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5章 カルネジア・ハロイツァ
116 娘さんをください
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パーティ登録を済ませた後、ホムロの店に行き、装備の更新を打診。
ホムロの店で扱えるのは金板級までということなので、全員の全身装備をそこまで引き上げることにする。
次に衣料品店と雑貨屋で、ジーンさんとリンシアさんの生活雑貨を買い揃え、市場に寄って食料品も購入。
時間的にはまだ明るいが、今日のところは大人しく帰宅して、ご両親の2人を休ませることになった。
「ああ、本当にここに戻って来れるなんて……」
2人は家の前で泣き崩れてしまった。
名義は俺に変わってしまっているが、戻ってこれたことが嬉しいのだそうだ。
「今日は俺とトルネで夕飯の支度をするよ。4人は積もる話もあるだろうから、ゆっくりしててくれ。
あ、リーン。あの話は俺からさせてくれよ?口滑らせないようにな」
「ぶー。少しは先輩の事を信用しなさいっ」
ぶー垂れてるけどリーンは嬉しそうだ。
両親と話したいことが沢山あるんだろうな。
「ごめんね2人とも。今日は甘えさせてもらうよ」
そう言ってシンも両親と話し始めた。
それを邪魔しないように、俺はトルネと台所に移動した。
「あ、相変わらず生活魔法の精密操作がおかしいですね……」
トルネがなんか言ってる。
火魔法を覚えたので、今までよりも調理が楽になって楽しい。
おっと、お湯が沸いた。
「トルネ。お湯沸かしたから、お茶淹れて持ってってくれる?
お茶請けに、さっき買ったお菓子も持ってってね」
「なんかトーマに女性として敗北感を抱くんですけど、気のせいですかね?」
「気のせい気のせい。冷める前に持ってっちゃってよ」
なんかトルネが肩を落としながらお茶を持って行った。なにしてんだアイツ。
火魔法は、日本の家庭用ガスコンロよりも火力が低い気がする。
確か炎が発生する最低の温度が、1200度くらいなんだっけ?
多分、その最低ラインくらいの火力しかだせないっぽい。
ただその辺は魔法としての応用力で、色々カバーできる気がする。
熱魔法を併用すると、調理の幅がぐっと広がって、本当便利。
それに生活魔法である熱、火、水魔法の操作は、両手が塞がっている状態でも行える。
日本ではあまり料理をしなかった俺だが、魔法調理は快適すぎて、料理するのが結構楽しい。
「トーマ、戻りましたよ。って、私が手伝う余地あります?これ」
「もっちろん。頼りにしてるよトルネ」
6人分も作るのは初めてだし、少し余らせるつもりで作ろう。
ふわわとつららも、食べる量増えてきてるしな。
「これは、美味しいな。トーマさんは何でもできるんだなぁ」
「いやいや、料理はベイクに来てから習ったんだよ。
美味しく出来てるなら、俺に教えてくれた人の腕が良かったんだな」
「トーマ~!私より美味しく作るのやめてよっ!」
いや流石に調理で手を抜く方が難しいし。
「ふふ、これからリーンには、沢山お料理教えてあげるからね」
そう言ってリンシアさんはこちらを見てくる。
やっぱ女の人って怖い。
賑やかな夕食も終って、現在はまったりタイムだ。
リーンのことを先延ばししても良いことはないので、お茶を淹れてからジーンさんとリンシアさんに、今後の事で話したいことがあると告げた。
「ちょうど良かった。私たちのほうからもトーマさんに話があったんだ。
ご覧の通り、仕事も失くしてしまったわけだしねぇ」
「ああっと、俺のほうから先に話をさせてもらって良いかな?
出来れば早めに済ませておきたい話題なんだ」
「ええ、勿論構わないよ。それでお話って?」
き、緊張してきたーーー!
日本では結婚はおろか恋愛すらしてこなかったのに、いきなり娘さんを下さいは、なかなかハードル高いわ!
