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5章 カルネジア・ハロイツァ
100 vsカルネジア・ハロイツァ②
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一応前もって幾つか作戦は立ててはある。その1つがリーンとの連携だ。
ハロイツァはリーンを性奴隷として狙ってくるわけだから、自然とリーンへの攻撃は、多少は甘くなるだろう。
そこで全員がなるべくリーンと連携し、ハロイツァの攻撃に対して、リーンを盾にするように立ち回ろうという作戦だ。
狙われているリーンを、逆にこちらが人質として利用するのだ。
実際今のところ、リーンへの攻撃の手はかなり緩い。作戦自体は間違っていないのだ。
問題は相手との圧倒的な戦力差だ。
作戦を生かすには、俺たちの地力が足りていない……!
「ゆっくり休んでいいぞぉ!俺は今、すこぶる機嫌がいい!
お前らの息が整うまで、待ってやってもいいくらいになぁ!」
うっぜぇけど、ありがたく休憩させてもらおう。
休憩中は魔装術も複合センサーも切って、気休め程度でも魔力を節約する。
一応生活魔法を使った小細工はいくつか用意してきているのだが、それを使うにはまだ早い。
現時点でも圧倒的劣勢ではあるが、ハロイツァは俺たちを舐め切っていて警戒心がない。
余計なことをして、警戒心まで煽りたくないのだ。
トルネに聞いていたハロイツァの強み、獅子の獣人の身体能力。
確かにこれだけ圧倒的なら、防御技術なんて気にしなくていいんだろうな。
身体能力だけで、防御と回避を全て賄えてしまえる。
くっそ。本当に現時点でコイツを倒す方法とかあるのかよ?
諦める気なんざ毛頭ないが、300万リーフ稼いでくるほうが、全然マシなんだけど?
「おーいそろそろ始めていいかぁ?流石に待ちくたびれたぜぇ!」
短気かよこのアホが!まだ3分も経ってねぇだろ!
「今行くから、そこで踏ん反り返って大人しく待ってろ!」
「ハハハァ!いいねぇ!
ここまでの実力差を見せられても、まだ誰も折れてないってのは、実にいいじゃねぇかぁ!」
全員を見回して、怪我の具合をお互い確認する。
少なくとも、動けないほどの仲間は今のところいないようだ。
ハロイツァを四方から囲うようにして、改めて対峙する。
「くくく、さっきは興味無いっつったが、撤回してやるよぉ。
楽しませてくれた礼だ。名乗って良いぞ」
何処まで上から目線だこのクソが。
まぁ答えるけどね、1秒でも休みたいし?
「7等級冒険者。名前はトーマ」
「トーマな。覚えてやるから光栄に思えよ?
お前もこんなガキを買ったりしなければ、良い冒険者になれたかも知れねぇのになぁ。
現実ってのは、ままならねぇもんだぁ」
演技ではなく、本音から残念そうに語っているように聞こえる。
「なら見逃してくれてもいいんだけど?」
「くくく、本気でもねぇクセに、くだらねぇ事言ってんじゃねぇよ。
お前こそやる気満々の癖しやがってよぉ!ハァーーハッハッハッハ!!」
そんなこと無いよ?
見逃してくれるなら喜んで逃げるわ、間違いなく。
「先手は譲ってやらぁ。好きなタイミングでかかって来い。
楽しませてくれよぉ、期待してるぜぇ?」
仲間を目を合わせる。怒りは感じるものの冷静さを失った様子はない。士気にも問題なさそうだ。
やっぱり問題は身体能力の差だな。ここからどれだけ埋められるかが勝負だ。
「お言葉に甘えて、俺から行かせてもらうぞ。
みんなも適当に合わせてくれ。細かいこと考えるだけ無駄だわ」
言い終わるなりロングソードを横に一閃。
はっ、でかい図体のクセに下を掻い潜りやがるか。
その一撃を合図に、3人も連携して追撃する。
さぁここからが勝負だ。気合入れろよ俺!
魔力と熱を切って、音センサーだけに意識を集中する。
覚えてからずっと、戦闘に日常にと使い続けてきた音魔法大先生に、足りない部分を補ってもらう。
流石に、血流や筋肉の動きを正確に把握することまでは出来ていないが、ハロイツァが動作する度に起こる、衣擦れの音や地面を踏みしめる音、呼吸音まで捉えて動きの先を読む。
純粋な動作スピードでは、全く太刀打ちできない。
動きが遅い分、初動を早めて対応するしか手がない。
「いやぁ楽しいなぁ!?お前どんどん動きが良くなってきてるじゃねぇか!
俺が剣を使って殺した相手ってのはそんなに居ねぇからよ。
頑張って俺に剣を使わせてくれよなぁ!」
くっ、そ……!
