異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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7章 更なる強さを求めて

167 逸る気持ち

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 探索を終えて冒険者ギルドに戻る。栄光の運び手のメンバーが居ないな?


「おうトーマ。ガキ共は早めに戻ってきたから、訓練して待ってるってよ。地下訓練場に居るぜ」


 なるほど。僅かな時間を見つけてーって奴だな。やる気があるのはいいことだ。

 今回から、換金1回ごとに異風の旋律のメンバーはカンパニー用口座に金貨5枚ずつ入金することにした。換金の度に25万リーンずつ入金されていく。今は1日2回の探索なので、1日50万リーンずつ溜まっていく計算だ。当面の運営費としては余裕があるはずだ。
 まぁ今回は、スキル神殿3回分の利用料金である金貨18枚をここから払うから、金貨7枚、7万リーンしか残らないけども。

 スクロールは、持ってない魔法はパーティ内で消費して、余った魔法は全て売却してしまう。栄光の運び手にスクロールまで融通してやるつもりはない。俺たちと彼らはあくまで別パーティなのだ。

 訓練場に行き、子供たちと合流する。 


「おーしみんな、これから移動するから付いてきてくれ。っとその前に全員に洗浄だな」


 いくら免疫力上昇と環境適応を持っているとはいえ、清潔を保てるならそれに越したことはないからな。メンバーで手分けして18人の洗浄を済ませ、スキル神殿に向かう。


「話は聞いている。トーマ殿はすっかりベイクスキル神殿のお得意様になったな。人数が多いので、7~8人に分けて3回祝福の儀を行うことにしようか」

「急な話で悪かったけど、よろしく頼むよグレンガ」


 金貨18枚を支払い案内してもらう。祝福の儀や識別はもっと大人数で行う場合もあるらしいし、グレンガにはあまり負担にならないのかな?少なくとも3回連続でも魔力切れの心配はないようだし。


「な、なぁトーマ。本当に俺たちも祝福の儀を受けていいのか?もしスキルが得られなかったら、金貨3枚無駄にするんだぜ?」

「も、もしスキルを覚えれなくっても、私頑張るから!カンパニーから追い出さないで!」


 卑屈か!まぁ俺もリンカーズに来て、スキル神殿の初利用まで50日くらいかかったから、金貨3枚、識別合わせて6枚の重みは理解してるけどさ。


「追い出さねーって。心配しなくて良いっつうの。スキル神殿の利用料を出してやるのは今回だけだ。次からは自分たちで利用しろよ。
 仮に、今回スキルが覚えられなくったって、そんなことで放り出したりしないから」


 暗視と魔装術までは確定で取れると思うけどな。


「ラーゼリアよ!大いなるその力を今ここに示し給え!」


 異風の旋律は3度目の祝福の儀を一緒に受けることにする。
 
 俺の現在SPは428。残念ながら1つもスキルは覚えられない。
 500SPで取るとしたら魔力範囲拡張:中だろうか。ストレージの容量が増えるからね!

 欲しいと思う攻撃範囲拡張は2000SPだし、魔力量増加:中も1500SPが必要だ。思考加速と明言されている深層集中もかなり興味があるが、こちらも2000SPとコストが重い。
 ただ今のペースだと、1日250SPは稼げそうだから、時間さえかけることができれば着実にスキルを獲得していけるはずだ。頼むからなにも問題起きないでくれよぉ?切実に。


「リーゼリアよ!大いなるその力を今ここに示し給え!」


 識別って俺やハルは受けなくていいと思ってたけど、メンバーにスキル情報を共有するためには必要なんだよな。結局スキル神殿の利用料金は金貨6枚かかるということだ。仕方ない。


「ふぅ、流石に少々骨が折れた。今回も識別の書の説明はトーマ殿からして欲しい。ワシは疲れたので休みたいのだ。頼むぞ。
 それではこれで、祝福の儀、識別の両儀式の終了とする。お主たちが神の恩寵を賜れたであろうことを祝福する」


 グレンガは少し疲労を感じさせる足取りで去っていった。


「じゃあ各自スキルを確認してくれ。見せたくないやつは見せなくていいが、暗視と魔装術が取れてないやつが居たら教えてくれ。こっちのメンバーは適当に確認すっか。先に言っておくけど、俺は今回なにも覚えてないからな」


