83 / 580
4章 2人のために出来ること
076 今後に向けて
しおりを挟む
冒険者ギルドに到着。
いつも通りオーサンと打ち合わせをすることに。
っていうかオーサンって、俺達の相手以外に仕事してるんだろうか?
受付カウンターの上にふわわとつららを乗せて、遊びながら話をする。
「そんじゃ余った音魔法のスクロールは買取で。5本とも、いや4本買取で頼む。
あと訓練指導をなるべく沢山受けたいんだけど、最短のスケジュール組んでくんない?」
全部売却しようと思ったけど、念のため1つだけ残しておく。
「最短のペースで組むなら5日ごとくらいかぁ?実際に上に確認しねぇとすぐに返事は出来ねぇかな。
スクロール代はどうする?持ってくか振り込むか」
「あー、結構金使ったし今貰うよ。
あとは10階層より先に進むために斥候系の技術が学びたい。組織単位でも個人冒険者でもいいから、トラップ関係の知識と技術を教えてくれる人って、紹介してもらえないか?」
「へぇ?メンバーを増やす気があるのか?」
2人の立場を考えると、あまり人は増やしたくないのが本音なんだけど。
「必要なものを揃えるだけだよ。出来れば俺達が必要な技術を身に付けるのが一番だけどね。
手探りでやるよりも教わった方が早いのはオーサンの指導で身に染みてるし、だれか適当な人を紹介してもらえないかな?」
「あー……、一応探してはやるけどよ、正直難しいかも知れねぇ。
話をする際にメンバーに犯罪奴隷がいることを隠すわけにはいかねぇから、その時点で断られる可能性が高いかもしれん」
はいはい犯罪奴隷犯罪奴隷っと。
2人もいちいち落ち込むなってぇの。
「まぁダメ元で頼むよ。見つからなかったら仕方ないさ」
望み薄って感じかな。11階層に乗り込む前になんとかしたいところなんだけど。
金貨2枚と銀板4枚を受け取って、冒険者ギルドを後にする。
本日最後の目的地は、商工ギルドである。
「ポポリポさんちっすちっす」
「ああトーマさん来てくれたのかい。
こっちもいくつか用件があるから助かったよ」
ほう?商工ギルドが俺に用事とな?
「まずは職人さんから、これを預かってるよ。
昨日来た時に渡せば良かったんだけど、私も忘れちゃっててね」
と、5キロで売ってるみかん箱くらいのサイズの、木製の箱を見せてくれた。
ああ、そういえばこれも頼んでたんだったな。
ちゃんと上部に取っ手も付いている。
「問題があったら連絡して欲しいとさ。
要望通りならこれで依頼完了にしてしまうけど、どうするんだい?」
「うん、依頼完了でいいよ」
作ってもらったのは、ふわわとつららの運搬用の籠だ。
見た目木箱なのに結構軽い。
中に柔らかめの布が敷いてあって、快適そうである。
けど、2匹も迷宮に入れることになった今だと、あまり使い道がないかもなぁ。
クリリクさんに預けることを前提に作ってもらったもんだからなー。
まぁ無駄にはなるまい。最悪オードルへの貢物にしよう。
「次にスレイさんから伝言だね。
トーマさんに合わせるから、なるべく早い段階で話がしたいそうだよ」
お、グッドタイミングってやつだ。俺もスレイに話があるからな。
「それじゃあ明日の日没後、夕食食べた後に商工ギルドの個室を用意してもらっていいかな?
スレイにもそう伝えて欲しい」
「はいはい了解しましたよ、っと」
ポポリポさんが木板にメモ書きしながら返事をする。
「それで、昨日トーマさんに言われた物件だけど、どうやら85万リーンで売りに出されてるみたいだね。
今のところ、他の買い手はついてないみたいだねぇ」
「じゃあ口座からの支払いってことで、購入手続きしておいてくれる?
あと金板2枚……は残ってないか」
なら引き出しは控えておくとしよう。
カズラさんには明日持ってくって言っちゃった手前、明日払えないとちょっとかっこ悪いけど。
1日くらい延長してもらっても許してくれるだろう、きっと。
3階層の稼ぎっていくらだったっけ?
もう遠い昔みたいに感じるけど、なんか数日間で金貨1枚に行くくらいだったような?
「ああっと、ポポリポさん。
白金貨3枚はあの2人に化けました、ってことで納得しておいて」
今回の件にさほど絡んでないポポリポさんには、最低限の説明だけをザックリ伝える。
ポポリポさんは2人とは面識なかっただろうしね、って商売人として面識あったりするのかな?
ポポリポさんからは特にリアクションが無かったので、そのまま商工ギルドを後にする。
「さて、じゃあ今日はこれから慣らしも兼ねて、2人には3階層をずっと回ってもらうぞ。
休憩は挟むけど、明日の夜明けまで探索し続けるから、そのつもりでな」
「え~?一晩中回るの~?」
「構わないけど、理由があるなら教えてもらえるかな?」
「1つは今言ったように2人の慣らしだな。今までずっと軟禁状態だったんだろうし、多少は鈍ってると思うべきだ。
2つ目に、今後夜間での戦闘や逃走が必要になってくる可能性があるから、一度は夜通し動き続けるってのを経験しておくべきだと思う。
3つ目。夜間に戦闘を行うことが暗視スキルを取得する条件だから、先に達成しておきたい」
「……スキルの、取得条件???」
やっぱりピンと来てないな。
ステータスで詳細を見れるのは、アドバンテージになり得そうだ。
「わからないなら気にするな。俺としても今は話せる情報じゃない。
結局は今晩ずっと3階層回るってだけの話だ。
つまんないミスはしないでくれよ」
「うん。3階層なんかで後れを取るわけには行かないよ」
「がんばるねっ!」
3階層なんて本当に慣らしにしかならないだろうけれど、まぁリハビリには良いだろう。
なんかうんざりするほど色々あったけど、ようやく普通の冒険者ライフが戻ってきたような気がするわ。
いつも通りオーサンと打ち合わせをすることに。
っていうかオーサンって、俺達の相手以外に仕事してるんだろうか?
受付カウンターの上にふわわとつららを乗せて、遊びながら話をする。
「そんじゃ余った音魔法のスクロールは買取で。5本とも、いや4本買取で頼む。
あと訓練指導をなるべく沢山受けたいんだけど、最短のスケジュール組んでくんない?」
全部売却しようと思ったけど、念のため1つだけ残しておく。
「最短のペースで組むなら5日ごとくらいかぁ?実際に上に確認しねぇとすぐに返事は出来ねぇかな。
スクロール代はどうする?持ってくか振り込むか」
「あー、結構金使ったし今貰うよ。
あとは10階層より先に進むために斥候系の技術が学びたい。組織単位でも個人冒険者でもいいから、トラップ関係の知識と技術を教えてくれる人って、紹介してもらえないか?」
「へぇ?メンバーを増やす気があるのか?」
2人の立場を考えると、あまり人は増やしたくないのが本音なんだけど。
「必要なものを揃えるだけだよ。出来れば俺達が必要な技術を身に付けるのが一番だけどね。
手探りでやるよりも教わった方が早いのはオーサンの指導で身に染みてるし、だれか適当な人を紹介してもらえないかな?」
「あー……、一応探してはやるけどよ、正直難しいかも知れねぇ。
話をする際にメンバーに犯罪奴隷がいることを隠すわけにはいかねぇから、その時点で断られる可能性が高いかもしれん」
はいはい犯罪奴隷犯罪奴隷っと。
2人もいちいち落ち込むなってぇの。
「まぁダメ元で頼むよ。見つからなかったら仕方ないさ」
望み薄って感じかな。11階層に乗り込む前になんとかしたいところなんだけど。
金貨2枚と銀板4枚を受け取って、冒険者ギルドを後にする。
本日最後の目的地は、商工ギルドである。
「ポポリポさんちっすちっす」
「ああトーマさん来てくれたのかい。
こっちもいくつか用件があるから助かったよ」
ほう?商工ギルドが俺に用事とな?
