196 / 580
7章 更なる強さを求めて
172 年長の貧困層
しおりを挟む
「はー、一気に45階層まで行っても被弾してねぇとか、長らく10階層で止まってた意味が分からなくなってくるな。
ほらよ。武器の整備は終ったぞ。まぁ武器の方も大きな損傷はねぇみたいだけどな」
防具のメンテをしないのは珍しいらしい。そもそも盾役がいないパーティからして珍しいらしいけど。
防具の補修費用は武器よりも高額になる場合が多く、武器屋の大きな収入源となっているそうだ。
「正直盾役も欲しくなってはきてるんだよね。勿論装備の更新も考えてるんだけどさ。
職人都市ミルズレンダだっけ。ホムロには知り合いの装備職人とかいない?なんの当てもなく職人を探すよりは、紹介してもらえると助かるんだけど」
「ああ。これでも武器屋やってんだ。知り合いの職人は何人も居るぜ。
ただなぁ……、あそこの職人たちはなんつうか、変わりモンっていうか頑固な奴が多くてな。自分の顧客は自分の目で判断しねぇと気がすまねぇって奴ばっかりなんだよ。下手に俺が紹介してやったら、それだけでへそを曲げかねねぇめんどくさい奴等なんだよな」
「うわ、じゃあ結局自分たちで探すところから始めないといけないのか……」
「勿論商工ギルドで仲介はしてくれると思うぜ。予算だったり等級だったり、客の要望に合わせた技量の職人ってのはあるからな。
まぁある程度時間が出来たら、とりあえず実際にいってみるしかねぇと思うぜ」
く、次に取るスキルは攻撃範囲拡張のつもりだったけど、頻繁に空間魔法を使えるように、魔力量増加:中を取った方がいい気がしてきたな。どちらにしてもまだSP足らないけど。
ホムロの店を出て、救貧院でクレーレさんに会う。
「こちらの受け入れ態勢が少し整いました。8~10人泊まれる家が4つあります。栄光の運び手を夜に説明にやりますので、彼らの話を聞いた上でカンパニーに所属しても良いって子を、追加で預かろうと思います」
「ああ、思った以上に早い進展で、なんともありがたいお話です。
それでトーマさんに1つお聞きしたいのですが、受け入れてくれるのは子供だけでしょうか?院を出た後も生活が安定せずに何年も苦労している子もいるのです。そういった子たちの援助もして頂けないですか?」
大人の生活困窮者?それって結局やる気次第で脱落した奴ってことじゃないのか?やる気無い奴の面倒まで見る気はないんだけど。
「年齢制限などを設けてはいません。単純に年少者の方が支援が必要だと思ったので、子供から引き取っているだけですね。
ただ、年長者で生活が安定していない人ってどういう人たちなのでしょうか?俺はやる気のない奴まで面倒を見る気はありません。その人たちがどうして生活に困窮しているのか、理由を教えてください」
「そうですね……。ある子は、何年も迷宮に潜って、ようやく溜めたお金でスキル神殿を利用したのですが、スキルを得られなかったことに絶望して、心が折れてしまいました。またある子は、人と上手く馴染めずにパーティを組むことが出来ず、1人で苦しんでいます。
そしてリーネは……。ある子は、迷宮で戦うことが出来ず、スキルを覚えることも、迷宮で魔物を討伐してお金を稼ぐことも出来ません。
ベイク、いえリヴァーブ王国ではスキルが全てです。将来的にもスキルを覚えられる可能性が無いあの子は、端仕事をこなすことで、なんとか食い繋いでいる状態ですね。
今まで、将来性のない彼女に手を差し伸べてくれる人は居ませんでした。やっぱりトーマさんも、戦えない者は助けてもらえないでしょうか……」
……そういう事情か。そういえばオーサンも、たまに魔物と戦えない奴が出るって以前言ってたもんな。
あらゆる職業にスキルが必要なこの世界で、魔物と戦えないのはかなりのハンデだ。お金さえあるなら、護衛を雇って迷宮に入るという手もあるんだろうが、救貧院出身者って時点で、護衛を雇う余裕などないだろう。
スキルを持たない、戦意のない人材の活用法か。これって実は重要なんじゃないか?
