異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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7章 更なる強さを求めて

203 ホムロ

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「……トーマの言い分も分かるけど、本当に危険じゃないの?
 言いたくはないけど、トーマが居なくなったら、異風の旋律も、旋律の運び手も崩壊しちゃうと思うよ?」

「全く危険がないってわけじゃないけど、みんなと行ったことのある階層にしか行かないつもりだよ。
 それにアホイツァもソロで行けてる様な場所に俺が行けないと思うと悔しいじゃん?」

「トーマっ!私今さらトーマの居ない世界でなんて生きていけないんだからねっ!?
 トーマが死んだら私とトルネも死ぬと思って!
 絶対に生きて帰って来ないと許さないからねっ!」

「まぁ今のトーマがハロイツァに劣るとも思えませんから大丈夫だとは思いますけど。
 リーンの言うとおりですからね?必ず帰ってきてくださいよ?」

「うん。せっかくこっちの生活が楽しくなってきたんだからさ。
 つまんないポカやって水差すのだけはやめてよね?」

「俺だって死ぬつもりはねぇって。
 ただディオーヌ様からの情報の件もあるからな。少しでも強くなっておきたいと思ってね」


 散々文句は言われたものの、最終的には了承してもらえた。
 ほんと、良い仲間に恵まれたもんだ。


「それじゃあ行ってみますか51階層!」


 装備の更新には時間がかかりそうだし、50階層は全く問題がなくなったので、今日から深階層域に挑むことにした。
 ただし、1日1階層ペースで進むことにする。

 マーサにはなるべく早くと言われたけど、あっちに行ってしまうとどの程度時間を取られるかわからない。
 仲間達も1日全く探索しないのは困るっていうことで、51階層を2度ほど探索してからミルズレンダに行く予定である。


 51階層に新たに出現する魔物は『群魔獣人ラッシュコボルト』。普通のコボルトが9階層で出現したのに、上位種が出るまで随分長かったなぁ。
 通常のコボルトと比べて群れの規模が大きく、知性があるけど非常に攻撃的で、群れ全体で連携して襲ってくる。体術の水準も高く、更にはフレイムアローとエアスラッシュを使いこなす。
 レイジードッグとの組み合わせが多少厄介かな、といった感じの魔物だ。

 なまじ知性があるためハルを集中攻撃したがる傾向があり、シンの逆鱗に触れて返り討ちで殲滅されるパターンが多い。

 ドロップ品は『コボルトの眼球』。キモいと思うけど、上級暗視ポーションや暗視の魔導具などに必要な素材とのこと。暗視ポーションにこんなの入ってたのか、と深く考えるのはよして、お値段280リーフ。

 
 それと51階層からはグランドドラゴンがモブに格下げされたらしく、普通に複数体出現する。まぁ今さら複数体出てこられても何の問題も無いので、単純に稼ぎ効率が良くなるだけなのだが。


 1回の探索で600SPちょっと稼げた。50階層の時は540くらいだったから相当増えたな。
 やっぱりグランドドラゴンの討伐数が増えたことが大きいような気がする。

 50階層と比べても探索時間はさほど変わりなしといった所か。予定通り2回探索を済ませて、ミルズレンダに行く前に装備のメンテナンスをしにホムロの店に行く。


「ホムロ。ミルズレンダを出たがっている職人と会ってさ。異風の旋律のお抱えになってもらう予定だから。
 もしかしたら、俺たちが店を利用するのはこれで最後になるかもしれない。一応報告しとくよ」

「そうか。まぁ仕方ねぇよ。俺の店じゃ、それ以上の装備品は用意してやれねぇからな。
 旋律の運び手の奴等の面倒まで見るってんなら商売敵になるが、その辺どうなんだ?」

「その人はシルバーライト級とか言っててね。旋律の運び手のメンバーには、まだちょっと勿体無い職人さんだから。
 将来的に、俺たちのようにホムロの店を卒業することがあったら、その職人さんに見てもらうことになると思う」

「……シルバーライト級の職人をミルズレンダから引き抜けんのかよ?
 まったく、トーマにゃあ毎回驚かされるな」

「そんでさ、その人からダーティ素材の一般的な扱われ方ってもんを、教えてもらったんだよ」

「……ふん、それで?」


 このぶっきらぼうだけど面倒見の良い武器屋が居なかったら、素手で迷宮に入らないと行けなかったかも知れないし、長らくお世話になったダーティストーンのウォーハンマーだって手にする事は出来なかっただろう。


「今までありがとうホムロ。ホムロにはずっと世話になりっぱなしだったよ。
 迷宮に入った最初の最初から世話になってたなんて、今まで知らなかった。感謝してる」

「……けっ、こっちはこっちの考えで商売したってだけだ。
 金を持ってねぇ客を無視して金を持ってる客だけを相手にすりゃあ楽だがよ。それじゃあ将来性ってモンがねぇ。
 テメェがやってることと同じだよトーマ。稼ぎの少ねぇ駆け出し冒険者を追い出すんじゃなくて、そいつらが稼げるようになるまで世話してやったほうが、結局は大儲け出来るって話だ。
 くくく、他ならぬテメェが、俺の考えが正しかったことを証明してみせてくれたみてぇだな。
 始めは銀貨すら払えなかった癖しやがってよ。1年と待たずに最高級品を買っていってくれたわけだ。しかも5人分だぜ?
 くくく、ガーッハッハッハ!!
 テメェには本当に面倒かけさせられたがよ。結局は全部報われたってことだぜ!
 テメェらがいなくなった分は、旋律の運び手の連中の将来性を考えれば釣りがくるってもんだぜ!」


 いつもぶっきらぼうなホムロが大笑いしたところなんて初めて見たな。


「くっくっく。いやぁトーマよ。つまんねぇこと気にしなくていいんだぜ?
 テメェのおかげで今はベイクはすげぇ好景気でな?めちゃくちゃ金が回ってんだよ!近々城壁の拡張も工事も検討されてるってんだからよ。とんでもねぇことなんだぜこれは。
 テメェがベイクで出会った奴等に、今までなにをしてもらってきたのか知らねぇけどよ。テメェはとっくに、貰ったもん以上をベイクに還元してんだよ。
 ま、感謝してぇなら勝手にすりゃ良いがな。俺は便乗して稼がせてもらうだけだからなぁ?ガーッハッハッハ!!」

「はは、なら精々稼いでくれよ。
 ああ、その職人さんがホムロと話してみたいって言ってたんだけど、ベイクに連れてきたら紹介していいか?」

「お、おいいいのか!?シルバーライト級の職人に会わせてくれるなんて願ってもねぇよ!
 こっちから頼みてぇくらいだぜ!いつでも歓迎するって伝えておいてくれ!」


 はは、すげぇはしゃぎっぷり。子供かよ全く。
 まったく、ホムロもめんどくさいおっさんだよなぁ。

 最後に、リーネ用の銀板級の全身装備と武器を注文して、俺はホムロの店を出るのだった。
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