異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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5章 カルネジア・ハロイツァ

083 初めての

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「2人は一緒にいろ!無理に攻撃はしなくていいから逃げ回ってくれ!」


 シンとリーンに指示を飛ばす。
 2人の装備は悪くないが、魔装術相手に打ち合うことは無理だろう。


「へぇ?奴隷を盾にしなくていいのか7等級?」

「ふざけんな!2人で白金貨3枚もしたんだぞ!盾になんかできるかっ!」

「くくく、可哀想になぁ?
 奴隷なんざ買わなきゃ、良い冒険者になったかも知れねぇってのによぉ」


 そう言いながら2人は俺に、もう2人がシンたちの方に近付いていく。
 俺のことを舐め切ってるくせに、戦力の振り分け方は意外と堅実な気がするな。

 戦い慣れているということか。


「先輩よぉ。2人は犯罪奴隷だぜ?誰が犯罪奴隷なんか欲しがってんだよ?」


 教えてくれないかなぁ?


「はぁ?そんなもん知ったこっちゃねぇよ。
 こっちは金さえ貰えれば、頼まれた仕事をこなすってぇだけだ。
 依頼人なんて気にしたこともねぇ、な!」


 言いながら斬りかかって来た。オーサンのほうが早いな。
 もう1人も舐め切っているためか、連携も援護もする気は無いようだ。

 振り下ろされたロングソードを回避し、メイスに魔装術を込めて頭部を全力でぶん殴る。
 パッと紅い華が咲く。即死だろう。次。

 
「あ?」


 とか呆けてるアホの首に、左手で抜いたダガーを速やかに突き立てる。
 あと2人。


「て、てめえlなにしやがったぁぁぁぁ!?」


 シンのほうに向かおうとしていた残りの2人がこちらに向き直った。
 もう意表を突くのは難しそうだ。

 しかし、なにをしたもなにも、俺はただ自分の身を守っただけだが?


 片方がこちらに両手を突き出しているのが見える。攻撃魔法か!

 出来れば発動前に潰したいところだが、もう1人が俺と魔法使いの間に立って、魔法使いを援護する。
 始めからそれをやってればいいものを。

 腰に下げたロングソードを抜きざまに一閃。
 全力で魔装術を込めた一撃は、先輩殿の上半身と下半身を泣き別れにしてしまったようだ。


「フレイムアロー!」


 その時魔法が発動する。
 攻撃魔法って不便だよな。手からしか発動できないし、魔法名も言わないといけないんだから。
 確かに、リーンより使い慣れてそうだってのは認めるけどな。

 散々リーンで見慣れたフレイムアローなんて、手の向きと発声でタイミングが丸分かりだ。
 用心の為、少し大袈裟なくらい余裕をもって横に回避。

 避けられると思ってなかった先輩殿がアホ面で止まっていたので、ロングソードで唐竹割りにして差し上げる。
 うっわグロ。


 これで全滅させたかな?


「うおっと!」


 と思った瞬間に、音魔法が風切り音をキャッチ。
 回避が間に合わず肩に何かがぶつかってしまったが、どうやら魔装術がかかっている防具は抜けなかった模様。

 それより、やっぱり伏兵がいたらしい。


 崩した大勢を戻しつつ音がした方向を見ると、相手はもう目の前まで迫ってきていた。
 ち、コイツは早いな!

 ロングソードで相手の攻撃を弾くが、ロングソードでは防御が追いつかない。
 こいつ下手したら、オーサンより早いんじゃねぇのか?

 残っていたダガーを抜いて、ロングソードを手放す。
 他にも敵が残ってると困るが、それは今を切り抜けてから考える。

 音魔法を使って相手の動きを察知する。
 正直スピードは相手が上だ。使えるものは全部使う。


 ……?
 打ち合っていると妙なことに気付く。相手のナイフの損傷が激しい?

 まさかとは思うがコイツ、魔装術を使ってないのか?
 ブラフという可能性も考慮しつつ、目的を武器破壊に切り替える。


 どうやら相手も武器の損傷に気付いている模様。動きに焦りが見える。
 っとここだ!

 大振りになった切り払いに合わせて、ダガーを振り下ろす。
 相手のナイフを、根元から綺麗に切り飛ばせた。


「あっ!」


 相手が焦ったような声をあげるが、構ってられない。今がチャンスだ。
 追撃しようとすると、相手は俺の前に素手を翳して、


照明フラッシュ!」


 く、手を向けるから攻撃魔法と思って、警戒しちまったじゃねぇか。
 相手の設置した照明魔法に、こっちの照明魔法で干渉して、即座に打ち消す。
 更に音魔法で、俺の動作音を自分の周囲で留め、簡易的な消音措置。


「えっ?」


 照明魔法の光が消えたので意外に思ったのだろう。
 振り返ろうと足を止めた背中を追いかけるように、ダガーを突き刺してやる。


「…………え?」


 なんかマヌケな声が聞こえるが、構わずダガーを引き抜いて、両足の太股の中心辺りに一度ずつ、ダガーを突き刺しておく。


「あああああああああああああ!?」


 流石に立っていられなかったようで、なんか絶叫しながら地面に倒れた。
 コイツだけ明らかに別格だったから、子飼いの可能性もある。

 別に死んでも構わないが、情報が抜けたらありがたいところだ。


「あ、ああ…………」

「2人とも、周囲を警戒しつつ、俺の武器を集めてきてくれ。
 こいつらの所持品は厄介事になりそうだし諦めよう」


 2人に指示を出して、うつ伏せに倒れた相手を見る。
 流石に3箇所も風穴が空けられているからか、短く荒い呼吸を繰り返している。

 あんま時間無さそうだな。


「さて、お前は何か知ってそうだな。
 今回の件が誰からの依頼だったのか、答えてくれたら嬉しい。
 教えてくれたらラクに殺してやるぞ」


 こいつかなりの腕だったからな。
 安易に近寄らず、3メートルくらい距離を取って聞いてみる。

 なんか口が動いているが、小声すぎて聞き取れないな。
 音魔法先生、出番です。


「死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない」


 ……なんだコイツ?
 襲ってきたのは自分たちのほうだろうに。
 まぁいい、一応聞いてみるか。


「俺は止血ポーションを持ってる。お前が素直なら使ってやってもいいぞ?
 洗いざらい喋るなら、助けてやっても良いけど?」


 俺の声が聞こえたのか、相手の声が一旦止み、そして改めて口が開かれる。


「お願いします何でも話しますお願いします死にたくない話します死にたくないお願いします殺さないで」


 相変わらず小声で聞き取りにくい。音魔法大先生に感謝するこったな。


 患部が3箇所だから、服用させたほうがいいか。
 コイツの意識があるうちにポーション飲ませる。

 流石に拘束を優先すると、失血死しそうな感じだしな。
 あーあ、虎の子の1本だったというのに。


  俺は最大限警戒しながら、倒れている女に止血ポーションを飲ませてやった。
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