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3章 別れと出会い
043 兆し
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音魔法の練習は続けている。発生はさほど難しい技術ではないらしく、最初から問題なく行使できた。
しかし干渉と操作については、未だに上手く行使出来ているとは言いがたい。その前段階である、音を魔力で知覚する、という段階で躓いている状況だ。
音魔法を覚えてから、音を耳ではなくて魔力を用いて認識するということが可能になった。ただこの感覚が未だ自然に行えず、次の段階に進めていないのだが。
しかし音魔法を練習するのは楽しい。
音を聴覚以外の器官で感じ取れるようになったことで、イルカやクジラが音波の反響で地形を把握するエコーロケーションと呼ばれる能力を、魔法で再現出来る可能性があるように思えるからだ。
チート能力ではお馴染みの気配察知とか空間把握能力とかをエコーロケーションが再現できれば、俺にも似た様な事が出来るのではないだろうか。
音魔法の有用性が認められていないリンカーズで音魔法の実用化に成功すれば、それは俺だけのアドバンテージになり得るかもしれない。
音魔法の第一目標はエコーロケーション。目標を決めて練習するのが上達への近道のはずだ。失敗しても、やっぱり音魔法は使えなかったよ、となるだけ。気長に付き合っていこう。
とりあえず3日間は4階層を回ることに決まった。2日目からは中級ポーションを試していく。
リンカーズ全体の迷宮事情は知らないけれど、少なくともベイクの迷宮には任意の階層にワープできるショートカットのような機能は存在しない。
この先も迷宮を攻略していくためには、その都度全ての階層を移動しなければならないため、あまり不慣れな階層を作らない方が良いということらしい。事故を減らすために必要なことなんだそうだ。
4階層はスリングショット無双だったので特に語ることもない。これだと結局4階層の慣らしにはならないような気もするが、シン的には問題ないらしい。2人も全く戦闘していないわけじゃないからいいのかな。
スリングショット無双の裏で、こっそり音魔法も練習している。どうせ戦闘で魔力消費できませんしねぇ?
聴覚で音を聴くのと違って、魔力で音を認識すると、耳で聴く以上の情報が魔力を通して流れてくるような感覚を覚えた。魔力を用いて音を解析しているような、音から情報を読み取っているような、不思議な感覚。
読み取った情報が、確認する前に霧散してしまうのがもどかしい。これは恐らく音魔法の熟練度が上がってくれば、零さず掴み取れるようになるのではないか。
4階層の探索に慣れたら5階層に行くことをオーサンとホムロに伝えつつ、5階層のことや装備について相談する。
5階層に出現する魔物は『暗殺蝙蝠』。蝙蝠なのかネズミなのかはっきりして欲しい。
ドロップアイテムは『魔鼠牙』らしい。やっぱりネズミなの?
魔法薬の素材として扱われていて、買い取り価格は30リーフ。シャドウボアの半分だ。
ネズミ寄りな名前とドロップ品ではあるが、その生態は蝙蝠に近く、5階層では『頭上から襲ってくる脅威』への対処が求められるらしい。
そして5階層からは前の階層で出てくる魔物が混ざって出現するようになるそうで、頭上ばかり気にしていて事故ったり、逆に地上の魔物との戦闘中に頭上から強襲されるなどなど、4階層までとは全く違った立ち回り方が求められるそうだ。
あ、ちなみにマッドスライムさんは出現しないそうです。
慣れない頭上からの攻撃と、同時に地上にも注意する視野の広さが求められるのが5階層。今までの階層ってなんとなく段階的に課題が出されてる感じだったのに、5階層からは本格的に迷宮の危険度が上がっている気がするな。
特に俺たちは3人しかいないので、魔物に数で負けた状態で戦うことが多くなりそうだ。厳しい戦いになることが予想される。
一応、オーサンの見立てでは油断しなければ大丈夫とのこと。
装備の更新についてはまだ必要ないと一蹴される。しかし6階層からは魔法を扱う魔物が出るようになるので、5階層に慣れたタイミングで6階層以降を見据えた装備に更新していくのが良いそうだ。
5階層に進むタイミングで慣れない装備に更新するのはやめておけと。ごもっとも。
階層が深くなるに連れて、SPの獲得も早くなってきた気がする。現在は5SPほど溜まっている状態だ。
SPの獲得が早まっているということは、恐らくではあるが強力なスキルを得るための必要SPは増加していくんだろうなぁと思う。一律1SPでスキルを覚えられる作品も多々あるけれど、リンカーズは甘やかしてはくれないだろうからねぇ!
3日間のシャドウボア狩りを終えて、今日はついに5階層へ初めて挑む日だ。
人間ってのは頭上からの攻撃に弱いって散々色んな作品で言われてるからな。警戒しすぎるくらいの気持ちで行こう。
いつもと同じ時間に冒険者ギルドに向かうと、今日は珍しく2人のほうが先に着いていた。どうやら2人もやる気充分のようだ。俺たち3人なら5階層も乗り越えられるだろうと確信する。
「ねぇねぇトーマ!昨日父さんと母さんが帰ってきたんだよー!」
あら、そっちですか?
