異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

文字の大きさ
上 下
54 / 580
3章 別れと出会い

051 モテない男

しおりを挟む
 読み書きの授業は夕食が終った後の食堂で教わることにした。多少お客さんが残っていても別に気にならないし。

 ユリンさんには空いてる個室で教えても良いと言われたんだが、辞退しておいた。既婚者のユリンさんと、夜に密室で2人きりになるようなことは避けたい。ユリンさん美人だしな。
 ご主人には料理も習ってることだしね。不義理を働くわけには行くまいて。


「トーマってさ。女にモテないだろう?」

「…………まぁ、自覚はあるけど。でもなんでこのタイミングで?」


 くくくくっ、と楽しげに笑いながらユリンさんは語ってくれた。


「女ってのはね、男には甘えて欲しいもんなのさ。男を自分に酔わせるなんて、女冥利に尽きるってもんさ。
 トーマはなんていうか……、遊びが無いというか隙がないんだよ。簡単に言えば、下半身に動かされてないってこったね」

「えええ?男は下半身に従ったほうが女にモテるっての?うっそだ~」


 ただしイケメンに限る、って続くやつだろそれ。


「女は男を骨抜きにしたいのさ。この男には自分が必要、この男は私が居なかったら生きていけないだろうってね。男に必要とされる自分に酔うのが女の幸せってね」


 背中をバンバンと勢いよく叩かれる。


「トーマは良い男だと思うよ。真面目だしね。
 でも女から見てると、トーマは1人で生きていけるんだろうなぁ、私なんて必要ないんだろうなぁ、って思えちゃうだろうね。
 まぁそういう男が好きだって女も居るけど、自分だけを全力で愛してくれる男に女は惹かれるもんさ。常に一線引いてる男よりも、その線をいとも簡単に踏み越えてくるような男にね」


 1人で生きていけそう、か。そもそもリンカーズに来るまでも日本で1人で生きてきたわけだから、的を射た見解だな。
 でも俺がモテないのはやっぱり容姿が最大の要因だと思いますわよ奥様。



 6階層探索1度で金貨1枚近い報酬が得られることが回ったので、全力でぶん回してみる。
 しかし頑張っては見たものの、やはり3周の壁を突破することは出来なかった。

 夜に予定も入れちゃってるからあまり遅くまで探索できないしね。
 日没後もしつこく探索続けてると、暗視ポーション切れる可能性もあるし。


 2日間フルでぶん回して、経費を差っ引いても金貨5枚以上の黒字だ。
 リンカーズの一般的な年収は金貨15~20枚くらいだと以前シンに聞いたので、俺の収入が如何に多いかってのが伺える。
 おかげさまでスキル獲得資金にも不安はなくなったし、装備の更新も捗りそうだ。


 さて、金貨6枚溜まったわけだしスキルを取得しに行きたいのだが、明日はオーサンの訓練指導日なのが問題だ。スキルも欲しいが、強くなるためには訓練もすっぽかすわけには行かない。
 それに訓練日は収入がなくなるし、次の日もまともに動けなくなるので、大きい買い物をするのは訓練が終わってからの方が良いだろう。訓練明けのゾンビデーにスキルを覚えに行くのが良い気がする。


 一夜明けて、オーサンとの訓練日である。とうとうオーサンとマンツーマンでの訓練である。中年のおっさん2人の汗だく訓練風景、一体誰得なのであろうか。

 毎度の如く、走り込みからの素振りをこなしていく。


「今回で4回目の指導だったか?始めに比べるとトーマも大分冒険者らしくなったなぁ」


 走り込みも武器の練習も、訓練じゃない日も続けてるからな!特に持久走はかなり慣れた自信がある。

 10日に1度の訓練が4度目ってことは、リンカーズに来て50日以上経ってるってことだからなぁ。ずっと迷宮に潜ってる身としては、流石にそろそろ冒険者が板についてきてくれないと困るってもんよ。


 お昼寝休憩を挟んで模擬戦。今回は俺1人しか居ないので、交代なしでひたすらオーサンに凹られる。


「ソロで迷宮に入るやつなんてほとんど聞いたことがないからなんとも言えんが……。
 トーマがまだ6階層までしか進んでないってのはちょっと信じられねぇな。10階層に潜ってるヤツより戦えるんじゃねぇか?」


 とか言いながら、相変わらず息も切らさず一方的にボコってきやがって!

 言ってることとやってることが全然噛み合ってないんですけどぉぉぉ!?



 訓練終了後は恒例の夕食会。


「シンくんとリーンちゃんが居ないと、夕飯食べ切れないかもしれないわねぇ」


 確かにオーサン宅がいつもより広いような気がしてしまう。1人でオーサンの家に来たの初めてだもんなぁ。

 今回は大人しか居ないからなのか、お酒も出された。あまり酒は好きなほうじゃないんだけど、多少は付き合おう。
 う~ん……、やっぱりアルコールを美味しく感じない。


「トーマは自分で手強いと感じるところまではどんどん進んで良い。一般の冒険者とは色々勝手が違うからな。そういった奴等と一緒にして考えても意味が無いと思うことにした」

「ふぅん?まぁ最短でも1つの階層に3日はかけて慣らすつもりだけど?」

「ああ、好きにして良い。自分で判断しろ。ただなるべく先に進むよう心がけてくれれば良い」

「へぇ~。トーマさんはとっても熱心に迷宮に潜ってるんだねぇ」

「熱心っていうか、他にやることがないだけだよ。どうせ暇なら迷宮に潜った方が強くもなれるし金も稼げるからさ」


 リンカーズの娯楽って言えば、食うか飲むか女くらいしか選択肢がないからな。
 女遊びには興味深々なんですけどね?日本に居た時でも利用したことがなかったから、踏ん切りがつかないんですよね。

 こういう一線を軽々越えられるようでなければモテ男にはなれないということだろうか。

 いやこれは関係ないか。
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

貧弱の英雄

カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。 貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。 自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる―― ※修正要請のコメントは対処後に削除します。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

処理中です...