意味が無さそうだったので、会話を打ち切る。


「タイデリア家から依頼入ってると思ったんだけどな。冒険者ギルドでもこれ以上の収穫は無さそうだし、銀の乙女と連絡取ってみっか」

「そうだね。ここに居ても拉致があかない。
 銀の乙女は狩人3等級のメンバーもいるって言ってたから、詳しい話を聞いてるんじゃないかな。
 逆に言えば、拠点を留守にしている可能性もありそうだけど」


 んー、最悪なんの収穫もなかったら、ベイクに帰って迷宮に潜った方が良さそうだな。
 なんの情報も得られず動くに動けないのなら、時間の無駄でしかない。

 銀の乙女の拠点の場所は分かっているので、街を出て拠点に向かった。

 しかし街から結構離れてるよなぁ。ペルのためとはいえ、団員はそれなりに苦労してそうだ。


「ごめんくださーい!誰かいるー!?」


 音魔法で拡声までして挨拶したのに反応がない。どうやら留守っぽいか?


「んー銀の乙女も留守かなー?
 どうしようか。一旦街に戻るー?」

「無駄足でしたか。なんだか街にも緊張感がありませんし、あまり大変な状況になってるようには見えませんよね」

「うん。スカーさんの話だと一刻を争うってニュアンスだったのに、現地ではそこまで切羽詰ってないみたいだよね」

「んー、それじゃあボールクローグに戻って宿を確保して、銀の乙女に伝言を残しつつ、ボールクローグを観光でもするか。
 ぶっちゃけベイクに帰りたい気分ではあるけどな」


 ゲートを贅沢に使ってボールクローグにとんぼ返り。宿を確保して、冒険者ギルドと狩人ギルドに伝言を頼むことにする。


「ちょっと待ってくれ!あんたトーマさんか!?この前銀の乙女に依頼出した人だよな!?」


 前回来た時に銀の乙女を紹介してくれた狩人ギルドの職員さんが、俺たちに声をかけてきた。


「今ボールクローグは大変なんだよ!悪いけど話を聞いてくれないかな!?」


 あら?なんだか予想外の方向から話が進みそうな気配。

 迷宮関連だと思って冒険者ギルドにしか行かなかったのは失敗だったか。
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!! 「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

処理中です...