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6章 波乱のヴェルトーガ
147 異風の旋律の初依頼⑥ 大穴に潜入
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「トーマーーー!!」「やりすぎだよ!!」「なにしてんですかーーー!」
リーン、シン、トルネにキレられる。正直すまんかった。
「いやホントごめん!みんな怪我ないか?」
「その前にトーマさん。敵はどうなりました?」
「ああ、確実に殺してきた。スカーさんとテッドさんも、申し訳無い!」
「お前、6等級じゃねぇのかよ……?トーマまで敵に回らなくて、まじで良かったぜ……」
「私は死体の確認をしてまいります」
スカーさんが、未だ土煙の消え切っていないクレーターを進んでいく。そんなに大きい物ではないけど、見た目はクレーター。
地面の強度は分からないけど、ガス爆発でも起きたみたいになってる。
深さは1メートル弱、範囲は2~3メートルくらい?スキルと魔法効果が乗ってるとはいえ、これを個人で出来る異世界、半端ねぇ。そして、爆心地にいても耐え切った防具と魔装術も、マジやっべぇ。
「うん。私、トーマとは絶対に敵対しないわ……」
ハルさんもご無事で何よりで御座います。ふわわ様、つらら様もご無事ですね。
「確認してまいりました。間違いなく死亡しております。
これで6名を排除したわけですが、まだ居ると思いますか?」
「半々かな。能力が分からないまま死んだやつが2人居るし。
俺なら回復役は矢面に出さないけど、こいつら油断し切ってたからわかんないな。
打ち止めかもしれないけど、アジトにはまだ能力者がいる想定でいこう。どっちにしても、アジトに入って被害者を探さないといけないしな」
「ああ、俺はここで待ってるわ。多分今の轟音を聞いて、警備隊のやつが来そうだからな。説明が必要だろ。
同行はスカーさんだけで充分だ。戦力的にもな」
「そうですね。テッドさん、宜しくお願いします。
後続の者が来たら、中に人を送ってください。被害者が居た場合、人手が必要になります。同じ理由で、馬車の手配と、魔法治療院にも手配をお願いします。
あと、当家の者が来た場合は、能力者6名の排除に成功、調査は継続中とお伝えください」
「了解した。無事戻ってきてくれよ?」
テッドさんとスカーさんの打ち合わせが済み、異風の旋律とスカーさんで、アジトと思われる穴の調査に向かう。
水面からは5メートルくらいの位置だけど、地面は更に高いので、柵にロープを結びつけて1人ずつ降りる。
ロープは、捕獲の可能性もあったので用意してあった。
冒険者としても訓練してるし、身体能力強化のおかげで、ロープの上り下りは難なくこなせた。
流石にハルには厳しそうだったので、身長と性別を考慮した結果、トルネが抱いて降りてきた。
「改めて見ると、凄まじいですね。こんな穴、どうやって掘ったのか……」
直径2~3メートルくらいの、綺麗な円形の穴が奥に続いている。まず間違いなく、攻撃系能力を使ったんだろう。
しっかし暗視があるから問題ないけど、よくもまぁこんな光も指さない空間に、長時間居れるもんだ。犯罪者ってことで、後ろ暗い気持ちはあったんだろうなぁ。
「む、この先に人の気配がしますね。複数人のようです。人質の可能性もありますが、油断せず行きましょう」
すげぇな。まだセンサーには、なんの反応もないっていうのに。
「非戦闘員の可能性もある、か。少々危険ではあるけど、声かけていいかな?」
「トーマさんに任せます。お気をつけ下さい」
拠点防衛に、1人くらい戦闘要員を残している可能性は低くない。
ダガーを手に取りつつ、未だ人影の見えない前方に声をかける。
「こちらはヴェルトーガの警備隊だ!そこにいるヤツ、敵対の意志がないなら、大人しく出てきてくれ!
すぐに出てこない場合は、敵対の意志ありとみなし、排除させてもらう!」
「待って!待って待って待って!敵対しない!敵対しないから!今行くから、絶対に危害加えないで!」
女の声だ。被害者の方だったかな?