ふぅ、と一息ついて覚悟を決める。今更リーンを他の男にはやれないよな。
「俺の話はリーンのことです。お二人が居ない間にこんなことを決めてしまって、申し訳ないと思うけれど、俺はリーンのことが好きです。
どうか娘さんを俺に下さい」
今更断られても諦めるわけにはいかないけど!
「うん。リーンの事をよろしく頼みます。
トーマさんの未来に娘が力になれるのならば、父親として誇りに思うよ」
…………およ?なんかあっさり?
「母親として、リーンの事を宜しくお願いしますね。
ふふふ、リーン。トーマさんを逃がさないように、しっかり捕まえておくのよ?」
お、おお。思ってたよりあっさり了承されたな。
いや反対されるよりずっと良いんだけど。
「ただ、俺はリーンだけじゃなくて、こっちのトルネも一緒に貰うつもりです。
そんな男に娘をやっても大丈夫ですか?」
「ふむ?トーマさんたちの話はついているのだろう?
なら私からとやかく言うつもりはないさ」
「ふふ、トルネさん、だったわね?
こんな可愛い子が娘になってくれるなんて、私も嬉しいわ」
あ、あれ~?
やっぱここって異世界だわ。
「トーマさん。これからは家族としての付き合いになるね。
くくく、まさか年上の息子が出来るとは思わなかったけど」
ぐ、それを言われると言い返せない……。
ちなみにジーンさんは28歳、リンシアさんは26歳だ。
シンを産んだの12歳とかってマジ?っていうか、いつ行商したんだと言いたい。
「私もリーンの歳に、この人と一緒になりましたからね。
リーンが良いなら私から言うことはないわ。
トーマさんには家族みんなが、沢山の恩を受けてしまっているし」
「やったねトーマ!これで私、トーマのお嫁さんだよ!」
感極まってリーンが胸に飛び込んできた。
優しく抱きしめて、リーンが俺のものになったのだと改めて実感する。
「これからも宜しくなリーン。俺の可愛いお嫁さん」
「うん。これからも宜しくねトーマ。私のかっこいい王子様」
お、王子様は辛いなぁ……。
35歳だったら、既に即位して10年とか経ってそうだ……。
ホムロの店で扱えるのは金板級までということなので、全員の全身装備をそこまで引き上げることにする。
次に衣料品店と雑貨屋で、ジーンさんとリンシアさんの生活雑貨を買い揃え、市場に寄って食料品も購入。
時間的にはまだ明るいが、今日のところは大人しく帰宅して、ご両親の2人を休ませることになった。
「ああ、本当にここに戻って来れるなんて……」
2人は家の前で泣き崩れてしまった。
名義は俺に変わってしまっているが、戻ってこれたことが嬉しいのだそうだ。
「今日は俺とトルネで夕飯の支度をするよ。4人は積もる話もあるだろうから、ゆっくりしててくれ。
あ、リーン。あの話は俺からさせてくれよ?口滑らせないようにな」
「ぶー。少しは先輩の事を信用しなさいっ」
ぶー垂れてるけどリーンは嬉しそうだ。
両親と話したいことが沢山あるんだろうな。
「ごめんね2人とも。今日は甘えさせてもらうよ」
そう言ってシンも両親と話し始めた。
それを邪魔しないように、俺はトルネと台所に移動した。
「あ、相変わらず生活魔法の精密操作がおかしいですね……」
トルネがなんか言ってる。
火魔法を覚えたので、今までよりも調理が楽になって楽しい。
おっと、お湯が沸いた。
「トルネ。お湯沸かしたから、お茶淹れて持ってってくれる?
お茶請けに、さっき買ったお菓子も持ってってね」
「なんかトーマに女性として敗北感を抱くんですけど、気のせいですかね?」
「気のせい気のせい。冷める前に持ってっちゃってよ」
なんかトルネが肩を落としながらお茶を持って行った。なにしてんだアイツ。
火魔法は、日本の家庭用ガスコンロよりも火力が低い気がする。
確か炎が発生する最低の温度が、1200度くらいなんだっけ?
