異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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7章 更なる強さを求めて

172 年長の貧困層

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「はー、一気に45階層まで行っても被弾してねぇとか、長らく10階層で止まってた意味が分からなくなってくるな。
 ほらよ。武器の整備は終ったぞ。まぁ武器の方も大きな損傷はねぇみたいだけどな」


 防具のメンテをしないのは珍しいらしい。そもそも盾役がいないパーティからして珍しいらしいけど。
 防具の補修費用は武器よりも高額になる場合が多く、武器屋の大きな収入源となっているそうだ。


「正直盾役も欲しくなってはきてるんだよね。勿論装備の更新も考えてるんだけどさ。
 職人都市ミルズレンダだっけ。ホムロには知り合いの装備職人とかいない?なんの当てもなく職人を探すよりは、紹介してもらえると助かるんだけど」

「ああ。これでも武器屋やってんだ。知り合いの職人は何人も居るぜ。
 ただなぁ……、あそこの職人たちはなんつうか、変わりモンっていうか頑固な奴が多くてな。自分の顧客は自分の目で判断しねぇと気がすまねぇって奴ばっかりなんだよ。下手に俺が紹介してやったら、それだけでへそを曲げかねねぇめんどくさい奴等なんだよな」

「うわ、じゃあ結局自分たちで探すところから始めないといけないのか……」

「勿論商工ギルドで仲介はしてくれると思うぜ。予算だったり等級だったり、客の要望に合わせた技量の職人ってのはあるからな。
 まぁある程度時間が出来たら、とりあえず実際にいってみるしかねぇと思うぜ」


 く、次に取るスキルは攻撃範囲拡張のつもりだったけど、頻繁に空間魔法を使えるように、魔力量増加:中を取った方がいい気がしてきたな。どちらにしてもまだSP足らないけど。

 ホムロの店を出て、救貧院でクレーレさんに会う。


「こちらの受け入れ態勢が少し整いました。8~10人泊まれる家が4つあります。栄光の運び手を夜に説明にやりますので、彼らの話を聞いた上でカンパニーに所属しても良いって子を、追加で預かろうと思います」

「ああ、思った以上に早い進展で、なんともありがたいお話です。
 それでトーマさんに1つお聞きしたいのですが、受け入れてくれるのは子供だけでしょうか?院を出た後も生活が安定せずに何年も苦労している子もいるのです。そういった子たちの援助もして頂けないですか?」


 大人の生活困窮者?それって結局やる気次第で脱落した奴ってことじゃないのか?やる気無い奴の面倒まで見る気はないんだけど。


「年齢制限などを設けてはいません。単純に年少者の方が支援が必要だと思ったので、子供から引き取っているだけですね。
 ただ、年長者で生活が安定していない人ってどういう人たちなのでしょうか?俺はやる気のない奴まで面倒を見る気はありません。その人たちがどうして生活に困窮しているのか、理由を教えてください」

「そうですね……。ある子は、何年も迷宮に潜って、ようやく溜めたお金でスキル神殿を利用したのですが、スキルを得られなかったことに絶望して、心が折れてしまいました。またある子は、人と上手く馴染めずにパーティを組むことが出来ず、1人で苦しんでいます。
 そしてリーネは……。ある子は、迷宮で戦うことが出来ず、スキルを覚えることも、迷宮で魔物を討伐してお金を稼ぐことも出来ません。
 ベイク、いえリヴァーブ王国ではスキルが全てです。将来的にもスキルを覚えられる可能性が無いあの子は、端仕事をこなすことで、なんとか食い繋いでいる状態ですね。
 今まで、将来性のない彼女に手を差し伸べてくれる人は居ませんでした。やっぱりトーマさんも、戦えない者は助けてもらえないでしょうか……」


 ……そういう事情か。そういえばオーサンも、たまに魔物と戦えない奴が出るって以前言ってたもんな。
 あらゆる職業にスキルが必要なこの世界で、魔物と戦えないのはかなりのハンデだ。お金さえあるなら、護衛を雇って迷宮に入るという手もあるんだろうが、救貧院出身者って時点で、護衛を雇う余裕などないだろう。

 スキルを持たない、戦意のない人材の活用法か。これって実は重要なんじゃないか?
 今後地球から沢山の異邦人が送られてきたとして、その全員が好戦的というわけではないだろう。魔物と戦わない道というのを模索しておいた方がいい気がするな。無駄な騒動を回避できる可能性がありそうだ。


「魔物と戦えなくても構いませんよ。カンパニーの規則を守ってくれるなら問題ありません。
 それじゃあその人たちも、今日の日没後に救貧院に来てもらうことって出来ますか?同じ説明を何度もするよりは、一度で済ませたいですし。
 あ、こちらの受け入れ限界もありますので、希望者全てを即時受け入れられるわけではないのは、事前に伝えておいて貰えますか?受け入れ態勢が整い次第受け入れていくつもりではありますが」

「ええ、間違いなく伝えておきます。無理にとは言いませんが、何卒宜しくお願いしますね」


 大人の生活困窮者については、今まであんまり考えたことが無かったなぁ。
 救貧院を出て、迷宮に向かう。


「なぁ。因みに魔物と戦えない人って、実際どういう扱いを受けてるんだ?」

「そうだねぇ……。僕も実際に知り合いがいるわけじゃないから、聞いた話になるよ?
 まず冒険者と違って迷宮で稼ぐことが出来ない。だから他の食い扶持を探さないといけないんだけど、戦えない者ってリヴァーブ王国では嫌われ者だからね。あまり良い仕事を回してもらえないんだ。
 家族がいれば助け合うことも出来るんだろうけれど、救貧院出身者ではそれもないだろうしね。
 それに戦えない者って、その心が子供にも引き継がれるって考えられてるし、縁起の悪い存在として認識されてるんだ。だからたとえ女性の場合でも、体を売って稼いだり、愛妾となって養ってもらうっていう道もまずありえないんだ。
 救貧院を出て数年も生活できているのが不思議なくらいだと思う」


 魔物の脅威に常に晒されているリヴァーブ王国らしい価値観なのかもしれないが、戦えない者は生きる資格はないってことは、絶対にないはずだ。
 つうかカンパニーの運営とか、戦わなくても出来る仕事はいくらでもあるんだよな。むしろ眠ってる優秀な人材とかいるかもしれない。


 まだ掘り返されてない人材を発掘できる可能性。ちょっとワクワクしなくもない。
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