しかし干渉と操作については、未だに上手く行使出来ているとは言いがたい。その前段階である、音を魔力で知覚する、という段階で躓いている状況だ。
音魔法を覚えてから、音を耳ではなくて魔力を用いて認識するということが可能になった。ただこの感覚が未だ自然に行えず、次の段階に進めていないのだが。
しかし音魔法を練習するのは楽しい。
音を聴覚以外の器官で感じ取れるようになったことで、イルカやクジラが音波の反響で地形を把握するエコーロケーションと呼ばれる能力を、魔法で再現出来る可能性があるように思えるからだ。
チート能力ではお馴染みの気配察知とか空間把握能力とかをエコーロケーションが再現できれば、俺にも似た様な事が出来るのではないだろうか。
音魔法の有用性が認められていないリンカーズで音魔法の実用化に成功すれば、それは俺だけのアドバンテージになり得るかもしれない。
音魔法の第一目標はエコーロケーション。目標を決めて練習するのが上達への近道のはずだ。失敗しても、やっぱり音魔法は使えなかったよ、となるだけ。気長に付き合っていこう。
とりあえず3日間は4階層を回ることに決まった。2日目からは中級ポーションを試していく。
リンカーズ全体の迷宮事情は知らないけれど、少なくともベイクの迷宮には任意の階層にワープできるショートカットのような機能は存在しない。
この先も迷宮を攻略していくためには、その都度全ての階層を移動しなければならないため、あまり不慣れな階層を作らない方が良いということらしい。事故を減らすために必要なことなんだそうだ。
4階層はスリングショット無双だったので特に語ることもない。これだと結局4階層の慣らしにはならないような気もするが、シン的には問題ないらしい。2人も全く戦闘していないわけじゃないからいいのかな。
スリングショット無双の裏で、こっそり音魔法も練習している。どうせ戦闘で魔力消費できませんしねぇ?
聴覚で音を聴くのと違って、魔力で音を認識すると、耳で聴く以上の情報が魔力を通して流れてくるような感覚を覚えた。魔力を用いて音を解析しているような、音から情報を読み取っているような、不思議な感覚。
読み取った情報が、確認する前に霧散してしまうのがもどかしい。これは恐らく音魔法の熟練度が上がってくれば、零さず掴み取れるようになるのではないか。
4階層の探索に慣れたら5階層に行くことをオーサンとホムロに伝えつつ、5階層のことや装備について相談する。
5階層に出現する魔物は『暗殺蝙蝠』。蝙蝠なのかネズミなのかはっきりして欲しい。
ドロップアイテムは『魔鼠牙』らしい。やっぱりネズミなの?
魔法薬の素材として扱われていて、買い取り価格は30リーフ。シャドウボアの半分だ。
ネズミ寄りな名前とドロップ品ではあるが、その生態は蝙蝠に近く、5階層では『頭上から襲ってくる脅威』への対処が求められるらしい。
そして5階層からは前の階層で出てくる魔物が混ざって出現するようになるそうで、頭上ばかり気にしていて事故ったり、逆に地上の魔物との戦闘中に頭上から強襲されるなどなど、4階層までとは全く違った立ち回り方が求められるそうだ。
あ、ちなみにマッドスライムさんは出現しないそうです。
慣れない頭上からの攻撃と、同時に地上にも注意する視野の広さが求められるのが5階層。今までの階層ってなんとなく段階的に課題が出されてる感じだったのに、5階層からは本格的に迷宮の危険度が上がっている気がするな。
特に俺たちは3人しかいないので、魔物に数で負けた状態で戦うことが多くなりそうだ。厳しい戦いになることが予想される。
一応、オーサンの見立てでは油断しなければ大丈夫とのこと。
装備の更新についてはまだ必要ないと一蹴される。しかし6階層からは魔法を扱う魔物が出るようになるので、5階層に慣れたタイミングで6階層以降を見据えた装備に更新していくのが良いそうだ。
5階層に進むタイミングで慣れない装備に更新するのはやめておけと。ごもっとも。
階層が深くなるに連れて、SPの獲得も早くなってきた気がする。現在は5SPほど溜まっている状態だ。
SPの獲得が早まっているということは、恐らくではあるが強力なスキルを得るための必要SPは増加していくんだろうなぁと思う。一律1SPでスキルを覚えられる作品も多々あるけれど、リンカーズは甘やかしてはくれないだろうからねぇ!
3日間のシャドウボア狩りを終えて、今日はついに5階層へ初めて挑む日だ。
人間ってのは頭上からの攻撃に弱いって散々色んな作品で言われてるからな。警戒しすぎるくらいの気持ちで行こう。
いつもと同じ時間に冒険者ギルドに向かうと、今日は珍しく2人のほうが先に着いていた。どうやら2人もやる気充分のようだ。俺たち3人なら5階層も乗り越えられるだろうと確信する。
「ねぇねぇトーマ!昨日父さんと母さんが帰ってきたんだよー!」
あら、そっちですか?
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