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6章 波乱のヴェルトーガ
133 深夜の遭遇
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「ハル。SPいくつになった?」
日没後の訓練も終え、夕食も済ませたタイミングでハルに声をかける。
「ん、ちょっと待ってね。うん、今は12SPになってるわ」
ハルがステータスを確認して教えてくれた。
やっぱり転移者同士でも、他人のステータスウィンドウは見れないな。
「なら今日中に行けそうだな。
皆すまない。今日中にハルの暗視スキル取得の条件をクリアしておきたいから、今日は夜から日の出まで探索に付き合って欲しい。
この後ちょっと寝る時間取るからさ。悪いけど頼むよ」
「ああ、以前も言ってた取得条件ってヤツだね。
僕は構わないけど、夜に出歩くのは危険じゃないかな?」
「危険なのはわかってるんだけどさ。
今日中に暗視スキルの条件を達成して、明日から暗視と魔装術を使えるようになったほうが、ハルの安全性は増すんじゃないかと思ってな」
「ん……。それは確かにそうかも。
暗視と魔装術があれば、夜に襲われた場合のリスクは大幅に下がる、か」
「そしてハルには無理させることになるけど、魔物にトドメを刺してほしいんだ。
危険がないようにお膳立てはするけど、実際に魔物の命を奪ってほしいと思う。
どうしても無理なときは言ってくれ。試した後でも構わないから」
ふわわとつららは魔物を倒さずに暗視を覚えているから、恐らくは魔物を仕留める必要は無いと思うけど、リンカーズで生きていくためには魔物を殺すということに慣れて貰わねばならない。
まぁどうしても駄目なら別の道を探してみるのもいいかもしれないが、試さずに諦めさせるのは過保護だろう。
「うん……、うん。一応覚悟は、してるつもり。
ただ、実際に出来るかは自信無い。迷惑かけると思うけどごめんね」
話は決まったので、一旦休憩のために解散した。
「トーマの言うこと聞いてあげたんだから、トーマも私の言うこと聞いてくれるよねー?」
「トーマ。寝られるなんて思ってないでしょうね?」
「……あのさぁ。この後探索するんだよ?休憩の意味分かってますかお二人さん?」
「「問答無用!」」
はい、なんだかんだいって流される俺も悪いんですけどね。
リンカーズでは人種、亜人、獣人の間でも問題なく子供が作れる。
両親の種族が違う場合、子供の種族が何になるかは完全にランダムのようだ。
種族が隔世遺伝した例は今のところないらしい。
今のところ避妊もせず毎日のように致しているので、普通に考えて、もう子宝を授かっていてもおかしくない。
まぁ、腹くくりましょう、うん。
ご休憩を終えて身支度を整える。まだ深夜というには少し早いけど、余裕は持っておきたい。
SPもまだ必要数に足りてないわけだしね。
「おーい二人とも。この流れで寝やがったら流石に怒るからな?
手伝うからさっさと身支度してくれー」
「トーマぁ。だっこしてー」「私もだっこしてほしいですー」
愚図る二人をあやしながら身支度を手伝う。あーもうわざと甘えてるな?
ったく女ってのはずるいわ。愚図っても甘えても可愛いんだもんなぁ。
準備を済ませシンに声をかけるが、あら?部屋に居ないっぽい。
寝ていた2匹をフードにインして、ハルの部屋にも声をかけたが、どうやらこちらも留守。
1階のエントランスにある談話スペースで、二人が仲良く話しているところを発見した。
「あ、トーマ。そろそろ出発するのかい?
その様子じゃあまり休めてないみたいだけど大丈夫?」
「あー……。
三人の関係についてはさっきシンに説明してもらったわ。
随分こっちを楽しんでるみたいね、トーマ」
「おかげさまで尻に敷かれてるよ。二人とも俺には勿体無い嫁さんだ。
二人は準備出来てる?なら出発しようか」
俺がシンとリーンに影響されたように、ハルも良い影響を受けたらいいな。
年齢の離れた異世界の異性ってのは、日本に居た頃の常識をぶっ壊すにはちょうど良いだろ。
「ハル。無理はしなくていいからね?」
「……うん。大丈夫。
心配してくれてありがとう、シン」
2階層で探索を行い、レッサーゴブリンが出たら腹パン入れて動きを止めて、シンが警戒しつつハルがトドメを刺していく。
明日になってフラッシュバックとかする可能性はあるけど、今のところハルは落ち着いている。
精神的な負担には、男性よりも女性のほうが強いっていうしな。
「はぁ……。
解体まではしなくていいのがせめてもの救いだったわ……」
同感だ。魔物を殺せば自動的にアイテムだけが残る迷宮のシステムは、ぶっちゃけ日本人に優しいシステムだと思う。
ただし魔物の特定素材が欲しければ、迷宮外の魔物を仕留めて解体する必要があるみたいだが。
空が少し白んできたくらいの時間に、ハルのSPが19に到達した。
ギルドで換金を済ませ、後は少しでも寝ようと宿に戻る途中、前から一人の男が現れた。
……黒髪か。
見た目は高校生から大学生くらいか?ニヤニヤしながらこちらに近付いてくる。
まぁ間違いなく行方不明事件の関係者だろうな。複合センサー起動。
「あ、そっちの女の子って日本人じゃない?可愛いじゃ~ん。
こっち側においでよ。可愛がってあげるからさぁ!」
言い終えた瞬間、男の姿が消えた!?
