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6章 波乱のヴェルトーガ
153 空間魔法習得
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「というわけで、ちょっとばっかり落ち込んでいたわけですわ」
屋敷であった出来事、アリスの能力について仲間に説明する。みんなの反応はない。
全員で死力を尽くして掴み取った勝利。そう思っていたら、実は出来レースでしたー。だもんなぁ。
「うん。……まさかとは思うんだけど、私がみんなと出会ったのも、アリスの能力の代償だった、り……?
だって、ヴェルトーガの人たちはみんな親切だった。あのとき偶然お金を盗まれて、偶然怖い店員さんでびっくりしちゃって、偶然路地裏に連れて行かれるのをみんなに見つけて貰えたから、みんなと知り合えたんだし……」
「今思えばだけど、あの店員さんもちょっとおかしかったかもねー……。警備隊の人呼んで来るのにも抵抗無かったし、お金を貰ったらあっさりハルを解放して、その後接触もなしー。なんであの時ハルを路地裏に引っ張って行ったのか。ハルに乱暴するような素振りも、全然無かったのに、ねぇ」
「まさかとは思うけど、彼らがお金をなくして犯罪者に身を落としたのまで、アリスの事象復元の代償だったというのかな…・・・。勿論彼女達の思慮の無さや、短絡的な行動が根本ではあったのだろうけど……。
銀貨70枚をたった1日で使い切ってしまったと聞いたときは、なんて後先考えずに行動してるんだと思ったけど、今となっては責められないかもね。最早どこまでが代償なのかすら分からない」
「運命に干渉すると言われても、正直理解できているか怪しいです。ただこれがもし能力の代償であったのなら、あまりにも危険すぎることだけは理解できました。私達も異邦人達も、干渉があったことに気付くことさえ出来ない能力。制御は出来ませんが、悪用ならいくらでも出来そうです」
そして何より、アリス自身が代償に無知で無頓着なのがどうしようもないよな。このことすら能力の代償なんじゃないのかと疑ってしまう。
「こんな話を、会議室に2日間缶詰にされてあと、解放された一番気が抜けた瞬間に聞かされたんだよ。流石に頭がパンクしちゃったわ。リーンとトルネのおかげで落ち着いたよ。2人とも改めてありがとうな。
アリスの能力についてはディオーヌ様にちゃんと説明済みだから、あの人なら上手く封じ込めてくれると願おうぜ」
「ふふふー毎回もっと甘えていいんだよー?めいっぱい甘やかしてあげるんだからっ」
「普段からあんな感じでお願いします。もう融けちゃうくらい甘えてください。トーマにはまだまだ甘えが足りません!」
うん。年長の俺がちゃんと自省しないとだめだな。駄目人間一直線になりそう。リーンとトルネと、融けそうなくらい甘々なイチャイチャ生活ってのも心惹かれるけど、それを守れる自信がないうちに沈むわけには行かない。
「うん。シンが甘えたくなったら私に甘えてね!これでもトーマより長く生きた経験もあるし!」
「いやいや甘やかさないでよ。僕はまだまだ強くなりたいんだ。勿論ハルにだってもっと強くなって貰いたいし」
「それじゃアリスの話は終わり。ここからは報酬の話に移ろう。
異風の旋律への指名依頼は正式に完了した。まずはメンバー1人当たり白金板1枚、合計白金板5枚が支払われる。
追加報酬の空間魔法は、4種類を1枚ずつ貰ってきたぞ。ゲート、スキップ、ジャンプ、ストレージの4種類だ」
「はぁ。トーマといると金銭感覚がおかしくなるよ。ディオーヌ様は本当に気前がいいね。情報提供の報酬は、その中に含まれてると言われても何も不満はないかな」
「ハルにも口座を作ってもらって、5等分に分配しような。
そんでスクロールはどうしようか?覚えたい魔法とかあれば、出来るだけ希望に沿うけど」
「僕は別に覚えたい物はないかな。空間魔法は扱いが難しいらしいし、使いこなす自信がないよ。トーマが全部覚えちゃってもいいんじゃない?」
