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1章 仲間との出会い
017 巻き込んでみる
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「そういや、シンは武器が壊れちまったよな?今後の活動は大丈夫なのか?」
お互い腹も膨れてきたので、食事から会話をメインに切り替える。
「ああ、家に予備があるから問題ないよ。しばらくは予備なしで迷宮に行くことになるから、無茶は出来ないけどね」
「ごめんなさい兄さん。私のせいで……」
「気にするなって言ってるだろう?リーンが無事だったんだから、問題なんてないよ」
どうやら奇襲を受けた後、動けないリーンに突進してきたネズミを、何度か正面から受け止めてしまったことで、剣が折れてしまったらしい。
「そりゃあ仕方ない状況だなぁ。
っつうか、あの突進を何度も正面から受け止めて平気なのかよ?意外と頑丈なんだな。俺だったら絶対抜かれてる気がするわ」
「これでも僕だって亜人だからね。醜態を晒しておいて何を言うかと思われるかもしれないけど、体力には自信があるんだ」
ふむふむ。亜人は、俺みたいな普通の人間よりも体力があるのが常識なのか。
「我が家はベイクを拠点にして行商を営んでいるんだけどね。あまり上手く行ってないんだ。
僕たちは2人とも読み書きや計算とか、商人になるための最低限の教育は受けさせてもらえたんだけど、両親は子供に残せるものが無いって言っててね。
リーンと2人でなんとか身を立てて欲しいって言われてるから、冒険者家業に身を投じることになったのさ」
「そりゃなんとも大変な話だな。教育を受けさせたってことは、本当は商売を継いで欲しかったんだろうけど……」
「うん。父さんにも母さんにも、すっごく感謝してる。
2人はいつも、商売を成功させて私たちに楽をさせたい、って言ってくれるんだけど、そのせいであんまりベイクに帰ってきてくれないんだよねー。私たちを連れて行く余裕も無いって、いっつも置いていかれちゃうしさー!」
「酷いよねー!」と言いながら、残った料理を口に運ぶリーン。リーンはもっと両親に甘えたいんだろうな。
「商売が上手く行かないながらも、僕たちのことは出来る範囲で応援してくれているから、不満なんて言えないよ。おかげで、報酬の少ない10等級にしては僕たちは生活が安定してるほうさ」
2人とも良い子だなぁ。俺が10代の頃なんて、遊ぶこととエロいことしか頭に入ってなかった気がするわ。そんなんだから、地球外追放の刑に処されたんだろうか。
2人とも武器を握ったのは冒険者になってからで、今までは商人を目指して教育を受けていたと。
つまりは本格的な戦闘の指導は、受けていないって取れるかな?
オーサンの指導の話をしてみるか。上手く行けば同じ冒険者との横の繋がりもできるし、お互いの生存率も上がるだろう。
「シン、リーン。ギルド職員の戦闘技能訓練って知ってるか?
実は知り合いのギルド員に、訓練を受けるように勧められたんだけど、料金が銀貨2枚でさ。1人で受けるには、ちょっと勿体無い金額だと思ってたんだ。
もし資金的な余裕があったら、俺と一緒に受けてみない?流石に指導料を払ってやれるほど俺も余裕があるわけじゃないから、料金に関しては折半って形になるけど」
何より、オーサンと2人きりで丸1日を過ごすのがイヤなんだ。
しかも戦闘指導だろ?なんか、汗だくで濃密な時間になりそうで怖い。
おっさんギルド職員と中年冒険者。何も起きないはずがなく。アッー!