フィジカルで負けてる部分を無理矢理補ってるだけなので、連撃されると動作の方が追いつかない!
集中しろ!ハロイツァの発する情報全てを掌握しろ!
くっそ、小細工して嫌がらせしてぇ!でもせめて剣を抜かせてからやるべきだ!耐えろ俺!
!?
今まで聞いた事のない風切り音!全力で魔装術を使って、ロングソードを盾にする!
「ぐああっ!?」
直後に物凄い衝撃に襲われる。堪えきれずに、また大きく吹っ飛ばされてしまう。
「「「トーマっ!!」」」
今俺は何をされたんだっ!?
「ハハハハハ!まさかこれも凌ぎやがるとはなぁ!
今のは一応、俺の奥の手でもあるんだぜぇ?
武器ごとへし折ってやるつもりだったのによぉ!良く耐えてみせたなぁ!?」
ハロイツァの言葉を受けて武器を見る。良かった折れてないわ。
つうか魔装術込みの武器ごと折れる攻撃って、一体なにをされ……!
ハロイツァは俺に見せ付けるかのように背を向けて、装甲を着けた尻尾をゆらゆらと動かしている。
アレかぁっ!!
「分かったかぁ?完全に不意を付いた一撃だったにも関わらず、お前は反応して見せた!
くくくくく、ここで殺すのが惜しいくらいだぜぇ!
俺を楽しませてくれた礼に、お前は特別にコイツで殺してやるぜぇ!」
ハロイツァは背負っていた2本の大剣を抜き放ち、俺に向かって突きつけてきた。
ようやく抜いてくれたか。
さぁここからは、ワンミス=デッドエンドだ。
ここからは一撃の被弾も許されない。
まだ魔力には余裕を感じる。
全身魔装術を使用した状態での長時間戦闘は経験した事はないが、毎日の訓練とデスマのおかげで、俺の魔力は平均よりもきっと多いと思う。
まぁ使ってるのが燃費の良い生活魔法がメイン、って理由もあるだろうけどな。
全開で魔力を使い続けても、まだ15分は戦えると思う。充分だ。
こいつ相手に長期戦なんて考えたくもない。
尻尾の一撃で体のどこかを傷めた気配はない。
いや、すっげぇ痛いことは痛いけど。
流石は金板に迫る価値の品質を誇るロングソードだわ。ケチらなくて良かったぁ~。
さぁて。
俺の生命線の生活魔法の皆様、どうぞ宜しくお願いします。
頼りにさせてもらうぜ生活魔法!
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そこで全員がなるべくリーンと連携し、ハロイツァの攻撃に対して、リーンを盾にするように立ち回ろうという作戦だ。
狙われているリーンを、逆にこちらが人質として利用するのだ。
実際今のところ、リーンへの攻撃の手はかなり緩い。作戦自体は間違っていないのだ。
問題は相手との圧倒的な戦力差だ。
作戦を生かすには、俺たちの地力が足りていない……!
「ゆっくり休んでいいぞぉ!俺は今、すこぶる機嫌がいい!
お前らの息が整うまで、待ってやってもいいくらいになぁ!」
うっぜぇけど、ありがたく休憩させてもらおう。
休憩中は魔装術も複合センサーも切って、気休め程度でも魔力を節約する。
一応生活魔法を使った小細工はいくつか用意してきているのだが、それを使うにはまだ早い。
現時点でも圧倒的劣勢ではあるが、ハロイツァは俺たちを舐め切っていて警戒心がない。
余計なことをして、警戒心まで煽りたくないのだ。
トルネに聞いていたハロイツァの強み、獅子の獣人の身体能力。
確かにこれだけ圧倒的なら、防御技術なんて気にしなくていいんだろうな。
身体能力だけで、防御と回避を全て賄えてしまえる。
くっそ。本当に現時点でコイツを倒す方法とかあるのかよ?
諦める気なんざ毛頭ないが、300万リーフ稼いでくるほうが、全然マシなんだけど?
「おーいそろそろ始めていいかぁ?流石に待ちくたびれたぜぇ!」
短気かよこのアホが!まだ3分も経ってねぇだろ!
「今行くから、そこで踏ん反り返って大人しく待ってろ!」
「ハハハァ!いいねぇ!
ここまでの実力差を見せられても、まだ誰も折れてないってのは、実にいいじゃねぇかぁ!」
全員を見回して、怪我の具合をお互い確認する。
少なくとも、動けないほどの仲間は今のところいないようだ。
ハロイツァを四方から囲うようにして、改めて対峙する。
「くくく、さっきは興味無いっつったが、撤回してやるよぉ。
楽しませてくれた礼だ。名乗って良いぞ」
何処まで上から目線だこのクソが。
まぁ答えるけどね、1秒でも休みたいし?
