異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

文字の大きさ
上 下
133 / 580
5章 カルネジア・ハロイツァ

118 初めての夜

しおりを挟む
「ふふ。トーマは本当に、何でも出来るんだねぇ……」

「あの時殺されなくて、本当に良かったです。
 私、とっても幸せです……」


 リーンとトルネと一緒に、3人でベッドに横になっている。

 奴隷印を消した後も2人は離してくれなかったので、結局ベッドに入るまでずっとくっついたままだった。
 まぁ一緒に寝るのは普段通りだけどね。

 先日買ったベッドは広いので、3人でも狭くはない。


「はは、俺こそ幸せだよ。俺って今まで女の人に好かれたことってないからさ。
 そんな俺がこんなに可愛いお嫁さんを、しかも2人も貰うなんて、想像したこともなかったよ」


 妄想くらいはしたことあったかも知れないけど。

 左右の2人が、更に身を寄せてくる。

 柔らかい感触と女の子と香りで、頭がくらくらしてきそうだ。


「私も幸せだよ。ずっと好きだったトーマのお嫁さんになれたんだもの。
 幸せすぎるよ。私の王子様……」


 リーンが抱きついてくる。正直言って、平静を保つのが難しい。


「っていうか、なんで王子様なんだ?
 こんなおっさんのどこが王子様なんだよ?」

「ふふ、トーマったら何言ってるの?
 私と初めて会ったときだって、私がお金に困っている時だって、戦う力が無くて迷宮に屈しそうになっていた時だって、犯罪奴隷にされた時だって、ハロイツァに狙われた時だって、いつだってトーマは私のことを助けてくれたんだよ?
 これで王子様じゃないなんて、よく言えるよ……」


 全部成り行きのような気がしないでもないが。


「私にとってもトーマは、救いそのものでした。
 生きているのも辛い毎日で、それでも私は死にたくなかった。
 死にたくないけど、それでも毎日を生きていくのが辛かった。
 逃げ出すことも、投げ出すことも出来ずに苦しんでいた私に、戦う道を示してくれました。
 私に、カルネジアを捨てる道を示してくれました。感謝してもしきれません。
 ……3度も私を刺した事は、今はもう許してあげます」

「最後のは自業自得だろ。でもまぁ、痛い思いをさせて悪かった。
 あの時にトルネを殺していたら、可愛いお嫁さんが1人減るところだった」


 人生ってのはわからないもんだよなぁ。


「トーマ。大好き。大好きなの。私が好きになった人がトーマで、本当に嬉しい。
 トーマ好き。好きで好きでどうしようもないくらい、好き」


 リーンは体を少し起こして、俺に覆いかぶさるように動く。
 唇に柔らかい感触が伝わる。


「トーマ。奴隷の時も、いつ抱いてくれるかなって思ってたんだよ。
 もう私はトーマのお嫁さんだから、いっぱい愛して欲しい。
 私の全部をトーマにあげたいの……」


 そう言ってもう一度、俺の口に唇を重ねる。


「あーリーン酷いですよ!初めては譲ったんだから、私にも譲りなさい!」


 リーンを押し退けたトルネは、俺の口に噛み付いてくる。


「私だってトーマのことが好きです!トーマだけだったんです。私を受け入れてくれたのは。
 母さんが死んで、誰も私の理解者が居なくなったあの屋敷で、どれだけ助けを求めても、誰も助けてくれなかったあの日々を、まるで一緒に体験したみたいに理解してくれたトーマは、私にとって、どれだけ救いになったか分かりますか?
 ……分かりませんよね。トーマって気軽に人を助けて、あとは知らん振りしちゃいますものね」


 今度は優しく唇を重ねてきた。
 唇の感触も、人によって変わるものなんだなぁ。


「どうか、私のことも抱いてください。初めはリーンでも構いません。
 でも、リーンと同じだけ愛してください。私にはもう、トーマしか居ないんですから……」


 トルネは、まるで道を譲るかのように、俺の横に体をずらした。
 心臓が爆発しそうなくらいに興奮しているんだけど、いつも通り冷静な部分が、ツッコミを放棄してくれない。


「え~っと……。なんか流れ的に、2人一緒にって聞こえるんだけど。
 俺だってこういうこと初めてだし、いきなりは2人同時ってのは、ちょっとハードル高すぎないかな?」

「ふふ、私のほうが先輩だから、トーマは私に任せてもいいんだよ?
 私も2人きりがいいけど、今更トルネをのけ者になんてできないよ。
 さっさと私達を抱かないからこういうことになるの。反省しなさいっ」

「私もリーンとケンカするつもりはありませんから。
 リーンの言うとおり、さっさと私達に手を出していれば、こんなことにはならなかったのですよ。
 トーマこそ自業自得です。余計な事は考えずに私たちを愛してください」


 美少女2人に迫られるのは興奮しかしないんだけど、なんだかちょっぴり寒気がするのはなぜなんだろう。

 なんだか捕食される気分だなぁ。


 ……余裕があるうちに、部屋の外に音が漏れないよう、練習しておこうかな……。
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

貧弱の英雄

カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。 貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。 自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる―― ※修正要請のコメントは対処後に削除します。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

処理中です...