センサーを頼りに反応を探すと、男はいつの間にか、後方にいたハルの腕を掴んでいる。
コイツ、瞬間移動かワープ系か!
「こんな奴等とつるんでるよりこっちに来た方が断然……あ?」
鋭い一閃。シンは一瞬の躊躇もなく、ハルを掴んでいる男の手を斬り捨てた。
ちっ、シンを見習え!相手が転移者だからって躊躇ってられる状況じゃねぇ!
まだ呆けている男の背後に近付き、瞬間加速での横薙ぎの一撃。
……手応えなし。くそ、逃げられたか。
何が起こっているのかわかってなさそうだったが、本能的に逃走を図ったのか?
「シン、良くやった。ハルを守れたのはお前のおかげだ。
相手を逃がしたのは俺のミスだ。同郷相手だと思って躊躇っちまった。
ハル、怪我は無いか?」
「……うん、大丈夫。大丈夫よ。
ねぇトーマ。今の男って……」
「だろうな。行方不明事件の重要参考人にして、俺たちと同じ転移者だ。
恐らく転移系の特殊スキル持ちって所か」
関わっちまって面倒と考えるべきか、俺たちのおかげで被害を防げたと考えるべきか……。
地面に転がったままの右腕を見て、思わずため息が零れてしまう。
まぁとりあえず、右腕の提出と合わせて冒険者ギルドに報告に行くか……。
日没後の訓練も終え、夕食も済ませたタイミングでハルに声をかける。
「ん、ちょっと待ってね。うん、今は12SPになってるわ」
ハルがステータスを確認して教えてくれた。
やっぱり転移者同士でも、他人のステータスウィンドウは見れないな。
「なら今日中に行けそうだな。
皆すまない。今日中にハルの暗視スキル取得の条件をクリアしておきたいから、今日は夜から日の出まで探索に付き合って欲しい。
この後ちょっと寝る時間取るからさ。悪いけど頼むよ」
「ああ、以前も言ってた取得条件ってヤツだね。
僕は構わないけど、夜に出歩くのは危険じゃないかな?」
「危険なのはわかってるんだけどさ。
今日中に暗視スキルの条件を達成して、明日から暗視と魔装術を使えるようになったほうが、ハルの安全性は増すんじゃないかと思ってな」
「ん……。それは確かにそうかも。
暗視と魔装術があれば、夜に襲われた場合のリスクは大幅に下がる、か」
「そしてハルには無理させることになるけど、魔物にトドメを刺してほしいんだ。
危険がないようにお膳立てはするけど、実際に魔物の命を奪ってほしいと思う。
どうしても無理なときは言ってくれ。試した後でも構わないから」
ふわわとつららは魔物を倒さずに暗視を覚えているから、恐らくは魔物を仕留める必要は無いと思うけど、リンカーズで生きていくためには魔物を殺すということに慣れて貰わねばならない。
まぁどうしても駄目なら別の道を探してみるのもいいかもしれないが、試さずに諦めさせるのは過保護だろう。
「うん……、うん。一応覚悟は、してるつもり。
ただ、実際に出来るかは自信無い。迷惑かけると思うけどごめんね」
話は決まったので、一旦休憩のために解散した。
「トーマの言うこと聞いてあげたんだから、トーマも私の言うこと聞いてくれるよねー?」
「トーマ。寝られるなんて思ってないでしょうね?」
「……あのさぁ。この後探索するんだよ?休憩の意味分かってますかお二人さん?」
「「問答無用!」」
はい、なんだかんだいって流される俺も悪いんですけどね。
リンカーズでは人種、亜人、獣人の間でも問題なく子供が作れる。
両親の種族が違う場合、子供の種族が何になるかは完全にランダムのようだ。
種族が隔世遺伝した例は今のところないらしい。
今のところ避妊もせず毎日のように致しているので、普通に考えて、もう子宝を授かっていてもおかしくない。
まぁ、腹くくりましょう、うん。
ご休憩を終えて身支度を整える。まだ深夜というには少し早いけど、余裕は持っておきたい。
SPもまだ必要数に足りてないわけだしね。
「おーい二人とも。この流れで寝やがったら流石に怒るからな?