と思ったら、現れたのは、普通の身なりをした若い女だった。ただし、黒髪の。
「私は戦えないから、逆らいません。でも、他の人たちは違う。彼らが戻ってきたら、貴方たちは殺されてしまう。信じられないかもしれないけど、今すぐここから逃げたほうがいいわ」
ふむ?転移者っぽいけど、こっちに協力的みたいだな。これなら無駄な戦闘はしなくて済みそうか。
「アンタ転移者だよな?俺もこっちに来た人間だ。出来ればあんたらの人数と、アンタの能力を教えて貰いたい」
「……貴方も日本人なのね。こっちの人数は7名よ。能力は私のだけでいいなら教えるわ。私は回復役よ」
「ご協力ありがとう。ここには行方不明事件の調査に来た。
ここに居ると睨んでるんだが、全員無事か?」
女は下唇を噛んで、なんだか悔しそうな顔を見せた。
「命だけは、無事よ……。でも、他の奴らに弄ばれたから、とても無事とは、言えないわ……。
……ねぇ! あいつ等が帰ってくる前に、あの人たちを連れて逃げて!あいつら何故か今、全員で出かけてるの!今なら助けられるわ!」
「勿論被害者は保護するよ。で、アンタはどうするんだ?勝手に被害者を解放したら、やばいんじゃ?素直に協力してくれるなら、アンタも保護してやれると思うけど?」
「………………駄目よ、それは出来ない。
今の人たちが居なくなれば、あいつらは他の人を連れ込むでしょうね。その時に私が居ないと、連れてこられた人たちは、きっと命を落としてしまう……」
自分の心配より他人の心配ね。まぁ、平和な日本から来た倫理観をそのまま持ってるって感じか。
これがもし演技だったら、人間不信になりそうだわ。
「スカーさん。彼女に戦う意志はないようですし、保護しても?」
「……そうですね。ただし、ここから出たら、直ぐに識別をさせましょう。それで実際に回復スキルを確認できれば、彼女の言っていることに嘘が無い証明になりますし」
「いや、だから!私は行けないって!あいつらが帰ってくる前にここを離れないと、貴方達だって殺されてしまうのよ!?」
「ああ、その点は心配無い。男6人ならもう死んでるからな。
えっとなんだっけ。……確か、クガ、ハヤミ、キリタニ、ワタリ、ウチダ、オギ、だったか?」
「え?……え?…………あいつらが、もう、死んで、る?うそ……でしょ?だってあいつら、チート持ちでしょ……?もう死んでる……?死んでるって……?」
なんか混乱してるけど、とりあえず戦闘終了で良さそうだな。
被害者も一応全員生きてるみたいだし、最悪の中ではマシな成果は出せたかな?
まずは被害者を保護するとしようか。
リーン、シン、トルネにキレられる。正直すまんかった。
「いやホントごめん!みんな怪我ないか?」
「その前にトーマさん。敵はどうなりました?」
「ああ、確実に殺してきた。スカーさんとテッドさんも、申し訳無い!」
「お前、6等級じゃねぇのかよ……?トーマまで敵に回らなくて、まじで良かったぜ……」
「私は死体の確認をしてまいります」
スカーさんが、未だ土煙の消え切っていないクレーターを進んでいく。そんなに大きい物ではないけど、見た目はクレーター。
地面の強度は分からないけど、ガス爆発でも起きたみたいになってる。
深さは1メートル弱、範囲は2~3メートルくらい?スキルと魔法効果が乗ってるとはいえ、これを個人で出来る異世界、半端ねぇ。そして、爆心地にいても耐え切った防具と魔装術も、マジやっべぇ。
「うん。私、トーマとは絶対に敵対しないわ……」
ハルさんもご無事で何よりで御座います。ふわわ様、つらら様もご無事ですね。
「確認してまいりました。間違いなく死亡しております。
これで6名を排除したわけですが、まだ居ると思いますか?」
「半々かな。能力が分からないまま死んだやつが2人居るし。
俺なら回復役は矢面に出さないけど、こいつら油断し切ってたからわかんないな。
打ち止めかもしれないけど、アジトにはまだ能力者がいる想定でいこう。どっちにしても、アジトに入って被害者を探さないといけないしな」
「ああ、俺はここで待ってるわ。多分今の轟音を聞いて、警備隊のやつが来そうだからな。説明が必要だろ。
同行はスカーさんだけで充分だ。戦力的にもな」
「そうですね。テッドさん、宜しくお願いします。
後続の者が来たら、中に人を送ってください。被害者が居た場合、人手が必要になります。同じ理由で、馬車の手配と、魔法治療院にも手配をお願いします。
あと、当家の者が来た場合は、能力者6名の排除に成功、調査は継続中とお伝えください」