多分、その最低ラインくらいの火力しかだせないっぽい。
ただその辺は魔法としての応用力で、色々カバーできる気がする。
熱魔法を併用すると、調理の幅がぐっと広がって、本当便利。
それに生活魔法である熱、火、水魔法の操作は、両手が塞がっている状態でも行える。
日本ではあまり料理をしなかった俺だが、魔法調理は快適すぎて、料理するのが結構楽しい。
「トーマ、戻りましたよ。って、私が手伝う余地あります?これ」
「もっちろん。頼りにしてるよトルネ」
6人分も作るのは初めてだし、少し余らせるつもりで作ろう。
ふわわとつららも、食べる量増えてきてるしな。
「これは、美味しいな。トーマさんは何でもできるんだなぁ」
「いやいや、料理はベイクに来てから習ったんだよ。
美味しく出来てるなら、俺に教えてくれた人の腕が良かったんだな」
「トーマ~!私より美味しく作るのやめてよっ!」
いや流石に調理で手を抜く方が難しいし。
「ふふ、これからリーンには、沢山お料理教えてあげるからね」
そう言ってリンシアさんはこちらを見てくる。
やっぱ女の人って怖い。
賑やかな夕食も終って、現在はまったりタイムだ。
リーンのことを先延ばししても良いことはないので、お茶を淹れてからジーンさんとリンシアさんに、今後の事で話したいことがあると告げた。
「ちょうど良かった。私たちのほうからもトーマさんに話があったんだ。
ご覧の通り、仕事も失くしてしまったわけだしねぇ」
「ああっと、俺のほうから先に話をさせてもらって良いかな?
出来れば早めに済ませておきたい話題なんだ」
「ええ、勿論構わないよ。それでお話って?」
き、緊張してきたーーー!
日本では結婚はおろか恋愛すらしてこなかったのに、いきなり娘さんを下さいは、なかなかハードル高いわ!
ふぅ、と一息ついて覚悟を決める。今更リーンを他の男にはやれないよな。
「俺の話はリーンのことです。お二人が居ない間にこんなことを決めてしまって、申し訳ないと思うけれど、俺はリーンのことが好きです。
どうか娘さんを俺に下さい」
今更断られても諦めるわけにはいかないけど!
「うん。リーンの事をよろしく頼みます。
トーマさんの未来に娘が力になれるのならば、父親として誇りに思うよ」
…………およ?なんかあっさり?
「母親として、リーンの事を宜しくお願いしますね。
ふふふ、リーン。トーマさんを逃がさないように、しっかり捕まえておくのよ?」
お、おお。思ってたよりあっさり了承されたな。
いや反対されるよりずっと良いんだけど。
「ただ、俺はリーンだけじゃなくて、こっちのトルネも一緒に貰うつもりです。
そんな男に娘をやっても大丈夫ですか?」
「ふむ?トーマさんたちの話はついているのだろう?
なら私からとやかく言うつもりはないさ」
「ふふ、トルネさん、だったわね?
こんな可愛い子が娘になってくれるなんて、私も嬉しいわ」
あ、あれ~?
やっぱここって異世界だわ。
「トーマさん。これからは家族としての付き合いになるね。
くくく、まさか年上の息子が出来るとは思わなかったけど」
ぐ、それを言われると言い返せない……。
ちなみにジーンさんは28歳、リンシアさんは26歳だ。
シンを産んだの12歳とかってマジ?っていうか、いつ行商したんだと言いたい。
「私もリーンの歳に、この人と一緒になりましたからね。
リーンが良いなら私から言うことはないわ。
トーマさんには家族みんなが、沢山の恩を受けてしまっているし」
「やったねトーマ!これで私、トーマのお嫁さんだよ!」
感極まってリーンが胸に飛び込んできた。
優しく抱きしめて、リーンが俺のものになったのだと改めて実感する。
「これからも宜しくなリーン。俺の可愛いお嫁さん」
「うん。これからも宜しくねトーマ。私のかっこいい王子様」
お、王子様は辛いなぁ……。
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