こんな展開は断固として拒否しなければなるまいて。
2人には悪いが、俺の精神安定のために巻き込ませて頂こう。
折るべきフラグは全力で折る。生き残るためには仕方ないことなんだ。
「今回の件で、自分の実力不足は痛感したからね……。
こっちとしても有り難い話だけど、もう少し話を聞かせてもらえるかな」
「勿論だ。何が聞きたい?俺に答えられることであれば、なんでも聞いてくれ」
本日死ぬかもしれない窮地に陥ったことで、シンもこのままではいけないと思ったのだろう。
シンの場合は俺と違って、自分の実力不足がリーンの死にも直結してしまうのだから、きっと俺以上に危機感を覚えていることだろう。
「銀貨2枚で、僕だけじゃなくリーンも参加できるのかどうか。
それと、折半はトーマと僕たちでそれぞれ1枚ずつ払う形で良いのかを教えてくれ」
「銀貨2枚で何人でも受けて良いって言ってたから、リーンも一緒で大丈夫なはずだ。料金も、俺とお前ら2人で銀貨1枚ずつを想定してたよ。
ちなみに指導してくれる職員は俺の知り合いでな。丸1日、みっちり指導してくれるって言ってたぜ。
指導内容は、使用武器の基礎的な技術を中心に教えてくれるそうだ」
「私も一緒で良いなら、私は問題ないなー。兄さんはどう?」
「そうだね。銀貨1枚は安くないけど、今回のことで我流の限界を思い知ったよ。
ちゃんとした指導を受けられるのなら、僕からお願いしたいくらいだ」
「決まりだな。明日ギルドで話をしてみるから、詳細が決まったら連絡するよ。
冒険者ギルドで伝言頼めば伝わるんだよな?」
「それならトーマ、明日は一緒にギルド行こうよ!わざわざ伝言をするよりも、一緒に話を聞いた方が早いじゃない。ね!兄さんもそれでいいでしょ?」
「そうだね。トーマの迷惑にならないなら、僕もそれで良いよ」
「りょーかい。明日朝飯が終ったら、ギルドで合流しよう。
俺のほうが早かったら、軽く話を通しておくよ」
明日訓練の申し込みをするにしても、実施されるのはいつになるか分からないからな。確かに伝言なんかするよりも立ち会ったほうが手っ取り早いか。
明日の予定を簡単に合わせて、夕食会はお開きとなった。
リンカーズに来て10日くらいは経ったのかな?
時計も暦も持ってないから、日にちの経過があやふやだ。
なんにしても、ようやくぼっち冒険者を卒業できそうでなによりである。
お互い腹も膨れてきたので、食事から会話をメインに切り替える。
「ああ、家に予備があるから問題ないよ。しばらくは予備なしで迷宮に行くことになるから、無茶は出来ないけどね」
「ごめんなさい兄さん。私のせいで……」
「気にするなって言ってるだろう?リーンが無事だったんだから、問題なんてないよ」
どうやら奇襲を受けた後、動けないリーンに突進してきたネズミを、何度か正面から受け止めてしまったことで、剣が折れてしまったらしい。
「そりゃあ仕方ない状況だなぁ。
っつうか、あの突進を何度も正面から受け止めて平気なのかよ?意外と頑丈なんだな。俺だったら絶対抜かれてる気がするわ」
「これでも僕だって亜人だからね。醜態を晒しておいて何を言うかと思われるかもしれないけど、体力には自信があるんだ」
ふむふむ。亜人は、俺みたいな普通の人間よりも体力があるのが常識なのか。
「我が家はベイクを拠点にして行商を営んでいるんだけどね。あまり上手く行ってないんだ。
僕たちは2人とも読み書きや計算とか、商人になるための最低限の教育は受けさせてもらえたんだけど、両親は子供に残せるものが無いって言っててね。
リーンと2人でなんとか身を立てて欲しいって言われてるから、冒険者家業に身を投じることになったのさ」
「そりゃなんとも大変な話だな。教育を受けさせたってことは、本当は商売を継いで欲しかったんだろうけど……」
「うん。父さんにも母さんにも、すっごく感謝してる。
2人はいつも、商売を成功させて私たちに楽をさせたい、って言ってくれるんだけど、そのせいであんまりベイクに帰ってきてくれないんだよねー。私たちを連れて行く余裕も無いって、いっつも置いていかれちゃうしさー!」
「酷いよねー!」と言いながら、残った料理を口に運ぶリーン。リーンはもっと両親に甘えたいんだろうな。
「商売が上手く行かないながらも、僕たちのことは出来る範囲で応援してくれているから、不満なんて言えないよ。おかげで、報酬の少ない10等級にしては僕たちは生活が安定してるほうさ」
2人とも良い子だなぁ。俺が10代の頃なんて、遊ぶこととエロいことしか頭に入ってなかった気がするわ。そんなんだから、地球外追放の刑に処されたんだろうか。
2人とも武器を握ったのは冒険者になってからで、今までは商人を目指して教育を受けていたと。
つまりは本格的な戦闘の指導は、受けていないって取れるかな?
