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1章 仲間との出会い
015 初の共闘
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「助けは要るかっ!?」
ひとまず少年に声をかける。他の冒険者の獲物を横取りするのは、要らぬトラブルに繋がりかねない。どう見ても厳しそうだが、確認は必要だ。
声をあげることで、ネズミの注意を逸らすことにも繋がるだろう。
「頼む!怪我人がいるから、なるべくコイツらを引き剥がしたいんだ!」
少年は迷わず救援を求めてきた。怪我人が居るため、本当に余裕が無いのだろう。
「了解!」
返事をしながら、後ろからネズミに殴りかかる。少年と対峙していた2匹とも、俺の出現に戸惑っているのか反応が鈍い。
背中に向かって、思い切り棍棒を叩き付ける!
この程度で倒せはしないが、これで俺を無視することは出来ないはずだ。
ネズミのダメージ確認は後にして、残った1匹に棍棒を投げつける。命中!
これには全くダメージを期待できないが、気を引くために挑発のつもりでやってみた。
2匹から距離を取りつつ、予備の棍棒を構える。買ってて良かったサブウェポン。
2匹は俺に向き直って、殺意の篭った眼差しを向けてくる。
殺意を向けられ冷や汗が出る想いだが、狙い通り、気を引くことには成功した模様。
「こいつら連れて後ろに下がるから、怪我人の確認が出来たら後ろから援護してくれ!さっき投げた、俺の棍棒を使ってくれても構わない!」
「分かった!頼む!」
2匹とも視界に入れることを意識しながら、少しずつ後退する。
後ろは今俺が通ってきた道だ。新手のネズミは居ない筈。
少年の実力は知らないが、怪我人を庇いながら、ネズミ2匹を相手に立ち回っていたんだ。最低でも俺と同等、恐らく俺より強いだろう。
まずは少年が合流してくるまで、凌ぐことを優先する。
殴っていない方のネズミが突進してくる。昨日も見た動きだ。
落ち着いて回避しつつ、殴った方のネズミにも注意を払う。
やはりタイミングをずらして、コイツも突進してきた。避ける。
回避が成功したタイミングは、反撃の絶好のタイミングではあるのだが、今は1対1じゃない。
攻撃を行おうとすると、どうしても視野が狭くなって、被弾する可能性が高まる。少年が来るまで攻撃は捨てる。
冷静に視界に入れてさえいれば、動きもさほど早くないし、連携意識のようなものもないのか、個別に突進してくるだけだった。
避ける。避ける。避ける。避ける。
「せい!」
少年が、ネズミの後ろから棍棒で殴りかかった。
「そいつは任せた!」
1対1ならお互い負けることはないだろうと判断し、即座に意識を攻撃に切り替える。
俺の担当すべきもう1匹のネズミは、丁度俺に突進してくるところだった。
「なっめんなぁ!」
突進のタイミングは既に見切った。
すれ違いざまに、顔面に向けて棍棒をフルスイング!
これ以上ないほどのタイミングで、カウンターの一撃が入った。
だがまだ生きてる、追撃!
流石にダメージが大きかったのか、脳震盪でも起こしているかのように、ふらふらしているネズミの頭に向かって、思い切り振り被った上段からの打ち下ろし!