今後地球から沢山の異邦人が送られてきたとして、その全員が好戦的というわけではないだろう。魔物と戦わない道というのを模索しておいた方がいい気がするな。無駄な騒動を回避できる可能性がありそうだ。
「魔物と戦えなくても構いませんよ。カンパニーの規則を守ってくれるなら問題ありません。
それじゃあその人たちも、今日の日没後に救貧院に来てもらうことって出来ますか?同じ説明を何度もするよりは、一度で済ませたいですし。
あ、こちらの受け入れ限界もありますので、希望者全てを即時受け入れられるわけではないのは、事前に伝えておいて貰えますか?受け入れ態勢が整い次第受け入れていくつもりではありますが」
「ええ、間違いなく伝えておきます。無理にとは言いませんが、何卒宜しくお願いしますね」
大人の生活困窮者については、今まであんまり考えたことが無かったなぁ。
救貧院を出て、迷宮に向かう。
「なぁ。因みに魔物と戦えない人って、実際どういう扱いを受けてるんだ?」
「そうだねぇ……。僕も実際に知り合いがいるわけじゃないから、聞いた話になるよ?
まず冒険者と違って迷宮で稼ぐことが出来ない。だから他の食い扶持を探さないといけないんだけど、戦えない者ってリヴァーブ王国では嫌われ者だからね。あまり良い仕事を回してもらえないんだ。
家族がいれば助け合うことも出来るんだろうけれど、救貧院出身者ではそれもないだろうしね。
それに戦えない者って、その心が子供にも引き継がれるって考えられてるし、縁起の悪い存在として認識されてるんだ。だからたとえ女性の場合でも、体を売って稼いだり、愛妾となって養ってもらうっていう道もまずありえないんだ。
救貧院を出て数年も生活できているのが不思議なくらいだと思う」
魔物の脅威に常に晒されているリヴァーブ王国らしい価値観なのかもしれないが、戦えない者は生きる資格はないってことは、絶対にないはずだ。
つうかカンパニーの運営とか、戦わなくても出来る仕事はいくらでもあるんだよな。むしろ眠ってる優秀な人材とかいるかもしれない。
まだ掘り返されてない人材を発掘できる可能性。ちょっとワクワクしなくもない。
ほらよ。武器の整備は終ったぞ。まぁ武器の方も大きな損傷はねぇみたいだけどな」
防具のメンテをしないのは珍しいらしい。そもそも盾役がいないパーティからして珍しいらしいけど。
防具の補修費用は武器よりも高額になる場合が多く、武器屋の大きな収入源となっているそうだ。
「正直盾役も欲しくなってはきてるんだよね。勿論装備の更新も考えてるんだけどさ。
職人都市ミルズレンダだっけ。ホムロには知り合いの装備職人とかいない?なんの当てもなく職人を探すよりは、紹介してもらえると助かるんだけど」
「ああ。これでも武器屋やってんだ。知り合いの職人は何人も居るぜ。
ただなぁ……、あそこの職人たちはなんつうか、変わりモンっていうか頑固な奴が多くてな。自分の顧客は自分の目で判断しねぇと気がすまねぇって奴ばっかりなんだよ。下手に俺が紹介してやったら、それだけでへそを曲げかねねぇめんどくさい奴等なんだよな」
「うわ、じゃあ結局自分たちで探すところから始めないといけないのか……」
「勿論商工ギルドで仲介はしてくれると思うぜ。予算だったり等級だったり、客の要望に合わせた技量の職人ってのはあるからな。
まぁある程度時間が出来たら、とりあえず実際にいってみるしかねぇと思うぜ」
く、次に取るスキルは攻撃範囲拡張のつもりだったけど、頻繁に空間魔法を使えるように、魔力量増加:中を取った方がいい気がしてきたな。どちらにしてもまだSP足らないけど。
ホムロの店を出て、救貧院でクレーレさんに会う。
「こちらの受け入れ態勢が少し整いました。8~10人泊まれる家が4つあります。栄光の運び手を夜に説明にやりますので、彼らの話を聞いた上でカンパニーに所属しても良いって子を、追加で預かろうと思います」
「ああ、思った以上に早い進展で、なんともありがたいお話です。
それでトーマさんに1つお聞きしたいのですが、受け入れてくれるのは子供だけでしょうか?院を出た後も生活が安定せずに何年も苦労している子もいるのです。そういった子たちの援助もして頂けないですか?」
