魔の森の鬼人の非日常

暁丸

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鬼人の剣 2

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 「そうか、これか……」

 砥ぎを依頼して十日後、荒砥ぎの終わった剣を見てドルトンは言葉を失っていた。ほんの僅か形状を変えただけで、鉄の板は剣となっていた。
 槌痕の残っていた剣は、全面が平滑に仕上げられていた。取って付けたようだった刃は、峰から滑らかに繋がる刃付けになっていた。荒砥ぎされた艶の無い肌のせいで、剣に刻まれた文字もくっきりと見えるようになった。今や読める者のいない複雑な形状の文字は、佩表側に十六文字。裏には九文字が刻まれているが、もちろんカラガリにもドルトンにも意味は判らない。
 刀身は切先ほど砥ぎを強くし、直線的だった刃には定規を当てねば判らない程度の僅かなカーブが付けられていた。それだけなのに、無骨な『剣のような棒』が一目で刀と判る雰囲気を醸し出しているのだ。ドルトンはカラガリの言った「砥ぎ師が剣にする」という言葉の意味を、ようやく理解した。

 「よくここまで……」
 「……いや、硬かったわ…さすがだ」

 カラガリは疲れ果てたように言う。シアールヌイは既に机に突っ伏して寝息を立てている。この十日間、仮眠のみで作業に没頭していた。

 「荒砥を、二台で二つづつ使い切った。とても手で砥げる剣じゃねぇ」
 「あぁ、ご苦労だった」
 「まだ終わりじゃねぇよ。とはいえ今日は休みだ。中砥ぎと仕上げではそう減らないはずだから、寸法と押型取っていってくれ、俺は少し寝る」

 そう言って、部屋の端の長椅子に倒れこむと、カラガリは「あぁ」と思い出したように付け足した。ドルトンが視線を向けると、さも面倒くさそうに「胡散臭いヤツがうろつき始めた、そいつは持って帰ってくれ」。剣を指さしてそれだけ言うと、そのまま目を閉じてしまった。
 まるで他人事だが、荒事は自分の領分ではない。何より今は寝る事が一番だ。何しろ、ここから先は自身の腕で砥がなければならないのだから徹夜明けでできる仕事では無かったし、他の事に気を回す余裕などなかった。

 ドルトンは「ふむ」と顎に手をやった。この所商会はかなり頻繁に工房に出入りをしているし、カラガリの工房でかなりの金銭が動いているのも隠しようが無かった。ドルトンが貴族家に魔金属の剣を持ち込んだ事は、公にはなっていないが、貴族に伝手があれば調べようはあるだろう。
 (トレハンには釘を刺したはずだが…別口か?)
 いずれにしろ、きな臭くなってきたのは事実だ。ドルトンは商会員に指示を出しカラガリの工房の警備を厳重にする事、剣を商会で保管する準備、工房との運搬の警備強化を命じた。
 連れて来た職人…木工師や彫金師などは物騒な話に眉を顰めるが、帰ろうとするものは居なかった。ドルトンは、職人に急ぎ剣の寸法を記録するよう依頼した。
 拵や刀装を作るのは本来は砥ぎが仕上がってから行う仕事だが、今回は時間が無い。荒砥ぎの段階で仕事を始め、砥ぎが終わったら寸法を再確認して仕上げる事になっている。そんな変則的な仕事のうえ、獣人の商人の依頼という事で不承不承だった職人たちだったが、実際に剣を見るや目の色が変わった。普通なら王家の宝物庫行きになってもおかしくない多重付与の魔法剣だ。これの刀装を作れと言われて、心躍らない職人はいない。だが、剣自体は直線的で黒一色の地味な剣である。見劣りせず剣を引き立てる拵を作らねばならない。その上で、仕上がった時に全体のイメージがバラバラにならないように、意匠を合わせる必要がある。それを短時間で成し遂げなければならなかった。いくつかの意匠を考え、すり合わせて決定することにして、ドルトンは工房を出た。

 工房から急ぎ王都の商会に戻ると、衣装の仕立てと甲冑の進捗を確認する。来るべき日に備え、ドルトンは忙しく動き回っている。何しろ…本当なら自らが動き回らねばならないステレが、まったくもって無頓着で投げっぱなしだからだ。放っておくと今着ている鎖帷子に木剣を下げて式典に出かねない。一応、王に恥をかかせられない…という意識はあるのだが、その閾値が恐ろしく低い。騎士叙任は甲冑で受けるのが伝統だから、着慣れた鎖帷子を着ればいいし、木剣は魔法の品でそれで魔人と戦っているんだから何もおかしくない…と思っているらしい。鎖帷子など、鬼人に転生したとき貰った傭兵からの分捕り品を未だに使っているというのにだ。
 とはいえ、これでもステレはだいぶマシになった。以前のステレならそもそも王の前に出ようとすらしなかった。式典で着飾るなど、振り返りもせずダッシュで逃げ出しただろう。ロイツェル候の屋敷に住んで、高位貴族でもあるテンゲンと交流したおかげか、今のステレは世捨て人や蛮族だったステレではなく、一応は礼を守る貴族のステレにもなっている。こちらでお膳立てすれば、どうにか正装はしてくれるだろう。手間のかかる事だが、ドルトンには厭は無い。