何か硬いものが割れたような感触が手に伝わってくる。頭蓋骨が割れたか。
ネズミが迷宮に融け始めたのを確認し、すぐ少年の援護に向かう。
1対1なら、少年もネズミに遅れを取るようなこともなく、慣れない武器で確実にダメージを重ねているようだ。
奇襲のつもりで、黙ったまま近付いて、ネズミの背後から棍棒を振り下ろす。その衝撃で動きが止まったところを少年は見逃さずに、頭部に向けて全力で棍棒を振り下ろす。
……どうやら、こっちも仕留めることが出来たようだ。
はぁ。はぁ。喉が痛ぇ。肺も痛ぇ。だが、なんとか生き残れた。
2階層で複数体のネズミを相手取る可能性もあるのか。昨日の俺は運が良かったな。
いきなりのアクシデントは災難だったが、1人のときにいきなり2匹を相手取るよりは大分マシだ。
複数体と遭遇するケースが1人じゃないときに体験できたのは、間違いなく幸運だろう。
「怪我人は大丈夫だった?」
「ああ、大丈夫だった。話は合流してからにしよう。一緒に来てくれ」
ドロップアイテムを回収し、2人で怪我人のいた場所まで戻る。
「兄さん!無事で良かった!怪我は無い!?」
「ああ。この人のおかげで、怪我なく無事にネズミも倒せたよ。リーンはもう動けるかい?」
「うん、もう大丈夫。足を引っ張ってしまってごめんなさい……」
2人は兄妹で、妹がリーンっていうのか。
遠目で見たときは分からなかったけど、妹のほうはかなり若そうだ。小学生の高学年くらいに見える。
互いの無事が確認出来て落ち着いたのか、2人は俺に向き直った。
「本当に助かった。2階層なんかで命を落すところだったよ。まだ駆け出しとはいえ、情けないところを見せてしまった。
僕はシン。こっちは妹のリーン。2人とも10等級。アンタは?」
「俺はトーマ。こっちも同じく10等級の駆け出しだよ。
ただの偶然だったけど、なんとか力になれて良かった。3人とも無事で済んで何よりだ」
「トーマ、助けてくれてありがとう!」
「たまたま通りがかっただけだ。気にすんな。その調子なら、怪我の方も大丈夫そうだな」
リーンが元気良く感謝を伝えてくる。
しかし、35歳のおっさんをいきなり呼び捨てか。リンカーズでは普通の感覚なんだろうけど、まだちょっと慣れないな。
俺が1人の時にネズミ2匹に遭遇していたら、マジで死んでた可能性が高い。
今日はリンカーズに来てから、一番死を身近に感じてしまった気がする。
冷や汗びっちょりだしバテバテだし、今日はもう切り上げて帰ろうかな?
ひとまず少年に声をかける。他の冒険者の獲物を横取りするのは、要らぬトラブルに繋がりかねない。どう見ても厳しそうだが、確認は必要だ。
声をあげることで、ネズミの注意を逸らすことにも繋がるだろう。
「頼む!怪我人がいるから、なるべくコイツらを引き剥がしたいんだ!」
少年は迷わず救援を求めてきた。怪我人が居るため、本当に余裕が無いのだろう。
「了解!」
返事をしながら、後ろからネズミに殴りかかる。少年と対峙していた2匹とも、俺の出現に戸惑っているのか反応が鈍い。
背中に向かって、思い切り棍棒を叩き付ける!
この程度で倒せはしないが、これで俺を無視することは出来ないはずだ。
ネズミのダメージ確認は後にして、残った1匹に棍棒を投げつける。命中!
