異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

文字の大きさ
上 下
126 / 580
5章 カルネジア・ハロイツァ

111 魔物の巨大化

しおりを挟む
「……本当に、10階層までは初心者ダンジョンって感じだったんだなぁ」


 15階層で初めて出現した魔物を見て、思わず苦笑いしてしまう。
 いやいや、これぞファンタジーってか……?

 目の前を、ハロイツァが子供に見えるくらいでかい人型の魔物が群れで歩いている。体は緑、というかなんか苔でも生えてるんだろうか、所々に植物が見える。

 そして手には棍棒を持っている。そう、武器持ちの魔物だ。平均3~4メートルはありそうな緑の巨人が、武器を持って、群れで襲ってくるのが15階層だ。

 こいつらは『小暴鬼レッサートロル』。レッサー種でこれかぁ……。
 植物に近い体で、優れた再生能力を持ち、斬撃に弱いが時間をかけると切り傷が再生してしまう。
 あと単純にでかいので、攻撃力、耐久力共に高い水準を誇る。武器を持ち、知性もあるらしい。

 弱点は鈍重であることくらい。
 あとは全体的に、高い水準で纏まっている魔物だ。

 まぁ今更鈍重な魔物に後れを取るつもりは、ないけどな。


「ああもうこいつ嫌いー!」

「あーもーなんなんですかこいつー!」


 リーンとトルネが少々苦戦気味だ。この2人は手数で押すタイプなので、高い再生能力持ちとは相性が悪いようだ。
 俺のロングソードなら腕や足を両断するには充分だったし、シンは一度斬りつけた所をすかさず追撃することで、刃渡りの短さを補っている。
 シンとリーンのナイフとダガーでは、1度や2度切りつけた程度では効果が低いようだった。
 まぁ苦戦と言っても、倒すまでの時間が伸びる程度ではあったが。

 途中からリーンにメイスを、トルネにロングソードを渡して、俺自身がダガーで闘ってみることにする。

 まずは懐に飛び込み両足を斬る。そして頭が下がったところを、すかさずダガーで延髄に斬撃を入れ絶命させる。やっぱ巨人相手なら一度はやってみないとね!

 刃渡り50センチほどのダガーではあるが、2本持ってれば結構取れる手段も増える。その分被弾のリスクも高まるが、今更この程度の速度の攻撃に当たるわけもなし。

 ふと仲間の方に目を向けると、レッサートロルの頭部を頭を叩き潰しているリーンと、ロングソードでバッサバッサとレーサートロルを斬り捨てているトルネの姿が目に入った。
 あのレッサートロルの姿が、将来の俺に重ならないことを祈るばかりだ。マジで。


 ドロップアイテムは『魔法石』の低級品らしい。品質、結構細かく分かれてるのかな?
 単価は70リーフとちょっと渋め。まぁネズミの落す最低品質のが7リーフだから、10倍ではあるんだけど。


 しかし迷宮も深くなるに連れて広くなっていくし、15階層まで来ると、移動時間だけで馬鹿にならない。
 無理すれば1日に3回探索出来そうだけど、現状お金には困ってないからなぁ。2回でいいか。

 なんかこの辺まで来ると、大人数で迷宮に数日篭るってのもわかる気がするな。
 俺たちは少人数だからあんまりメリットない気がするけども、そもそも深層階域なんて行った日には、移動だけで1日かかる気がしてきたぞ……。


 次の日も足踏みすることなく、16階層に歩を進める。

 16階層の魔物は『亜精霊レッサーエレメント』。見た目は人型に近い不定形だ。
 4属性それぞれのレッサーエレメントが居て、それぞれが各種攻撃魔法を放ってくる。攻撃魔法の威力は高いので、火力に特化した砲台的な魔物だ。
 また体がほとんど魔力で構成されているので、ダーティ系素材にはめっぽう強い。つまりはスリングショットでダメージが与えにくい。一発試しに打ち込んでみたら弾のほうが吹っ飛んだ。

 同時に複数種のレッサーエレメントが現れた場合、優先すべきは風だ。エアスラッシュは射程が短いものの視認しにくい。トルネにはまだ魔力感知がないので、万が一があり得る。

 と言っても攻撃魔法はどれも威力が高いので、脅威度はそこまで変わらない。
 射程と速度のフレイムアロー。散弾で回避しにくいストーンバレット。視認しにくいエアスラッシュ。喰らうと呼吸や動きにも制限がかかるウォータースフィア。威力自体も、無防備で喰らうと全部即死クラスだ。

 弱点は耐久力のなさと、あまり移動しないこと。本当に固定砲台のような魔物だ。


 ドロップアイテムは低品質の各種『属性石』だ。
 属性石は装備の素材や魔導具の材料など、幅広く需要があるそうで、どの属性も一律100リーフで買い取ってもらえる。

 また、レッサーエレメントは比較的スクロールを落としやすい魔物としても有名だそうだ。流石に2回探索したくらいでは落としてくれなかったけど。

 そういえばあまり意識していなかったけど、16階層で戦っていても、10階層までの魔物はもう出現しなくなっていた。戦力外通知ってやつなんだろうなぁ。


 お金は必要な経費を除いて全部貯めてある。奴隷解放された時点で、全員の装備を金板級に更新しようということで話がついている。
 その時のタイミングでまたスキル神殿にも行くつもりなんだけど、今のままだとトルネがきついかなぁ?
 トルネだけ魔力感知と身体能力強化持ってないのは危ないかも?


「心配してくれるのは嬉しいですけど、20階層くらいなら、魔力感知を持たずに挑戦する冒険者の方が多いと思いますよ?
 実際5等級でも、魔力感知を持ってない人は居ると思いますし」


 そういえばオーサンも、魔力感知は6で取得できるみたいなこと言ってたっけ。

 まぁトルネ本人が不安がないなら従っておこうかな。

 まだSPは300を超えた程度なので、なにも取れないんだよねー俺だけ。
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!! 「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

処理中です...