 「…つまりは、こちらで用意すれば如何様にでも飾れるという事……」

 声ともつかない呟きを聞いて顔を上げた店員は、商会長の黒い笑みを見て慌てて目を逸らした。この顔をした会長が本気だと知っているからだ。

 そうして準備を進めるドルトンの許に、『来るべき日』の報せが届いた。剣の仕上がりの目途が立ったのを見計らったがごとく…。
 書面に目を通したドルトンの想いが、誰に言うとなく言葉となって出た。

 「いよいよか」

 ドルトンは報せを胸に、ロイツェルに向けて出発した。



 「いよいよか」

 知らせを受けたオーウェンがつぶやいた。

 「はい。私は伝令も兼ねておりますから、真っ先に報せが参りました」
 「準備は?」
 「万事抜かりなく」

 と、本人抜きで話が進んでいる理由は、ステレが使い物にならなくなっているからだった。もう暑い季節なのに、ステレは青白い顔をして熱い茶をすすっていた。月…ではない、年の障り…というやつである。
 発情期とは、つまりは子供を作る準備が整ったという事であり、それが過ぎれば当然後始末が始まる訳である。おかげで体調がボロボロな上、気分の上下も酷い事になっている。これがあるから初夏にはドルトンの来訪を断っていたのだ。
 まぁ、バラしてしまった以上は隠す必要も無い…とばかりに、男衆の前でも平気で「アレが重くて動けない、ごめんね」とか言ってしまうあたりが、ステレらしいと言えるが。テンゲンなどはそんなステレを珍獣を見る目で見ていた。
 慎みの無いステレの態度にドン引きしたのはともかく、テンゲンは妻帯者なので女性の事情自体は承知しており、しばらく稽古は休みに……などはしなかった。代わりに稽古の熱意がすべてキリハの方に向いてしまい、キリハは連日の猛稽古のせいで、生ける屍のように床に突っ伏してこっちも役立たずになっている。とんだとばっちりだった。

 「随行を一人つけられるますが、いかがいたしましょう?」
 「俺が出る訳にはいかんし…どうするか……」

 騎士叙任の式典には、本人の他に随行が一人付く。元々は従士や親族が付いて居たのだが、いつの頃からか後見人が付く事も有るようになった。名の通った騎士(とは言っても名代だが)が付けば、一目置かれる事となる。一人暮らしのステレには従士はいないし、故郷から旧家臣を呼ぶ事はステレは望まないだろう。かといって、いかにステレのためとはいえさすがに王の側近の現役侯爵が付くのは憚られる…というより、今はどこの貴族も自重しているのだ。うっかり前例になったりしたら、箔を付けようと次回以降の式典がとんでもない事になりかねない。
 話を聞いたテンゲンが「なんでしたら某が…」と言い出したが、同じ理由で断っている。この剣客は諸侯国の有力豪族の嫡男という立場ではあるが、諸侯国は王を奉じない国であるので、王国の基準からしたらテンゲンは「王子様」なのである。

 「そも、現時点で「人外の騎士」に「只人の従者」を付けるだけで、反発を招きかねんしな」
 「誰を付けても批判されるようでしたら、獣人の魔法使いを呼びます。お許しいただけるならですが」
 「ふむ…いいか?ステレ」

 鬼人と獣人の組み合わせなら序列で文句を言われる事もないだろうし、魔法使いなら獣人でもそうそう侮られる事もない。ドルトンはそう判断した。ステレは茶を口にしながらぱたぱたと手を振って了承の意を示した。ぼっちのステレには、全くアテが無いのだから嫌も応もない。
 ようやく式典の目途が立ち、オーウェンも肩の荷を半分降ろした気分だった。