これには全くダメージを期待できないが、気を引くために挑発のつもりでやってみた。
2匹から距離を取りつつ、予備の棍棒を構える。買ってて良かったサブウェポン。
2匹は俺に向き直って、殺意の篭った眼差しを向けてくる。
殺意を向けられ冷や汗が出る想いだが、狙い通り、気を引くことには成功した模様。
「こいつら連れて後ろに下がるから、怪我人の確認が出来たら後ろから援護してくれ!さっき投げた、俺の棍棒を使ってくれても構わない!」
「分かった!頼む!」
2匹とも視界に入れることを意識しながら、少しずつ後退する。
後ろは今俺が通ってきた道だ。新手のネズミは居ない筈。
少年の実力は知らないが、怪我人を庇いながら、ネズミ2匹を相手に立ち回っていたんだ。最低でも俺と同等、恐らく俺より強いだろう。
まずは少年が合流してくるまで、凌ぐことを優先する。
殴っていない方のネズミが突進してくる。昨日も見た動きだ。
落ち着いて回避しつつ、殴った方のネズミにも注意を払う。
やはりタイミングをずらして、コイツも突進してきた。避ける。
回避が成功したタイミングは、反撃の絶好のタイミングではあるのだが、今は1対1じゃない。
攻撃を行おうとすると、どうしても視野が狭くなって、被弾する可能性が高まる。少年が来るまで攻撃は捨てる。
冷静に視界に入れてさえいれば、動きもさほど早くないし、連携意識のようなものもないのか、個別に突進してくるだけだった。
避ける。避ける。避ける。避ける。
「せい!」
少年が、ネズミの後ろから棍棒で殴りかかった。
「そいつは任せた!」
1対1ならお互い負けることはないだろうと判断し、即座に意識を攻撃に切り替える。
俺の担当すべきもう1匹のネズミは、丁度俺に突進してくるところだった。
「なっめんなぁ!」
突進のタイミングは既に見切った。
すれ違いざまに、顔面に向けて棍棒をフルスイング!
これ以上ないほどのタイミングで、カウンターの一撃が入った。
だがまだ生きてる、追撃!
流石にダメージが大きかったのか、脳震盪でも起こしているかのように、ふらふらしているネズミの頭に向かって、思い切り振り被った上段からの打ち下ろし!
何か硬いものが割れたような感触が手に伝わってくる。頭蓋骨が割れたか。
ネズミが迷宮に融け始めたのを確認し、すぐ少年の援護に向かう。
1対1なら、少年もネズミに遅れを取るようなこともなく、慣れない武器で確実にダメージを重ねているようだ。
奇襲のつもりで、黙ったまま近付いて、ネズミの背後から棍棒を振り下ろす。その衝撃で動きが止まったところを少年は見逃さずに、頭部に向けて全力で棍棒を振り下ろす。
……どうやら、こっちも仕留めることが出来たようだ。
はぁ。はぁ。喉が痛ぇ。肺も痛ぇ。だが、なんとか生き残れた。
2階層で複数体のネズミを相手取る可能性もあるのか。昨日の俺は運が良かったな。
いきなりのアクシデントは災難だったが、1人のときにいきなり2匹を相手取るよりは大分マシだ。
複数体と遭遇するケースが1人じゃないときに体験できたのは、間違いなく幸運だろう。
「怪我人は大丈夫だった?」
「ああ、大丈夫だった。話は合流してからにしよう。一緒に来てくれ」
ドロップアイテムを回収し、2人で怪我人のいた場所まで戻る。
「兄さん!無事で良かった!怪我は無い!?」
「ああ。この人のおかげで、怪我なく無事にネズミも倒せたよ。リーンはもう動けるかい?」
「うん、もう大丈夫。足を引っ張ってしまってごめんなさい……」
2人は兄妹で、妹がリーンっていうのか。
遠目で見たときは分からなかったけど、妹のほうはかなり若そうだ。小学生の高学年くらいに見える。
互いの無事が確認出来て落ち着いたのか、2人は俺に向き直った。
「本当に助かった。2階層なんかで命を落すところだったよ。まだ駆け出しとはいえ、情けないところを見せてしまった。
僕はシン。こっちは妹のリーン。2人とも10等級。アンタは?」
「俺はトーマ。こっちも同じく10等級の駆け出しだよ。
ただの偶然だったけど、なんとか力になれて良かった。3人とも無事で済んで何よりだ」
「トーマ、助けてくれてありがとう!」
「たまたま通りがかっただけだ。気にすんな。その調子なら、怪我の方も大丈夫そうだな」
リーンが元気良く感謝を伝えてくる。
しかし、35歳のおっさんをいきなり呼び捨てか。リンカーズでは普通の感覚なんだろうけど、まだちょっと慣れないな。
俺が1人の時にネズミ2匹に遭遇していたら、マジで死んでた可能性が高い。
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