異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

文字の大きさ
上 下
151 / 580
6章 波乱のヴェルトーガ

133 深夜の遭遇

しおりを挟む
「ハル。SPいくつになった?」


 日没後の訓練も終え、夕食も済ませたタイミングでハルに声をかける。


「ん、ちょっと待ってね。うん、今は12SPになってるわ」


 ハルがステータスを確認して教えてくれた。
 やっぱり転移者同士でも、他人のステータスウィンドウは見れないな。


「なら今日中に行けそうだな。
 皆すまない。今日中にハルの暗視スキル取得の条件をクリアしておきたいから、今日は夜から日の出まで探索に付き合って欲しい。
 この後ちょっと寝る時間取るからさ。悪いけど頼むよ」

「ああ、以前も言ってた取得条件ってヤツだね。
 僕は構わないけど、夜に出歩くのは危険じゃないかな?」

「危険なのはわかってるんだけどさ。
 今日中に暗視スキルの条件を達成して、明日から暗視と魔装術を使えるようになったほうが、ハルの安全性は増すんじゃないかと思ってな」

「ん……。それは確かにそうかも。
 暗視と魔装術があれば、夜に襲われた場合のリスクは大幅に下がる、か」

「そしてハルには無理させることになるけど、魔物にトドメを刺してほしいんだ。
 危険がないようにお膳立てはするけど、実際に魔物の命を奪ってほしいと思う。
 どうしても無理なときは言ってくれ。試した後でも構わないから」


 ふわわとつららは魔物を倒さずに暗視を覚えているから、恐らくは魔物を仕留める必要は無いと思うけど、リンカーズで生きていくためには魔物を殺すということに慣れて貰わねばならない。
 まぁどうしても駄目なら別の道を探してみるのもいいかもしれないが、試さずに諦めさせるのは過保護だろう。


「うん……、うん。一応覚悟は、してるつもり。
 ただ、実際に出来るかは自信無い。迷惑かけると思うけどごめんね」


 話は決まったので、一旦休憩のために解散した。


「トーマの言うこと聞いてあげたんだから、トーマも私の言うこと聞いてくれるよねー?」

「トーマ。寝られるなんて思ってないでしょうね?」

「……あのさぁ。この後探索するんだよ?休憩の意味分かってますかお二人さん?」

「「問答無用!」」


 はい、なんだかんだいって流される俺も悪いんですけどね。

 リンカーズでは人種、亜人、獣人の間でも問題なく子供が作れる。
 両親の種族が違う場合、子供の種族が何になるかは完全にランダムのようだ。
 種族が隔世遺伝した例は今のところないらしい。

 今のところ避妊もせず毎日のように致しているので、普通に考えて、もう子宝を授かっていてもおかしくない。
 まぁ、腹くくりましょう、うん。



 ご休憩を終えて身支度を整える。まだ深夜というには少し早いけど、余裕は持っておきたい。
 SPもまだ必要数に足りてないわけだしね。


「おーい二人とも。この流れで寝やがったら流石に怒るからな?
 手伝うからさっさと身支度してくれー」

「トーマぁ。だっこしてー」「私もだっこしてほしいですー」


 愚図る二人をあやしながら身支度を手伝う。あーもうわざと甘えてるな?
 ったく女ってのはずるいわ。愚図っても甘えても可愛いんだもんなぁ。


 準備を済ませシンに声をかけるが、あら?部屋に居ないっぽい。
 寝ていた2匹をフードにインして、ハルの部屋にも声をかけたが、どうやらこちらも留守。

 1階のエントランスにある談話スペースで、二人が仲良く話しているところを発見した。


「あ、トーマ。そろそろ出発するのかい?
 その様子じゃあまり休めてないみたいだけど大丈夫?」

「あー……。
 三人の関係についてはさっきシンに説明してもらったわ。
 随分こっちを楽しんでるみたいね、トーマ」

「おかげさまで尻に敷かれてるよ。二人とも俺には勿体無い嫁さんだ。
 二人は準備出来てる?なら出発しようか」


 俺がシンとリーンに影響されたように、ハルも良い影響を受けたらいいな。
 年齢の離れた異世界の異性ってのは、日本に居た頃の常識をぶっ壊すにはちょうど良いだろ。



「ハル。無理はしなくていいからね?」

「……うん。大丈夫。
 心配してくれてありがとう、シン」


 2階層で探索を行い、レッサーゴブリンが出たら腹パン入れて動きを止めて、シンが警戒しつつハルがトドメを刺していく。
 明日になってフラッシュバックとかする可能性はあるけど、今のところハルは落ち着いている。
 精神的な負担には、男性よりも女性のほうが強いっていうしな。


「はぁ……。
 解体まではしなくていいのがせめてもの救いだったわ……」


 同感だ。魔物を殺せば自動的にアイテムだけが残る迷宮のシステムは、ぶっちゃけ日本人に優しいシステムだと思う。
 ただし魔物の特定素材が欲しければ、迷宮外の魔物を仕留めて解体する必要があるみたいだが。


 空が少し白んできたくらいの時間に、ハルのSPが19に到達した。
 ギルドで換金を済ませ、後は少しでも寝ようと宿に戻る途中、前から一人の男が現れた。

 ……黒髪か。

 見た目は高校生から大学生くらいか?ニヤニヤしながらこちらに近付いてくる。
 まぁ間違いなく行方不明事件の関係者だろうな。複合センサー起動。


「あ、そっちの女の子って日本人じゃない?可愛いじゃ~ん。
 こっち側においでよ。可愛がってあげるからさぁ!」


 言い終えた瞬間、男の姿が消えた!?

 センサーを頼りに反応を探すと、男はいつの間にか、後方にいたハルの腕を掴んでいる。
 コイツ、瞬間移動かワープ系か!


「こんな奴等とつるんでるよりこっちに来た方が断然……あ?」

 
 鋭い一閃。シンは一瞬の躊躇もなく、ハルを掴んでいる男の手を斬り捨てた。
 ちっ、シンを見習え!相手が転移者だからって躊躇ってられる状況じゃねぇ!

 まだ呆けている男の背後に近付き、瞬間加速での横薙ぎの一撃。

 ……手応えなし。くそ、逃げられたか。
 何が起こっているのかわかってなさそうだったが、本能的に逃走を図ったのか?


「シン、良くやった。ハルを守れたのはお前のおかげだ。
 相手を逃がしたのは俺のミスだ。同郷相手だと思って躊躇っちまった。
 ハル、怪我は無いか?」

「……うん、大丈夫。大丈夫よ。
 ねぇトーマ。今の男って……」

「だろうな。行方不明事件の重要参考人にして、俺たちと同じ転移者だ。
 恐らく転移系の特殊スキル持ちって所か」


 関わっちまって面倒と考えるべきか、俺たちのおかげで被害を防げたと考えるべきか……。

 地面に転がったままの右腕を見て、思わずため息が零れてしまう。

 まぁとりあえず、右腕の提出と合わせて冒険者ギルドに報告に行くか……。
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

貧弱の英雄

カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。 貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。 自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる―― ※修正要請のコメントは対処後に削除します。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

処理中です...