異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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7章 更なる強さを求めて

178 入社説明会?④ 戦えない者

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 質問してきた女性は、そこまで年取ってるようには見えない。見えないんだけど、疲れ切ってるうえに自信がないのも加わって、年齢以上に老けている印象を受けてしまうな。
 恐らくまともに食事も出来ていないのか、体もガリガリに痩せ細っていて、見るからに不健康で縁起が悪そうな印象を受ける。長髪だけど白髪交じりの茶髪っていうのもまた、老け顔に拍車をかけている


「迷宮に潜れないってのは、実際どの程度の話なんだ?
 魔物と戦わずに、ポーターとしてなら働けるのか、迷宮に入ることすら出来ないのか。
 迷宮に入ることも出来ないくらいだとしたら、なんで入れないか説明は出来るだろうか?」


 魔物を殺すことに対して忌避感がある程度なら、ポーターとして雇うという道は残されているわけだが。
 彼女の境遇を考えると、恐らくポーターすら無理なほうなのかもな。


「……迷宮に入ることも、出来ません。
 理由は私にもわからない。わからないんです……。
 迷宮に入ると気持ち悪くなって、どうしても迷宮に留まることが出来ないんです……」


 やっぱ入ることすら無理なケースか。まぁそれならそれで、迷宮の外で働いてもらえばいいだけだ。


「なるほど。迷宮に入れないのは理解した。
 じゃあ何か特別な技術とか、得意なこととかある?それと読み書きは出来るんだろうか?」

「な、なにもないです……。特別な技術も、読み書きも、なにも出来ません。なにも出来ないんです……」

「うーん、そっか。じゃあカンパニーに参加してから教えることになるかなぁ。その歳で1から新しいことを覚えるのは少し大変だと思うけど、俺が冒険者を始めたのも35歳からだし、問題ないでしょ」

「……え?」

「まずは読み書きと、調理補助かな?出来れば計算も覚えて欲しいと思うし、家事は一通り出来るようになってもらいたいところだな」

「えっと、えっと、ちょっと、ちょっと待ってください……」

「あ、あと迷宮には入らなくてもいいから、戦闘訓練は受けてもらうからね。魔物と戦う機会は無くても、最低限自分の身を守る技術は身につけて欲しいんだ。運動したほうが健康にもいいし」

「待ってください!!!私戦えないんですよ!?迷宮に入れないんです!!」


 おおう、今まで音魔法で声拾ってたのに、いきなり大声出すからびっくりしたわ。


「いや聞いたよ?だから迷宮に入らなくても出来る仕事を考えて……」

「だからそうじゃない!私戦えないの!!スキルも覚えられないの!!!私がいたら、貴方にも、他の人にも迷惑がかかるって言ってるの!
 でも私は迷宮に入ることすら出来ない!呪われた人間なの!!
 私だって参加したい!助けて欲しい!でも私が参加したらみんなに迷惑がかかっちゃうの!!私は呪われてるんだから!!!この世界に嫌われているんだから!!!」


 今までのか細い声が嘘だったかのように、腹の底から搾り出すような大声で彼女は叫び続けた。

 世界に呪われている、嫌われている、ねぇ。

 スキルと迷宮資源で成り立っているリヴァーブ王国らしい価値観と言えるかもしれないけど、アリスの事象復元を知った後だと、迷宮に入れないくらい可愛いもんだとしか思わないな。

 それにこの世界には迷宮の外でも活動している魔物がいるはずなんだよね。まだ見たこと無いけど。
 迷宮に入れないだけなら、生涯スキルを獲得できないと確定したわけじゃない。

 リンカーズの価値観では、迷宮に入れなければ全否定されるんだろうけど、異邦人の俺からしたら迷宮に入るのなんて選択肢の1つでしかない。
 不労所得が充分に期待できるようになったら、冒険者引退してスローライフってのも悪くないと思ってるし。


「お前の言い分は分かったけど、結局はカンパニーへの参加表明ってことでいいんだよな?
 ぶっちゃけると、お前の言い分なんて俺にはどうでも良いんだよ。
 うちのメンバーの経歴も笑えるほど酷いのばっかりだぜ?
 いきなり全く知らない場所に、たった1人で放り出された奴もいるし、悪者に嵌められて犯罪奴隷にされちまった奴もいるし、家族にずっと虐待され続けてきた奴もいる。
 そして俺は、お前のなんか目じゃないほどの、世界を滅ぼす可能性があるほどの呪いってやつにも触れたことがあってね。迷宮に入れない程度、俺にとっては全くどうでも良いんだよ。
 俺にとって重要なのは、俺のカンパニーに参加したいっていう意志だけだ。参加したいなら参加すればいい。お前の呪いなんてぜんっぜん大したことがないって思うようになるぜ」


 迷宮に拘らなければ将来性がないとも言い切れない。まぁ苦労してきたのは想像に難くないけど、お前の人生観を俺に押し付けられても困るわ。


「ねぇねぇトルネ。これって多分やっちゃったよねー?」

「でしょうね。これはまぁ、私のときに近いんじゃないですか?」

「うん。苦労した期間も長そうだし、私も彼女の気持ちは分かるなぁ」


 うちの女性陣が何か言ってる。

 ちょ!シンはスルーしてふわわとつららと遊んでやがる!混ざりたいんですけど!?


「参加したい……!参加させてください!もう嫌、もう嫌なの!
 私だって普通に生きてみたい!知らない人に指を指されて笑われたくない!普通に生きたいだけなのに!誰にも迷惑なんてかけてないのに!ただ生きているだけなのに!!
 お願いします!私もカンパニーに、カンパニーに参加させてください!」

「いやいや、だから参加希望なら受け入れるっつってんじゃん。
 今なにも出来ないなら、これから何でも覚えていきゃいいだけの話だから。
 お前自身のやる気がなくならない限り、カンパニーの中の居場所がなくなることはないって約束してやるよ」


 スキルが覚えれないったって、魔法を覚える分には問題ないだろうしな。
 コイツにも生活魔法を覚えさせて、とりあえずリンシアさんのサポートをしてもらうのがいいかもな。
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