 今回俺はなにもなし。シンとリーンは『身体能力強化』が小から中になっている。500SP溜まってたのね。これで基本性能は俺とほぼ同じになったと言える。
 トルネは少し特殊で、『精神安定』と『瞬間加速』を覚えたようだ。リンカーズの住人の場合、スキルを取得する順番ってどうやって決まるんだろ?ランダムだったりするのか?
 そして今回520SP以上溜まっていたハルは、『魔法範囲拡張:小』『身体能力強化:小』『魔力探知』『魔力量増加:小』『集中』『精神安定』まで覚えることが出来た。これでかなり違いが出てくるだろう。次回の祝福の儀では瞬間加速を取ることも可能だ。


「来ました!私にも瞬間加速が来ましたよ!これで、これでトーマに一矢報いてみせます!」


 俺じゃなくて敵に使って欲しいんですよトルネさんや。

 ふわわとつららは今回も仲良く『魔力量増加:小』を取得している。そろそろ本気で魔装術用の装備を用意してあげる必要がありそうだな。

 栄光の運び手のメンバーも、全員無事に暗視と魔装術を取得できた模様。人によって身体強化だったり魔力量増加だったり、魔法範囲拡張だったりを追加で覚えているみたいだ。やっぱランダムに取得してるのかな?規則性あるんだろうか。


「よし、1回訓練場行こうか。今日のうちに魔装術の使い方教えてやったほうがいいだろ。トルネも模擬戦したくてウズウズしてるみたいだしな」


 全員識別の書を処分して、改めて冒険者ギルドの訓練場に移動する。流石にもう少しで日が暮れそうだ。


「ふふふ。今日こそ覚悟してもらいますよトーマ!」

「お前になにがあったんだよ……?
 悪いけど栄光の運び手のみんなに魔装術教えてやってくれ。魔力切れは起こさせなくていいから」


 他のみんなに栄光の運び手の面倒を頼んで、改めてトルネと向き合う。


「行きますよ!」


 トルネは槍のように細長い棍棒を使用するようだ。すっかりメインは槍になったんだなぁ。
 木剣で棍棒を捌きつつ、槍の間合いを掻い潜る隙を探す。

 頭部を狙ったなぎ払いをしゃがんで躱し、そのままトルネに踏み込む。トルネはバックステップしながら、突きの体勢に入った。ここだな。


「なっ!?」


 カン!と乾いた音が響く。トルネの渾身の突きは、俺の木剣に阻まれる。
 瞬間加速を覚えたてで使いこなしたのは流石のセンスだけど、狙いがあからさま過ぎてバレバレだ。それに瞬間加速中は思考も置いていかれているので、軌道の修正も出来ないからわりと読みやすい。

 自分が使えるスキルの対抗策を講じておくのは当たり前だろ。
 
 瞬間加速使用直後は、思考が現状を認識するまで一瞬時間がかかる。その隙に距離を詰めて、トルネの白い首筋にちょっとだけ木剣を当てる。


「初めてなのにいきなり瞬間加速を使いこなしてて凄いと思う。トルネがスキルを使い慣れてれば、こんなに簡単には決められなかった。トルネも強くなってるな」


 木剣を下ろしてトルネの頭をなるべく優しく撫でる。


「ううう……。流石に逸り過ぎました。まずはスキルに慣れたいと思いますぅ……」


 今回は上手く捌けたけど、瞬間加速の使い手と模擬戦出来るのはありがたいな。訓練の質が上がりそうだ。


「そういえば静かだけど魔装術は……、ってナニコレ?」


 栄光の運び手のメンバーが18人全員ぶっ倒れている。なにゆえ?


「あー……。忠告はしたんだけどね。みんな初めての魔装術に舞い上がっちゃったみたいで、魔力切れ起こしちゃったみたい……」


 シンが少しばつの悪そうな顔をしている。

 はは、そりゃそうか。スキルを覚えたら使ってみたいよな。

 トルネも子供達も、気持ちが抑えられなかったのか。
 ま、それなら仕方ない。きっと最高に興奮したんだろうなぁ。
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