異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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6章 波乱のヴェルトーガ

144 異風の旋律の初依頼③ チートvs小細工

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 音魔法で、味方に作戦を伝える。勿論敵には聞かせない。
 操作にさえ慣れれば、音に指向性を持たせて飛ばすなんて簡単だ。
 まぁ俺以外はまだ出来てないんだけど。

 テレパシーとかあるとラクなんだけどね。
 音魔法では、なんちゃってテレパシーが関の山だ。

 それでも、敵に気付かれずに意志の疎通が図れるのは、かなり有用で応用が利く。


「ま、おっさんには同情するよ。神に選ばれた俺たちの相手をするなんて、最高に運が悪いよアンタ。
 前世でどんな悪行重ねたんだってくらいに、なぁ!」

「ぐあぁ!」 


 くっそ、さっきから好き勝手殴りやがって!

 でも終始、攻撃が単発だ。

 強力すぎる能力だけに、ある程度は使用に制限があるんだろう。
 例えば、連続では長時間使用できない、とかか?


 相手の攻撃力に対して、こっちの防御力が圧倒的に上なおかげで、今はまだなんとか持ちこたえているけど、ハヤミの動きについていけてないのがキツいな!

 瞬間加速を使った俺よりも、圧倒的に早いなんて、マジでクソだわチート能力!


「ギャハハッハ!こりゃおもしれぇ見せもんだなぁ!
 こっち見てていいのかお前ら!?おっさん嬲り殺しにされちゃってますけど~!?」


 テッドさんとスカーさんには、他の3人へ警戒をして貰っている。
 ぶっちゃけ、誰か1人でも加勢に来られたら、マジで詰む。


「ぐあ!」


 クッソ!人をサンドバッグ扱いするなら、素手で殴れよ素手で!

 加速能力使ってのロングソードの一撃は、マジで痛ぇんだよ!
 防具更新しておいて良かったわ!

 あと言いたかないけど、ハロイツァに散々殴られたおかげで、致命傷じゃなきゃ結構動ける。殴られ慣れた的な?

 ッガ!イッテェ!
 くそが!少しは遠慮しやがれ!
 こっちは年上だぞオラァ!



 だけど、黙って殴られ続けてたわけじゃねぇんだよ!
 俺は位置を調整してたんだ。

 観戦してる他の転移者と距離を取った上で、俺の仲間達にお前が背を向ける位置をなぁ!


 背中からウォーハンマーを手に取る。

 俺が武器を握る。これが仲間への合図だ。


「フレイムアロー!」「フレイムアロー!」「ストーンバレット!」


 仲間3人が攻撃魔法発動。


「おらああああああ!」「はっ!」


 それに合わせて、テッドさんとスカーさんにも、残った転移者に攻撃してもらう。

 ただし決して近付かないように、遠距離攻撃だ。


 速度の速いフレイムアローはハヤミに、ストーンバレットは牽制として観戦組へ放たれる。




 超スピード、超反応を両立させた相手と、どう戦えばいいのか。
 答えは単純。相手に攻撃を知覚させなければいい。


 魔力感知や魔法がない場合、人間がどうやって攻撃を察知するか。
 目で見るか、音を聞くか、匂いを嗅ぐか、対象に触れるかの4つだろう。

 ならばハロイツァ戦でもやったように、小細工で全てを封じてしまえばいい。


 今回の作戦の穴は、ずばり他の転移者の参戦だ。

 転移使いにハヤミを助けられる可能性もあるし、他の3人が未だ同じ場所に固まって、動いてないところを見ると、あの場所にはなんらかの防御措置が取られている可能性が高い。


 なので作戦の第1段階は、ハヤミと他の連中を引き剥がすこと。

 希望的観測ではあるけど、あいつらが1か所に固まってることから、防御能力も自由自在ってほど便利では無いと睨んでる。
 なのでとりあえず、単純に距離を取ってみた。


 第2段階。視覚封じ。単純に、ハヤミの背後を取る。
 ハロイツァ戦でやったような、照明の魔法は使わない。

 ハヤミの加速は、まさに神速と呼ぶに相応しい速度だ。
 一瞬でも違和感を持たれたら、それだけで回避される恐れがある。
 何かしていると思われただけで、攻撃失敗だ。


 第3段階。嗅覚封じ。これは正直必要ないとは思うが、念のためだ。

 ハロイツァ戦でも使った、洗浄と風魔法のミックスで、ハヤミの周りから匂いを消す。


「ハヤミ!後ろだ!」


 観戦組がハヤミに声をかける。
 だよなぁ。仲間の後ろから攻撃が放たれれば、声をかけずにはいられないよなぁ。


 第4段階。聴覚封じ。
 生活魔法なんて知らないお前らは、俺が今、ハヤミの周りの音を全部掌握してることに、気付くはずないよなぁ?

 ハヤミの加速があれば、こんな攻撃、当たるとは思わないよなぁ?


「へぇ?おっさん、まだ俺と」


 フレイムアローが到達する。
 最期になにか言ってたようだが、まぁ些細なことだろう。
 

 貫通力の高いフレイムアローは、ハヤミを撃ち抜いた勢いそのままに、俺にも到来する。が、瞬間加速。

 瞬間加速で2人のフレイムアローを回避して、改めてハヤミを見ると、ハヤミがいた場所には2本の足だけが残されていた。
 すげぇな。着弾した場所は、骨すら残らないか。

 焦げてる足が残ってるから、流石に救出されたって線はないだろう。

 足元に転がってるロングソードを回収。
 全く、魔装術も使えないくせにシルバーライト製の武器を使うなんて、19SPは早いんだよ。


「……は?はや、み……?」


 観戦組に目を向けるが、やはり無傷、それどころか移動もしてない。
 やっぱりなんらかの防御能力が展開されてると見て、間違い無さそうだ。


「トーマ。大丈夫?」


 リーンが、観戦組から視線を外さないままで聞いてくる。


「全身痛くて仕方ねぇけど、装備のおかげでなんとか生きてるよ。
 こっちの状況は?」

「僕のストーンバレットも、テッドさんの投石も、スカーさんの投げナイフも、全部通り抜けたよ。
 ハルが言うには、空間歪曲系の能力じゃないかって。
 僕にはわかんないけど、トーマならこれだけで伝わるって」


 空間歪曲系かー。これまたチートとしては、結構定番の能力だよなぁ。


「てめええええええ!ハヤミになにしやがったああああ!?」


 いや見てただろ。説明の必要性は感じないな。

 さて、1人減ったとはいえ、チート持ちがあと3人か。そのうち1名がまだ能力不明、と。


 ここからどうやって攻略するかなぁ。
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