「7等級冒険者。名前はトーマ」
「トーマな。覚えてやるから光栄に思えよ?
お前もこんなガキを買ったりしなければ、良い冒険者になれたかも知れねぇのになぁ。
現実ってのは、ままならねぇもんだぁ」
演技ではなく、本音から残念そうに語っているように聞こえる。
「なら見逃してくれてもいいんだけど?」
「くくく、本気でもねぇクセに、くだらねぇ事言ってんじゃねぇよ。
お前こそやる気満々の癖しやがってよぉ!ハァーーハッハッハッハ!!」
そんなこと無いよ?
見逃してくれるなら喜んで逃げるわ、間違いなく。
「先手は譲ってやらぁ。好きなタイミングでかかって来い。
楽しませてくれよぉ、期待してるぜぇ?」
仲間を目を合わせる。怒りは感じるものの冷静さを失った様子はない。士気にも問題なさそうだ。
やっぱり問題は身体能力の差だな。ここからどれだけ埋められるかが勝負だ。
「お言葉に甘えて、俺から行かせてもらうぞ。
みんなも適当に合わせてくれ。細かいこと考えるだけ無駄だわ」
言い終わるなりロングソードを横に一閃。
はっ、でかい図体のクセに下を掻い潜りやがるか。
その一撃を合図に、3人も連携して追撃する。
さぁここからが勝負だ。気合入れろよ俺!
魔力と熱を切って、音センサーだけに意識を集中する。
覚えてからずっと、戦闘に日常にと使い続けてきた音魔法大先生に、足りない部分を補ってもらう。
流石に、血流や筋肉の動きを正確に把握することまでは出来ていないが、ハロイツァが動作する度に起こる、衣擦れの音や地面を踏みしめる音、呼吸音まで捉えて動きの先を読む。
純粋な動作スピードでは、全く太刀打ちできない。
動きが遅い分、初動を早めて対応するしか手がない。
「いやぁ楽しいなぁ!?お前どんどん動きが良くなってきてるじゃねぇか!
俺が剣を使って殺した相手ってのはそんなに居ねぇからよ。
頑張って俺に剣を使わせてくれよなぁ!」
くっ、そ……!
フィジカルで負けてる部分を無理矢理補ってるだけなので、連撃されると動作の方が追いつかない!
集中しろ!ハロイツァの発する情報全てを掌握しろ!
くっそ、小細工して嫌がらせしてぇ!でもせめて剣を抜かせてからやるべきだ!耐えろ俺!
!?
今まで聞いた事のない風切り音!全力で魔装術を使って、ロングソードを盾にする!
「ぐああっ!?」
直後に物凄い衝撃に襲われる。堪えきれずに、また大きく吹っ飛ばされてしまう。
「「「トーマっ!!」」」
今俺は何をされたんだっ!?
「ハハハハハ!まさかこれも凌ぎやがるとはなぁ!
今のは一応、俺の奥の手でもあるんだぜぇ?
武器ごとへし折ってやるつもりだったのによぉ!良く耐えてみせたなぁ!?」
ハロイツァの言葉を受けて武器を見る。良かった折れてないわ。
つうか魔装術込みの武器ごと折れる攻撃って、一体なにをされ……!
ハロイツァは俺に見せ付けるかのように背を向けて、装甲を着けた尻尾をゆらゆらと動かしている。
アレかぁっ!!
「分かったかぁ?完全に不意を付いた一撃だったにも関わらず、お前は反応して見せた!
くくくくく、ここで殺すのが惜しいくらいだぜぇ!
俺を楽しませてくれた礼に、お前は特別にコイツで殺してやるぜぇ!」
ハロイツァは背負っていた2本の大剣を抜き放ち、俺に向かって突きつけてきた。
ようやく抜いてくれたか。
さぁここからは、ワンミス=デッドエンドだ。
ここからは一撃の被弾も許されない。
まだ魔力には余裕を感じる。
全身魔装術を使用した状態での長時間戦闘は経験した事はないが、毎日の訓練とデスマのおかげで、俺の魔力は平均よりもきっと多いと思う。
まぁ使ってるのが燃費の良い生活魔法がメイン、って理由もあるだろうけどな。
全開で魔力を使い続けても、まだ15分は戦えると思う。充分だ。
こいつ相手に長期戦なんて考えたくもない。
尻尾の一撃で体のどこかを傷めた気配はない。
いや、すっげぇ痛いことは痛いけど。
流石は金板に迫る価値の品質を誇るロングソードだわ。ケチらなくて良かったぁ~。
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