「了解した。無事戻ってきてくれよ?」
テッドさんとスカーさんの打ち合わせが済み、異風の旋律とスカーさんで、アジトと思われる穴の調査に向かう。
水面からは5メートルくらいの位置だけど、地面は更に高いので、柵にロープを結びつけて1人ずつ降りる。
ロープは、捕獲の可能性もあったので用意してあった。
冒険者としても訓練してるし、身体能力強化のおかげで、ロープの上り下りは難なくこなせた。
流石にハルには厳しそうだったので、身長と性別を考慮した結果、トルネが抱いて降りてきた。
「改めて見ると、凄まじいですね。こんな穴、どうやって掘ったのか……」
直径2~3メートルくらいの、綺麗な円形の穴が奥に続いている。まず間違いなく、攻撃系能力を使ったんだろう。
しっかし暗視があるから問題ないけど、よくもまぁこんな光も指さない空間に、長時間居れるもんだ。犯罪者ってことで、後ろ暗い気持ちはあったんだろうなぁ。
「む、この先に人の気配がしますね。複数人のようです。人質の可能性もありますが、油断せず行きましょう」
すげぇな。まだセンサーには、なんの反応もないっていうのに。
「非戦闘員の可能性もある、か。少々危険ではあるけど、声かけていいかな?」
「トーマさんに任せます。お気をつけ下さい」
拠点防衛に、1人くらい戦闘要員を残している可能性は低くない。
ダガーを手に取りつつ、未だ人影の見えない前方に声をかける。
「こちらはヴェルトーガの警備隊だ!そこにいるヤツ、敵対の意志がないなら、大人しく出てきてくれ!
すぐに出てこない場合は、敵対の意志ありとみなし、排除させてもらう!」
「待って!待って待って待って!敵対しない!敵対しないから!今行くから、絶対に危害加えないで!」
女の声だ。被害者の方だったかな?
と思ったら、現れたのは、普通の身なりをした若い女だった。ただし、黒髪の。
「私は戦えないから、逆らいません。でも、他の人たちは違う。彼らが戻ってきたら、貴方たちは殺されてしまう。信じられないかもしれないけど、今すぐここから逃げたほうがいいわ」
ふむ?転移者っぽいけど、こっちに協力的みたいだな。これなら無駄な戦闘はしなくて済みそうか。
「アンタ転移者だよな?俺もこっちに来た人間だ。出来ればあんたらの人数と、アンタの能力を教えて貰いたい」
「……貴方も日本人なのね。こっちの人数は7名よ。能力は私のだけでいいなら教えるわ。私は回復役よ」
「ご協力ありがとう。ここには行方不明事件の調査に来た。
ここに居ると睨んでるんだが、全員無事か?」
女は下唇を噛んで、なんだか悔しそうな顔を見せた。
「命だけは、無事よ……。でも、他の奴らに弄ばれたから、とても無事とは、言えないわ……。
……ねぇ! あいつ等が帰ってくる前に、あの人たちを連れて逃げて!あいつら何故か今、全員で出かけてるの!今なら助けられるわ!」
「勿論被害者は保護するよ。で、アンタはどうするんだ?勝手に被害者を解放したら、やばいんじゃ?素直に協力してくれるなら、アンタも保護してやれると思うけど?」
「………………駄目よ、それは出来ない。
今の人たちが居なくなれば、あいつらは他の人を連れ込むでしょうね。その時に私が居ないと、連れてこられた人たちは、きっと命を落としてしまう……」
自分の心配より他人の心配ね。まぁ、平和な日本から来た倫理観をそのまま持ってるって感じか。
これがもし演技だったら、人間不信になりそうだわ。
「スカーさん。彼女に戦う意志はないようですし、保護しても?」
「……そうですね。ただし、ここから出たら、直ぐに識別をさせましょう。それで実際に回復スキルを確認できれば、彼女の言っていることに嘘が無い証明になりますし」
「いや、だから!私は行けないって!あいつらが帰ってくる前にここを離れないと、貴方達だって殺されてしまうのよ!?」
「ああ、その点は心配無い。男6人ならもう死んでるからな。
えっとなんだっけ。……確か、クガ、ハヤミ、キリタニ、ワタリ、ウチダ、オギ、だったか?」
「え?……え?…………あいつらが、もう、死んで、る?うそ……でしょ?だってあいつら、チート持ちでしょ……?もう死んでる……?死んでるって……?」
なんか混乱してるけど、とりあえず戦闘終了で良さそうだな。
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まずは被害者を保護するとしようか。
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