「私もいらないかなー?前は色んなところに行ってみたかったけど、今はトーマと一緒じゃないと意味無いしー?それならトーマに覚えてもらって、私はトーマについていけばいいだけだからねー。
それに空間魔法の消費魔力ってかなり大きいらしいから、私達の中では一番魔力が多いっぽいトーマが覚えるのが、異風の旋律としても運用しやすいんじゃないかなー」
「私も要りませんね。以前ならどこか遠くへ、と思っていましたけど。今の私にとっては、みんなのいる場所が帰る場所ですから。
それにトーマが覚えたら、なにか変わった使い方を思いつくかもしれませんし」
「うん。私は興味津々だけど、魔力量的に役に立てないかな。
迷宮でドロップする可能性はあるんだから、次の機会を期待する。トーマ使っちゃってよ」
「マジで?なら遠慮なく全部使っちゃうぜ?後から文句言うなよ?」
どうぞどうぞ、となんか某お笑い芸人みたいな流れでスクロールの所有権を譲られた。ありがたや~。
長距離移動
長距離の移動を目的とした、空間魔法の1つ。
術者を起点、転移結晶を終点として、2点の空間を魔力を代償にして接続する。
物質が、接続された空間を通過するごとに、追加で魔力が消費される。
追加される消費魔力量は、後続になるにつれ増加する。
屋外出なければ使用できない。
通過する物質の量、接続された空間の距離によって消費魔力が増減する。
うえ~、人数が増えるほど、1人当たりの消費魔力も増えていくのか。確かに縛りきついなこれ。
跳躍
迷宮の階層移動を目的とした、空間魔法の1つ。
術者を起点、各階層の入り口を終点として、2点の空間を魔力を代償にして接続する。
物質が、接続された空間を通過するごとに、追加で魔力が消費される。
魔物に敵視、補足されている間は使用できない。
迷宮内でのみ使用可能。到達したことのない階層は対象外。
普通にショートカットですね。戦闘中は使用できないと。当たり前だけど行ったことない階層にはいけない。ヴェルトーガ迷宮からベイクの迷宮に飛んだりとかも無理だろな。
収納
物質の収納を目的とした、空間魔法の1つ。
魔力を代償に、外界からの干渉を受けない特別な収納空間を展開する。
時間経過、状態変化、温度変化は外界と変わらず継続される。
収納空間では物質は固定される。
生物は収納対象外。植物は一部対象外。
物質を収納空間に入れるたびに魔力を消費する。
物質を収納空間から取り出すたびに魔力を消費する。
収納した物質の重量は外界に干渉しなくなる。
他の空間魔法の影響、干渉を受けない。
ついに、ねんがんのあいてむぼっくすをてにいれたぞ!
説明文多くて分かりにくいけど、物を出し入れするたびに魔力消費するのね。それと時間経過は普通にすると。物質固定って、要は水が零れないとかそういうことかな。
収納内の重量は感じなくなって、他の空間魔法の影響を受けないってのは、地味にありがたいっぽい。ゲートでの消費魔力に影響しないってことだもんな。
短距離転移
短距離を瞬時に移動することを目的とした、空間魔法の1つ。
術者の魔力を代償に、短距離を瞬時に移動する。
対象は術者のみ。他者を巻き込んで移動することは出来ない。
他者に干渉、拘束状態では使用できない。
実際に移動可能な場所にしか移動出来ない。
移動中はありとあらゆる影響、干渉を受けない。
短距離の定義は試してみないと分からないけれど、もしかしたらスカーさんが内田と小木を止めた時って、これ使われてたのかもね。移動中は干渉を受けないってことは、緊急回避にも使えそうか。
実際に移動できる場所とか、拘束中は使用できないとかで、悪用するのは難しそうな制限つけられてるな。まぁ悪用する気はないけど。
この世界で犯罪者になると、スカーさんレベルの人に命を狙われるってことでしょ。絶対嫌だわ。もし将来的に強くなれたとしても、気が休まらない生活なんて送りたくないわ。
さて、依頼も達成したし、空間魔法も手に入ったし、もうヴェルトーガに残る必要もないかな?