大人の生活困窮者?それって結局やる気次第で脱落した奴ってことじゃないのか?やる気無い奴の面倒まで見る気はないんだけど。
「年齢制限などを設けてはいません。単純に年少者の方が支援が必要だと思ったので、子供から引き取っているだけですね。
ただ、年長者で生活が安定していない人ってどういう人たちなのでしょうか?俺はやる気のない奴まで面倒を見る気はありません。その人たちがどうして生活に困窮しているのか、理由を教えてください」
「そうですね……。ある子は、何年も迷宮に潜って、ようやく溜めたお金でスキル神殿を利用したのですが、スキルを得られなかったことに絶望して、心が折れてしまいました。またある子は、人と上手く馴染めずにパーティを組むことが出来ず、1人で苦しんでいます。
そしてリーネは……。ある子は、迷宮で戦うことが出来ず、スキルを覚えることも、迷宮で魔物を討伐してお金を稼ぐことも出来ません。
ベイク、いえリヴァーブ王国ではスキルが全てです。将来的にもスキルを覚えられる可能性が無いあの子は、端仕事をこなすことで、なんとか食い繋いでいる状態ですね。
今まで、将来性のない彼女に手を差し伸べてくれる人は居ませんでした。やっぱりトーマさんも、戦えない者は助けてもらえないでしょうか……」
……そういう事情か。そういえばオーサンも、たまに魔物と戦えない奴が出るって以前言ってたもんな。
あらゆる職業にスキルが必要なこの世界で、魔物と戦えないのはかなりのハンデだ。お金さえあるなら、護衛を雇って迷宮に入るという手もあるんだろうが、救貧院出身者って時点で、護衛を雇う余裕などないだろう。
スキルを持たない、戦意のない人材の活用法か。これって実は重要なんじゃないか?
今後地球から沢山の異邦人が送られてきたとして、その全員が好戦的というわけではないだろう。魔物と戦わない道というのを模索しておいた方がいい気がするな。無駄な騒動を回避できる可能性がありそうだ。
「魔物と戦えなくても構いませんよ。カンパニーの規則を守ってくれるなら問題ありません。
それじゃあその人たちも、今日の日没後に救貧院に来てもらうことって出来ますか?同じ説明を何度もするよりは、一度で済ませたいですし。
あ、こちらの受け入れ限界もありますので、希望者全てを即時受け入れられるわけではないのは、事前に伝えておいて貰えますか?受け入れ態勢が整い次第受け入れていくつもりではありますが」
「ええ、間違いなく伝えておきます。無理にとは言いませんが、何卒宜しくお願いしますね」
大人の生活困窮者については、今まであんまり考えたことが無かったなぁ。
救貧院を出て、迷宮に向かう。
「なぁ。因みに魔物と戦えない人って、実際どういう扱いを受けてるんだ?」
「そうだねぇ……。僕も実際に知り合いがいるわけじゃないから、聞いた話になるよ?
まず冒険者と違って迷宮で稼ぐことが出来ない。だから他の食い扶持を探さないといけないんだけど、戦えない者ってリヴァーブ王国では嫌われ者だからね。あまり良い仕事を回してもらえないんだ。
家族がいれば助け合うことも出来るんだろうけれど、救貧院出身者ではそれもないだろうしね。
それに戦えない者って、その心が子供にも引き継がれるって考えられてるし、縁起の悪い存在として認識されてるんだ。だからたとえ女性の場合でも、体を売って稼いだり、愛妾となって養ってもらうっていう道もまずありえないんだ。
救貧院を出て数年も生活できているのが不思議なくらいだと思う」
魔物の脅威に常に晒されているリヴァーブ王国らしい価値観なのかもしれないが、戦えない者は生きる資格はないってことは、絶対にないはずだ。
つうかカンパニーの運営とか、戦わなくても出来る仕事はいくらでもあるんだよな。むしろ眠ってる優秀な人材とかいるかもしれない。
まだ掘り返されてない人材を発掘できる可能性。ちょっとワクワクしなくもない。
1
お気に入りに追加
394
あなたにおすすめの小説

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。


Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる