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4章 2人のために出来ること

074 デスマ後のステータスチェック

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「……なんでお前がここにいる?」


 目が覚めるとリーンが、俺に抱き付いて眠っていた。
 これはある意味王道の、『美少女が寝ている間に布団に潜り込んでいるシチュエーション』ってやつですか。


 正直、自分の見通しが甘かったとは思う。
 実際リーンはもう、まともに恋愛することが出来るのかすら怪しい状況だからな。 
 流石に今すぐ襲い掛かったりするつもりはないが、最悪責任を取る覚悟くらいはしておこう。


 いやリーンは普通に美少女だと思うし、嫌なわけではないよ?

 ただなぁ。俺を選んでくれたならまだしも、俺を選ばざるを得ない状況というか、俺以外選べない状況なわけだからなぁ。
 なんかこう、違うなぁ感がどうしてもねぇ……。


 昨晩は魔力切れからそのまま寝てしまったので、ステータスチェックを今行うことにする。



◆◆◆◆◆◆

名前 トーマ
年齢 35歳(20年の間は不老)
種族 人間


所持SP 473


使用可能魔法
『音魔法』
『水魔法』
『洗浄魔法』
『照明魔法』
『熱魔法』
『風魔法』


使用可能スキル
『リンカーズ会話理解』
『免疫力強化:小』
『環境適応:小』
『暗視』
『魔装術』


取得可能スキル
『魔法範囲拡張:小』 (必要SP50)

『身体能力強化:小』 (必要SP50)

『魔力探知』 (必要SP120)

『魔力量増加:小』 (必要SP100)

『集中』 (必要SP100)

◆◆◆◆◆◆



 ブホッ!?

 所持SP見て吹いた。
 取得可能スキル全部取れるじゃないですかヤッター!

 それと、取得可能スキルに『集中』ってのが生えているな。チェックチェック。



◆◆◆◆◆◆

集中 (必要SP100)
集中状態時の肉体的・精神的な負担を軽減する。

取得条件
一定時間集中状態を維持する。

◆◆◆◆◆◆



 あー、デスマ中のどっかで獲得したっぽいな。
 集中力が向上するんじゃなくて、集中状態時の負担軽減か。あまり聞いたことないタイプの能力だ。
 追記がないってことは、常時発動パッシブ型かな。

 しかし所持SP的に考えて、500に到達してから祝福の儀を受ければ、2人ともほぼ確実に魔装術まで獲得できそうだな。良い目安だ。



「……ん、おはよぅトーマ」


 おっと、リーンを起こしちゃったか。ついでに確認してみるか。ずっと気になってたことを。


「おはよう。お前がなぜ俺のベッドにいるのかはおいといて、今俺はあるスキルを発動中なんだが、俺の右手のある場所に何か見えるか?」


 そう、ステータスウィンドウが他人に見えるのかどうか、今まで試したことがなかったのだ。
 だってこれ、地味に俺のユニークスキルっぽいんだよ。スキルには表示されてないけど。


「んんん……。私にはわかんないかなぁ、ふわぁ~」


 悩ましげな声出すんじゃありませんっ。
 でもなるほど、見えないのか。

 魔力感知系の、例えば魔力を可視化できるスキルとかがあるなら分からないが、とりあえず何の手段も講じなければ、ステータスウィンドウは俺以外には見えないことが分かった。

 この情報が役に立つかどうかは分からないけど、ちょっとすっきり。


「リーン、俺は手伝いに行ってくるから、まだ寝てていいぞ」


 だから離れてくれないっすかねリーンセンパイ。


「……一緒に行っちゃ、ダメ?」


 かはっ!
 これが俗に言う『美少女の上目遣いのおねだり』か!
 これは確かに人が殺せそうだ!

 ……っつうかまぁ、状況的にも置いていくわけには行かないのか。


「いいよ。一緒に行こうか。シンも起こしてみんなで行こう」


 厨房の手伝いは今日で最後かな。
 リンカーズの食材にも大分慣れることが出来たと思うしもう充分だろう。

 成長期の2人はもうちょっと寝かせてあげたい。




「そうか。今まで助かった。いつかお前が作った料理を食わせてくれ」


 旦那さんは文句も言わず短く返答してきた。

 っていうかこの人の名前、未だに知らないんだよなぁ。
 ユリンさんも、アンタとかダンナとしか言わないし。


 さて、今日はとりあえず迷宮探索と、生活必需品の買い出しかな。
 特に着替えと装備品はイチから揃えないといけなくて、出費も痛いけどそれ以上にめんどくさい。
 まぁ後回しには出来ないんだけど。


 まずは雑貨屋に向かい、細々とした道具と、2人の背嚢を購入する。
 先にこれ買っておかないと、自動的に俺が1人で荷物持ちしなきゃならなくなるからな。
 まぁ背嚢をどっちかに渡せば解決するんだけどさ。


 次は服屋に向かう。

 着替えと下着をいくつか購入。
 探索用に俺が使ってるのと同じ、蜘蛛の糸製の上下を、2人も1着ずつ買っておく。

 加えて、なるべく薄くて丈夫な手袋はないかなと聞いてみたところ、なんかの魔物の皮製の手袋を勧められた。
 極薄でほとんど素手と変わらない感触なのに、強度も強くかなり破けにくいから、自信を持ってオススメ出来ます!とか力説されたので3人分購入。

 なんか避妊具を紹介された気分だったのは内緒だ。

 極薄ではあるけど真っ黒な手袋だったので、奴隷印が透ける事はないのは確認済み。
 

「トーマまで手袋をつけなくても良いんじゃないの?」

「まぁいいじゃん。防御力もあるらしいしさ。
 それにお前らが手袋してて俺だけ素手だと、仲間ハズレみたいで面白くねぇじゃん?」


 俺達は一蓮托生だからな。
 俺だけ素手を晒して見せても、何の意味もない。

 ならまぁパーティのシンボルとして、同じ装備するものいいんじゃない?なんて。


「あ、それとちょっと相談なんだけど、こういう服って作れないかな?」


 ちょっと思いついたことがあったので、ちょっとしたデザインの衣装を発注する。

 既存の衣装に手を加えるだけですぐに完成できると思うということなので、明日また顔を出すことにして店を後にする。


 ふ、ふふ、ふふふふふふふ。

 明日が楽しみで仕方ないなぁ!
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