屋敷であった出来事、アリスの能力について仲間に説明する。みんなの反応はない。
全員で死力を尽くして掴み取った勝利。そう思っていたら、実は出来レースでしたー。だもんなぁ。
「うん。……まさかとは思うんだけど、私がみんなと出会ったのも、アリスの能力の代償だった、り……?
だって、ヴェルトーガの人たちはみんな親切だった。あのとき偶然お金を盗まれて、偶然怖い店員さんでびっくりしちゃって、偶然路地裏に連れて行かれるのをみんなに見つけて貰えたから、みんなと知り合えたんだし……」
「今思えばだけど、あの店員さんもちょっとおかしかったかもねー……。警備隊の人呼んで来るのにも抵抗無かったし、お金を貰ったらあっさりハルを解放して、その後接触もなしー。なんであの時ハルを路地裏に引っ張って行ったのか。ハルに乱暴するような素振りも、全然無かったのに、ねぇ」
「まさかとは思うけど、彼らがお金をなくして犯罪者に身を落としたのまで、アリスの事象復元の代償だったというのかな…・・・。勿論彼女達の思慮の無さや、短絡的な行動が根本ではあったのだろうけど……。
銀貨70枚をたった1日で使い切ってしまったと聞いたときは、なんて後先考えずに行動してるんだと思ったけど、今となっては責められないかもね。最早どこまでが代償なのかすら分からない」
「運命に干渉すると言われても、正直理解できているか怪しいです。ただこれがもし能力の代償であったのなら、あまりにも危険すぎることだけは理解できました。私達も異邦人達も、干渉があったことに気付くことさえ出来ない能力。制御は出来ませんが、悪用ならいくらでも出来そうです」
そして何より、アリス自身が代償に無知で無頓着なのがどうしようもないよな。このことすら能力の代償なんじゃないのかと疑ってしまう。
「こんな話を、会議室に2日間缶詰にされてあと、解放された一番気が抜けた瞬間に聞かされたんだよ。流石に頭がパンクしちゃったわ。リーンとトルネのおかげで落ち着いたよ。2人とも改めてありがとうな。
アリスの能力についてはディオーヌ様にちゃんと説明済みだから、あの人なら上手く封じ込めてくれると願おうぜ」
「ふふふー毎回もっと甘えていいんだよー?めいっぱい甘やかしてあげるんだからっ」
「普段からあんな感じでお願いします。もう融けちゃうくらい甘えてください。トーマにはまだまだ甘えが足りません!」
うん。年長の俺がちゃんと自省しないとだめだな。駄目人間一直線になりそう。リーンとトルネと、融けそうなくらい甘々なイチャイチャ生活ってのも心惹かれるけど、それを守れる自信がないうちに沈むわけには行かない。
「うん。シンが甘えたくなったら私に甘えてね!これでもトーマより長く生きた経験もあるし!」
「いやいや甘やかさないでよ。僕はまだまだ強くなりたいんだ。勿論ハルにだってもっと強くなって貰いたいし」
「それじゃアリスの話は終わり。ここからは報酬の話に移ろう。
異風の旋律への指名依頼は正式に完了した。まずはメンバー1人当たり白金板1枚、合計白金板5枚が支払われる。
追加報酬の空間魔法は、4種類を1枚ずつ貰ってきたぞ。ゲート、スキップ、ジャンプ、ストレージの4種類だ」
「はぁ。トーマといると金銭感覚がおかしくなるよ。ディオーヌ様は本当に気前がいいね。情報提供の報酬は、その中に含まれてると言われても何も不満はないかな」
「ハルにも口座を作ってもらって、5等分に分配しような。
そんでスクロールはどうしようか?覚えたい魔法とかあれば、出来るだけ希望に沿うけど」
「僕は別に覚えたい物はないかな。空間魔法は扱いが難しいらしいし、使いこなす自信がないよ。トーマが全部覚えちゃってもいいんじゃない?」
「私もいらないかなー?前は色んなところに行ってみたかったけど、今はトーマと一緒じゃないと意味無いしー?それならトーマに覚えてもらって、私はトーマについていけばいいだけだからねー。
