異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

文字の大きさ
上 下
3 / 580
序章 気が付いたら異世界転移

003 宿で異世界の食事とトイレ事情を知る (改)

しおりを挟む
「朝と夜の食事がついて1泊銀貨3枚だ。連泊してくれるなら、初日以降は銀貨2枚で同じ待遇で泊まれるよ」


 宿の女将さんに宿泊料金の説明を受ける。


 この人の外見は普通の人間に見えるな。美人さんではあるけどモフモフはしてない。

 獣人の宿ではなくてちょっと残念。


 しかし連泊はお得とはいえ、残金は銀貨7枚だしなぁ。

 最大でも3泊しか出来ないし、連泊する余裕は無いか。

 
 ここは大人しくひと晩だけ泊まる旨を伝え、銀貨3枚を支払う。

 残金が目に見えて減っていくのって、なかなかの恐怖ですよね……。


「確かに受け取ったよ。迷宮の安らぎ亭を使ってくれてありがとねぇ」


 毎度ありーっと、ニッコリ微笑んでくれる女将さん。

 美人さんの笑顔に、疲れ切った心と体が癒されるぅ~……。


「流石に今日の朝の分の食事はもう出せないから、明日宿を出る時に弁当でも出してやるよ。今晩はウチで食べるのかい?」

「はい、夕飯はここで食べます。それとお弁当は本当に助かりますよ。なにぶんお金に余裕が無いもので」


 料金分の食事を融通してくれるなんて、気が利いてるなぁ。

 既にちょっと気に入ったし、お金さえあったら連泊するんだけど……。


「じゃあ部屋に案内するから、付いておいで」


 女将さんの後に続いて階段を上がる。

 どうやら俺の部屋は、2階の1室らしい。


「ここがアンタの部屋だよ。鍵はこれさ」


 受け取った鍵は、普通の金属製の鍵だった。

 ここにはファンタジー要素を感じるような感じないような、ちょっと審議が必要だな?


「夕飯までは少し時間があるねぇ。外出するなら宿の人間に声かけて、鍵を預けておくれ」

「いやぁ……。今日はもうヘトヘトなんで、夕食まで休みますよ……」

「そうなのかい? あ、食事は1階の食堂でお願いしてるよ。準備が出来たら部屋に呼びに行くから、部屋で待ってな。トイレはあそこさ。なるべく綺麗に使っておくれよ?」


 軽く釘を刺しつつ、女将さんは1つの扉を指差した。あそこがトイレか。

 じゃあまた後でね、と戻りかけた女将さんを引き止めて聞いてみる。


「済みません。この宿のトイレを利用する場合に、なにか気をつけたほうが良いこととか、守るべきルールとかってあります?」


 なるべく自然な感じで問いかける。

 トイレの使用法を自然に聞くって、もう完全に無理があるとは俺も思うけどさっ!


「トイレのルールぅ? アンタまた、随分と変なこと聞くじゃないか?」

「実は故郷を出てきたばかりで、他の街の事とか何も知らなくて……。それに俺って字が読めないから、注意書きとかあっても分からないんですよ」

「ははっ。心配しなくても何処にでもあるトイレさ。用が済んだら魔力を流す。それさえ忘れなきゃ大丈夫だよ」


 そう言って女将さんは仕事に戻っていった。


 あっぶねー! やっぱり普通のトイレじゃないじゃないか!

 水洗ならぬ、魔洗トイレってやつぅ?


 2階にトイレがある時点で普通じゃないとは思ったんだよねー。文明レベル的な意味で。

 他に利用客がいない今のうちに、異世界トイレを体験してみよう。





「ふぅ~……。すっきりした」


 結論から言って、日本で使っていた洋式トイレと殆ど変わらなかった。

 柔らかめのトイレットペーパーまでちゃんと配備されていたことには感謝しかない。


 正式な異世界じゃなくて、神様が新しく作った世界らしいしな。細かい点でご都合主義なのかもしれない。

 快適なので文句なんか全く無いけどね。


 地球のトイレと違うのが魔力式という点だ。

 トイレに付属していた見慣れないガラス玉のような物に触れたら、体から何かが少し抜き取られる感覚がして、致したばかりの排泄物が綺麗さっぱり無くなってしまったのだった。

 どうやらガラス玉に触れることで魔力が抜き取られて、その魔力でなにか魔法的な処理を施すらしい。


 なんにしても、魔力が自動吸引式で助かったよ。

 魔力を流す方法とかまだ知らないしさぁ。トイレだけに?


 トイレの確認が済んだので、今度は案内された部屋に入ってみる。


「せっま!? ベッドしか置いてないじゃん!」


 ベッドの他には椅子やテーブルすらない狭苦しい内装に、思わずツッコミを入れてしまった。


 でも、1人部屋ならこんなものなんだろうか?

 むしろベッドがあるだけでも、高級な宿だったりするのかな?


 この世界の普通ってのがまだ分からないし、この宿の評価はまだ保留だな。


「さてと。無事に部屋も取れた事だし、早速マニュアルを確認したいところだけれど……」


 食事の準備が出来たら宿の人が呼びに来るって言ってたからな。

 マニュアルを読むのは食事が終わってからの方が無難だろう。


 ……って、そうすると暗くて読めなかったり?


「お? これってもしかしてランプか?」


 改めて部屋を確認したら、ヘッドボードにランプのようなものが置かれている。

 これって多分、照明器具だよな?


 確認してみると、トイレに備え付けてあったものと似たようなガラス玉がくっついている。

 触れてみると、やっぱり何かを吸われたような感覚があって、無事灯りが点いた。


 流石はファンタジー世界。

 科学の代わりに、魔法がしっかり生活に根付いているようだ。


 それほど強い光ではないけれど、マニュアルを読むのには支障が無いだろう。

 なら今は余計な事を考えず、夕食までゆっくりと休もう……。


 食事のお声がかかるまで、俺はベッドに座って必死に現状を受け入れていったのだった。





「お客さーん。夕食の用意が出来たから、1階の食堂まできておくれ」

「あ、はいっ。ありがとうございまーす!」


 色々なことをぐるぐると考えていたけれど、思考がまとまる前に夕飯のお呼び出し。

 呼び出しの声に返事をして、考え事を中断した。


 宿の規模にしては広く感じる食堂には既に料理が並べられていて、女将さんに案内された席に座り、早速夕食を楽しむ事にした。


「え、普通にうっま……」


 異世界に来て始めての食事は、全体的に濃い味のものが多かったけれど、充分に満足出来る味だった。

 香辛料とかも普通に流通してるっぽいな。


 強いて特徴を挙げるなら、なんか肉が多くて野菜が少なめかも?
 

 でも異世界作品のテンプレに漏れず、パンだけは固かった。

 テンプレに倣って一緒に出されたスープにつけて食べたら、まぁ悪くないなという感想。


 そして、日本では自炊程度しかしたことのない俺には料理チートは難しそうだということが分かった。

 俺が日本で自炊していた料理より、この宿の料理は俺の口に合ったのだった。
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!! 「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

処理中です...