異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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5章 カルネジア・ハロイツァ

110 指導訓練からの卒業

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「あ、皆さん!トラップ発見しました!」


 トルネの呼ぶ声でみんなが集まる。


「あそこですあそこ。地面が微妙に色が違うのが分かりますか?」


 んー……、微妙に黒い、かな?自信ないわぁ。


「なるほど。あれが迷宮のトラップなんだね」

「ええ。他にも地面や天井や柱などに仕掛けられている場合もありますが、基本は地面設置型が多いようですね」

「あれくらい色が違うなら、一度見れば引っかからなくて済むねー」


 え、俺だけ?俺だけ自信ない感じなの?

 しゃーない。
 一応目に焼き付けつつも、複合センサーでもチェックしてみよう。

 ……音と熱には特に変化はないけど、魔力感知にちょっと違和感があるな。魔力があそこだけ濃いような。


「では発動させてみますので、みなさん近付かないでくださいね」


 トルネは罠がある地面に向かって、ナイフを投擲した。

 ナイフが地面に突き立った瞬間、地面が発光し、一瞬置いて凄まじい勢いで火柱が上がる。


 ……お、おぅ。迷宮の罠って殺意高すぎませんかねぇ?


「トラップは見ての通り、かなり殺傷力高めです。
 忘れた頃に遭遇したりするそうなので、探索の際は、常に念頭に置くようにしてくださいね」


 反応軽くないっ!?
 即死級トラップ見せ付けて、後は気をつけろって軽くないかな!?


「まぁあんなに分かりやすいなら問題ないかな」

「そうだねー。暗視がなければ、また話は違うんだろうけどー?」


 亜人と人種では五感に差があるんだから仕方ない。
 人種のトルネ?知らん知らん!



 現在はベイクの迷宮13階層を探索中だったりする。

 13階層の魔物は『飛針蜂ピアシングビー』。beeはミツバチのことじゃなかったっけ?刺す?刺すの?
 ドロップアイテムは『蜂蜜』。単価は90リーフとなかなか高額。

 キラーラットとは比べ物にならないスピードで飛行し、それでいて集団で襲ってくる。
 攻撃方法はお尻のゴッツイ針なのだが、その針は接近戦だけではなく、中距離からの発射も可能で、わりと抜け目なく脅威な相手だ。

 大きさも2階層のネズミくらいあって、何より羽音がめちゃめちゃうるさい。
 組み付かれると噛み付きも厄介。効力は弱いらしいが、針には麻痺毒まで持っている。

 頭上の敵に警戒しながら地面に罠が設置してあるとか、段々と本当に悪辣になってきた感。


 まぁ羽音が大きいので、奇襲はまずされないかな
 ただ空中の敵ってだけで、脅威度は高い。


 実際に戦ってみると、中距離からの針飛ばしがなかなかの脅威度だった。
 こちらの攻撃が届かない位置から、バンバン飛ばしてくる。回避と防御の練習にはなったが、危険な魔物だと思う。
 針を飛ばした後は接近戦しか能がないので、そこをフォローできれば、もっと深い階層に出てもおかしくなさそうなくらいには厄介だった。
 針回避からの接近戦で殲滅、の流れ。

 ハロイツァと戦ってなかったら、被弾くらいはしたかもなぁ。


 次の日、14階層の探索。
 出てくる魔物は『魔石像ストーンゴーレム』さん。
 ハロイツァを少し小さくしたくらいの大きさ。白っぽい表面に、石で出来た体をした魔物だ。
 ゴーレムって色んな作品で見るけど、石とか鉱物が動くのって、リアルで見ると意味分からないなぁ。

 ドロップは『守護魔石ガードストーン』。主に防具の素材に使われる素材で、防御系統の魔法効果を乗せやすい素材とのこと。単価はまさかの150リーフ。一気に高騰した!

 マッドゴーレムの上位互換みたいな魔物で、石の体が高い攻撃力、防御力を兼ね備えているらしい。
 装備次第では倒すことが出来ず、逃げるしかない場合もあるという。

 斬撃に強く打撃に弱いという、マッドゴーレムとは反対の性質を持つストーンゴーレムではあるが、何も考えずに打撃を行うと、飛び散った石の破片が二次災害を引き起こすという、なかなかの厄介者だ。

 うちのパーティメンバーは、普通に魔装術でぶった斬っていたが。
 ちなみに、遠くからのスリングショットでも安全に倒せることは証明済み。

 一度メイスで思いっきり爆散させてみたんだけど、吹き飛んだ破片が当たって痛いわ、仲間には不評だわ、他のストーンゴーレムを倒せるほどの威力ではないわで、1つも良いことがない。もう絶対やらねぇ!

 11階層以降、魔物の襲撃の規模が大きくなったせいか、スクロールの出土がちょっと増えた気がする。
 まぁ今のところ、全部生活魔法でしたけどね?
 まだ持ってなかった『火魔法』は嬉しかったけど!



◆◆◆◆◆◆

『火魔法』
火属性の影響が最も強い、生活魔法の1つ。
自身の魔力を代償に、火の発生、設置、操作を行使することが出来る。
一定水準以上の魔力を持つ存在に火を灯すことは出来ない。
自身の魔力から生み出した火以外は操作対象外。

◆◆◆◆◆◆



 火魔法は攻撃に転用しやすいためか、結構縛りが多いなぁ。まぁこれで調理が捗る事でしょう。
 あとトルネが洗浄を覚えて、地味に嬉しそうだった。おめでとうございます。


 次の日はオーサンの訓練日だったのだけど、


「トーマたちはこれで最後にしときな。もうお前らに教えられるこたぁねぇよ。
 それにガキ共がいつまでも無料で便乗してるのは、こいつらのためにならねぇからな」


 いきなりギルドの戦闘技能指導からの卒業を言い渡されてしまった。
 うーむ、子供達のためにならないと言われると、従わざるを得ないか……。

 確かに走り込みでバテる事もなくなったし、武器の扱いも不安はない。
 模擬戦は仲間内でやればいい訳だから、指導の必要もなくなったわけか。

 と、一瞬感傷的になりかけたけど、ベイクで冒険者やってる限り、オーサンとの付き合いはなくならないか。
 それじゃまぁ、あまり変化はないのかな?

 
 今回が最後と伝えると、クリリクさんは既にオーサンから話を受けていたようで、特に驚かれることもなかった。ただ「訓練がなくなっても遊びに来てねぇ」と言ってくれた。
 勿論また来ますよ。オードルに会いにねっ!


 戦い方なんて何にも知らなかった俺に、迷宮に挑む強さを教えてくれた指導訓練。
 卒業できたと思うと、俺も強くなったんだなぁと、しみじみ思ってしまう。

 多分リンカーズに来て90日くらい、3ヶ月くら経ったのかな?
 俺ももう駆け出しとは名乗れないのかもしれないな。
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