異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

文字の大きさ
上 下
185 / 580
7章 更なる強さを求めて

161 自立を促す

しおりを挟む
 フレイムアローはハル。エアスラッシュはトルネが覚えた。シンは既に覚えているし、リーンはスネークソードで事足りる、俺はみんなが覚えた後で良い、ということでトルネに決定。
 槍を使いながらでも斬撃を飛ばせるようになって、立ち回りにも幅が出そうだ。


「オーサンと話した感じ、カンパニーを作るには他のパーティとも絡まなきゃいけないみたいだから、そいつらと話すまでは保留だな。
 目的としては、相互扶助の精神で自力救済を補助するってところか。
 俺もそうだったけどさ、結局始めのときが一番辛くて、3階層過ぎたあたりからは大分ラクになったんだよね。だから3~5階層くらいまでのあたりを助けてやれれば充分かなって思ってる。
 まぁ上手く行ったら行ったで新しい問題は起こってくると思うけどさ。例えば5階層でも魔物が足りなくなっちゃうー、とかか?
 でもその辺は、立ち上げが上手くいってから考えれば良いかなって思ってる」

 なんか自分でも上手く言語化しきれないんだけどな。仲間に話しているうちに考えがまとまってくれると良いんだけど。我ながら見切り発車すぎて呆れる。


「ふむ。トーマがしたいことはなんとなくだけど伝わったよ。で、具体的にどんな活動をするかっていうのは考えてあるのかな?」

「ああ、今考えてるのは戦いの技術を教えること、余裕がない者への衣食住を補助してやること、迷宮の知識を提供すること、とかかな。
 例えば1階層のマッドスライム狩りだったり、暗視の取得条件の開示だったりとか。
 本当はスキル獲得条件は教えたくないんだけど、暗視が獲得できないといつまで経っても先に進めないからな。仕方ないので暗視までは教えようと思う。
 今後異邦人が増えるほどに、スキル獲得の条件は広まっていくだろうしな」

「んー?それだとトーマの負担が多すぎないー?っていうかトーマになにもいいことがないんじゃないかなー?オーサンみたいに私財を投げ打って子供を救いたくなったー?」

「んなわけねぇだろ。ちゃんと金は取るよ。というかちゃんと仕事としてシステム化しないと後が続かないからな。流石に最初は俺が金を出す場面もあるだろうけどさ」

「えっと、相手は困窮してるんですよね?そんな子供達がお金を払ってくれますかね?払えたとしても、殆ど儲けにならないのでは?」

「儲けはあまり気にしてないけど、そもそも入り口で詰まってる冒険者ってさ、鉱脈みたいなもんなんだよ。稼げないから負債になってるのであって、迷宮資源が半永久的に採取出来るなら、活用してやればお金を生む力になると思うんだよね。そしてお金が稼げるなら自立できる。俺がやりたいのはそこまでを補助することかな」

「うん。私も1人のままだったら、スキルの獲得までにどれくらい時間がかかったか分からない。だけどみんなのおかげで順調に力をつけることが出来ているんだもんね。
 自力で這い上がるのは大変だけど、誰かの後押しがあるなら難易度は凄く下がる。自立したあとは独立しても構わないわけだし」


 ハルは自分に置き換えてイメージしたようだ。お金が盗まれなかったとしても、この世界で安定した生活をするためにどれほどの期間が必要だったかと考えると、理解しやすいんだろうな。


「この世界って、トレポール様とかいう神様が人口に応じてお金を生み出しているわけだから、基本的に産めよ増やせよの精神で子供作るんだよな。だから常に救貧院は満員になるくらい子供が溢れていて、年齢が高い順から追い出されてる。自立の準備が出来ていなくてもな。
 それに誰もが迷宮に入る世界だから、親が死んで孤児になる、迷宮孤児の数も相当多いわけだろ?出来ればそこを変えたいんだよなぁ。
 それにさぁ……」


 ぐるっと仲間の顔を見渡す。俺だけおっさんで、みんなは11~16歳だもんな。


「俺以外の異風の旋律のメンバーって、みんな若いじゃん?でさ、迷宮孤児や救貧院を追い出される奴らも、みんなと年がそんなに離れてないんだ。
 私情が入っちゃうんだけどさ。みんなと同年代の子が苦しんでいるのを何とかしたいって思うんだよね。おっさんとしてはさ。
 オーサンみたく自分を投げ打ってまで助ける気はないし、向上心がないやつなんか勝手に沈んでればいいと思う。でも今の状況は子供達にとって不利すぎると感じるんだよ。
 魔物の脅威があるのに、戦える人材を育成しないってのは大人の怠慢だと思う。若い子たちが力をつけるのは、必ず将来に生きてくると思うんだ」


 人類の生存圏拡張とかやってるくせに人材の育成はしないなんて、国の方針事態があべこべに感じるんだよな。ここに何らかの意図があるのか、神様が適当に設定したのか……。
 なんか後者のような気がして仕方ない。


「要は困ってる人を助けたいってことでしょー?難しいこと考えないで普通に助けてあげればいいじゃない。トーマったらひねくれ者なんだからー」


 リーンは呆れたご様子だ。いやいや、俺は保護者になんかなるつもりないから。あくまで自立支援までしかする気ないっすから。


「現状を変えたいってことだよね。僕もトーマに会うまでは苦労したなぁ。確かに若い冒険者にとって、今の状況は問題があるよね」


 シンなんか2階層で死にかけたわけだしな。シンとリーンは生きているけど、浅い階層で命を落す子供って少なくないと思うんだよ。あまり考えたくはないけどさ。


「そうですね。私の年齢ならまだしも、リーンくらいの年齢で自立をと言われても厳しいでしょう。そこに頼れる何かがあるなら、子供達にもかなりの助けになるでしょうね」


 16歳でも日本人の感覚だと子供なんだけどな。こっちは10歳にはもう迷宮入るから、大人と子供の基準が違う。というか、貴族は知らないけれど、一般市民には成人という概念も特にないらしい。


「うん。私もみんなに会えなかったと思うとゾッとするよ。私みたいな子供達が沢山いるなら、私も助けてあげたいって思う。生涯面倒を見てあげる気は勿論ないけど、せめて自立を促すくらいは、ね」


 戦力的にも経済的にも多少は余裕ができた、今だからこその発想ではあるんだろうけどな。負担にならない程度なら、周りに手を伸ばしてみても良い時期だろう。

 自分の戦力アップを疎かにするわけにはいかないけどね。
 攻略を進めつつ、出来る範囲で手を広げていこう。
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

貧弱の英雄

カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。 貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。 自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる―― ※修正要請のコメントは対処後に削除します。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!! 「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

処理中です...