異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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6章 波乱のヴェルトーガ

143 異風の旋律の初依頼② 対話

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 男たちは、俺たちから15メートルくらい距離を取っている。
 流石に腕を切り落されたせいか、ある程度警戒されているか。


「初めまして、転移者ご一行殿。
 俺はトーマ。 お宅らより少しだけ早く、こっちに来た人間だ。
 出来れば無用な争いは避けたいと思ってる。 ここは文化人らしく、穏便に話をしないか?」

「へぇ? まだ日本人が居たのかよ。
 いいぜぇ。 聞くだけは聞いてやる」


 4人の男は、ヘラヘラしながらこちらを見ている。
 かなり能力に自信があるんだろうなぁ。
 あー戦いたくねぇ~……。


「俺たちは、今この街で起きている、誘拐事件の調査をしているんだ。
 あんた達何か知らないか?
 知ってることがあれば教えて欲しい」

「誘拐事件~?そりゃあ大変だな。 早いとこ犯人捕まえてくれよ。
 じゃないと怖くて、おちおち外出もできねぇからなぁ?」


 投降の意思は無さそうだな。


「じゃあさ、あんたら何か困ってることはないか?
 俺がこっちに来たときは、かなり苦労したんだよ。
 同じ日本人同士、困ってるなら、出来る範囲で協力するけど」

「困ってることは特にねぇかなぁ~。
 お前達、なんか困ってることってあったっけ?」

「ギャハハハハ! 困ってることなんてあるわけねぇだろ!
 俺たちは選ばれし者だぜ!」

「ケケケケ! おっさんも俺たちと来いよ!
 アンタも日本人なんだろ?
 能力次第では待遇も良くなるぜ!」

「え~? 俺はおっさんなんか仲間にするのはごめんだぜぇ?
 男は全員回れ右して、今すぐ帰れよ。 そうしたら見逃してやっからさ」

「おいおい、『ハヤミ』は相変わらずせっかちだねぇ。
 ま、確かに今居る女にも飽きてきたしな。
 新しい玩具が目の前にあるんじゃ、気も逸るってか」

「ギャハハ! まぁそういうこったおっさん! 女の子全員置いてさっさと帰りなよ!
 いや、その女達って、おっさんの知り合いなんだよな?
 おっさんの目の前で遊んでやるのも面白そうだなぁ? ギャハハハ!」


 うーむ、チンピラ過ぎて逆に冷めてしまうな。駆け引きもクソも無しか。

 どんな能力なのか分からないのは怖いが、もう戦闘を避けられる流れじゃないか。


 仲間達に視線を送る。
 全員準備は良さそうだな。


「一応、もう一度だけ聞くけど、大人しくこっちに協力してくれる気は無いか?
 今ならまだ、俺も色々と口添えしてやれると思うし、そこまで酷い扱いはされないと思うが」


 いやされるか?こいつら誘拐犯で、恐らく婦女暴行もしてるだろうからな。


「俺は誘拐事件さえ解決できればいいんだ。 あんたらと対立する気は無い。
 同じ転移者同士で争うのは、お互い避けるべきじゃないか?」

「あっれ~? おっさんビビっちゃってるぅ~?
 まぁ仕方ないかぁ。 こっちには転移者4人、そっちは2人だもんなぁ?
 単純に考えて、倍の戦力差だ。
 そりゃあ戦いたくないよなぁ~?」

「おいもういいだろ?後ろの女見ろよ。 俺はさっさとあの子たちと遊びてぇんだよ!
 おっさんなんか、とっとと殺しちまえばいいだろうが!」

「クケケケケ! わかった、わかったよ。 もうちょっと遊びたかったんだが、大切な仲間の意見は無視できねぇよな。
 ハヤミ、男は殺して、女は無力化してくれ。
 あー、おっさんは動けない程度に痛めつけた方が、あとから楽しめるかもなぁ?」