オーサンの指導の話をしてみるか。上手く行けば同じ冒険者との横の繋がりもできるし、お互いの生存率も上がるだろう。
「シン、リーン。ギルド職員の戦闘技能訓練って知ってるか?
実は知り合いのギルド員に、訓練を受けるように勧められたんだけど、料金が銀貨2枚でさ。1人で受けるには、ちょっと勿体無い金額だと思ってたんだ。
もし資金的な余裕があったら、俺と一緒に受けてみない?流石に指導料を払ってやれるほど俺も余裕があるわけじゃないから、料金に関しては折半って形になるけど」
何より、オーサンと2人きりで丸1日を過ごすのがイヤなんだ。
しかも戦闘指導だろ?なんか、汗だくで濃密な時間になりそうで怖い。
おっさんギルド職員と中年冒険者。何も起きないはずがなく。アッー!
こんな展開は断固として拒否しなければなるまいて。
2人には悪いが、俺の精神安定のために巻き込ませて頂こう。
折るべきフラグは全力で折る。生き残るためには仕方ないことなんだ。
「今回の件で、自分の実力不足は痛感したからね……。
こっちとしても有り難い話だけど、もう少し話を聞かせてもらえるかな」
「勿論だ。何が聞きたい?俺に答えられることであれば、なんでも聞いてくれ」
本日死ぬかもしれない窮地に陥ったことで、シンもこのままではいけないと思ったのだろう。
シンの場合は俺と違って、自分の実力不足がリーンの死にも直結してしまうのだから、きっと俺以上に危機感を覚えていることだろう。
「銀貨2枚で、僕だけじゃなくリーンも参加できるのかどうか。
それと、折半はトーマと僕たちでそれぞれ1枚ずつ払う形で良いのかを教えてくれ」
「銀貨2枚で何人でも受けて良いって言ってたから、リーンも一緒で大丈夫なはずだ。料金も、俺とお前ら2人で銀貨1枚ずつを想定してたよ。
ちなみに指導してくれる職員は俺の知り合いでな。丸1日、みっちり指導してくれるって言ってたぜ。
指導内容は、使用武器の基礎的な技術を中心に教えてくれるそうだ」
「私も一緒で良いなら、私は問題ないなー。兄さんはどう?」
「そうだね。銀貨1枚は安くないけど、今回のことで我流の限界を思い知ったよ。
ちゃんとした指導を受けられるのなら、僕からお願いしたいくらいだ」
「決まりだな。明日ギルドで話をしてみるから、詳細が決まったら連絡するよ。
冒険者ギルドで伝言頼めば伝わるんだよな?」
「それならトーマ、明日は一緒にギルド行こうよ!わざわざ伝言をするよりも、一緒に話を聞いた方が早いじゃない。ね!兄さんもそれでいいでしょ?」
「そうだね。トーマの迷惑にならないなら、僕もそれで良いよ」
「りょーかい。明日朝飯が終ったら、ギルドで合流しよう。
俺のほうが早かったら、軽く話を通しておくよ」
明日訓練の申し込みをするにしても、実施されるのはいつになるか分からないからな。確かに伝言なんかするよりも立ち会ったほうが手っ取り早いか。
明日の予定を簡単に合わせて、夕食会はお開きとなった。
リンカーズに来て10日くらいは経ったのかな?
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なんにしても、ようやくぼっち冒険者を卒業できそうでなによりである。
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