異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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3章 別れと出会い

057 ふわわとつらら

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「かかかかかかわいーーーーー!」


 クリリクさんが爆発した。まぁこの反応も無理もない。うちの子たちは可愛すぎるからなっ!


 2匹とも雌だったので、おっとりふわふわな猫の『ふわわ』、真っ白で元気な犬の『つらら』と名付けることにした。ネーミングセンスなんて物は持ち合わせてないので、こういうのは勢いと閃きで決めてしまうに限る。

 ちなみにオーサンの家で引き取ったつららの兄妹犬は灰色っぽい毛の犬でオードルと名付けられていた。流石につららの兄妹だけあってオードルもめっちゃかわいい。


 3人で3匹にメロメロになりながら夕食を頂く。俺たちの夕食を分けてやったら3匹とも普通にガツガツ食べている。
 粗相されても俺は洗浄も使えるようになったから死角はない。


 洗浄の魔法っていまいち原理が分からないんだけど、汚れと認識したものを魔力に還元するという、分解に近い発想の魔法らしい。
 カテゴリは4属性が影響する『干渉型』で『還元型』の『生活』魔法ということらしい。


「しかし犬も猫もあんまり鳴かないんだなぁ。つららなんか元気に走り回ってる割にほとんど鳴いてないね?」


 全く鳴いてないわけではないが、興奮して夕食を食べてる時や、遊びに夢中になって興奮した時とかに短く鳴いた程度だった。


「よく鳴くような子はなかなか生きていけないだろうからねぇ。この子たちは戦う力がないから仕方ないの」


 ああ、この子たちは魔物じゃないから外じゃ生きていけないのか!
 
 人に保護されることでなんとか生き延びてるってことか……。
 あ、だから人慣れしやすいのかもしれない。


「遠い昔にゃあ魔物じゃない生き物もいっぱいいたって話だけどな。魔物から身を守れない生き物は生きていけんさ」


 でも魔物じゃないなら多分スキルは覚えられるんだよなぁ。ん~……、まぁ迷宮に連れて行くのは危険すぎるか。


「っとクリリクさん、本当に迷宮行ってる間、この子達お願いして良いの?」

「もっちろんよぉ!こんな可愛い子達なら毎日だって全然苦にならないわぁ」


 その点には全力で同意するけどねっ!


「ふふふ、こんな可愛い子達が待ってるんだから、トーマさんも迷宮で無理しちゃだめよぉ?」

「はい?別に無理してるつもりはなかったんだけど」

「無理はしてねぇかもしれないが、最近は迷宮のことしか考えてないみたいに思えたな。
 まぁ冒険者が迷宮のことを考えるのはあたりめぇなんだけどよ、最近のトーマは迷宮を攻略するために迷宮を攻略してるように見えた。どこまでも1人で走って行ってしまうんじゃねぇかってな」


 ん~?どうだろう。確かに最近は迷宮探索が波に乗ってる感じはあったけど。他人から見たら危なっかしく見えてたってことなのかな。

 
「自分では良くわかんないな。まぁ何にしてもこの子達と幸せに末永く暮らしていくつもりだからね。立ちはだかる敵は全部粉砕して帰ってくるよ」

「はっ!駆け出しが言うようになったもんだぜ」


 いつか家を買ってこの子達とのんびり暮らそう。いかん、幸せすぎて泣きそう。想像しただけなのに。


 夕食会を終えて宿に戻る。
 ユリンさんが退屈そうに受付に座っていたので紹介しておこうか。今後世話になるわけだし。


「それじゃユリンさん、この子達も今日から一緒に泊まらせてもらうからね?」


 と木箱の中を見せる。


「………………………………………………………………」


 あ、ユリンさんがよだれを垂らしたまま固まってる。ユリンさんはフリーズするタイプか。



 部屋に戻って2匹とひたすら遊ぶ。宿に戻ってくるまで寝ていたからか元気いっぱいだ。

 ああいいっすねぇ猫と犬のいる生活。これこそ幸せというものじゃないでしょうか。

 2匹と遊びつつも音魔法の練習は行う。むしろ2匹に目を向けつつ魔法を操作するという高度な練習を行なうことが出来たのだ。これはもう完全に2匹のおかげと言っても過言ではないだろう。あぁもうかわいいなぁ。

 一緒のベッドで寝るのだが、まだ子供なので寝ているときに俺の寝返りで潰してしまうとかあったら、俺はもう首を掻っ切って命を絶つだろう。そんな事態を避けるために、泣く泣く木箱の中で寝てもらうことにした。
 まぁ木箱は抱いて寝ますけどなにか問題が?


 目が覚めるといつもの時間。夜に起こされるかなぁと思っていたけど、本当に手がかからないらしい。尊すぎて辛い。

 朝食の手伝いをしている間はどうしようかなと思っていたら、ユリンさんが受付のところで預かってくれると申し出てくれた。むしろ昨晩フリーズして触れなかったのが無念で仕方なかったらしい。それで俺が出てくるのを今か今かと待っていたそうな。
 いやそんな恨みがましい目で見られても困るんですが。


 朝食を2匹と一緒に取っていると、今まで1度も俺に話しかけてこなかった他の宿泊客からも、ちょいちょいアプローチを受けた。主に2匹が。


 ああこれからも頑張って迷宮攻略して、2匹と暮らす、広くはないけど落ち着ける我が家を持たないとなぁ。

 今は宿でも許して貰ってるけど、いつかは家を持ちたいな。
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