「けっ、俺にそんな趣味はねぇんだよ! 別に殺しちまっても構わねぇだろ!
 なんで俺がこんなおっさんに気を使って、手加減までしてやる必要があんだよ!」

「あーおっさんご愁傷様~。
 俺は出来れば生かしてやりたいけどさ、ハヤミはめんどくせぇんだとさ。
 運が悪かったと思って死んでくれな?」


 ハヤミって男がバトル担当か。
 なにしてくるか分からないからな。魔装術ON。

 ハヤミと呼ばれた男だけが前に出る。

 1人は転移使いだとして、あと2人は戦闘に参加しないなら、ここに居る意味あるのか?


「わりぃなおっさん。ちょうど今居る玩具に飽きちゃってさ。
 後ろの子、めちゃくちゃ好みなんだよ。
 だからサクッと死んでくれ」

「っが!?」


 腹に衝撃を受ける。被弾したか!
 だが軽い!
 魔装術を纏った防具を、この程度で抜かれてたまるか!

 直ぐに反撃。カウンターのロングソードを一閃!


「ぐあっ!」


 、今度は顔面を殴られる!
 
 複合センサーでも捉え切れなかったけど、こいつの能力は超スピードか!?


「ちっ、イッテェ。 無駄に硬ぇな。 おっさんのクセに粘んじゃねぇよ」


 気付くとハヤミの手には、俺が持っていたロングソードが握られている!?

 ちっ、なんだこれ!
 ハロイツァなんて話にならないほどの速度差だ!

 チート能力、厄介すぎだろ!


「死ねぇ!」「ぐはっ!」


 ロングソードで、思い切り腹に斬りつけられる!
 
 魔装術が使われてないロングソードに両断されることはなかったが、超高速で金属製の鈍器に殴られた衝撃が全身を駆け巡る!


「はぁ?マジかよ?
 俺が剣を使っても斬れねぇとか、もしかしておっさんの能力ってこれか?」

「そういうテメェは加速系か!」


 武器を見せると奪われそうなので、素手で殴りかかる。


「がぁ!」


 ロングソードでぶっ叩かれた!

 防具のおかげで何とか生きてるが、相手が魔装術覚えてたら初手で死んでたぞこれ!


「ん~、まぁ頑張ったご褒美に教えてやるよ。
 俺の能力は、おっさんの推察通り『加速』だ。 ま、ただの加速じゃないんだがな?
 神に選ばれし俺の加速は、動作の加速は勿論の事、思考の加速も出来るんだよ。
 動きの早さに思考が追いつかない、なんてマヌケを晒す事もない。
 今の俺なら、マシンガンの弾でも、全部躱して見せれるだろうな」


 くっそ!ハロイツァがゴミみたいだ!
 まぁアイツ社会的にはゴミそのものだったけど!

 鍛えることでは絶対に到達できない、神速とも言える速度に、それを使いこなせる思考速度。
 まさにチート能力だよクソ野郎!


「なんで親切に教えてやったと思う?
 俺の能力は、知ったところで防ぎようがねぇからだ! 人が知覚出来るようなスピードじゃねぇんだよ!
 おっさんは中々頑丈みたいだからよ。
 俺が飽きるかおっさんが死ぬまで、サンドバッグになってもらうぜ?」


 ちっ、身体能力強化系は本当に厄介だ。
 単純に強くて穴が無く、応用の幅が広い。


 ……それでもこっちはこの世界の先輩なんだよ。

 魔装術もそうだが、未知の能力を持ってるのは、テメェらだけじゃねぇ。

 
 なんで劣勢のこっちの仲間が、手助けもせず静観してると思う?
 テメェらの能力が分からないから、無闇に攻撃せずに機を窺ってんだよ。

 思考を伴った加速能力。確かにチートと呼ぶべき、凄まじい能力だ。


 でもな、無敵ってワケじゃあ、ねぇんだぜ?
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