 「貴族のすげ替えも落ち着いて、大物の昇爵はステレくらいなものか…」
 「叙爵者も今回は抑え気味のようです」

 国政大改革中のためか、現状猟官は下火で、主な叙爵者は成人を迎えて王国騎士となる貴族家の子弟がメインになっている。ステレは子爵から辺境伯への昇爵だが、名目だけの子爵位を持っていただけだったので、改めて騎士叙爵の式にも出る事になっている。ステレを騎士にしたかったグリフ王としては、むしろこちらがメインのイベントと言ってもいい。
 (……ステレが埋没しないように参加者を減らしたのか…いや、まさかな)
 オーウェンがそんな事を考えていると、ドルトンが「そう言えば…」と切り出し、ステレをちらりと見た。

 「成り手が無く、とうとう王都伯爵は空位となると聞きました」

 ステレを憚ってか、ドルトンは声を落とした。王都伯爵とは王の手…王国の処刑人に与えられる特殊な爵位の事だ。伯爵以上侯爵未満の高位の爵位であり、領地は持てないが門地等に関係なく腕前で得る事ができるのだが、平和な時代が長く続いたせいで処刑人は穢れた職と見なされて、成り手が年々減っていた。王はもはや空位でも構わないと判断したのだろう。

 「あーーーー」

 ステレの突然の叫び声に、室内の目が一斉にステレに向いた。

 「突然なんですか」
 「私、大事な事を忘れていたわ…」
 
 ステレが心底大変な事をしてしまったと言わんばかりに頭を抱えている。

 「私、アルカレル様の屋敷で意識失って……たぶん、暴れたわね?そのお詫びをしてない」
 「一応、私の方からお詫びとお見舞いはしております…」

 ドルトンは「その件ですか」と言わんばかりだ。形式上とはいえ面会を求めたのは商会なので、ドルトンは自ら謝罪に赴き、壊したドアの弁償等も申し出ていた。最もアルカレルは「自分の言動が原因だ」といって弁済の受け取りは拒否しているのだが。

 「さすがにそれで済ます訳にはいかないわよ。ちゃんと本人が迷惑かけたお詫びに行かなきゃ」

 ドルトンは僅かに片眉を上げる。
 そもそもが、ステレの母、カーラを処刑したのがアルカレルで、だからこそステレは悲しい思い出を無かった事にしたくて意識を失ったのだ。
 それは払拭した事にはなっているのだが……

 「よろしいので?」
 「まぁ正直言うと、未だに泣くことができてないんだから、どの面下げてと思わないでもないけど…。一応けじめは着けておかなきゃダメでしょ?」

 ドルトンは僅かに逡巡したが了承した。ステレの精神はボロボロだった以前に比べたら、だいぶ安定している。

 「……承知しました。足の手配をいたします」
 「何か、進物を添えて伺うべきかしらね」

 そう言われてアルカレルの為人を思い返すが、本人はほとんど世捨て人のような生活だった。

 「あの方はもう栄達や財には執着が無いご様子ですが…」
 「剣客なら剣は…と思ったけど、引退した王の手に剣を送るのも嫌味な気もするわね…」
 「なるほど……。それでしたら丁度良い物があります、お任せください」
 「へぇ?」

 ステレの言葉から何か思いついたらしいドルトンが請け負ってくれたので、こちらも任せる事にした。
 着の身着のままのステレは、山を降りればドルトンやオーウェンを頼らなければ何もできない。それでもこの屋敷で暮らしているうちに、ステレはそれを受け入れられるようにはなって来た。
 まだ慣れてはいないが。
 少なくとも、以前のような病的な自己評価の低さは鳴りを潜めつつある。彼らに頼っている事を負い目に感じない人間になろう。ようやくそう思えるようになってきていた。

 その変化にドルトンも気付いていた。
 ステレは人を嫌って森に引き籠った訳ではない。話してみれば、軽口の飛び出す話好きな性格だ。だが、元々理解者が少なかったステレは常に孤独だった。更に鬼人となった事で、その性質が只人に脅威となる事を恐れたステレは一人森に逃げ、更に孤独になるしかなかった。孤独な闘いはステレに鬼の心を抑えさせはしたが、その一方でステレの精神を侵食し、今にも倒れそうな枯れ木のような状態にもしていた。
 ステレが最も充実していたのは、グリフのサロンで皆と切磋琢磨していた日々だった。あの日に帰る事はできないが、今ここで鬼人の全力を出して剣を磨く事ができる。
 人は一人では生きて行けない。王妃が予想したように、ステレが生きるためには共に生きられる強者が必要だった。ステレはようやくそれを得たのだ。だからこそ、アルカレルに詫びに行こうなどと言い出す事ができるようになったのだろう。

 (ようやく収まるべき場所に収まったという事ですか…)

 後は、この居場所を恒久的なものにしなければならない。湧き上がる感慨を押しやって、ドルトンは気を引き締め直した。

◇◇◇
ようやく再開。でもストックが無いので間が開きます。
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