手伝うからさっさと身支度してくれー」
「トーマぁ。だっこしてー」「私もだっこしてほしいですー」
愚図る二人をあやしながら身支度を手伝う。あーもうわざと甘えてるな?
ったく女ってのはずるいわ。愚図っても甘えても可愛いんだもんなぁ。
準備を済ませシンに声をかけるが、あら?部屋に居ないっぽい。
寝ていた2匹をフードにインして、ハルの部屋にも声をかけたが、どうやらこちらも留守。
1階のエントランスにある談話スペースで、二人が仲良く話しているところを発見した。
「あ、トーマ。そろそろ出発するのかい?
その様子じゃあまり休めてないみたいだけど大丈夫?」
「あー……。
三人の関係についてはさっきシンに説明してもらったわ。
随分こっちを楽しんでるみたいね、トーマ」
「おかげさまで尻に敷かれてるよ。二人とも俺には勿体無い嫁さんだ。
二人は準備出来てる?なら出発しようか」
俺がシンとリーンに影響されたように、ハルも良い影響を受けたらいいな。
年齢の離れた異世界の異性ってのは、日本に居た頃の常識をぶっ壊すにはちょうど良いだろ。
「ハル。無理はしなくていいからね?」
「……うん。大丈夫。
心配してくれてありがとう、シン」
2階層で探索を行い、レッサーゴブリンが出たら腹パン入れて動きを止めて、シンが警戒しつつハルがトドメを刺していく。
明日になってフラッシュバックとかする可能性はあるけど、今のところハルは落ち着いている。
精神的な負担には、男性よりも女性のほうが強いっていうしな。
「はぁ……。
解体まではしなくていいのがせめてもの救いだったわ……」
同感だ。魔物を殺せば自動的にアイテムだけが残る迷宮のシステムは、ぶっちゃけ日本人に優しいシステムだと思う。
ただし魔物の特定素材が欲しければ、迷宮外の魔物を仕留めて解体する必要があるみたいだが。
空が少し白んできたくらいの時間に、ハルのSPが19に到達した。
ギルドで換金を済ませ、後は少しでも寝ようと宿に戻る途中、前から一人の男が現れた。
……黒髪か。
見た目は高校生から大学生くらいか?ニヤニヤしながらこちらに近付いてくる。
まぁ間違いなく行方不明事件の関係者だろうな。複合センサー起動。
「あ、そっちの女の子って日本人じゃない?可愛いじゃ~ん。
こっち側においでよ。可愛がってあげるからさぁ!」
言い終えた瞬間、男の姿が消えた!?
センサーを頼りに反応を探すと、男はいつの間にか、後方にいたハルの腕を掴んでいる。
コイツ、瞬間移動かワープ系か!
「こんな奴等とつるんでるよりこっちに来た方が断然……あ?」
鋭い一閃。シンは一瞬の躊躇もなく、ハルを掴んでいる男の手を斬り捨てた。
ちっ、シンを見習え!相手が転移者だからって躊躇ってられる状況じゃねぇ!
まだ呆けている男の背後に近付き、瞬間加速での横薙ぎの一撃。
……手応えなし。くそ、逃げられたか。
何が起こっているのかわかってなさそうだったが、本能的に逃走を図ったのか?
「シン、良くやった。ハルを守れたのはお前のおかげだ。
相手を逃がしたのは俺のミスだ。同郷相手だと思って躊躇っちまった。
ハル、怪我は無いか?」
「……うん、大丈夫。大丈夫よ。
ねぇトーマ。今の男って……」
「だろうな。行方不明事件の重要参考人にして、俺たちと同じ転移者だ。
恐らく転移系の特殊スキル持ちって所か」
関わっちまって面倒と考えるべきか、俺たちのおかげで被害を防げたと考えるべきか……。
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まぁとりあえず、右腕の提出と合わせて冒険者ギルドに報告に行くか……。
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