「まずは職人さんから、これを預かってるよ。
昨日来た時に渡せば良かったんだけど、私も忘れちゃっててね」
と、5キロで売ってるみかん箱くらいのサイズの、木製の箱を見せてくれた。
ああ、そういえばこれも頼んでたんだったな。
ちゃんと上部に取っ手も付いている。
「問題があったら連絡して欲しいとさ。
要望通りならこれで依頼完了にしてしまうけど、どうするんだい?」
「うん、依頼完了でいいよ」
作ってもらったのは、ふわわとつららの運搬用の籠だ。
見た目木箱なのに結構軽い。
中に柔らかめの布が敷いてあって、快適そうである。
けど、2匹も迷宮に入れることになった今だと、あまり使い道がないかもなぁ。
クリリクさんに預けることを前提に作ってもらったもんだからなー。
まぁ無駄にはなるまい。最悪オードルへの貢物にしよう。
「次にスレイさんから伝言だね。
トーマさんに合わせるから、なるべく早い段階で話がしたいそうだよ」
お、グッドタイミングってやつだ。俺もスレイに話があるからな。
「それじゃあ明日の日没後、夕食食べた後に商工ギルドの個室を用意してもらっていいかな?
スレイにもそう伝えて欲しい」
「はいはい了解しましたよ、っと」
ポポリポさんが木板にメモ書きしながら返事をする。
「それで、昨日トーマさんに言われた物件だけど、どうやら85万リーンで売りに出されてるみたいだね。
今のところ、他の買い手はついてないみたいだねぇ」
「じゃあ口座からの支払いってことで、購入手続きしておいてくれる?
あと金板2枚……は残ってないか」
なら引き出しは控えておくとしよう。
カズラさんには明日持ってくって言っちゃった手前、明日払えないとちょっとかっこ悪いけど。
1日くらい延長してもらっても許してくれるだろう、きっと。
3階層の稼ぎっていくらだったっけ?
もう遠い昔みたいに感じるけど、なんか数日間で金貨1枚に行くくらいだったような?
「ああっと、ポポリポさん。
白金貨3枚はあの2人に化けました、ってことで納得しておいて」
今回の件にさほど絡んでないポポリポさんには、最低限の説明だけをザックリ伝える。
ポポリポさんは2人とは面識なかっただろうしね、って商売人として面識あったりするのかな?
ポポリポさんからは特にリアクションが無かったので、そのまま商工ギルドを後にする。
「さて、じゃあ今日はこれから慣らしも兼ねて、2人には3階層をずっと回ってもらうぞ。
休憩は挟むけど、明日の夜明けまで探索し続けるから、そのつもりでな」
「え~?一晩中回るの~?」
「構わないけど、理由があるなら教えてもらえるかな?」
「1つは今言ったように2人の慣らしだな。今までずっと軟禁状態だったんだろうし、多少は鈍ってると思うべきだ。
2つ目に、今後夜間での戦闘や逃走が必要になってくる可能性があるから、一度は夜通し動き続けるってのを経験しておくべきだと思う。
3つ目。夜間に戦闘を行うことが暗視スキルを取得する条件だから、先に達成しておきたい」
「……スキルの、取得条件???」
やっぱりピンと来てないな。
ステータスで詳細を見れるのは、アドバンテージになり得そうだ。
「わからないなら気にするな。俺としても今は話せる情報じゃない。
結局は今晩ずっと3階層回るってだけの話だ。
つまんないミスはしないでくれよ」
「うん。3階層なんかで後れを取るわけには行かないよ」
「がんばるねっ!」
3階層なんて本当に慣らしにしかならないだろうけれど、まぁリハビリには良いだろう。
なんかうんざりするほど色々あったけど、ようやく普通の冒険者ライフが戻ってきたような気がするわ。
1
お気に入りに追加
394
あなたにおすすめの小説

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。


Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる