異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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3章 別れと出会い

045 混戦

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「前方に魔物の集団。ネズミが4にレッサーゴブリンが……8くらいか。シャドウボアとキラーラットは見えない」


 5階層の探索は今のところ順調だ。既に数種類の魔物が混在する群れとも戦ったが、今のところ問題なく対応できている。

 5階層の混合パーティを相手取る場合気をつけなければならないのは、やはりシャドウボアによる一撃とキラーラットによるけん制だった。

 シャドウボアはでかい図体にでかい足音、でかい鳴き声のおかげで見落とす心配はあまりないのだが、キラーラットは音も無く頭上から襲い掛かってくるため、とにかく気付きにくい。
 加えて背の低いレッサーゴブリンとの連携は、地上と空中で警戒範囲をかなり広く取らないといけないために、両者を常に視界に収めておくのが難しい。

 そうして縦方向ばかりに警戒していると、横から体当たりしてくるネズミに気付くのが遅れてしまう。とこのような感じで、今までの階層と比べ警戒しなければいけない範囲が段違いだ。


 3階層で集団戦には慣れたつもりではあったけれど、様々な種類の敵と一度に戦うというのは、単一種の集団を相手にするのとは全く勝手が違うということが、身に染みて分かった。


 5階層に限定して話すのならば、ネズミとレッサーゴブリンの組み合わせはかなり楽なほうだ。特に打ち合わせの必要も感じないのでこのまま近付いていく。

 レッサーゴブリンの1体がこちらに気付いて声を上げる。それをきっかけに集団全体がこちらに気付き、敵意を向けてくる。

 さて、戦闘開始だ。
 敵に一気に駆け寄ろうと足に力を、


「後ろから新手の集団がきてる!全部は分からないけど先頭にシャドウボアが数体見える!」


 リーンが増援の出現を告げる。
 ちっ、せめて前方の集団に気付かれる前に来てくれれば良いものを!


「リーンは僕と前の群れに突っ込むよ!
 トーマはそこで僕たちと入れ替わって後ろの集団をお願い!」


 シンから素早く指示が出される。確かにシャドウボアは俺が相手にすべき魔物だ。


「了解!」


 シンに返事をしつつスリングショットを取り出し、一瞬だけ音魔法を発動。

 っ!?
 どこかにキラーラットも居やがるな!
 

「キラーラットも紛れてる!注意してくれ!」


 2人に注意を促しつつ後方の集団を確認。シャドウボアが少なくとも5体は居る。他にネズミもレッサーゴブリンも居るみたいだけど、数の確認は出来そうもない。

 落ち着いて行動しろ。

 まずは前から順にシャドウボアへ射撃を行う。2体の頭を陥没させて時間切れ。スリングショットを仕舞い、石斧を持ち直す。


「シャドウボアに数体抜かれるぞ!」


 後ろを見ずに警告する。


「「了解!」」


 短い返事を聞きながら、シャドウボアの突撃を確実に避ける。
 1、2、3、4。残りのシャドウボアは5体か。

 5体目とすれ違うときに音魔法を行使。全力で魔力を込めて音を発生。

 パァン!と乾いた炸裂音をシャドウボアの顔目掛けて発生させた。これで怯んでくれたらラッキーなんだが。

 音をぶつけられたシャドウボアは、驚いたように足を止めて周囲を警戒している。
 とりあえず足を止められただけでも有り難い。

 止まった個体の後ろ足を石斧で砕く。
 更にトドメを刺そうと石斧を振り上げた瞬間、「ってぇ!?」頭に衝撃を受けてよろめいてしまう。

 くっ、キラーラットうっぜぇな!
 音魔法を発動。音を魔力で感じ取ることでキラーラット対策に当てる。


「トーマ!3体戻るよ!」


 シンの警告が届く。1体は止めてくれたらしい。
 2人の戦っている方に目を向けて、戻ってくるシャドウボアの位置を確認。まだ猶予があるな。
 後ろ足を砕いた個体に改めて追撃。頭を潰しておく。シャドウボアは残り4体。

 戻ってきたシャドウボア3体の攻撃を確実に避けたタイミングで、後続の魔物も合流してきた。
 ちっ、普通に手が回らない。音魔法に反応。キラーラットの攻撃を頭を下げて回避する。

 レッサーゴブリンはリーチが短いので距離さえ詰められなければ問題ない。
 しかし命を度外視して纏わりついてくるので、抱きつかれると集団戦では非常に厄介だ。飛びかかってくる動きに合わせてこちらも下がり、石斧を叩き込んで確実に数を減らしていく。


「かっ……!?」


 背後からネズミの体当たりを食らってしまう。
 くっそ、ネズミが意識から外れてしまっていた。

 オーサンに散々殴られたおかげか、ネズミの体当たり一発くらいで体が動かなくなるってことはなさそうだ。サンキューハゲのオーサン!

 しかし、情報の処理が追いつかず段々被弾が増えてきているな。
 
 一度大きく距離を取って仕切りなおす。はいはいシャドウボアさんいらっしゃい、回避、回避、回避。

 3度目の回避に合わせてキラーラットの強襲。流石に慣れたわ。
 左手の短剣を抜いた勢いそのままにカウンター。羽を切り裂いた。
 
 倒しきれなかったけど飛べなくなったのか地面に墜落。
 しっかり頭を踏み砕いておく。あーウザかった。

 うん、情報が処理しきれないなら先に情報量のほうを減らしてしまおう。
 シャドウボアの殲滅よりも先に、他の魔物の数を減らす方向にシフトする。


 石斧を手放しもう1本の短剣を抜き、一度取った距離を今度は自分から詰めるように、レッサーゴブリンを標的にする。
 メインは石斧だけど、短剣だって練習してるしオーサンともやりあってる。レッサーゴブリンを仕留めるのなんざ屁でもない。

 石斧よりもリーチが短くなるため、掴まれないよう気をつけながら首を掻っ捌いていく。こいつらは防御も回避も考えないので、ひたすら急所だけを狙えば良いから楽だ。

 合間に突っ込んでくるネズミとイノシシの突進を避けつつ、何体いたのかわからないけどレッサーゴブリンの殲滅を終了。

 おっと音魔法に反応アリ。まだ居たのかとカウンターで短剣を一閃。キラーラットを両断。
 近寄ってきたネズミの首に、それぞれ1本ずつ短剣をプレゼントして両手が空く。

 スリングショットを取り出し、シャドウボアを1体ずつ確実に沈めていく。
 混戦だから余裕が無かっただけで、シャドウボアだけならこんなもんだ。確かに突進は脅威だけど、威力が高い分攻撃の間隔も長い。
 
 自分の周囲に敵はいなくなった模様。
 

 2人のほうを見てみるとまだ戦闘継続中だったので、目に入った短剣1本拾って加勢に入る。

 残った魔物を掃討して、何とか勝利を収めることが出来た。




「2人ともおつかれさん。武器の回収がてらドロップ品の回収してくるから、2人は周囲の警戒を頼むな」

「はぁ…はぁ…、悪いけど頼むよ。ちょっと休ませて欲しい」


 ドロップ品を回収すると、ネズミが6体、レッサーゴブリンが27体、イノシシが7に、キラーラットが5体か。
 

 間違いなく今までで一番大規模な戦闘だったな。

 我ながら良く乗り切れたもんだ。
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