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3章 別れと出会い
046 今後の予定
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「小型の魔物には苦戦しなかったんだけどね。
やっぱり僕たち2人だけだと、シャドウボアを仕留めるには攻撃力不足だと痛感したよ」
「肉も硬いし骨も硬いんだよねー。毛皮も厚いしで、短剣だとちょっとした切り傷くらいにしかならなくてさー!」
現在は戦闘終了後の感想戦というか、反省会のようなものの真っ最中。
やはり2人のほうはシャドウボアで苦戦していたらしい。幸いなことに怪我はしていないが、今までになく戦いが長引いてしまったために疲労してしまったようだ。
「まぁ、そこは一長一短ってやつだよ。 俺の石斧は威力は充分だけど、その分小型の魔物には向いてないし。それこそキラーラット相手に外しちまったしな。
それに、そういう苦手をそれぞれ補うために一緒に組んでんだろ」
「それはそうなんだけどね。この先、装備の品質を上げたりスキルを覚えたりすれば話は変わって来るんだろうけど……。今の自分は少し不甲斐なく思ってしまうよ」
「シャドウボアが相手だと、私の攻撃が全然通じなくてねー」
本当に2人は真面目だなぁと思う。パーティ組んでれば、向き不向きや役割分担なんて当たり前だろうに。
「今回はシャドウボアの数が多かったから大変だっただけで、基本は俺が受け持つで現状問題ないだろ。
さぁこの後はどうするよ。怪我が無いなら探索を続けるか?」
「勿論。このままじゃ帰れないよ」
「私ももっとがんばる!」
ふふ。真面目で頭も良く、イケメンと美少女で、苦労もしてて向上心も充分。
なんだかこの2人って物語の主人公って感じがするよなぁ。
俺はなんだろな。主人公をサポートするベテラン冒険者役とか?ベテランどころか駆け出しだけどさ。
冒険者を続けていれば俺だっていつかベテランになる。その時は困っている新人をさりげなくサポートする、縁の下の力持ちみたいな冒険者になりたいもんだ。
その後も5階層の探索を続けてたが、先ほどのような大規模の集団に出会うことは無かった。やっぱりあれほどの規模って珍しいんじゃないかな。
そういえばこの2人って、2階層でも運悪く窮地に陥っていたんだっけ。
トラブルメーカー体質とか?だったらマジで主人公じゃん。
なんだかさっきの混戦で、戦闘中の視界範囲が更に広がったように感じる。
やはり人間成長するためには、自分の限界を超える体験をするのが手っ取り早いんだろうなぁ。
オーサンの訓練がきついのも、恐らくはその辺を見越してのキツさなんだろう。強くなりたいなら自分を追い込め、みたいな。
個人的には根性論は好きじゃないけれど、試練が人を成長させるってことは間違いないだろう。
探索を終えて冒険者ギルドに戻ってきた。
換金がてら、今日の大規模戦についてオーサンに話してみる。
「へぇ?そりゃあ災難だったな。5階層程度でその規模の集団に襲われるなんてあんまり聞いたことがない」
やっぱ珍しいのか。
「その規模の襲撃を切り抜けたんなら5階層も問題ないだろう。
6階層からは魔法が飛んでくるようになるから、トーマは装備を一新するまで進むんじゃねぇぞ」
「分かった分かった。当分は5階層回っとくよ」
4、5階層が順調だった分足止めを喰らった気分ではあるが、ひたすらマッドスライムを狩り続けていた日々を思い返せば、こんなもん停滞のうちに入らないよな。
その後はいつも通り更に2回ほど探索を行って本日は終了。
報酬は4階層とあまり大差が無い。単価の大きいシャドウボアを効率的に狩れる4階層の方が収入的にはおいしそうだ。
結局、本日経験した大集団は結局あの時だけで、その後は多くても15体くらいの集団にしか遭遇しなかった。
あの時はシャドウボアが7体も同時に出て来たのが大変だっただけで、他の魔物ならほぼ一刀で切り捨てられるし、小型の魔物の数が多かろうが苦戦することは無いんだよな。
その突然の大襲撃も乗り越えたわけだし、装備を更新しつつ5階層を回る日々かな。
また明日と言って2人と別れる。また明日、か。
両親が帰ってきたのだとすれば、2人の事情が変わる可能性もある。
ま、今から気にしてても仕方ないか。
5階層での一番の収穫は音魔法の可能性が広がったことだ。
直接体験したことで超音波を再現するときの参考にもできそうだし、音を魔力感知するだけならさほど魔力を使わなくて済むこともわかった。
究極的には相手の呼吸音や足跡を感知して、全方向を認識する技術まで高められたら最高だな。
翌朝、冒険者ギルドで音感知を練習しながら2人を待つ。
う~ん、音だけで誰が何処で何をしているのかを判断するのはまだ無理かな。音が体に届かないと魔力での感知も反応しないから、例えば音速を超えるような速さを音魔法で捉えるのも無理っぽい。
まぁそんなものがリンカーズに存在しているかどうかは分からないけれど、魔法って何でもありだと仮定するなら、音速だろうと光速だろうと無いとは言い切れない。
「おはようトーマ」
うーん、声をかけられるまでシンだと分からなかったな。
「おはようおふたりさん」
と挨拶を返したところ、なんだかリーンの様子がおかしいことに気付く。シンの後ろに隠れてなんだか元気が無さそうだ。
「トーマ、今日はちょっと先に話を聞いてほしいんだ」
シンが真剣な顔で俺に言う。
あーこれは、やっぱそういうことだよなぁ。
「ごめん。僕たちは7日後、両親と一緒に行商に付いていく事にしたんだ」
……やっぱこの話しかないよなぁ。
う~ん、最近結構楽しくなってきたのに残念だ。
やっぱり僕たち2人だけだと、シャドウボアを仕留めるには攻撃力不足だと痛感したよ」
「肉も硬いし骨も硬いんだよねー。毛皮も厚いしで、短剣だとちょっとした切り傷くらいにしかならなくてさー!」
現在は戦闘終了後の感想戦というか、反省会のようなものの真っ最中。
やはり2人のほうはシャドウボアで苦戦していたらしい。幸いなことに怪我はしていないが、今までになく戦いが長引いてしまったために疲労してしまったようだ。
「まぁ、そこは一長一短ってやつだよ。 俺の石斧は威力は充分だけど、その分小型の魔物には向いてないし。それこそキラーラット相手に外しちまったしな。
それに、そういう苦手をそれぞれ補うために一緒に組んでんだろ」
「それはそうなんだけどね。この先、装備の品質を上げたりスキルを覚えたりすれば話は変わって来るんだろうけど……。今の自分は少し不甲斐なく思ってしまうよ」
「シャドウボアが相手だと、私の攻撃が全然通じなくてねー」
本当に2人は真面目だなぁと思う。パーティ組んでれば、向き不向きや役割分担なんて当たり前だろうに。
「今回はシャドウボアの数が多かったから大変だっただけで、基本は俺が受け持つで現状問題ないだろ。
さぁこの後はどうするよ。怪我が無いなら探索を続けるか?」
「勿論。このままじゃ帰れないよ」
「私ももっとがんばる!」
ふふ。真面目で頭も良く、イケメンと美少女で、苦労もしてて向上心も充分。
なんだかこの2人って物語の主人公って感じがするよなぁ。
俺はなんだろな。主人公をサポートするベテラン冒険者役とか?ベテランどころか駆け出しだけどさ。
冒険者を続けていれば俺だっていつかベテランになる。その時は困っている新人をさりげなくサポートする、縁の下の力持ちみたいな冒険者になりたいもんだ。
その後も5階層の探索を続けてたが、先ほどのような大規模の集団に出会うことは無かった。やっぱりあれほどの規模って珍しいんじゃないかな。
そういえばこの2人って、2階層でも運悪く窮地に陥っていたんだっけ。
トラブルメーカー体質とか?だったらマジで主人公じゃん。
なんだかさっきの混戦で、戦闘中の視界範囲が更に広がったように感じる。
やはり人間成長するためには、自分の限界を超える体験をするのが手っ取り早いんだろうなぁ。
オーサンの訓練がきついのも、恐らくはその辺を見越してのキツさなんだろう。強くなりたいなら自分を追い込め、みたいな。
個人的には根性論は好きじゃないけれど、試練が人を成長させるってことは間違いないだろう。
探索を終えて冒険者ギルドに戻ってきた。
換金がてら、今日の大規模戦についてオーサンに話してみる。
「へぇ?そりゃあ災難だったな。5階層程度でその規模の集団に襲われるなんてあんまり聞いたことがない」
やっぱ珍しいのか。
「その規模の襲撃を切り抜けたんなら5階層も問題ないだろう。
6階層からは魔法が飛んでくるようになるから、トーマは装備を一新するまで進むんじゃねぇぞ」
「分かった分かった。当分は5階層回っとくよ」
4、5階層が順調だった分足止めを喰らった気分ではあるが、ひたすらマッドスライムを狩り続けていた日々を思い返せば、こんなもん停滞のうちに入らないよな。
その後はいつも通り更に2回ほど探索を行って本日は終了。
報酬は4階層とあまり大差が無い。単価の大きいシャドウボアを効率的に狩れる4階層の方が収入的にはおいしそうだ。
結局、本日経験した大集団は結局あの時だけで、その後は多くても15体くらいの集団にしか遭遇しなかった。
あの時はシャドウボアが7体も同時に出て来たのが大変だっただけで、他の魔物ならほぼ一刀で切り捨てられるし、小型の魔物の数が多かろうが苦戦することは無いんだよな。
その突然の大襲撃も乗り越えたわけだし、装備を更新しつつ5階層を回る日々かな。
また明日と言って2人と別れる。また明日、か。
両親が帰ってきたのだとすれば、2人の事情が変わる可能性もある。
ま、今から気にしてても仕方ないか。
5階層での一番の収穫は音魔法の可能性が広がったことだ。
直接体験したことで超音波を再現するときの参考にもできそうだし、音を魔力感知するだけならさほど魔力を使わなくて済むこともわかった。
究極的には相手の呼吸音や足跡を感知して、全方向を認識する技術まで高められたら最高だな。
翌朝、冒険者ギルドで音感知を練習しながら2人を待つ。
う~ん、音だけで誰が何処で何をしているのかを判断するのはまだ無理かな。音が体に届かないと魔力での感知も反応しないから、例えば音速を超えるような速さを音魔法で捉えるのも無理っぽい。
まぁそんなものがリンカーズに存在しているかどうかは分からないけれど、魔法って何でもありだと仮定するなら、音速だろうと光速だろうと無いとは言い切れない。
「おはようトーマ」
うーん、声をかけられるまでシンだと分からなかったな。
「おはようおふたりさん」
と挨拶を返したところ、なんだかリーンの様子がおかしいことに気付く。シンの後ろに隠れてなんだか元気が無さそうだ。
「トーマ、今日はちょっと先に話を聞いてほしいんだ」
シンが真剣な顔で俺に言う。
あーこれは、やっぱそういうことだよなぁ。
「ごめん。僕たちは7日後、両親と一緒に行商に付いていく事にしたんだ」
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う~ん、最近結構楽しくなってきたのに残念だ。
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