それに空間魔法の消費魔力ってかなり大きいらしいから、私達の中では一番魔力が多いっぽいトーマが覚えるのが、異風の旋律としても運用しやすいんじゃないかなー」
「私も要りませんね。以前ならどこか遠くへ、と思っていましたけど。今の私にとっては、みんなのいる場所が帰る場所ですから。
それにトーマが覚えたら、なにか変わった使い方を思いつくかもしれませんし」
「うん。私は興味津々だけど、魔力量的に役に立てないかな。
迷宮でドロップする可能性はあるんだから、次の機会を期待する。トーマ使っちゃってよ」
「マジで?なら遠慮なく全部使っちゃうぜ?後から文句言うなよ?」
どうぞどうぞ、となんか某お笑い芸人みたいな流れでスクロールの所有権を譲られた。ありがたや~。
長距離移動
長距離の移動を目的とした、空間魔法の1つ。
術者を起点、転移結晶を終点として、2点の空間を魔力を代償にして接続する。
物質が、接続された空間を通過するごとに、追加で魔力が消費される。
追加される消費魔力量は、後続になるにつれ増加する。
屋外出なければ使用できない。
通過する物質の量、接続された空間の距離によって消費魔力が増減する。
うえ~、人数が増えるほど、1人当たりの消費魔力も増えていくのか。確かに縛りきついなこれ。
跳躍
迷宮の階層移動を目的とした、空間魔法の1つ。
術者を起点、各階層の入り口を終点として、2点の空間を魔力を代償にして接続する。
物質が、接続された空間を通過するごとに、追加で魔力が消費される。
魔物に敵視、補足されている間は使用できない。
迷宮内でのみ使用可能。到達したことのない階層は対象外。
普通にショートカットですね。戦闘中は使用できないと。当たり前だけど行ったことない階層にはいけない。ヴェルトーガ迷宮からベイクの迷宮に飛んだりとかも無理だろな。
収納
物質の収納を目的とした、空間魔法の1つ。
魔力を代償に、外界からの干渉を受けない特別な収納空間を展開する。
時間経過、状態変化、温度変化は外界と変わらず継続される。
収納空間では物質は固定される。
生物は収納対象外。植物は一部対象外。
物質を収納空間に入れるたびに魔力を消費する。
物質を収納空間から取り出すたびに魔力を消費する。
収納した物質の重量は外界に干渉しなくなる。
他の空間魔法の影響、干渉を受けない。
ついに、ねんがんのあいてむぼっくすをてにいれたぞ!
説明文多くて分かりにくいけど、物を出し入れするたびに魔力消費するのね。それと時間経過は普通にすると。物質固定って、要は水が零れないとかそういうことかな。
収納内の重量は感じなくなって、他の空間魔法の影響を受けないってのは、地味にありがたいっぽい。ゲートでの消費魔力に影響しないってことだもんな。
短距離転移
短距離を瞬時に移動することを目的とした、空間魔法の1つ。
術者の魔力を代償に、短距離を瞬時に移動する。
対象は術者のみ。他者を巻き込んで移動することは出来ない。
他者に干渉、拘束状態では使用できない。
実際に移動可能な場所にしか移動出来ない。
移動中はありとあらゆる影響、干渉を受けない。
短距離の定義は試してみないと分からないけれど、もしかしたらスカーさんが内田と小木を止めた時って、これ使われてたのかもね。移動中は干渉を受けないってことは、緊急回避にも使えそうか。
実際に移動できる場所とか、拘束中は使用できないとかで、悪用するのは難しそうな制限つけられてるな。まぁ悪用する気はないけど。
この世界で犯罪者になると、スカーさんレベルの人に命を狙われるってことでしょ。絶対嫌だわ。もし将来的に強くなれたとしても、気が休まらない生活なんて送りたくないわ。
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