異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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5章 カルネジア・ハロイツァ

104 カルネジア家の実情

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「父さんと母さんも、帰ってこられるの!?」

「はい。当家が責任を持って、対応に当たらせて頂きます。
 しかし残念ですが、犯罪奴隷印を消す術は御座いません。
 お金で解決できる話ではありませんが、シン様のご家族には1人当たり白金貨5枚を、賠償金として送らせて頂く予定です。
 加えて、当家が都合できるものであれば、可能な範囲内ではありますが、皆様の要望にお応えする用意が御座います」


 犯罪奴隷印は仕方ないにしても、免罪が晴れて両親も戻ってくるなら、俺たちの完全勝利に近い。

 ……でもあまりにもこちら側に都合が良すぎる。
 本当に裏はないのか?


「それと当代様は、トルネ様が望むのであれば、ハロイツァ様に代わり、シャンダリアをお任せしたいと仰っております。
 トルネ様の意思を尊重されるとの事ですので、無理強いは致しません」


 そりゃどうでもいいな。トルネが決める話だ。


「カルマさん。あまりにもこちら側に好都合すぎて、恐ろしいくらいだ。
 今までハロイツァを野放しにしていたわりに、この手回しの速さはいったいなんなんだ?
 あ、あと一応ハロイツァの今後の処遇だけは教えて欲しいかな。もう襲われたくないし」


 最早警戒しても意味がない状況だろう。
 素直にカルマさんと話し合いをする方向に切り替える。


「そうですね。皆様としては第一に、ハロイツァ様の処遇を気にするのは当然です。
 まず、今までハロイツァ様が犯してきた犯罪行為を全て公表、カルネジア家の名で公式に謝罪致します。
 被害者が存命であったり、遺族がいる場合は、治療や賠償等を可能な限り行います。
 ハロイツァ様は7等級の人種の冒険者に敗北した事実を公表し、犯罪奴隷として当家の監視付きで、『前線』に送られる予定です」


 ……前線?
 リンカーズにはリヴァーブ王国しか国家が成立していないと、マニュアルに載ってたけど……。

 一体誰と戦っているんだ?


「ハロイツァ様が今まで犯してきた犯罪行為1つにつき1年、不当な理由で殺めた被害者1名につき1年、従軍期間が加算されます。
 当家の調査が正しいと仮定するのであれば、3度は生まれ変わらないと、解放されることはないでしょうね」


 当然と言えば当然だろうが、ハロイツァがしてきた事は全部把握しているのか。


「さて、トーマ様は先ほど、当家がハロイツァ様を野放しにしていたと仰いました。実に耳の痛い話で御座います。
 当家がハロイツァ様の所業に頭を悩ませながらも、今まで見逃してきた理由はただ1つ。ハロイツァ様の戦闘力に期待してのことで御座います。
 カルネジア家全体で見ても、ハロイツァ様は獅子の獣人としての血を、非常に色濃く継いでおられる方なのです。加えて恵まれた体格と、圧倒的な反射神経。
 いつかは優秀な戦士として目覚めてくれるものだと、私も含めて、カルネジア家の者は信じたかったのです」


 確かに身体能力おばけだったなコイツ。
 五感だけで背後の攻撃まで察知できて、瞬間加速でも捉えきれない瞬発力。嫌になったもんなぁ。


「しかし我々の願いも空しく、ハロイツァ様が戦士としての自覚を持つことは、ついぞありませんでした。
 ハロイツァ様も御年26歳となられ、これ以上の将来性は無い、と当代様は判断されました。
 貴族の矜持もなく、ただ暴れ回るだけの粗忽者、その上で敗北を喫するような無能者にかける目などない、と」


 はっ、随分と勝手な言い分だな。
 これまでハロイツァに苦しめられ、殺されてきた人たちのことは、心底どうでもいいってことか。

 そりゃハロイツァみたいなクソ貴族も生まれるわけだな、カルネジア家は。


「……そんなの、そんなの全部勝手な都合じゃないか!
 僕たちだけじゃない、今までハロイツァが苦しめてきた人たち、奪ってきた命に対して、なんの誠意も感じられない!
 今更出てきてなかったことにしてやるって!?
 ハロイツァの行いを知っていて、止めることも出来たはずのお前らカルネジア家に、何の責任もないような言い方をするなぁっ!」

「私達だけじゃない!アイツのせいで何人の人が犠牲になったと思ってるのよ!
 今更出てきて、何が無能者よ!何が貴族よ!人の命を、人の生活を、人の未来をなんだと思ってるのよぉっ!!」


 シンとリーンがカルマさんに食って掛かる。
 カルマさんに言っても仕方ないことではあろうが、2人が堪え切れなかったのもまた仕方ない。


「心より、お詫び申し上げる次第です」


 カルマさんの謝罪に、いったいどれほどの意味があるのかねぇ。


「……ねえカルマさん。ハロイツァが持ち得なかった『貴族の矜持』って、なんのことか教えてくれるかい?」

「は。カルネジア家では『魔物を打ち倒し、人々の命と生活を守る』ことが、貴族の矜持だと捉えております」

「ふーん。カルネジアの家人が人の命と生活を脅かすのは良いんだ。やっすい矜持だな」

「……面目次第も御座いません」


 ……っと、ハロイツァや当主にならまだしも、カルマさんに言っても仕方ないか。
 この人はただの使用人なんだしな。


「いや、俺も言い過ぎた。ごめんカルマさん。
 こっちからの要望は、みんなの冤罪が晴れて犯罪奴隷じゃなくなって、2人の両親を無事に帰してくれるだけで良いよ。
 白金貨とか要らないからさ。カルネジア家はもう金輪際、俺たちに関わってこないでくれる?
 カルネジア家のおかげで、リヴァーブ王国の貴族への印象は最悪だよ。
 謝罪も賠償も要らないからさ。今後カルネジア家からは俺たちに一切接触しないでくれるかな」

「……当代様にはお伝えしておきます。トルネ様とも2度とお会いにならないのですか?」


 トルネのほうを一瞬見る。まぁそうなったら仕方ないわな。


「トルネがカルネジア家に戻るなら、トルネも対象だ。
 仮にシャンダリアだっけ?に寄った時や、カルネジア家の直轄領に寄ったとしても、接触してくるのはやめてくれ。迷惑でしかない」

「私もカルネジアの家にはもう戻りませんよ。カルネジアの名はあの日、捨てましたから。
 ハロイツァの破滅も見れそうですし、何の未練もありませんね」

「……トルネ様のご希望も、当代様には必ずお伝え致します」


 はぁ~……。
 犯罪奴隷とハロイツァにまつわる一連の騒動は、これで決着かな?

 もうちょっとクエスト難度下げてくれないと、おっさんには辛いっすわ。
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